mission 1:opening ~招待状と悪魔の歓迎~
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「ただいまぁ」
夕方になって学校から帰ってきたディーヴァはダンテが定位置についていないのに気がついた。
「あれっ、いない?」
どこかに出掛けているのかと思ったが壁にコートがひっかけてあるし、彼愛用の二丁拳銃も、剣も置かれたままである。
それから、残念ながら薄暗くて椅子が倒れてるのには気がつかなかったが、机の上にピザの箱があるのに気がついた。
まだほのかに湯気があがっていて届いてからそう経っていないようだった。
「用意しておいたお昼じゃ足りなかったのかな」
というよりは、最近ピザを作っていなかった。
他のものを作っていてダンテ=ピザであることをすっかり忘れていたのだ。
ピザ大好きなダンテのことだ、ピザ欠乏症になったのかもしれないとさえ思う。
「って、ピザ欠乏症って何よ……そんなものは存在しないってば」
ディーヴァは自分の変な想像に自分で突っ込みを入れた。
耳をよくよく澄ましてみれば、バスルームからシャワーの音が聞き取れる。
ダンテはシャワー中のようだ。
シャワーあがりに届いたばかりのピザ。
仕事もしないでこれとは、いいご身分である。
短くため息を吐くと、ディーヴァは学校用の荷物を抱えて二階へ上がった。
***
「ジリリリリ」
ディーヴァが荷物を二階に置き、着替えのため着ていた制服のリボンに手をかけた瞬間のことだった。
階下でけたたましく電話が鳴り響いたのだ。
確か今、ダンテはシャワータイム真っ最中なはず……電話に出れるのは自分しかいない。
ディーヴァは着替えを中断し、急いで部屋を出た。
だが、階段を降りる途中でダンテがシャワーからあがってやってきた。
いつものように上半身裸で、タオルを使わずに手でわしゃわしゃと水気を飛ばしている。
彼はタオルを使ってちゃんと拭きなさい、といくら言っても聞かないのだ。
ダンテは電話がなっているのにも関わらずひどく緩慢な動きで、壁の電気スイッチを押した。
「帰ってたのか」
ダンテはディーヴァが階段の小さな踊り場にいるのを見て、嬉しそうに手をあげる。
ディーヴァは階段の手すりから身をのりだしてビシッとダンテに指差した。
「いいから早く電話取る!」
「へいへい」
倒れていたらしい椅子を蹴り飛ばして立ち上がらせ、座って足を組むように、机へ叩きつける。
そして衝撃で浮き上がった受話器を取った。
一連の流れに乱れはない。
だが、行儀が悪すぎだし、ピザには埃が入ったかもしれない。
「まったくもうっ!」
ディーヴァは着替えに戻ることを諦め、電話応対をするダンテを横目に彼の頭から滴り落ちた水をペーパータオルで拭き取り始めた。
「悪いがまだ開店準備中だ」
そう言ったかと思うとダンテはすぐに電話を切る。
受話器を戻す時も手で置くことはせず、放り投げていた。
コントロールは抜群だが、やはり行儀の悪さが目立つ。
「もしかしてまた断ったの?」
「だって悪魔関係じゃなかったし、まだ名前決まってないから。まったく……気が早い奴もいるもんだな」
「あれぇ?じゃあ名前が決まったら悪魔関係じゃなくても依頼受けてくれるんだよね?」
「…………たぶんな」
ディーヴァが有無を言わさないような問いかけをする。
ダンテはあさっての方向を向いてピザを取り口に運んだ。
「食うか?」
「いらないよ」
ダンテのその間があやしい気がして、ディーヴァはじとりと見ながら断りを入れた。
それに、埃が入ったかもしれないものを食べたくはない。
ガチャ。
その時、大きな本を抱えた黒衣の剃髪の男が入って来た。
ちょうど逆光になっていたためか、伸びた影はダンテとディーヴァにかかり男の顔を判別困難にしている。
「あんたもそのクチか?」
「お客様ですか?今、お茶を……」
久しくやってきた客、つまり仕事の存在に、ディーヴァは嬉しく思い、茶を入れようとした。
だが、ダンテはそれを手で遮り止めた。
茶を淹れる必要がない客ということだろう。
つまり、仕事の依頼人ではないのだ。
「シャワー借りたいってんなら勝手にしな。トイレも裏にある」
男はダンテのセリフを無視して、ビリヤード台のへりをなぞりながら言葉を発した。
「君が、ダンテかね」
問い掛けというよりは確認するような口ぶりだ。
この男はダンテのことをもう既に知っているのだと思う。
ディーヴァは客に対し失礼なことだと知りながらも、なんとも言えない違和感と気持ちの悪さを覚えた。
「スパーダの息子だとか」
不穏な空気を感じたディーヴァはダンテの側に寄り添う。
ダンテはそんな不安げなディーヴァの手を握って引き寄せた。
「どこでそれを聞いた?」
男はダンテの目の前に立った。
そこで男の表情が明らかになる。
右が赤で、左が青のオッドアイだった。
「君の兄上から」
男がダンテのことを聞いたのは、ダンテの兄、バージルからだと言う。
ディーヴァは目を見開いて、バージルを思い出した。
確か、つい最近会ったバージルはここから離れろと言っていた気がする。
男は何を考えているのかわからないような表情で、こちらをじっと凝視してきた。
それはダンテというよりは、アミュレットとそしてディーヴァを見ているようにも思えた。
ぞくり。
その視線にディーヴァは言い様のない恐怖を感じた。
夕方になって学校から帰ってきたディーヴァはダンテが定位置についていないのに気がついた。
「あれっ、いない?」
どこかに出掛けているのかと思ったが壁にコートがひっかけてあるし、彼愛用の二丁拳銃も、剣も置かれたままである。
それから、残念ながら薄暗くて椅子が倒れてるのには気がつかなかったが、机の上にピザの箱があるのに気がついた。
まだほのかに湯気があがっていて届いてからそう経っていないようだった。
「用意しておいたお昼じゃ足りなかったのかな」
というよりは、最近ピザを作っていなかった。
他のものを作っていてダンテ=ピザであることをすっかり忘れていたのだ。
ピザ大好きなダンテのことだ、ピザ欠乏症になったのかもしれないとさえ思う。
「って、ピザ欠乏症って何よ……そんなものは存在しないってば」
ディーヴァは自分の変な想像に自分で突っ込みを入れた。
耳をよくよく澄ましてみれば、バスルームからシャワーの音が聞き取れる。
ダンテはシャワー中のようだ。
シャワーあがりに届いたばかりのピザ。
仕事もしないでこれとは、いいご身分である。
短くため息を吐くと、ディーヴァは学校用の荷物を抱えて二階へ上がった。
***
「ジリリリリ」
ディーヴァが荷物を二階に置き、着替えのため着ていた制服のリボンに手をかけた瞬間のことだった。
階下でけたたましく電話が鳴り響いたのだ。
確か今、ダンテはシャワータイム真っ最中なはず……電話に出れるのは自分しかいない。
ディーヴァは着替えを中断し、急いで部屋を出た。
だが、階段を降りる途中でダンテがシャワーからあがってやってきた。
いつものように上半身裸で、タオルを使わずに手でわしゃわしゃと水気を飛ばしている。
彼はタオルを使ってちゃんと拭きなさい、といくら言っても聞かないのだ。
ダンテは電話がなっているのにも関わらずひどく緩慢な動きで、壁の電気スイッチを押した。
「帰ってたのか」
ダンテはディーヴァが階段の小さな踊り場にいるのを見て、嬉しそうに手をあげる。
ディーヴァは階段の手すりから身をのりだしてビシッとダンテに指差した。
「いいから早く電話取る!」
「へいへい」
倒れていたらしい椅子を蹴り飛ばして立ち上がらせ、座って足を組むように、机へ叩きつける。
そして衝撃で浮き上がった受話器を取った。
一連の流れに乱れはない。
だが、行儀が悪すぎだし、ピザには埃が入ったかもしれない。
「まったくもうっ!」
ディーヴァは着替えに戻ることを諦め、電話応対をするダンテを横目に彼の頭から滴り落ちた水をペーパータオルで拭き取り始めた。
「悪いがまだ開店準備中だ」
そう言ったかと思うとダンテはすぐに電話を切る。
受話器を戻す時も手で置くことはせず、放り投げていた。
コントロールは抜群だが、やはり行儀の悪さが目立つ。
「もしかしてまた断ったの?」
「だって悪魔関係じゃなかったし、まだ名前決まってないから。まったく……気が早い奴もいるもんだな」
「あれぇ?じゃあ名前が決まったら悪魔関係じゃなくても依頼受けてくれるんだよね?」
「…………たぶんな」
ディーヴァが有無を言わさないような問いかけをする。
ダンテはあさっての方向を向いてピザを取り口に運んだ。
「食うか?」
「いらないよ」
ダンテのその間があやしい気がして、ディーヴァはじとりと見ながら断りを入れた。
それに、埃が入ったかもしれないものを食べたくはない。
ガチャ。
その時、大きな本を抱えた黒衣の剃髪の男が入って来た。
ちょうど逆光になっていたためか、伸びた影はダンテとディーヴァにかかり男の顔を判別困難にしている。
「あんたもそのクチか?」
「お客様ですか?今、お茶を……」
久しくやってきた客、つまり仕事の存在に、ディーヴァは嬉しく思い、茶を入れようとした。
だが、ダンテはそれを手で遮り止めた。
茶を淹れる必要がない客ということだろう。
つまり、仕事の依頼人ではないのだ。
「シャワー借りたいってんなら勝手にしな。トイレも裏にある」
男はダンテのセリフを無視して、ビリヤード台のへりをなぞりながら言葉を発した。
「君が、ダンテかね」
問い掛けというよりは確認するような口ぶりだ。
この男はダンテのことをもう既に知っているのだと思う。
ディーヴァは客に対し失礼なことだと知りながらも、なんとも言えない違和感と気持ちの悪さを覚えた。
「スパーダの息子だとか」
不穏な空気を感じたディーヴァはダンテの側に寄り添う。
ダンテはそんな不安げなディーヴァの手を握って引き寄せた。
「どこでそれを聞いた?」
男はダンテの目の前に立った。
そこで男の表情が明らかになる。
右が赤で、左が青のオッドアイだった。
「君の兄上から」
男がダンテのことを聞いたのは、ダンテの兄、バージルからだと言う。
ディーヴァは目を見開いて、バージルを思い出した。
確か、つい最近会ったバージルはここから離れろと言っていた気がする。
男は何を考えているのかわからないような表情で、こちらをじっと凝視してきた。
それはダンテというよりは、アミュレットとそしてディーヴァを見ているようにも思えた。
ぞくり。
その視線にディーヴァは言い様のない恐怖を感じた。