二周目 陸
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アッそういえば朝緋ちゃんは煉獄さんとのこと、どうなった?どこまで進んだのかしら」
「ブーーーッ!!」
ちょうど口に含んだばかりの紅茶を盛大に吹いた。窓の方を向いてだから人にはかかっていない。ピンポイントで外に飛んでった。凄いぞ私!
「えっななな、何を言って!?」
口についた分を拭く動きさえしどろもどろ。どもりまくりだ。落ち着け私!!
「エ〜だってぇ……。炎柱邸で一つ屋根の下二人きり……。何もない方がおかしいわよねっ!
さあ、お姉さんをキュンキュンさせてちょうだい!そして新しい型を思い付かせて!!」
「えっ何もないし!?
私のことで型を編み出すとか冗談やめて!?恥ずかしすぎる!!」
「うっそだーー。
だって師範……煉獄さんのほうも満更でもない顔して朝緋ちゃんの事みてるじゃない?」
「そう、なのかな……」
「そうよっ」
でも、特に何もないんだよね。脱衣所でばったり☆ラッキースケベ!なこともないし、甘酸っぱい話ひとつない。
あれっ?なんか泣けてきた。ほんとは私に魅力なんてないんじゃないかな??
煉獄家に帰っていた時の方が、ドキドキすることあったような。
まあ、最近は任務続きでそんなこと考える余裕ないんだけども。
ぐるぐる考えていたら頬をつんつんされた。見れば、にんまり笑う蜜璃と目が合う。
「それと、私の耳は誤魔化せないわヨ?
前に悲鳴嶼さんから撫でられて喜んでいたところを、煉獄さんが激しく嫉妬して「この猫のような愛い子は俺のだー!」って、周りに言いふらしていたって聞いたわ!」
そして猫にするように顎をこしょこしょと柔く爪を立てて撫でられる。悲鳴嶼さんに続き、蜜璃にも顎を撫でられた!
ごろごろごろ〜……なんてするわけないでしょーがッ!
「ハァーー!?そんな話知らないんだけど!どこか間違って伝わってない??」
「いやー、嫉妬したことは事実でしょー。
はわ〜……かわいい猫ちゃんに例えられるなんて素敵だわ!
朝緋ちゃんはどうなの。煉獄さんのこと、今も好きなんでしょう?それとももう恋の好きは無くな「そんなわけないよずっと好き大好き!!…………あっ」
「まぁーーー!」
オァーーー!恥ずかしい〜〜〜!
真っ赤になる私と、目をきらっきら輝かせる蜜璃!
「なんて一途で愛らしいのかしら!!!!
早く収まるところに収まって欲しいわ!いい?朝緋ちゃん。時代は押せ押せいけいけごーごー、よ?」
「ごーごー……。いや、まずは蜜璃ちゃん達が先に……っ」
きゃーきゃーと盛り上がった蜜璃が、ひとりで話を突っ走らせる。もはや聞いていない。
超特急列車と化した彼女は、新たに頼んだスイーツを幸せそうに食べ始めた。
「ああっ何か新しい型を思いつきそうだわ!!猫……恋……んー!お屋敷に帰ったら考えるわ!
おやつは美味しいし嬉しいお話は聞けたし、最高の日ね!!」
「新しい型が思いつくならいいけどさあ……うーん……」
でも私の恋バナを根掘り葉掘り聞くのは、恥ずかしいからやめてほしい。
頼むから、私の気持ちを杏寿郎さん本人に言うのだけは絶対絶対にやめてもらわないとだ。
ただ、知っての通り私は恋などしている時間がない。鍛錬に鍛錬を重ね、私は強くならなくてはいけない。
階級をあげなくっちゃ。
いや!そんなこと言ってても杏寿郎さんのこと好きだから、恋してるといえばずっと恋してるんだけどね!!
しかも、拗らせている気すらある。
……好きというより愛してる、が正解かな。
よし、まだ日暮れまで時間があるし、帰ったら稽古着に着替えて鍛錬しよう。
継続は力なり。毎日の修行が私の力になる。
至極満足そうな蜜璃と別れ、私は炎柱邸への帰路を急ぐ。
「炎柱継子の朝緋さん、ですよね」
声をかけられたのは、炎柱邸の近くまで帰ってきたその時のことだった。
歳の頃は杏寿郎さんとそう変わらないだろう青年だ。
隊服を着ているし、柱や継子という単語を使っている。階級は知らないし見覚えのない人だが、現役鬼殺隊隊士にほかならない。
隊士同士なら、仲良くするにこしたことはないだろう。時に合同任務も発生する事だしコミュニケーションは必要だ。
若干訝しげには思いながらも、笑顔で言葉を返す。
「はい、そうですけど……。何か御用ですか?」
問いかければ此方を見てみるみる赤くなる青年隊士。
んん?私の顔に何かついてる?まさかあいすくりんがついてるとか??
恥じるようにして口周りをそっと、袖で覆おうとすると。
「あああああの!き、ききき綺麗ですねっ!!その格好、とてもお似合いですっ!」
え。この人いきなり私の手を掴んできたんだけど。
隊服の時ならまだしも、振り払えば今着ている着物が着崩れるかもしれないから、下手に動けないのに!
それに開口一番に私の格好を誉めてきたわ。そりゃあさ、非番だから隊服じゃなくて久しぶりにお気に入りの着物引っ張り出したしそれを誉められるのは嬉しいよ?けど不審人物に感じてしまうし、まずは名乗ってほしいところ。
というか、もしや私の知り合いなのだろうか。任務で顔合わせた事ある人なのだろうか。多分そうなんだろうけど、やばい!何も覚えてない。
「ありがとうございます。ところで貴方は……、」
今度はへったくそな笑みで問いかける。わざとじゃないよ、ただ引き攣っただけだよ。
「あの……っ!俺っ!!朝緋さんを、その…お慕いしております!!どうか俺と恋仲になってくださいっ!!」
「え、えええーっ」
どびっくり!まさか、告白されるとは思わなかった!じゃあ、赤くなっていたのもそういうこと??
でも私は首を縦に振るわけにはいかない。
「気持ちは嬉しいです。
だけどごめんなさい。ご期待に沿うお返事を返すことはできません」
握られた手をそっと握り返し、断りの言葉と共に放させようとする。だが、静かな返答をされただけだった。
「より強くなることに心血を注いでいるからですか?」
「え……」
「俺はそんな貴女だからこそ好きになりました。
貴女は覚えていないでしょうけれど、貴女の階級が己だった時に、俺は寸でのところを救われたんです」
「己……結構前だね」
茶化すように言っても、相手は止まらない。
「鬼の攻撃をものともせず真っ直ぐに前だけを見る姿は、舞い散る炎の呼吸に照らされ美しかった。その後自然と目は貴女を追っていた。
貴女が努力の人なのも知っています。貴女は炎柱の下につき、より一層自分の剣を磨き続けている。鍛錬を続け、誰よりも強く、速くと。努力し続けている。
外見だけじゃない、貴女のその内面にも俺は惚れたんです!」
心が揺れた。風が吹いた。……あの人と違う色の光が差した。
「ブーーーッ!!」
ちょうど口に含んだばかりの紅茶を盛大に吹いた。窓の方を向いてだから人にはかかっていない。ピンポイントで外に飛んでった。凄いぞ私!
「えっななな、何を言って!?」
口についた分を拭く動きさえしどろもどろ。どもりまくりだ。落ち着け私!!
「エ〜だってぇ……。炎柱邸で一つ屋根の下二人きり……。何もない方がおかしいわよねっ!
さあ、お姉さんをキュンキュンさせてちょうだい!そして新しい型を思い付かせて!!」
「えっ何もないし!?
私のことで型を編み出すとか冗談やめて!?恥ずかしすぎる!!」
「うっそだーー。
だって師範……煉獄さんのほうも満更でもない顔して朝緋ちゃんの事みてるじゃない?」
「そう、なのかな……」
「そうよっ」
でも、特に何もないんだよね。脱衣所でばったり☆ラッキースケベ!なこともないし、甘酸っぱい話ひとつない。
あれっ?なんか泣けてきた。ほんとは私に魅力なんてないんじゃないかな??
煉獄家に帰っていた時の方が、ドキドキすることあったような。
まあ、最近は任務続きでそんなこと考える余裕ないんだけども。
ぐるぐる考えていたら頬をつんつんされた。見れば、にんまり笑う蜜璃と目が合う。
「それと、私の耳は誤魔化せないわヨ?
前に悲鳴嶼さんから撫でられて喜んでいたところを、煉獄さんが激しく嫉妬して「この猫のような愛い子は俺のだー!」って、周りに言いふらしていたって聞いたわ!」
そして猫にするように顎をこしょこしょと柔く爪を立てて撫でられる。悲鳴嶼さんに続き、蜜璃にも顎を撫でられた!
ごろごろごろ〜……なんてするわけないでしょーがッ!
「ハァーー!?そんな話知らないんだけど!どこか間違って伝わってない??」
「いやー、嫉妬したことは事実でしょー。
はわ〜……かわいい猫ちゃんに例えられるなんて素敵だわ!
朝緋ちゃんはどうなの。煉獄さんのこと、今も好きなんでしょう?それとももう恋の好きは無くな「そんなわけないよずっと好き大好き!!…………あっ」
「まぁーーー!」
オァーーー!恥ずかしい〜〜〜!
真っ赤になる私と、目をきらっきら輝かせる蜜璃!
「なんて一途で愛らしいのかしら!!!!
早く収まるところに収まって欲しいわ!いい?朝緋ちゃん。時代は押せ押せいけいけごーごー、よ?」
「ごーごー……。いや、まずは蜜璃ちゃん達が先に……っ」
きゃーきゃーと盛り上がった蜜璃が、ひとりで話を突っ走らせる。もはや聞いていない。
超特急列車と化した彼女は、新たに頼んだスイーツを幸せそうに食べ始めた。
「ああっ何か新しい型を思いつきそうだわ!!猫……恋……んー!お屋敷に帰ったら考えるわ!
おやつは美味しいし嬉しいお話は聞けたし、最高の日ね!!」
「新しい型が思いつくならいいけどさあ……うーん……」
でも私の恋バナを根掘り葉掘り聞くのは、恥ずかしいからやめてほしい。
頼むから、私の気持ちを杏寿郎さん本人に言うのだけは絶対絶対にやめてもらわないとだ。
ただ、知っての通り私は恋などしている時間がない。鍛錬に鍛錬を重ね、私は強くならなくてはいけない。
階級をあげなくっちゃ。
いや!そんなこと言ってても杏寿郎さんのこと好きだから、恋してるといえばずっと恋してるんだけどね!!
しかも、拗らせている気すらある。
……好きというより愛してる、が正解かな。
よし、まだ日暮れまで時間があるし、帰ったら稽古着に着替えて鍛錬しよう。
継続は力なり。毎日の修行が私の力になる。
至極満足そうな蜜璃と別れ、私は炎柱邸への帰路を急ぐ。
「炎柱継子の朝緋さん、ですよね」
声をかけられたのは、炎柱邸の近くまで帰ってきたその時のことだった。
歳の頃は杏寿郎さんとそう変わらないだろう青年だ。
隊服を着ているし、柱や継子という単語を使っている。階級は知らないし見覚えのない人だが、現役鬼殺隊隊士にほかならない。
隊士同士なら、仲良くするにこしたことはないだろう。時に合同任務も発生する事だしコミュニケーションは必要だ。
若干訝しげには思いながらも、笑顔で言葉を返す。
「はい、そうですけど……。何か御用ですか?」
問いかければ此方を見てみるみる赤くなる青年隊士。
んん?私の顔に何かついてる?まさかあいすくりんがついてるとか??
恥じるようにして口周りをそっと、袖で覆おうとすると。
「あああああの!き、ききき綺麗ですねっ!!その格好、とてもお似合いですっ!」
え。この人いきなり私の手を掴んできたんだけど。
隊服の時ならまだしも、振り払えば今着ている着物が着崩れるかもしれないから、下手に動けないのに!
それに開口一番に私の格好を誉めてきたわ。そりゃあさ、非番だから隊服じゃなくて久しぶりにお気に入りの着物引っ張り出したしそれを誉められるのは嬉しいよ?けど不審人物に感じてしまうし、まずは名乗ってほしいところ。
というか、もしや私の知り合いなのだろうか。任務で顔合わせた事ある人なのだろうか。多分そうなんだろうけど、やばい!何も覚えてない。
「ありがとうございます。ところで貴方は……、」
今度はへったくそな笑みで問いかける。わざとじゃないよ、ただ引き攣っただけだよ。
「あの……っ!俺っ!!朝緋さんを、その…お慕いしております!!どうか俺と恋仲になってくださいっ!!」
「え、えええーっ」
どびっくり!まさか、告白されるとは思わなかった!じゃあ、赤くなっていたのもそういうこと??
でも私は首を縦に振るわけにはいかない。
「気持ちは嬉しいです。
だけどごめんなさい。ご期待に沿うお返事を返すことはできません」
握られた手をそっと握り返し、断りの言葉と共に放させようとする。だが、静かな返答をされただけだった。
「より強くなることに心血を注いでいるからですか?」
「え……」
「俺はそんな貴女だからこそ好きになりました。
貴女は覚えていないでしょうけれど、貴女の階級が己だった時に、俺は寸でのところを救われたんです」
「己……結構前だね」
茶化すように言っても、相手は止まらない。
「鬼の攻撃をものともせず真っ直ぐに前だけを見る姿は、舞い散る炎の呼吸に照らされ美しかった。その後自然と目は貴女を追っていた。
貴女が努力の人なのも知っています。貴女は炎柱の下につき、より一層自分の剣を磨き続けている。鍛錬を続け、誰よりも強く、速くと。努力し続けている。
外見だけじゃない、貴女のその内面にも俺は惚れたんです!」
心が揺れた。風が吹いた。……あの人と違う色の光が差した。