二周目 伍
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戻ってみたら、杏寿郎さんが千寿郎と抱き合っていた。それはいいけど千寿郎は大きな瞳からぼろぼろと涙をこぼし泣いている。
私と展開同じとかデジャヴ!さすが我が弟!ほとんど血は繋がっていないけど。
「あー!杏寿郎兄さんが千寿郎のこと泣かせてるー!」
「む……俺は泣かせてなど!いや、俺の言葉のせいなのだがな」
「千寿郎、どうしたの?大丈夫??千寿郎を泣かす奴は、例え杏寿郎兄さんだとしても私がぶっとばしちゃうから、遠慮なくいうのよ!」
「よもや!それはこわいな」
杏寿郎さんのせいでないことくらいわかっていたけれど、揶揄って言ってみた。もちろん千寿郎を泣かした奴は例外なく誰でもぶっとばすけれども。
「姉上……大丈夫です。感動して思わず泣いてしまっただけですから」
ただでさえ下がった眉をさらに下げ。へにゃっと笑う千寿郎。ンンンンンなんて愛しい弟だろうッ!
泣きながら笑う千寿郎を、私は後ろからぎゅーっと抱きしめた。前から杏寿郎さん後ろから私。煉獄サンドイッチの完成ね。
そのあとは杏寿郎さん指導のもと、千寿郎の剣の稽古をしていた。私はそれを縁側でぼーっとお饅頭とお茶を片手に眺めるのみ。
教わっている千寿郎も、教えている杏寿郎さんもとても楽しそうで幸せそう。私もこし餡たっぷり美味しいお饅頭食べれて幸せ。
「要約:酒浸りでどうしようもない父なんか頼りにならないから兄弟でがんばろうね。ってことかぁ」
「むっ!心外だぞ朝緋ッそんな酷いことを父上に対し思った覚えはないのだが!?」
杏寿郎さんと千寿郎が抱きしめ合っていた理由についてつぶやくと、杏寿郎さんが指導を続けたまま声を張り上げた。目だけこっち見てる。んー地獄耳ぃ。
「??あの。酷いことってなんですか兄上」
千寿郎には地獄耳機能はついてないのか、私の話は聞こえなかったようだ。杏寿郎さんや槇寿朗さんみたいに人外でなくホッとした。ごめん、柱はみんな人外みたいなものだと思ってるの……。
「千寿郎は気にしなくていい。朝緋がまた変なことを言っただけだ!」
「またってなんですか。またって」
「なんだ姉上ですか。
姉上は突然外つ国の言葉を織り交ぜたりと、偶に変なことを言いますからね」
「アッ千寿郎まで人を変人みたいに言わないでくれるー!?」
怒ったわ、おこだわ。
私は縁側から転がり出るようにして飛び出し、軒下に立てかけてある予備の竹刀を手に取ると、二人の間目掛けて突撃した。
「私も混ぜてくださいよ最近強くなった千寿郎、そして炎柱煉獄杏寿郎様ぁー?二人ともボッコボコに伸しますから覚悟してくださいねー」
「えっ!ぼ、僕には無理ですよ兄上お願いしますっ」
「承知した!俺を伸すなんて君にできるとは思えないが、この煉獄杏寿郎、千寿郎の分もお相手しよう!かかってこい煉獄朝緋!!」
ぬおおお〜!伊之助ばりに猪突猛進したら、勢いに引いた千寿郎があわあわしながらどいた。杏寿郎さんとの一騎打ちだ。
それから四半刻ほど、私と杏寿郎さんは楽しい打ちこみを続けた。
「強くなったな、朝緋ッ!だがまだまだ勢いも力も足りてないぞっ!むんっ!!」
「そんなのわかってる、んですよっ!大体、柱になった貴方とッ!下っ端隊士とじゃ力に差があってとうぜ、んんん!?ぎゃあ!いった!うぁ、痛ぁっ!?」
「あ、姉上っ!」
杏寿郎さんの振るう盛炎のうねりが、吸い込まれるようにして私の胴へと入った。続け様に放たれた気炎万象が、強かに私の頭に打ち据えられる。
私の剣技?全部絡め取られるように防がれましたがそれが何か??
楽しかったけど、最後は痛かった!
「いったぁぁぁ!いくら稽古とはいえ師範はやりすぎでしょ私の頭悪くなっちゃうよ!?
ほら千寿郎もめっちゃくちゃ心配してる!」
「はっはっはっ!その程度なら呼吸で治る!千寿郎も心配無用だ!」
「呼吸は形状記憶機能なんかないんですが!?あ〜あ、また陥没したかもしれない……」
杏寿郎さんが最終選別に行く前、私が止めようとして思い切り食らった拳。あの時凹んだ頭と同じところにべっこりと竹刀が食い込んだ。
まあ、その時の分も今の分も実際に呼吸で回復するけどさ。でも脳みそは馬鹿になるかもしれないよね。
「形状記憶とは何だか知らんが、これは他にいた継子と変わらん稽古方法だぞ。それに十分ついて来れたのだから朝緋の実力は相当なものだと思うが!」
そうやって褒められると悪い気はしないなぁと、凹んだ頭を撫でながらも嬉しさで口をもごもご緩ませる。と同時、継子という言葉にハッとした。
「そうでした!師範ッ私を継、」
「カァー!!炎柱!任務!任務!!今スグ向カエ!」
「む。任務か!悪いな朝緋、千寿郎。あとは頼む!」
「え、ちょ、…………ァッ!はわわ、かっこよ……」
「行ってらっしゃいませ兄上。ご武運を」
「ああ!ではな!!」
私の言葉を遮るようにして杏寿郎さんの鎹烏、要が任務を言い渡してきた。
縁側の隅に畳んであった炎柱羽織を、千寿郎が杏寿郎さんに慌てたように羽織らせる。流れるような動きと、羽織を纏った杏寿郎さんのかっこよさに見惚れて言いたかった言葉を失った。
そうこうしているうち、杏寿郎さんは柱たるその速度で去ってしまった。
忙しそう……もう柱だもんね。でも継子にしてくださいって、言えなかった。鎹烏に頼んでいうのもいいけど、できるならこういうのは直接言いたい。
「そういえば姉上、継子にしてほしいと兄上には言えたのですか?」
「ううん。杏寿郎さん、言おうとしてたとこで任務に行っちゃったんだよぉ……」
「あー……」
「仕方ないから後で言うわー」
がっくり項垂れる私の頭を、気の毒そうななんともいえない顔で千寿郎がよしよしと撫でてくれた。弟に慰められるようではまだまだだな!なんて、杏寿郎さんの声が聞こえるようだ。
私と展開同じとかデジャヴ!さすが我が弟!ほとんど血は繋がっていないけど。
「あー!杏寿郎兄さんが千寿郎のこと泣かせてるー!」
「む……俺は泣かせてなど!いや、俺の言葉のせいなのだがな」
「千寿郎、どうしたの?大丈夫??千寿郎を泣かす奴は、例え杏寿郎兄さんだとしても私がぶっとばしちゃうから、遠慮なくいうのよ!」
「よもや!それはこわいな」
杏寿郎さんのせいでないことくらいわかっていたけれど、揶揄って言ってみた。もちろん千寿郎を泣かした奴は例外なく誰でもぶっとばすけれども。
「姉上……大丈夫です。感動して思わず泣いてしまっただけですから」
ただでさえ下がった眉をさらに下げ。へにゃっと笑う千寿郎。ンンンンンなんて愛しい弟だろうッ!
泣きながら笑う千寿郎を、私は後ろからぎゅーっと抱きしめた。前から杏寿郎さん後ろから私。煉獄サンドイッチの完成ね。
そのあとは杏寿郎さん指導のもと、千寿郎の剣の稽古をしていた。私はそれを縁側でぼーっとお饅頭とお茶を片手に眺めるのみ。
教わっている千寿郎も、教えている杏寿郎さんもとても楽しそうで幸せそう。私もこし餡たっぷり美味しいお饅頭食べれて幸せ。
「要約:酒浸りでどうしようもない父なんか頼りにならないから兄弟でがんばろうね。ってことかぁ」
「むっ!心外だぞ朝緋ッそんな酷いことを父上に対し思った覚えはないのだが!?」
杏寿郎さんと千寿郎が抱きしめ合っていた理由についてつぶやくと、杏寿郎さんが指導を続けたまま声を張り上げた。目だけこっち見てる。んー地獄耳ぃ。
「??あの。酷いことってなんですか兄上」
千寿郎には地獄耳機能はついてないのか、私の話は聞こえなかったようだ。杏寿郎さんや槇寿朗さんみたいに人外でなくホッとした。ごめん、柱はみんな人外みたいなものだと思ってるの……。
「千寿郎は気にしなくていい。朝緋がまた変なことを言っただけだ!」
「またってなんですか。またって」
「なんだ姉上ですか。
姉上は突然外つ国の言葉を織り交ぜたりと、偶に変なことを言いますからね」
「アッ千寿郎まで人を変人みたいに言わないでくれるー!?」
怒ったわ、おこだわ。
私は縁側から転がり出るようにして飛び出し、軒下に立てかけてある予備の竹刀を手に取ると、二人の間目掛けて突撃した。
「私も混ぜてくださいよ最近強くなった千寿郎、そして炎柱煉獄杏寿郎様ぁー?二人ともボッコボコに伸しますから覚悟してくださいねー」
「えっ!ぼ、僕には無理ですよ兄上お願いしますっ」
「承知した!俺を伸すなんて君にできるとは思えないが、この煉獄杏寿郎、千寿郎の分もお相手しよう!かかってこい煉獄朝緋!!」
ぬおおお〜!伊之助ばりに猪突猛進したら、勢いに引いた千寿郎があわあわしながらどいた。杏寿郎さんとの一騎打ちだ。
それから四半刻ほど、私と杏寿郎さんは楽しい打ちこみを続けた。
「強くなったな、朝緋ッ!だがまだまだ勢いも力も足りてないぞっ!むんっ!!」
「そんなのわかってる、んですよっ!大体、柱になった貴方とッ!下っ端隊士とじゃ力に差があってとうぜ、んんん!?ぎゃあ!いった!うぁ、痛ぁっ!?」
「あ、姉上っ!」
杏寿郎さんの振るう盛炎のうねりが、吸い込まれるようにして私の胴へと入った。続け様に放たれた気炎万象が、強かに私の頭に打ち据えられる。
私の剣技?全部絡め取られるように防がれましたがそれが何か??
楽しかったけど、最後は痛かった!
「いったぁぁぁ!いくら稽古とはいえ師範はやりすぎでしょ私の頭悪くなっちゃうよ!?
ほら千寿郎もめっちゃくちゃ心配してる!」
「はっはっはっ!その程度なら呼吸で治る!千寿郎も心配無用だ!」
「呼吸は形状記憶機能なんかないんですが!?あ〜あ、また陥没したかもしれない……」
杏寿郎さんが最終選別に行く前、私が止めようとして思い切り食らった拳。あの時凹んだ頭と同じところにべっこりと竹刀が食い込んだ。
まあ、その時の分も今の分も実際に呼吸で回復するけどさ。でも脳みそは馬鹿になるかもしれないよね。
「形状記憶とは何だか知らんが、これは他にいた継子と変わらん稽古方法だぞ。それに十分ついて来れたのだから朝緋の実力は相当なものだと思うが!」
そうやって褒められると悪い気はしないなぁと、凹んだ頭を撫でながらも嬉しさで口をもごもご緩ませる。と同時、継子という言葉にハッとした。
「そうでした!師範ッ私を継、」
「カァー!!炎柱!任務!任務!!今スグ向カエ!」
「む。任務か!悪いな朝緋、千寿郎。あとは頼む!」
「え、ちょ、…………ァッ!はわわ、かっこよ……」
「行ってらっしゃいませ兄上。ご武運を」
「ああ!ではな!!」
私の言葉を遮るようにして杏寿郎さんの鎹烏、要が任務を言い渡してきた。
縁側の隅に畳んであった炎柱羽織を、千寿郎が杏寿郎さんに慌てたように羽織らせる。流れるような動きと、羽織を纏った杏寿郎さんのかっこよさに見惚れて言いたかった言葉を失った。
そうこうしているうち、杏寿郎さんは柱たるその速度で去ってしまった。
忙しそう……もう柱だもんね。でも継子にしてくださいって、言えなかった。鎹烏に頼んでいうのもいいけど、できるならこういうのは直接言いたい。
「そういえば姉上、継子にしてほしいと兄上には言えたのですか?」
「ううん。杏寿郎さん、言おうとしてたとこで任務に行っちゃったんだよぉ……」
「あー……」
「仕方ないから後で言うわー」
がっくり項垂れる私の頭を、気の毒そうななんともいえない顔で千寿郎がよしよしと撫でてくれた。弟に慰められるようではまだまだだな!なんて、杏寿郎さんの声が聞こえるようだ。