二周目 伍
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臨時の柱合会議の日を迎え、私は目隠しと耳栓をされて本部へと同行した。隠の皆々様が運んでくれるはずのそれだったが、背負われている間ドキドキする香りがしていてわかった。筋肉の形もなんだか知ってる感じ。
あっこれ杏寿郎さんの背中じゃん!って。
本部で目隠しが外されて目の前ににっこり笑顔の杏寿郎さんがドアップだよ。その時の私の気持ちを誰か答えてくれ。
「なんで柱である貴方が私を運んでいるんですかねぇ……?」
「うむ!俺が運びたかった!以上だ!!」
「次は絶対やらないでくださいよ帰りは隠の方と帰ります」
「断る」
「師範は会議もあるんでしょう?私はご挨拶が終わったら先に帰りますからっ」
「いや、待っていてくれっ」
「いやいや待ちたくない。私を運ぶ予定の隠の皆さんだって困ってたじゃないですか」
「む!?君たちは困っていたのだろうか!」
ぶんぶんと首を振る隠の皆さん。目しか見えないはずのその顔には、滅相もない!こっちに振らないで!と書いてあるように見えた。
「とにかくだ!君は俺の近くにいること!」
隠の皆さんにお辞儀をし、柱が集まるいつもの本部の場へと並んで進む中、杏寿郎さんが念を押すようにしてそう言ってきた。
気持ちとしては好きだけど!でも、公私混同しそうな私としては不満たらたらだ。
だが、次に言われた言葉に、私の心臓はまろび出そうに高鳴って止まらなくなった。
「……俺から離れてくれるな」
「ン゛ッッ!」
きゅん!どころか、どぎゅんっ!て胸に衝撃が走ってゴフッ!って吐血しそうだった。
やだもう、私の語彙力仕事して。
うんそうね。気分は未来の恋柱って感じかも。だが決して柱になる気もないし、恋柱になるのは彼女じゃないとダメだ。
そして柱が集う、いつもの玉砂利の場へと入った。
うわ、もういる。柱めっちゃ揃ってる。
勘弁してくれ。こっち見ないで特にそこの強面の風柱と好奇心爆発してる音柱ァ!
友人のしのぶさんはともかく、その他の柱みたいに我関心なし!を貫いてくれないかなぁ……!?
あっ伊黒さんと時透くんはいないから、まだ柱じゃないのかも。もちろん、このメンバーで最後に柱になっていたはずの蜜璃もいないよ。三人が居たとしても、蜜璃以外は見てこないと思う。こっち見てる柱は他の柱を見習えーー!
杏寿郎さんもだよっ!にっこにこしないで?
杏寿郎さんが同僚たる他の柱と軽くそして大声での挨拶をしたところで、ちょうどお館様がやってきたようだった。
お館様への挨拶は早い者勝ちだ。今回はかなり張り切っていたのだろう、杏寿郎さんがそのお役目を勝ち取っていた。
杏寿郎さんが口上ともいえる挨拶を述べる中、お館様の目がこちらに向いた。
杏寿郎さんの後ろに控える私の姿が笑みを浮かべたその瞳に映る。まだかろうじて片目は見えているようだ。
鬼舞辻無惨の呪いだという、その病いの進行が止められればいいのに。
挨拶ののちそのまま流れるように、私の紹介をされてしまった。
炎の呼吸を確実に未来へと繋いでいく、見込みも才もある、俺だけの継子ーーと。
俺だけ、のところに力が入っているように聞こえてしまって、もう一つの言葉に私は気がつかなかった。
未来へと繋ぐ。そこに込められたさまざまな意味を。
「杏寿郎、私はね。すでに色々と朝緋のことは知っていたんだよ。期待の紅一点、煉獄家の娘である朝緋のことはね」
「そうでしたか!知己な上に期待されていたとは!自分のことのように嬉しく思います!!」
やっと会えた。やっとお館様の声が聞けた。柔らかく心に沁みていくような、優しい優しい声音。
杏寿郎さんに対するものとはまた違う、愛しい気持ちが溢れる。
思わず、私は更に首を垂れた。しかし玉砂利が額に食い込んだだけだった。痛い。
「痕になってしまうから顔をおあげ。
とりあえず初めましてだね、朝緋。私は鬼殺隊当主を務めさせてもらっている、産屋敷耀哉といいます」
とりあえず?お館様の含みあるそれは、まるで私が過去に戻ってやり直したことを知っているかのような言い方だ。……いや、そんなはずはないな。
私ですらよく知らない能力だけど、これは双子の兄である明槻の血鬼術らしきものだもの。つまりは鬼の技だし。
「杏寿郎から継子を紹介されると聞いて楽しみにしていたんだ。ほら、杏寿郎の継子はみんな辞めてしまうだろう?」
稽古が厳しすぎるというのが、その辞める理由だ。
「最近の隊士には、覚悟も気概もやる気も全部足りてねェ。いっぺん一から鍛え直したらァ」
「うむ!みな根性はまだまだ足りていなかったな!朝緋を見習うといい!」
いや、私を見習われても困る。私は大したものではない。稽古だって必死で食らい付いているだけだ。
それに杏寿郎さん含めここの柱達にしごかれたら、一般隊士が逃げたくなる気持ちはすっごくよくわかるよ。ある意味では鬼より怖いって思うもん。
「ふふ。紹介するというなら今度は期待できる継子なのだろうと思っていたら、朝緋だったから嬉しかったと同時に驚いたよ。
朝緋はもうすでに杏寿郎の継子だと思っていたからね」
「あー……正式な継子になったのは、先日のことなのです」
「そうだったんだね」
杏寿郎と一緒にいられるようになってよかったね。とその顔は語っていた。
いつでも私達隊士を慈しみ、愛しんでくれる目の前の人に恩返しをしたい。私は今一度首を垂れた。
「お館様。煉獄朝緋はこれより炎柱のもとでより一層剣の腕を磨き、鬼殺隊のために尽力していくことを誓います。そして憎き鬼の頸をとってまいります」
「うん。期待しているよ。でも朝緋は血のこともあるし無理はしないようにね」
「ありがとうございます。それでは失礼し……「お館様、継子を本部敷地内に待たせておいてもよろしいでしょうか!」
「もちろんいいよ」エッ」
帰る前に帰れなくされてしまった。
「師範んんん〜?」
「…………」
あっ!こっち見ない!口をムギュッと閉じて無視してるむかつくっ!!
しかたなしに、後ろの方で待機することにした。今回の会議内容は、一般隊士に聞かれてしまっても別に平気なようだったし。
「ブッ!派手に面白いなあの師弟共……ッ」
会議の最中、どこぞの音柱が吹き出すのが聞こえた。
あっこれ杏寿郎さんの背中じゃん!って。
本部で目隠しが外されて目の前ににっこり笑顔の杏寿郎さんがドアップだよ。その時の私の気持ちを誰か答えてくれ。
「なんで柱である貴方が私を運んでいるんですかねぇ……?」
「うむ!俺が運びたかった!以上だ!!」
「次は絶対やらないでくださいよ帰りは隠の方と帰ります」
「断る」
「師範は会議もあるんでしょう?私はご挨拶が終わったら先に帰りますからっ」
「いや、待っていてくれっ」
「いやいや待ちたくない。私を運ぶ予定の隠の皆さんだって困ってたじゃないですか」
「む!?君たちは困っていたのだろうか!」
ぶんぶんと首を振る隠の皆さん。目しか見えないはずのその顔には、滅相もない!こっちに振らないで!と書いてあるように見えた。
「とにかくだ!君は俺の近くにいること!」
隠の皆さんにお辞儀をし、柱が集まるいつもの本部の場へと並んで進む中、杏寿郎さんが念を押すようにしてそう言ってきた。
気持ちとしては好きだけど!でも、公私混同しそうな私としては不満たらたらだ。
だが、次に言われた言葉に、私の心臓はまろび出そうに高鳴って止まらなくなった。
「……俺から離れてくれるな」
「ン゛ッッ!」
きゅん!どころか、どぎゅんっ!て胸に衝撃が走ってゴフッ!って吐血しそうだった。
やだもう、私の語彙力仕事して。
うんそうね。気分は未来の恋柱って感じかも。だが決して柱になる気もないし、恋柱になるのは彼女じゃないとダメだ。
そして柱が集う、いつもの玉砂利の場へと入った。
うわ、もういる。柱めっちゃ揃ってる。
勘弁してくれ。こっち見ないで特にそこの強面の風柱と好奇心爆発してる音柱ァ!
友人のしのぶさんはともかく、その他の柱みたいに我関心なし!を貫いてくれないかなぁ……!?
あっ伊黒さんと時透くんはいないから、まだ柱じゃないのかも。もちろん、このメンバーで最後に柱になっていたはずの蜜璃もいないよ。三人が居たとしても、蜜璃以外は見てこないと思う。こっち見てる柱は他の柱を見習えーー!
杏寿郎さんもだよっ!にっこにこしないで?
杏寿郎さんが同僚たる他の柱と軽くそして大声での挨拶をしたところで、ちょうどお館様がやってきたようだった。
お館様への挨拶は早い者勝ちだ。今回はかなり張り切っていたのだろう、杏寿郎さんがそのお役目を勝ち取っていた。
杏寿郎さんが口上ともいえる挨拶を述べる中、お館様の目がこちらに向いた。
杏寿郎さんの後ろに控える私の姿が笑みを浮かべたその瞳に映る。まだかろうじて片目は見えているようだ。
鬼舞辻無惨の呪いだという、その病いの進行が止められればいいのに。
挨拶ののちそのまま流れるように、私の紹介をされてしまった。
炎の呼吸を確実に未来へと繋いでいく、見込みも才もある、俺だけの継子ーーと。
俺だけ、のところに力が入っているように聞こえてしまって、もう一つの言葉に私は気がつかなかった。
未来へと繋ぐ。そこに込められたさまざまな意味を。
「杏寿郎、私はね。すでに色々と朝緋のことは知っていたんだよ。期待の紅一点、煉獄家の娘である朝緋のことはね」
「そうでしたか!知己な上に期待されていたとは!自分のことのように嬉しく思います!!」
やっと会えた。やっとお館様の声が聞けた。柔らかく心に沁みていくような、優しい優しい声音。
杏寿郎さんに対するものとはまた違う、愛しい気持ちが溢れる。
思わず、私は更に首を垂れた。しかし玉砂利が額に食い込んだだけだった。痛い。
「痕になってしまうから顔をおあげ。
とりあえず初めましてだね、朝緋。私は鬼殺隊当主を務めさせてもらっている、産屋敷耀哉といいます」
とりあえず?お館様の含みあるそれは、まるで私が過去に戻ってやり直したことを知っているかのような言い方だ。……いや、そんなはずはないな。
私ですらよく知らない能力だけど、これは双子の兄である明槻の血鬼術らしきものだもの。つまりは鬼の技だし。
「杏寿郎から継子を紹介されると聞いて楽しみにしていたんだ。ほら、杏寿郎の継子はみんな辞めてしまうだろう?」
稽古が厳しすぎるというのが、その辞める理由だ。
「最近の隊士には、覚悟も気概もやる気も全部足りてねェ。いっぺん一から鍛え直したらァ」
「うむ!みな根性はまだまだ足りていなかったな!朝緋を見習うといい!」
いや、私を見習われても困る。私は大したものではない。稽古だって必死で食らい付いているだけだ。
それに杏寿郎さん含めここの柱達にしごかれたら、一般隊士が逃げたくなる気持ちはすっごくよくわかるよ。ある意味では鬼より怖いって思うもん。
「ふふ。紹介するというなら今度は期待できる継子なのだろうと思っていたら、朝緋だったから嬉しかったと同時に驚いたよ。
朝緋はもうすでに杏寿郎の継子だと思っていたからね」
「あー……正式な継子になったのは、先日のことなのです」
「そうだったんだね」
杏寿郎と一緒にいられるようになってよかったね。とその顔は語っていた。
いつでも私達隊士を慈しみ、愛しんでくれる目の前の人に恩返しをしたい。私は今一度首を垂れた。
「お館様。煉獄朝緋はこれより炎柱のもとでより一層剣の腕を磨き、鬼殺隊のために尽力していくことを誓います。そして憎き鬼の頸をとってまいります」
「うん。期待しているよ。でも朝緋は血のこともあるし無理はしないようにね」
「ありがとうございます。それでは失礼し……「お館様、継子を本部敷地内に待たせておいてもよろしいでしょうか!」
「もちろんいいよ」エッ」
帰る前に帰れなくされてしまった。
「師範んんん〜?」
「…………」
あっ!こっち見ない!口をムギュッと閉じて無視してるむかつくっ!!
しかたなしに、後ろの方で待機することにした。今回の会議内容は、一般隊士に聞かれてしまっても別に平気なようだったし。
「ブッ!派手に面白いなあの師弟共……ッ」
会議の最中、どこぞの音柱が吹き出すのが聞こえた。