二周目 肆
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本当なら、こういう栄養価の高いフルーツこそ、瑠火さんに食べてもらいたかった。特に林檎は一日一個で医者入らず。バナナは栄養価がすごく高いし。
いや、これを食べていたからと言って、病気にならないとか根治するとかはなかったかもしれないけどさ。
「毎度のことながら、煉獄さんとこはたくさん買うねぇ!他の客の分がなくなっちまうなんて、いいお得意さんだよ全く!
朝緋ちゃん、いつも買ってくれてありがとうな!!」
「んふふ!こちらこそ、新鮮なお野菜をいつもありがとうございます〜!!ここのお野菜が一番新鮮ですね!」
そんなやりとりをすれば、気を良くした店主に更に追加で野菜をもらっちゃった。白菜がたっくさん!やったね!!
ケラケラ会話していれば、後ろを通った人と袖が触れ合ってしまった。
「あ、すみません」
「ああ゛?」
酒焼けした低い声の男だ。ふらついている様子と酒精の香りを嗅ぐに、昼間からしこたまお酒を飲んでいるよう。槇寿朗さん以外にも昼間から飲んだくれる人はいるもんだなぁ……。
その人は上から下まで私の顔、体を不躾にじろじろ見たあと、買い込んだ食材。特に高価な果物達を目にして、忌々しいとばかりにいちゃもんをつけてきた。
「おいおい、嬢ちゃんよお……そんなに大量に。しかもたけぇ食材ばっかり狙って買いやがって。どこの上流階級の家系だ?
わざと庶民の店でこれ見よがしに買い漁るなんて俺達庶民を馬鹿にしてるのか!」
「えっ。そ、そんなわけないじゃないですか。私も普通に庶民ですよ!?」
あー。この人、この辺の人じゃないわ。近所の人達はこんなこと言わない。
ご近所さんの中には煉獄家が代々続く鬼殺の剣士であることを知っている人もいるほどなのだ。鬼から救われた者だっているし。
「庶民はぁー、そんな高いモンをぽんぽん買わねぇんだよ!!」
うわ、殴りかかってきた。女相手に容赦ないなぁ。
けど鬼殺隊士をなめないでほしい。たかが一般人の拳なんて、止まって見えるわ。
ただ、下手にかわして更に逆上されても困るしわざと肩で拳を受けてみせる。千寿郎の振るう竹刀が当たるよりも弱い。弱すぎる。
痛いふりをすれば、店員さんが心配の声を上げた。だが静止してそのままにさせた。
さすがに周りの人や店員さんを喧嘩に巻き込むわけにいかないし、そもそも本人達も巻き込まれたくもないだろう。
皆一様に、ハラハラしながら遠巻きで見守ってくれていた。
「別にうちは上流階級と呼ばれるような家ではありませんよ。
食材買ってるだけなのになんでそうなるの?果物を食べさせたい人がいるだけですので、言いがかりつけるのはやめてくださいませ」
「誰がいいがかりなもんかボケェ!」
何度も当たってやるものか。今度は避けた。その際カウンターパンチが出そうになったのは、ご愛嬌。思いとどまったんだから褒めて欲しい。杏寿郎さん、褒めて褒めて!
でも、そろそろおとなしくしてくれないかな。警官でも来たら困る。着物の下を調べられでもしたら、日輪刀が見つかるし言い逃れできない。
とはいえ、絡んできただけの一般人に一撃……というわけにもいかないのよね。
あっ!手を出すのがだめなら、足ならいいかな。いやだめだ。隊服ではなく着物で足を振り上げるわけにもいくまい。というか足だろうと一撃も当てたらだめじゃん。鬼殺隊士の力で蹴ったらこの人死ぬわ。
だって私、酒飲みに手加減なんてしたくないもん。
面倒だなぁ……。
はあ。と、深くため息を吐き出していると、髪の毛をむんずと掴まれ引っ張られた。
「無視してんじゃねぇぞこのアマ!変な髪しやがって!!」
「ちょ、イタッ!離して!?」
その時、見覚えのある三つ編みが視界の端に映り、ものすごい勢いで男性に突っ込んでいった。
「女の子をいじめちゃだめーっ!!」
「ブホァ!?」
ドーーーン!
ギュルギュルギュルッ!……ズベシャッ!
「えっ?」
ダンプカーでもぶつかったみたいな音がして、男性が超回転しながら吹っ飛んで地面に落ちた。
隣には見覚えのある顔。力が強く、優しい心を持った明るい性格のその女子は……。
み、蜜璃!?
動きづらそうな上等なお着物を着た甘露寺蜜璃が、そこにいた。
ええー!『前』は、任務から帰ったら「新しい継子だ!」っていきなり紹介されたのに、今回出会い方違う!!
しかも髪の色が桜餅色じゃない!黒!ええっ黒いっ!!って、あれ?顔がどんどん青くなってる?
「きゃ、きゃー!私ったらなんてことを!ご、ごめんなさい!!ど、どうしよう!!?死んだ!?」
殺してしまったのでは?なんて、不安で真っ青になったみたい。
でもまだこの蜜璃は鬼殺隊に入っていないはずだし、力が強いだけの娘さんだ。さすがに体当たりくらいじゃ死なないでしょ。……すごい音はしたけど。
「死んでない死んでない。ほうっておきゃいいのさ!よくやったそこな嬢ちゃん!!
朝緋ちゃんも、気にすんなよ!」
八百屋のおじさんが、笑いながら生死を確認していた。任せても良さそうだ。
「よかった…………。
びっくりさせちゃってごめんね。でも、女の子が困ってるの放って置けなくって〜〜。では私はこれで!さようなら!!」
ちょ、ちょちょちょ……!?踵を返すの早すぎる!思わずその細く美しい指を掴んだ。
「ちょっと待ってください!」
「はぇ?」
「助けていただきありがとうございました!どうかお礼をさせてください!」
ここで逃したら、もう会えない気がする。恋柱が。私の妹弟子が失われてしまう。
「お礼なんていいわ!勝手にやってしまったことだか」
グゥーーーー。そこで言葉を遮るように、盛大な腹の虫が蜜璃から聞こえた。
ああ……空腹だから急いでいたのか。
「お腹、空いてるんですね」
「はわわわわ……はい……」
いや、これを食べていたからと言って、病気にならないとか根治するとかはなかったかもしれないけどさ。
「毎度のことながら、煉獄さんとこはたくさん買うねぇ!他の客の分がなくなっちまうなんて、いいお得意さんだよ全く!
朝緋ちゃん、いつも買ってくれてありがとうな!!」
「んふふ!こちらこそ、新鮮なお野菜をいつもありがとうございます〜!!ここのお野菜が一番新鮮ですね!」
そんなやりとりをすれば、気を良くした店主に更に追加で野菜をもらっちゃった。白菜がたっくさん!やったね!!
ケラケラ会話していれば、後ろを通った人と袖が触れ合ってしまった。
「あ、すみません」
「ああ゛?」
酒焼けした低い声の男だ。ふらついている様子と酒精の香りを嗅ぐに、昼間からしこたまお酒を飲んでいるよう。槇寿朗さん以外にも昼間から飲んだくれる人はいるもんだなぁ……。
その人は上から下まで私の顔、体を不躾にじろじろ見たあと、買い込んだ食材。特に高価な果物達を目にして、忌々しいとばかりにいちゃもんをつけてきた。
「おいおい、嬢ちゃんよお……そんなに大量に。しかもたけぇ食材ばっかり狙って買いやがって。どこの上流階級の家系だ?
わざと庶民の店でこれ見よがしに買い漁るなんて俺達庶民を馬鹿にしてるのか!」
「えっ。そ、そんなわけないじゃないですか。私も普通に庶民ですよ!?」
あー。この人、この辺の人じゃないわ。近所の人達はこんなこと言わない。
ご近所さんの中には煉獄家が代々続く鬼殺の剣士であることを知っている人もいるほどなのだ。鬼から救われた者だっているし。
「庶民はぁー、そんな高いモンをぽんぽん買わねぇんだよ!!」
うわ、殴りかかってきた。女相手に容赦ないなぁ。
けど鬼殺隊士をなめないでほしい。たかが一般人の拳なんて、止まって見えるわ。
ただ、下手にかわして更に逆上されても困るしわざと肩で拳を受けてみせる。千寿郎の振るう竹刀が当たるよりも弱い。弱すぎる。
痛いふりをすれば、店員さんが心配の声を上げた。だが静止してそのままにさせた。
さすがに周りの人や店員さんを喧嘩に巻き込むわけにいかないし、そもそも本人達も巻き込まれたくもないだろう。
皆一様に、ハラハラしながら遠巻きで見守ってくれていた。
「別にうちは上流階級と呼ばれるような家ではありませんよ。
食材買ってるだけなのになんでそうなるの?果物を食べさせたい人がいるだけですので、言いがかりつけるのはやめてくださいませ」
「誰がいいがかりなもんかボケェ!」
何度も当たってやるものか。今度は避けた。その際カウンターパンチが出そうになったのは、ご愛嬌。思いとどまったんだから褒めて欲しい。杏寿郎さん、褒めて褒めて!
でも、そろそろおとなしくしてくれないかな。警官でも来たら困る。着物の下を調べられでもしたら、日輪刀が見つかるし言い逃れできない。
とはいえ、絡んできただけの一般人に一撃……というわけにもいかないのよね。
あっ!手を出すのがだめなら、足ならいいかな。いやだめだ。隊服ではなく着物で足を振り上げるわけにもいくまい。というか足だろうと一撃も当てたらだめじゃん。鬼殺隊士の力で蹴ったらこの人死ぬわ。
だって私、酒飲みに手加減なんてしたくないもん。
面倒だなぁ……。
はあ。と、深くため息を吐き出していると、髪の毛をむんずと掴まれ引っ張られた。
「無視してんじゃねぇぞこのアマ!変な髪しやがって!!」
「ちょ、イタッ!離して!?」
その時、見覚えのある三つ編みが視界の端に映り、ものすごい勢いで男性に突っ込んでいった。
「女の子をいじめちゃだめーっ!!」
「ブホァ!?」
ドーーーン!
ギュルギュルギュルッ!……ズベシャッ!
「えっ?」
ダンプカーでもぶつかったみたいな音がして、男性が超回転しながら吹っ飛んで地面に落ちた。
隣には見覚えのある顔。力が強く、優しい心を持った明るい性格のその女子は……。
み、蜜璃!?
動きづらそうな上等なお着物を着た甘露寺蜜璃が、そこにいた。
ええー!『前』は、任務から帰ったら「新しい継子だ!」っていきなり紹介されたのに、今回出会い方違う!!
しかも髪の色が桜餅色じゃない!黒!ええっ黒いっ!!って、あれ?顔がどんどん青くなってる?
「きゃ、きゃー!私ったらなんてことを!ご、ごめんなさい!!ど、どうしよう!!?死んだ!?」
殺してしまったのでは?なんて、不安で真っ青になったみたい。
でもまだこの蜜璃は鬼殺隊に入っていないはずだし、力が強いだけの娘さんだ。さすがに体当たりくらいじゃ死なないでしょ。……すごい音はしたけど。
「死んでない死んでない。ほうっておきゃいいのさ!よくやったそこな嬢ちゃん!!
朝緋ちゃんも、気にすんなよ!」
八百屋のおじさんが、笑いながら生死を確認していた。任せても良さそうだ。
「よかった…………。
びっくりさせちゃってごめんね。でも、女の子が困ってるの放って置けなくって〜〜。では私はこれで!さようなら!!」
ちょ、ちょちょちょ……!?踵を返すの早すぎる!思わずその細く美しい指を掴んだ。
「ちょっと待ってください!」
「はぇ?」
「助けていただきありがとうございました!どうかお礼をさせてください!」
ここで逃したら、もう会えない気がする。恋柱が。私の妹弟子が失われてしまう。
「お礼なんていいわ!勝手にやってしまったことだか」
グゥーーーー。そこで言葉を遮るように、盛大な腹の虫が蜜璃から聞こえた。
ああ……空腹だから急いでいたのか。
「お腹、空いてるんですね」
「はわわわわ……はい……」