mission 15:three fragments of orihalcon ~塔はぐるぐる回る~
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……スン。
ダンテの鼻にディーヴァの血の香りが届く。
目でキョロキョロと出所を探すと、破れたブラウスの合間からディーヴァが怪我しているのが見えた。
かわいそうに、やわらかく白い二の腕には引き裂くように三本線が走り、血はまだ滲んでいる。
見た目からは分かりづらいがなかなかに深い傷のようだ。
「この怪我はどうしたんだ」
「……これ?あ、そうだった!ダンテ!」
「な、なんだよ」
突然大声を上げるディーヴァ。
そしてその口調はまくしたてるかのように早くなる。
「あのねダンテは知ってる?アーカムさんがジェスターさんで、ジェスターさんがアーカムさんで、彼は死んでなくてしかも想像つかないけど同一人物だったんだけどね、」
「知ってるからアーカムでいい。それとさんはつけなくていいっつの」
「え、あ……そう」
なんだ、知っていたのか。
ディーヴァは早口をやめ、普段のスピードで話し始めた。
「それでこの傷はあの人があたしに付けたの。あたしの力を取り込んでスパーダさんを超える悪魔になるとかなんとか……」
ディーヴァは傷口には触れないように、そっと二の腕をさわり目を伏せる。
痛むのか、時折その眉を苦痛にゆがませながら。
「あいつ……許せねぇ。絶対ぶっとばすから安心しろよ」
「うーん……でもダンテに倒せるかなぁ。あの人の悪魔の気配はかなり強くなってたよ?
……バージルさんと協力したらいいかもね」
「ハハッ冗談だろ!
さぁて、ぶっ飛ばしたらとっととこんなとこオサラバしようぜ」
「ダンテ、アミュレットの存在はいいの?」
「あ……忘れてた」
「えー……」
一番大事なものを忘れるな、である。
ダンテはしゃがみ込んでディーヴァの傷口を覗き込む。
ディーヴァは天使の血をひいているとはいえ、悪魔と違うので怪我の治りが早いとかそういうこともなく、至って普通の治癒能力しか持ち合わせていない。
ダンテのように治る事はないのだ。
「それにしても、けっこう深そうだな。早く治療しねぇと」
「深いけど血も徐々に乾いてきてるしいいよ。大丈夫」
「……オレがつらいんだ」
「あー……」
その変態さが強すぎてたまに忘れそうになるが、ダンテも半分とはいえ悪魔。
天使の血を堂々と見せつけられると、ほしくなってしまうのだろう。
ましてやここは悪魔の塔であり、ダンテの中の悪魔もより活動的になっているに違いないのだ。
ディーヴァはハンカチを取り出すとダンテに差出し、二の腕にぎゅっと結んでもらうことにした。
「あたしね、あの人の非常食になっちゃうところだったよ。
あの人……完全な悪魔になっちゃったんだね。どうして悪魔になるとかそういう考えになっちゃったんだろ」
結ぶダンテの手元を見ながら、ディーヴァはぼそりと話す。
体の傷も痛むだろうが、アーカムが悪魔になると決めた過程に何かあったのかと考え込み、その心中も痛むのかもしれない。
「さあな、オレには悪魔になりたいなんて気持ちはわからねぇ」
「それはダンテが元から悪魔だからでしょ?」
「違う。ディーヴァにもっと触れたい。そう思うから、オレは捨てられることなら自分自身の悪魔の部分を捨ててしまいたい時がある」
「ダンテ……」
微かに赤い目をしたダンテが、ハンカチを結ぶ際に手に付着したディーヴァの血を見つめている。
その手を口元にもっていき舐めとろうと口を開く。
だがやめて、静かに手を降ろした。
「ダンテ、無理しないでね。血もほしくなったらそう言って」
「サンキュ……。オレな、ディーヴァの血を欲しがる悪魔の自分をどうしても好きになれねーわ。でも、悪魔の力がないとディーヴァを守り切れないだろうって思うとなんだかな……。
あ゛ーもう!くそッ!上手く考えがまとまんねー。取りあえずあいつをボコりに行く、今はそれだけだ!」
「うん、そうそう。考えるのはダンテに似合わないもんね!」
「それってどういう意味だ!」
うって変わって軽やかなステップで扉へ向かうディーヴァと、それを追うダンテだった。
ダンテの鼻にディーヴァの血の香りが届く。
目でキョロキョロと出所を探すと、破れたブラウスの合間からディーヴァが怪我しているのが見えた。
かわいそうに、やわらかく白い二の腕には引き裂くように三本線が走り、血はまだ滲んでいる。
見た目からは分かりづらいがなかなかに深い傷のようだ。
「この怪我はどうしたんだ」
「……これ?あ、そうだった!ダンテ!」
「な、なんだよ」
突然大声を上げるディーヴァ。
そしてその口調はまくしたてるかのように早くなる。
「あのねダンテは知ってる?アーカムさんがジェスターさんで、ジェスターさんがアーカムさんで、彼は死んでなくてしかも想像つかないけど同一人物だったんだけどね、」
「知ってるからアーカムでいい。それとさんはつけなくていいっつの」
「え、あ……そう」
なんだ、知っていたのか。
ディーヴァは早口をやめ、普段のスピードで話し始めた。
「それでこの傷はあの人があたしに付けたの。あたしの力を取り込んでスパーダさんを超える悪魔になるとかなんとか……」
ディーヴァは傷口には触れないように、そっと二の腕をさわり目を伏せる。
痛むのか、時折その眉を苦痛にゆがませながら。
「あいつ……許せねぇ。絶対ぶっとばすから安心しろよ」
「うーん……でもダンテに倒せるかなぁ。あの人の悪魔の気配はかなり強くなってたよ?
……バージルさんと協力したらいいかもね」
「ハハッ冗談だろ!
さぁて、ぶっ飛ばしたらとっととこんなとこオサラバしようぜ」
「ダンテ、アミュレットの存在はいいの?」
「あ……忘れてた」
「えー……」
一番大事なものを忘れるな、である。
ダンテはしゃがみ込んでディーヴァの傷口を覗き込む。
ディーヴァは天使の血をひいているとはいえ、悪魔と違うので怪我の治りが早いとかそういうこともなく、至って普通の治癒能力しか持ち合わせていない。
ダンテのように治る事はないのだ。
「それにしても、けっこう深そうだな。早く治療しねぇと」
「深いけど血も徐々に乾いてきてるしいいよ。大丈夫」
「……オレがつらいんだ」
「あー……」
その変態さが強すぎてたまに忘れそうになるが、ダンテも半分とはいえ悪魔。
天使の血を堂々と見せつけられると、ほしくなってしまうのだろう。
ましてやここは悪魔の塔であり、ダンテの中の悪魔もより活動的になっているに違いないのだ。
ディーヴァはハンカチを取り出すとダンテに差出し、二の腕にぎゅっと結んでもらうことにした。
「あたしね、あの人の非常食になっちゃうところだったよ。
あの人……完全な悪魔になっちゃったんだね。どうして悪魔になるとかそういう考えになっちゃったんだろ」
結ぶダンテの手元を見ながら、ディーヴァはぼそりと話す。
体の傷も痛むだろうが、アーカムが悪魔になると決めた過程に何かあったのかと考え込み、その心中も痛むのかもしれない。
「さあな、オレには悪魔になりたいなんて気持ちはわからねぇ」
「それはダンテが元から悪魔だからでしょ?」
「違う。ディーヴァにもっと触れたい。そう思うから、オレは捨てられることなら自分自身の悪魔の部分を捨ててしまいたい時がある」
「ダンテ……」
微かに赤い目をしたダンテが、ハンカチを結ぶ際に手に付着したディーヴァの血を見つめている。
その手を口元にもっていき舐めとろうと口を開く。
だがやめて、静かに手を降ろした。
「ダンテ、無理しないでね。血もほしくなったらそう言って」
「サンキュ……。オレな、ディーヴァの血を欲しがる悪魔の自分をどうしても好きになれねーわ。でも、悪魔の力がないとディーヴァを守り切れないだろうって思うとなんだかな……。
あ゛ーもう!くそッ!上手く考えがまとまんねー。取りあえずあいつをボコりに行く、今はそれだけだ!」
「うん、そうそう。考えるのはダンテに似合わないもんね!」
「それってどういう意味だ!」
うって変わって軽やかなステップで扉へ向かうディーヴァと、それを追うダンテだった。