二周目 肆
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クソデカボイスが後ろから聞こえたと思えば、杏寿郎さんが私の真後ろに立っていた。あまりの至近距離にギョッとして、目玉が飛び出るかと思った。
「いつからいたんですか!?気配を消して近づくのやめてくださいよー」
「ん?朝緋の『力が強いのも』あたりからだな!」
よかった。その前の部分の大好きな人、あたりから聞かれていたら恥ずか死ねる……。
「任務後に生家までの道をゆるりと歩いてみれば、新しく出来たカフェーにいる朝緋の姿が見えてな。すまないが隣を失礼するぞ!」
うーんいい笑顔!座っちゃだめなんて絶対言わないよ。
私の隣に座った杏寿郎さんから、任務後だろう、ほのかな汗の香りと、彼が纏う香のにおいがふんわり鼻腔をくすぐる。
どきどきする。いつ見てもかっこいい。きっと明日もかっこいい。
「君はそんなに力が強いのか。ならその力を鬼殺隊のために使ってみる気はないか?」
私がボケーっと杏寿郎さんのかっこいい横顔を堪能していれば、彼は真面目な顔で蜜璃に問う。
直球が過ぎる!万年人不足なのもわかるし、鬼殺隊は蜜璃ほど肉体が強い人をいつも求めてる。
けれどまずは、鬼殺隊や鬼についてきちっと教えなくてはいけない。なにせ、蜜璃はまだ一般人なんだから。
その後、私と杏寿郎さんは、鬼殺隊について蜜璃に説明した。
鬼という存在について聞いて、一瞬蜜璃が目の前の食事を食べる手が止まった。本当に一瞬だけだったが。
見たことがなかったら、驚くよねえ信じられないよねえ。うんわかるよ。
「あの……鬼殺隊には、強い殿方はいますか?私より強い人は……」
一通り説明し終えると、おずおずと言った風に聞いてきた。そこやっぱり気になっちゃう感じかぁ。蜜璃の入隊理由が理由だもんね。
「常人よりは強い人もいるだろうな。こうみえて朝緋も俺も強いぞ!!」
「うん、私が強いかどうかはともかく「謙遜するな!朝緋の悪い癖だぞ!」はいそこ黙らっしゃい!他にも強い人はたくさんいるよ。
でももちろん、入隊するなら鬼と戦う覚悟がいる。死ぬ覚悟も必要。
人の傷は簡単に治らないのに、鬼の傷はたちどころに治る。そんな中で陰ながら人を守るべく鬼と戦い、日々命の取り合いをしている。
世間では廃刀令が出てる中刀を持って日中夜走り回り、人の中に巧妙に隠れる鬼とも戦う。その結果、後ろ指をさされたり、日陰者扱いを受けることもある。
鬼殺隊とはそういう場所」
メリットではなく、デメリットをつらつらと述べたててみた。どちらにしてもメリットなんてあってないようなものか。
そりゃ、また妹弟子として共に歩みたいし、できるなら隊士になって欲しい。だって後の恋柱でもあるのよ?鬼殺隊の主力じゃん。
でも、覚悟なきものは鬼を前にして死ぬ他ない。試すようなことを言っているけど、これも蜜璃のためなのだ。
「覚悟はしてます。えっと……」
何かを決意した時の蜜璃の真面目な目で、覚悟の言葉を吐く。そして私と、杏寿郎さんの顔をちらちらと見比べていた。
あ、杏寿郎さんの名前知らないよね。杏寿郎さんも気がついたようだ。
「名乗っていなかったな、煉獄杏寿郎だ!よろしく」
「甘露寺蜜璃です。よろしくお願いします」
場がお座敷や畳の間だったのなら、きっと綺麗なお辞儀が見えただろう。カフェーのテーブルに頭がくっつきそうになりながら、蜜璃は深々と頭を下げた。
「煉獄杏寿郎さん、朝緋さん。
私、鬼殺隊に入りたいです。添い遂げる殿方を見つけるためにという理由ですが。入る理由が、普通と違うかもしれませんけどいいですか?」
「もちろん。甘露寺さんが来てくれたら嬉しいよ」
「刀を持つ理由なんて人それぞれだ!気にするな。
それよりも、君の剣技の方が大事だろう。君の剣がいかほどかみせてくれ」
判断どころか、決断も気も早い。
「師範。まずは着替えないとダメでしょう。彼女の着物をよく見てくださいよ。しっかり着付けてありますし、剣の腕を見るどころじゃありません」
「着物!そうか、愛らしいな!たまには朝緋もこういった物を着てみせてくれ!」
「そういう話じゃない!」
そう言ってもらえて凄く嬉しいけどね!!
「うーむ。ならば明日だな。明日なら俺も空いている。これから俺達の生家に案内しておくから、明日動きやすい格好で来て欲しい」
「は、はいっ!わかりました!」
ぐぅー。そこで腹の虫が鳴った。蜜璃のではない、杏寿郎さんのお腹から。
「とりあえず……俺も何か食べてもいいだろうか」
任務後だもんね。お腹空くよね。
「ここはカフェーなので、置いてあるものは甘い氷菓子などが主ですが、それでもいいですか?」
「うむ!甘露寺殿が食べているそれを、とりあえず十皿もらおうか!」
「プリンアラモードですね!私も追加で五皿いただきたいです!!」
それでも足りなかったようで、町の茶屋で団子を三十本、桜餅を五十個ほど頼んでいた。お店の人は今日はもう店じまいじゃねぇか!と嘆いていた……食べ尽くしちゃってごめんなさい。
ついでに帰ってからも、焼き芋を焼いて食べさせることになろうとは、この時の私は知らなかった。
杏寿郎さん!甘いものばかり食べすぎです!蜜璃ちゃんもね!!
「じゃあまた明日、ですね。煉獄家でお待ちしております」
「あの……朝緋さん!」
煉獄家の場所を教え、明日の約束を終えて中に入る。その背に、蜜璃が声をかけてきた。杏寿郎さんは先に行ったので、小走りで蜜璃に駆け寄る。
「朝緋さん、もしかしてなんですけど、煉獄さんとは兄妹ではないですよね?髪色は似てますし、苗字は一緒ですけど……。
大好きな人とお揃いって言うのはもしかして」
「肩書き上は兄妹だし一緒に住んでるし師範と弟子だけど…………当たり」
好きな人がバレてしまったけど、恥ずかしいので秘密にしてもらった。
「いつからいたんですか!?気配を消して近づくのやめてくださいよー」
「ん?朝緋の『力が強いのも』あたりからだな!」
よかった。その前の部分の大好きな人、あたりから聞かれていたら恥ずか死ねる……。
「任務後に生家までの道をゆるりと歩いてみれば、新しく出来たカフェーにいる朝緋の姿が見えてな。すまないが隣を失礼するぞ!」
うーんいい笑顔!座っちゃだめなんて絶対言わないよ。
私の隣に座った杏寿郎さんから、任務後だろう、ほのかな汗の香りと、彼が纏う香のにおいがふんわり鼻腔をくすぐる。
どきどきする。いつ見てもかっこいい。きっと明日もかっこいい。
「君はそんなに力が強いのか。ならその力を鬼殺隊のために使ってみる気はないか?」
私がボケーっと杏寿郎さんのかっこいい横顔を堪能していれば、彼は真面目な顔で蜜璃に問う。
直球が過ぎる!万年人不足なのもわかるし、鬼殺隊は蜜璃ほど肉体が強い人をいつも求めてる。
けれどまずは、鬼殺隊や鬼についてきちっと教えなくてはいけない。なにせ、蜜璃はまだ一般人なんだから。
その後、私と杏寿郎さんは、鬼殺隊について蜜璃に説明した。
鬼という存在について聞いて、一瞬蜜璃が目の前の食事を食べる手が止まった。本当に一瞬だけだったが。
見たことがなかったら、驚くよねえ信じられないよねえ。うんわかるよ。
「あの……鬼殺隊には、強い殿方はいますか?私より強い人は……」
一通り説明し終えると、おずおずと言った風に聞いてきた。そこやっぱり気になっちゃう感じかぁ。蜜璃の入隊理由が理由だもんね。
「常人よりは強い人もいるだろうな。こうみえて朝緋も俺も強いぞ!!」
「うん、私が強いかどうかはともかく「謙遜するな!朝緋の悪い癖だぞ!」はいそこ黙らっしゃい!他にも強い人はたくさんいるよ。
でももちろん、入隊するなら鬼と戦う覚悟がいる。死ぬ覚悟も必要。
人の傷は簡単に治らないのに、鬼の傷はたちどころに治る。そんな中で陰ながら人を守るべく鬼と戦い、日々命の取り合いをしている。
世間では廃刀令が出てる中刀を持って日中夜走り回り、人の中に巧妙に隠れる鬼とも戦う。その結果、後ろ指をさされたり、日陰者扱いを受けることもある。
鬼殺隊とはそういう場所」
メリットではなく、デメリットをつらつらと述べたててみた。どちらにしてもメリットなんてあってないようなものか。
そりゃ、また妹弟子として共に歩みたいし、できるなら隊士になって欲しい。だって後の恋柱でもあるのよ?鬼殺隊の主力じゃん。
でも、覚悟なきものは鬼を前にして死ぬ他ない。試すようなことを言っているけど、これも蜜璃のためなのだ。
「覚悟はしてます。えっと……」
何かを決意した時の蜜璃の真面目な目で、覚悟の言葉を吐く。そして私と、杏寿郎さんの顔をちらちらと見比べていた。
あ、杏寿郎さんの名前知らないよね。杏寿郎さんも気がついたようだ。
「名乗っていなかったな、煉獄杏寿郎だ!よろしく」
「甘露寺蜜璃です。よろしくお願いします」
場がお座敷や畳の間だったのなら、きっと綺麗なお辞儀が見えただろう。カフェーのテーブルに頭がくっつきそうになりながら、蜜璃は深々と頭を下げた。
「煉獄杏寿郎さん、朝緋さん。
私、鬼殺隊に入りたいです。添い遂げる殿方を見つけるためにという理由ですが。入る理由が、普通と違うかもしれませんけどいいですか?」
「もちろん。甘露寺さんが来てくれたら嬉しいよ」
「刀を持つ理由なんて人それぞれだ!気にするな。
それよりも、君の剣技の方が大事だろう。君の剣がいかほどかみせてくれ」
判断どころか、決断も気も早い。
「師範。まずは着替えないとダメでしょう。彼女の着物をよく見てくださいよ。しっかり着付けてありますし、剣の腕を見るどころじゃありません」
「着物!そうか、愛らしいな!たまには朝緋もこういった物を着てみせてくれ!」
「そういう話じゃない!」
そう言ってもらえて凄く嬉しいけどね!!
「うーむ。ならば明日だな。明日なら俺も空いている。これから俺達の生家に案内しておくから、明日動きやすい格好で来て欲しい」
「は、はいっ!わかりました!」
ぐぅー。そこで腹の虫が鳴った。蜜璃のではない、杏寿郎さんのお腹から。
「とりあえず……俺も何か食べてもいいだろうか」
任務後だもんね。お腹空くよね。
「ここはカフェーなので、置いてあるものは甘い氷菓子などが主ですが、それでもいいですか?」
「うむ!甘露寺殿が食べているそれを、とりあえず十皿もらおうか!」
「プリンアラモードですね!私も追加で五皿いただきたいです!!」
それでも足りなかったようで、町の茶屋で団子を三十本、桜餅を五十個ほど頼んでいた。お店の人は今日はもう店じまいじゃねぇか!と嘆いていた……食べ尽くしちゃってごめんなさい。
ついでに帰ってからも、焼き芋を焼いて食べさせることになろうとは、この時の私は知らなかった。
杏寿郎さん!甘いものばかり食べすぎです!蜜璃ちゃんもね!!
「じゃあまた明日、ですね。煉獄家でお待ちしております」
「あの……朝緋さん!」
煉獄家の場所を教え、明日の約束を終えて中に入る。その背に、蜜璃が声をかけてきた。杏寿郎さんは先に行ったので、小走りで蜜璃に駆け寄る。
「朝緋さん、もしかしてなんですけど、煉獄さんとは兄妹ではないですよね?髪色は似てますし、苗字は一緒ですけど……。
大好きな人とお揃いって言うのはもしかして」
「肩書き上は兄妹だし一緒に住んでるし師範と弟子だけど…………当たり」
好きな人がバレてしまったけど、恥ずかしいので秘密にしてもらった。