mission 20:to the direction of blue abyss ~兄と弟~
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ダンテとバージルの間にディーヴァが割り込む。
戦闘の邪魔はしないよう言われていたが、これ以上は見ていることが出来なかったのだ。
「やめてよ、バージル。ダンテも……お願い、無理に立たないで」
ダンテの首を斬り落とそうとでもしていたか、近づくバージルの目の前に立ち、かばうディーヴァ。
冷たく、しかしながらあわれむような視線をダンテとディーヴァに寄越すバージル。
「魔界の王すら叶わぬほどの力を俺が得たなら、ディーヴァも暮らしやすい世界になるだろう?その時いる場所が魔界でも、どんなところだったとしても……。
全てはお前のためでもあるのだぞ、ディーヴァ……」
「あたしのため……?」
「ああ、そのための力でもある……。その男には命でもって分からせてやる」
そう言って閻魔刀を構える。
切っ先はずっとダンテを狙い続けていた。
「違う、違うよ……そんなの違う。……間違ってる。
もういい、もういいの……もうやめて……。お願い、これ以上傷つけあうのはやめて。
たった一人の家族同士……戦わないで」
悲しそうに涙を流して訴える。
バージルはディーヴァのキラキラと流れる澄んだ涙に少しうろたえた。
心を鬼にしてバージルは強い瞳でディーヴァを睨む。
「どけ、ディーヴァ」
「どかない!」
「お前を斬るわけにはいかない……どけ」
「いやよ!」
荒い呼吸で会話も、まだままならぬダンテにすがり付きながら、ディーヴァは首を振った。
「どうしてそこまで力を求めるの?十分強いじゃない……」
「まだだ。まだ足りない。力がなくては何も守れない、力こそ全てだ……。だから俺は力を求めてここまで来たのだ……」
母を助けられなかったことを今でも悔やみ続けるダンテとバージル。
根本的な部分は同じだったはずなのに、いつの間に変わってしまったのだろう。
彼らの目指す道は違えた。
人を慈しむ心を持ち誇り高き魂を宿す、愛という何にもかえがたい大事な物を知ったダンテ。
これは、ディーヴァに出会えたからというのもあるかもしれない。
ダンテとは反対に、愛も心も捨て力だけを求め本当の意味で悪魔になろうとするバージル。
しかし、心は捨て切れていない。
いくら自分では力を求めているだけと思い込んでいても、単純に力を求める悪魔になることはできない。
悪役には……非情には、なりきれない。
だからこそ、ディーヴァを傷つけることはできなかった。
バージルは、純粋に守りたい者を守りたかった。
そのため力を求めるという結果になってしまっただけなのだ。
それは自分の弱さ、無力さに憤慨してるがゆえの行き過ぎた思い。
ディーヴァにもそれはわかっていた。
悪魔になろうとしているけれど、バージルは悪魔になりきれてない。
ダンテとかわらない。
……そうでなくては、ディーヴァを守ったりなどしないはずだ。
「ダンテもバージルも……もう戦わなくったっていいじゃない。兄弟は仲良くしなさいってお母さんに教わらなかったの!?」
まるで母親が叱りつけるように強い口調になる。
「う……」
実を言うとバージルは、ディーヴァを愛しい者と感じているだけではなく、母の面影を見出してしまっている。
その母のことを持ち出されると、上手く言葉が発せなかった。
「ディーヴァ……」
その時、ディーヴァの肩に手を置いて、ダンテがようやく立ち上がった。
「ダンテ……大丈夫なの?」
目を丸くして心配するディーヴァを珍しくその瞳には映さず、ダンテはまっすぐにバージルをみた。
「悪いけどディーヴァは邪魔しないでくれ。どいててくれ」
「ダンテまで!?」
「これはオレとバージル……二人の問題でもあるんだ」
「でも……」
今度こそその瞳にディーヴァを映し、ダンテが懇願する。
「頼むよ、darling」
「……うん、わかった」
「イイ子だ」
軽く撫でられたディーヴァは、足早にそこを後にした。
ディーヴァが消えるのを見計らって、ダンテが魔人化した。
「さあ、本気でいくぜ?」
「ここからは悪魔同士の戦いというわけか……よかろう」
ダンテの魔人化を目にし、バージルも魔力をまとって魔人化する。
魔力の渦が、余波が、生暖かい風となってディーヴァの頬を撫でる。
今の姿は本物の悪魔。
少し恐ろしいけれど、戦っているのがダンテとバージルだからだろうか、美しくも見えた。
不謹慎だが、ずっと見ていたいとさえ思ってしまう。
ダンテとバージルのスティンガーが同時に炸裂した。
次元斬の連続にも、ダンテも同じように連続攻撃で迎え撃つ。
目を凝らさなければ太刀筋が見えぬほど素早い動きだった。
そして。
長きにわたって続いたこの戦いは終盤を迎える。
「ダン、テ……」
立っているのはダンテ。
倒れたのはバージルだった。
戦闘の邪魔はしないよう言われていたが、これ以上は見ていることが出来なかったのだ。
「やめてよ、バージル。ダンテも……お願い、無理に立たないで」
ダンテの首を斬り落とそうとでもしていたか、近づくバージルの目の前に立ち、かばうディーヴァ。
冷たく、しかしながらあわれむような視線をダンテとディーヴァに寄越すバージル。
「魔界の王すら叶わぬほどの力を俺が得たなら、ディーヴァも暮らしやすい世界になるだろう?その時いる場所が魔界でも、どんなところだったとしても……。
全てはお前のためでもあるのだぞ、ディーヴァ……」
「あたしのため……?」
「ああ、そのための力でもある……。その男には命でもって分からせてやる」
そう言って閻魔刀を構える。
切っ先はずっとダンテを狙い続けていた。
「違う、違うよ……そんなの違う。……間違ってる。
もういい、もういいの……もうやめて……。お願い、これ以上傷つけあうのはやめて。
たった一人の家族同士……戦わないで」
悲しそうに涙を流して訴える。
バージルはディーヴァのキラキラと流れる澄んだ涙に少しうろたえた。
心を鬼にしてバージルは強い瞳でディーヴァを睨む。
「どけ、ディーヴァ」
「どかない!」
「お前を斬るわけにはいかない……どけ」
「いやよ!」
荒い呼吸で会話も、まだままならぬダンテにすがり付きながら、ディーヴァは首を振った。
「どうしてそこまで力を求めるの?十分強いじゃない……」
「まだだ。まだ足りない。力がなくては何も守れない、力こそ全てだ……。だから俺は力を求めてここまで来たのだ……」
母を助けられなかったことを今でも悔やみ続けるダンテとバージル。
根本的な部分は同じだったはずなのに、いつの間に変わってしまったのだろう。
彼らの目指す道は違えた。
人を慈しむ心を持ち誇り高き魂を宿す、愛という何にもかえがたい大事な物を知ったダンテ。
これは、ディーヴァに出会えたからというのもあるかもしれない。
ダンテとは反対に、愛も心も捨て力だけを求め本当の意味で悪魔になろうとするバージル。
しかし、心は捨て切れていない。
いくら自分では力を求めているだけと思い込んでいても、単純に力を求める悪魔になることはできない。
悪役には……非情には、なりきれない。
だからこそ、ディーヴァを傷つけることはできなかった。
バージルは、純粋に守りたい者を守りたかった。
そのため力を求めるという結果になってしまっただけなのだ。
それは自分の弱さ、無力さに憤慨してるがゆえの行き過ぎた思い。
ディーヴァにもそれはわかっていた。
悪魔になろうとしているけれど、バージルは悪魔になりきれてない。
ダンテとかわらない。
……そうでなくては、ディーヴァを守ったりなどしないはずだ。
「ダンテもバージルも……もう戦わなくったっていいじゃない。兄弟は仲良くしなさいってお母さんに教わらなかったの!?」
まるで母親が叱りつけるように強い口調になる。
「う……」
実を言うとバージルは、ディーヴァを愛しい者と感じているだけではなく、母の面影を見出してしまっている。
その母のことを持ち出されると、上手く言葉が発せなかった。
「ディーヴァ……」
その時、ディーヴァの肩に手を置いて、ダンテがようやく立ち上がった。
「ダンテ……大丈夫なの?」
目を丸くして心配するディーヴァを珍しくその瞳には映さず、ダンテはまっすぐにバージルをみた。
「悪いけどディーヴァは邪魔しないでくれ。どいててくれ」
「ダンテまで!?」
「これはオレとバージル……二人の問題でもあるんだ」
「でも……」
今度こそその瞳にディーヴァを映し、ダンテが懇願する。
「頼むよ、darling」
「……うん、わかった」
「イイ子だ」
軽く撫でられたディーヴァは、足早にそこを後にした。
ディーヴァが消えるのを見計らって、ダンテが魔人化した。
「さあ、本気でいくぜ?」
「ここからは悪魔同士の戦いというわけか……よかろう」
ダンテの魔人化を目にし、バージルも魔力をまとって魔人化する。
魔力の渦が、余波が、生暖かい風となってディーヴァの頬を撫でる。
今の姿は本物の悪魔。
少し恐ろしいけれど、戦っているのがダンテとバージルだからだろうか、美しくも見えた。
不謹慎だが、ずっと見ていたいとさえ思ってしまう。
ダンテとバージルのスティンガーが同時に炸裂した。
次元斬の連続にも、ダンテも同じように連続攻撃で迎え撃つ。
目を凝らさなければ太刀筋が見えぬほど素早い動きだった。
そして。
長きにわたって続いたこの戦いは終盤を迎える。
「ダン、テ……」
立っているのはダンテ。
倒れたのはバージルだった。