二周目 肆
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やってきた蜜璃は、早速杏寿郎さんから剣筋がいいと褒められていた。
最大の難関だと思っていたご家族への理解は、びっくりするくらいすんなり得られたそうだ。大事な娘だろうにそれでいいのか。
そして、基礎的な事や体力作り、鬼殺の動きは杏寿郎さんの知り合いの育手に教わり、応用や炎の呼吸、その型の動きなどは私と杏寿郎さんが教えるという鍛錬方法に落ち着いた。育手がたくさん……羨ましい!
さて。ほとんど剣なんて握ったこともないはずなのに、蜜璃には筋力面だけではない。剣の才能がある。
見込みがあった。いや、ありすぎる。
せめて私も筋肉が蜜璃くらいあったら。捌倍娘だったら。
そしたら上弦の参の頸を取れたのだろうか。杏寿郎さんを助けられたのだろうかと、嫉妬の念に駆られる。
そしてそんなことを思う自分に自己嫌悪。負のループはよくない。
『考えても仕方ないことは考えるな』。邪念は振り払おう。
「はぁぁぁっ!セイヤァッ!甘露寺さん!全部受け流して打ち返してきてください!!」
「ヒィヤァァァ無理、全部は無理ですぅぅ!!」
邪念を振り払うには、鍛錬が一番だ。鍛錬に限界はない。したらしただけ、自分の身になる。
時間のある時に共に稽古をつけると、見込みある妹弟子の力を見せつけられてなお落ち込むと同時に、邪念を振り払う精神面の鍛錬もできてとてもよかった。
だが、稽古用の道場は生活圏内とは棟が別だからと油断していた。どちらにせよ煉獄家生家の敷地内である事を忘れていた。
私も、そして蜜璃の声も、師範である杏寿郎さんと同じくらい大きい声になっていた。
「朝緋だけでなく、他の若い女隊士だと……?誰に許可を得てここで鍛錬なぞしている!」
「ぇっ誰?師範に似てるけど……もしかして炎柱をなされているというお父様?」
「…………うん、そう」
ああ、さっそく槇寿朗さんにばれた。ばれた以上は隠し通すなんてもう不可能。
ううん、一週間隠せただけでも上々か。
「とうさま。許可も何もありません。隊士になりたい人に稽古をつけることの何がいけないのですか」
蜜璃の体を槇寿朗さんの視線から遮るように立ちはだかる。そうすれば、槇寿朗さんの不躾かつ射殺すような目は、全て私に刺さ油だけだった。
ウッ怖い柱の視線怖い。
「揃いも揃って、死に急ぎやがる……何者にもなれないお前らは、女は!剣など持たず家の中で大人しくしていればいいんだ!
なぜそれがわからない!!」
横から出そうになる蜜璃を押さえ、私は口を開いた。
「死に急いでなんかいない。女だって大人しく家に収まってるだけじゃない。今はそういう世の中になってきてる!
この子は、蜜璃ちゃんは!何者にもなれなくなんてない!
私よりもよほど剣士としての見込みがあります!!」
「世の中とうちは関係ない!見込みがあるくらいでなんだ!!
……いや、見込みがあるのが本当だとしよう。お前はそれ以下ということだよなぁ!?ならお前は今すぐ鬼殺隊をやめろ!!」
「あー!またその話に持ってくる!?
私は鬼殺隊を辞めないって何度言えばわかるんですか!馬鹿みたいにやめろやめろってそればっかり!!」
「親に向かって馬鹿とはなんだっ!
そんなに鬼殺隊にいたいなら、俺の攻撃を一つでも避けてみろ!!」
道場壁にかかる木刀を手に取る槇寿朗さん。その瞬間、空気がブワッと刺すようなものに変わった。
と同時、一瞬にも満たない速度で間合いに入られ、気がつけば嘔吐しそうなほどの衝撃が胴に入った。
肺から空気がヒュッと漏れる。ーー炎の呼吸を使えなくする気満々なのだとよくわかった。
「イタッ痛い痛いっ!!とうさまっ槇寿ろ、さ……やめてっ!」
続く木刀での滅多打ち。容赦ない。私の剣を折る気で、何度も何度も振り下ろされる。
私は避けることもできず、ただただその剣技に蹂躙され、全てを胴に叩き込まれた。
なお、大事な臓器や顔にだけは、一つも当たらなかった。手加減されている。お優しいことで。
「ふんっ、口ほどにもない。
杏寿郎の奴のほうがよほど上手く避けるぞ。俺の攻撃を一つとして避けられないようじゃ、いつか死ぬ。覚えておけ」
痛みで目も開けづらい中、木刀を投げ捨てる音が虚しく響く。蜜璃が駆け寄る足音も、聞こえた。
あ、抱き起こされた。豊満な胸が当たる。おっきくて羨まし……。
「だ、大丈夫!?」
「あははー。愛ある稽古をつけてもらったと思えば、なんてことな……うっ!イタタ……。
でも、とうさま……槇寿朗さんは強かったでしょ?あれが柱だよ」
「うん。お父様、強かったわ……とてもじゃないけど、息も出来ないほど動けなかったわ」
呼吸を体に巡らせて回復を促す。よいしょっと掛け声と共に起き上がり、片付けをする。こんな痛み我慢だ!長女だから我慢できる!多分!!
うっイタタァ……でもこれ肋にヒビ入ってそう。
「情けない姿を見せちゃって申し訳ないね。
それより、勝手にちゃん付けで呼んでしまってごめんね」
「ううん、そんなこといいのっ!
良かったらそのまま名前で呼んで欲しいわ!私もそう呼びたいの。ね?いいでしょう?」
「蜜璃ちゃん、ありがとう……よろしくね」
そのあと、あまりに痛むので蝶屋敷に診せに行った。行くまで自分で確認してなかったけど、痣がすごくてボッコボコだった。治療が必要だった……。
私の鎹烏により杏寿郎さんにも知られてしまったので、槇寿朗さんから受けた愛の鞭です!って言ったら、見たことないようなすんごい渋い顔してた。眉間の皺深くなるからやめてほしい。煉獄家の額は日本の宝だぞ!
とりあえず言えること。槇寿朗さんの攻撃、鬼よりやばい!!
これを機に、蜜璃は槇寿朗さんのことをびびるようになった。初対面であれは怖いよね。
姿が見えるとそそくさと隠れ、姿を消すのを待つという感じ。
女子相手だからだろうか?槇寿朗さんは今までの男性継子の時のように、無理に追い出すような態度をとることもなかった。
うーん。とりあえずはこのままでいっか。
最大の難関だと思っていたご家族への理解は、びっくりするくらいすんなり得られたそうだ。大事な娘だろうにそれでいいのか。
そして、基礎的な事や体力作り、鬼殺の動きは杏寿郎さんの知り合いの育手に教わり、応用や炎の呼吸、その型の動きなどは私と杏寿郎さんが教えるという鍛錬方法に落ち着いた。育手がたくさん……羨ましい!
さて。ほとんど剣なんて握ったこともないはずなのに、蜜璃には筋力面だけではない。剣の才能がある。
見込みがあった。いや、ありすぎる。
せめて私も筋肉が蜜璃くらいあったら。捌倍娘だったら。
そしたら上弦の参の頸を取れたのだろうか。杏寿郎さんを助けられたのだろうかと、嫉妬の念に駆られる。
そしてそんなことを思う自分に自己嫌悪。負のループはよくない。
『考えても仕方ないことは考えるな』。邪念は振り払おう。
「はぁぁぁっ!セイヤァッ!甘露寺さん!全部受け流して打ち返してきてください!!」
「ヒィヤァァァ無理、全部は無理ですぅぅ!!」
邪念を振り払うには、鍛錬が一番だ。鍛錬に限界はない。したらしただけ、自分の身になる。
時間のある時に共に稽古をつけると、見込みある妹弟子の力を見せつけられてなお落ち込むと同時に、邪念を振り払う精神面の鍛錬もできてとてもよかった。
だが、稽古用の道場は生活圏内とは棟が別だからと油断していた。どちらにせよ煉獄家生家の敷地内である事を忘れていた。
私も、そして蜜璃の声も、師範である杏寿郎さんと同じくらい大きい声になっていた。
「朝緋だけでなく、他の若い女隊士だと……?誰に許可を得てここで鍛錬なぞしている!」
「ぇっ誰?師範に似てるけど……もしかして炎柱をなされているというお父様?」
「…………うん、そう」
ああ、さっそく槇寿朗さんにばれた。ばれた以上は隠し通すなんてもう不可能。
ううん、一週間隠せただけでも上々か。
「とうさま。許可も何もありません。隊士になりたい人に稽古をつけることの何がいけないのですか」
蜜璃の体を槇寿朗さんの視線から遮るように立ちはだかる。そうすれば、槇寿朗さんの不躾かつ射殺すような目は、全て私に刺さ油だけだった。
ウッ怖い柱の視線怖い。
「揃いも揃って、死に急ぎやがる……何者にもなれないお前らは、女は!剣など持たず家の中で大人しくしていればいいんだ!
なぜそれがわからない!!」
横から出そうになる蜜璃を押さえ、私は口を開いた。
「死に急いでなんかいない。女だって大人しく家に収まってるだけじゃない。今はそういう世の中になってきてる!
この子は、蜜璃ちゃんは!何者にもなれなくなんてない!
私よりもよほど剣士としての見込みがあります!!」
「世の中とうちは関係ない!見込みがあるくらいでなんだ!!
……いや、見込みがあるのが本当だとしよう。お前はそれ以下ということだよなぁ!?ならお前は今すぐ鬼殺隊をやめろ!!」
「あー!またその話に持ってくる!?
私は鬼殺隊を辞めないって何度言えばわかるんですか!馬鹿みたいにやめろやめろってそればっかり!!」
「親に向かって馬鹿とはなんだっ!
そんなに鬼殺隊にいたいなら、俺の攻撃を一つでも避けてみろ!!」
道場壁にかかる木刀を手に取る槇寿朗さん。その瞬間、空気がブワッと刺すようなものに変わった。
と同時、一瞬にも満たない速度で間合いに入られ、気がつけば嘔吐しそうなほどの衝撃が胴に入った。
肺から空気がヒュッと漏れる。ーー炎の呼吸を使えなくする気満々なのだとよくわかった。
「イタッ痛い痛いっ!!とうさまっ槇寿ろ、さ……やめてっ!」
続く木刀での滅多打ち。容赦ない。私の剣を折る気で、何度も何度も振り下ろされる。
私は避けることもできず、ただただその剣技に蹂躙され、全てを胴に叩き込まれた。
なお、大事な臓器や顔にだけは、一つも当たらなかった。手加減されている。お優しいことで。
「ふんっ、口ほどにもない。
杏寿郎の奴のほうがよほど上手く避けるぞ。俺の攻撃を一つとして避けられないようじゃ、いつか死ぬ。覚えておけ」
痛みで目も開けづらい中、木刀を投げ捨てる音が虚しく響く。蜜璃が駆け寄る足音も、聞こえた。
あ、抱き起こされた。豊満な胸が当たる。おっきくて羨まし……。
「だ、大丈夫!?」
「あははー。愛ある稽古をつけてもらったと思えば、なんてことな……うっ!イタタ……。
でも、とうさま……槇寿朗さんは強かったでしょ?あれが柱だよ」
「うん。お父様、強かったわ……とてもじゃないけど、息も出来ないほど動けなかったわ」
呼吸を体に巡らせて回復を促す。よいしょっと掛け声と共に起き上がり、片付けをする。こんな痛み我慢だ!長女だから我慢できる!多分!!
うっイタタァ……でもこれ肋にヒビ入ってそう。
「情けない姿を見せちゃって申し訳ないね。
それより、勝手にちゃん付けで呼んでしまってごめんね」
「ううん、そんなこといいのっ!
良かったらそのまま名前で呼んで欲しいわ!私もそう呼びたいの。ね?いいでしょう?」
「蜜璃ちゃん、ありがとう……よろしくね」
そのあと、あまりに痛むので蝶屋敷に診せに行った。行くまで自分で確認してなかったけど、痣がすごくてボッコボコだった。治療が必要だった……。
私の鎹烏により杏寿郎さんにも知られてしまったので、槇寿朗さんから受けた愛の鞭です!って言ったら、見たことないようなすんごい渋い顔してた。眉間の皺深くなるからやめてほしい。煉獄家の額は日本の宝だぞ!
とりあえず言えること。槇寿朗さんの攻撃、鬼よりやばい!!
これを機に、蜜璃は槇寿朗さんのことをびびるようになった。初対面であれは怖いよね。
姿が見えるとそそくさと隠れ、姿を消すのを待つという感じ。
女子相手だからだろうか?槇寿朗さんは今までの男性継子の時のように、無理に追い出すような態度をとることもなかった。
うーん。とりあえずはこのままでいっか。