歯車機関室へとんぼ返りし、今一度ブラッドゴイルがしつこく追ってくる中で紋章を起動する。
その際のブラッドゴイルはすべて無視した。

扉を開け放ち、一度だけダンテはブラッドゴイルに振り返ると投げキッスを送り、手をあげて返す。

「もう二度とここへはこねーぜ！あばよ悪魔共！」

閉じた扉にブラッドゴイルが追突する音が聞こえたが、もう振り返らない。
しかし、次の部屋を目に入れてビックリ、である。

「「は！？」」

二人の言葉がハモった。
見たことはあるのだが、一体どこでだっただろうか。
何やら回転する音が耳に障る。

「ここどこ！？うわ、この音……なーんかいやな予感……」

角を曲がるとやはりというかなんというか。
ダンテとディーヴァの目の前に広がるのは高速で回転する円刃。
しかも、通常と違いまるで部屋ごと横倒しになったのかと思われる構造であり、下手にジャンプしてよけようとすればその瞬間ジ・エンド！

「あたし今度こそずぇぇぇーったい！行かないんだから！！」
「はぁ？行かないわけにいくかよ！」
「いーやーだー！！てこでも動かないんだから！」

ディーヴァは傍にあった柱に抱き着き、絶対動かないというアピールをしてみせた。

「おいおい今頑張るって言ったばっかりじゃねーか！」
「それとこれとは話が別ですよーっだ！だって悪魔よりこわいもん！お腹から真っ二つになったらテケテケになっちゃう！」

テケテケとはなんぞ？
気にはなるが、今は聞かないでおこう。

「ディーヴァ、いい加減にしないと余計に小間切れになるからな」
「えっ？」

ダンテはアグニとルドラを取りだすと、ディーヴァに向ける。
大事な彼女を斬ってしまうとでもいうのだろうか。
いや、そうではない。

ダンテは素早く二刀を一閃させると、ディーヴァが抱きつく柱ごと斬り取った。
ガコン、柱が外れ落下する。

「えええ！？」
「その柱ちゃんと掴んでろよ、コアラみたいにな！」

ディーヴァを、というより柱を担ぎあげるダンテ。

えっほえっほ！
そんな掛け声をあげながら、ダンテは楽に円刃を通り抜けた。

「えええええ～」

そして、ディーヴァの叫びが塔内にこだました。

その先にも紋章はあるが、今はその前に扉の向こうへ行ってみた方が早い。
ダンテはディーヴァを下に降ろすと、目の前の扉を開けた。