二周目 肆
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季節はまた巡り、秋になった。
さつまいもの美味しい季節である。さつまいもは家で大量に作ってるから、買わないけれどね!
今年は他の野菜もたくさん採れそうだから、食費が少し浮きそうだ。代々鬼殺隊に所属していた煉獄家には潤沢な財産はあれど、節約は大事だ。
……槇寿朗さんがお酒をもうちょい止めれば、さらに節約できるんだけどなあ。無理か。
冷たさに手はかじかむけれど、沢庵を漬ける時期も楽しみだ。
煉獄家には煉獄家の沢庵の味がある。鷹の爪に昆布に柚子皮、黴防止の焼酎……瑠火さんから教わった味わい深いお袋の味。
沢庵漬けをするにはまだ早いが、今日は一日非番の日。手隙の柱がいない状態の緊急の任務でも発生しない限り、呼ばれることはない。一応は着物の下にこっそり日輪刀を帯刀してるけど。
ん?手隙の柱?煉獄家にいつもいるねー。行きたがらないけれど、お館様から任命されれば槇寿朗さんでもさすがに飛んでいくだろうと、私は踏んでいる。まだ柱だし。
と!いうわけで、鬼殺の任務を離れての久しぶりの帰還に心弾ませながら、私は町で買い物を楽しんでいた。杏寿郎さんは任務だ。
「ふむふむ。最近の流行り物はこんな感じなのね〜」
小間物屋に入り長い髪をまとめるものを探すと見えてくる、今の流行の品々。
杏寿郎さんにいただいた髪紐を使い続けていてもいいが、これはなるべく鬼殺の任務以外でつけていたいと思うようになった。
だって、壊れてしまったら嫌だもの。杏寿郎さんにそんなことを言えば「また贈る!遠慮せず毎日つかってくれ!」と言われそうなので話してない。お口チャック。
彼からもらったものは、小さなものでも大切にしたい。
だからこそ、普段使いのできる髪紐を探しにきたのだが……。
令和の時代のことを思い出してからというもの、この時代の物がとてつもなく歴史的価値が高くて貴重な物に見えてしまい、何を見てもより一層きらきらして見えるというか。デザインは令和とちょっと系統が違うけれど、生活を少しでも色彩鮮やかにと、人の為に作られたっていう根っこの部分は同じ。
なかなか粋な物も多く、見てるだけでもすごく楽しくてたまらない。
この簪なんかホラ!杏寿郎さんの瞳の色合いに似てて!こんなのプレゼントされてみたいなぁ。
もしプレゼントされたら?やだーもっと好きになっちゃう!!
手に取った金属の簪の先。まぁるい蜻蛉玉が光る。
半透明の橙の中に紅色が揺らめく様はまるで炎そのもの。煉獄家の……というより、杏寿郎さんの太陽のような目に見えた。
大好きな大好きな、私の太陽。
って、この時代において簪を殿方から贈られる意味は確か……。
そこまで考えて頬が熱くなった。
「いけないいけない。桃色の考えは鬼の頸と一緒にすぱすぱ斬っちゃおうねぇ〜」
しかし次に入った洋装店や呉服屋でも同じような桃色の思いが浮かび、頭から湯気が出そうになった。自分で勝手に考えたことなのにね。
何を見ても杏寿郎さんのこと考えちゃう。一人で来るんじゃなかったかも。
ところで、せっかく買い物に来たのだからと、肉などの卸問屋、魚屋、油屋、醤油店、味噌屋に米屋などにも寄った。
煉獄家において、食料品の買い出しはとても重要任務だ。杏寿郎さんという大食漢がたまに帰ることが大きい。
肉類などを保存するには冷蔵庫が必要だ。この時代は電気で動く冷蔵庫なんてものはない。
氷で冷やすので、氷屋から氷を買わなくてはいけないけれど、安心してくれ。煉獄家には冷蔵庫がある!氷さえ買って来れば、こっちのものだ。保存なら任せろ。
なのでいっぱい買った。重いけどなんとかなる!
「ふひぃ〜これも鍛錬……!」
ただなぁ、腕に負荷としてかかる重量については耐え切れても、荷物の多さはどうしようもない。千手観音でもあるまいし、もっと手がないと全部は持てない。
そんな私を見かねてか、米屋の主人が荷車を貸してくれた。助かる〜〜〜!持つべきものは、近所の優しい人たち。昔からやりとりしてる馴染みの店だね。
荷物いくらでも運べる物を手に入れたせいか、気も大きくなった私は更に買い物を続けてしまった。
八百屋に並ぶ果実を私の目が捉える。
「ンン゛!?め、めめめめめメロン!?」
真桑瓜じゃない、あの甘いメロンが売ってる!この時代のこの時期に!?室内栽培かなにかですかね!?お偉い様への献上品のなりそのないとかかもしれない。めちゃ高いけど売ってることがすごい!!
令和時代でのあまーい果実感はないかもしれないけど、貴重だ。今買わなくていつ買うの!!
私は目ん玉が飛び出す勢いで、店頭に並ぶメロンを四方八方から見つめた。
「ふぉ!バナーナ!?」
その横にあったものに、ついつい黄色い体にオーバーオールの謎の生き物みたいな声をあげてしまった。
ひぃん……この御時世しかも庶民が利用する八百屋にバナナ……実芭蕉や林檎までもが売ってる!
見つけた以上、片っ端から買って帰ろうかな!?
バナナ一房安くても七千五百円からとか、これもお値段高杉くんだわ〜!!でもこの出会いは大切にしたい。金銭感覚がどこかいきそう。
「おじちゃーん!真桑瓜もどきと実芭蕉と林檎を片っ端からくださいな!」
「あいよっ!!」
ついでに適当に野菜もたくさん買う。
にしても、メロンやバナナなんて高級フルーツ、鬼殺隊士じゃなかったらぽんっ!なんて気軽に買えない。命の期間が伴うからか、お給金が高い点は本当に嬉しい。
一番下の階級の癸すら、初給金は平成や令和でいう、手取り二十万ほど。今の階級はそれよりも上なので……んふふ。言わなくてもわかるでしょ?私は今高級取りなのだ!!
たまには美味しいフルーツを瑠火さんにお供えしたいし、お酒ばかりで足りてないビタミンとか大事な栄養素が取れるから槇寿朗さんにお出しするのにもいいかもしれない。私も食べたいし、千寿郎にも食べさせてやりたい。
何よりも、杏寿郎さんに食べて欲しい。強い体を作るのは、鍛錬だけではない。日々の食事だ。買って当然。
同じ理由で煉獄家の一角には畑だけではなく、蜜柑や柚子の木まで植えてある。火鉢で焼いた蜜柑は最高の贅沢。
ま、杏寿郎さんに食べさせたいけれど熟れすぎて美味しく食べられなかったら悲しいし、一部は菓子やドライフルーツにしておいてもいいかもしれない。
ただバナナならバナナチップスが食べたいけど、残念ながらココナッツオイルなんてこの時代の日本では手に入らないから、揚げられないんだよねぇ。
あのサクサクとココナッツオイルの風味が香る、あまーいバナナチップス、食べたいなぁ。
さつまいもの美味しい季節である。さつまいもは家で大量に作ってるから、買わないけれどね!
今年は他の野菜もたくさん採れそうだから、食費が少し浮きそうだ。代々鬼殺隊に所属していた煉獄家には潤沢な財産はあれど、節約は大事だ。
……槇寿朗さんがお酒をもうちょい止めれば、さらに節約できるんだけどなあ。無理か。
冷たさに手はかじかむけれど、沢庵を漬ける時期も楽しみだ。
煉獄家には煉獄家の沢庵の味がある。鷹の爪に昆布に柚子皮、黴防止の焼酎……瑠火さんから教わった味わい深いお袋の味。
沢庵漬けをするにはまだ早いが、今日は一日非番の日。手隙の柱がいない状態の緊急の任務でも発生しない限り、呼ばれることはない。一応は着物の下にこっそり日輪刀を帯刀してるけど。
ん?手隙の柱?煉獄家にいつもいるねー。行きたがらないけれど、お館様から任命されれば槇寿朗さんでもさすがに飛んでいくだろうと、私は踏んでいる。まだ柱だし。
と!いうわけで、鬼殺の任務を離れての久しぶりの帰還に心弾ませながら、私は町で買い物を楽しんでいた。杏寿郎さんは任務だ。
「ふむふむ。最近の流行り物はこんな感じなのね〜」
小間物屋に入り長い髪をまとめるものを探すと見えてくる、今の流行の品々。
杏寿郎さんにいただいた髪紐を使い続けていてもいいが、これはなるべく鬼殺の任務以外でつけていたいと思うようになった。
だって、壊れてしまったら嫌だもの。杏寿郎さんにそんなことを言えば「また贈る!遠慮せず毎日つかってくれ!」と言われそうなので話してない。お口チャック。
彼からもらったものは、小さなものでも大切にしたい。
だからこそ、普段使いのできる髪紐を探しにきたのだが……。
令和の時代のことを思い出してからというもの、この時代の物がとてつもなく歴史的価値が高くて貴重な物に見えてしまい、何を見てもより一層きらきらして見えるというか。デザインは令和とちょっと系統が違うけれど、生活を少しでも色彩鮮やかにと、人の為に作られたっていう根っこの部分は同じ。
なかなか粋な物も多く、見てるだけでもすごく楽しくてたまらない。
この簪なんかホラ!杏寿郎さんの瞳の色合いに似てて!こんなのプレゼントされてみたいなぁ。
もしプレゼントされたら?やだーもっと好きになっちゃう!!
手に取った金属の簪の先。まぁるい蜻蛉玉が光る。
半透明の橙の中に紅色が揺らめく様はまるで炎そのもの。煉獄家の……というより、杏寿郎さんの太陽のような目に見えた。
大好きな大好きな、私の太陽。
って、この時代において簪を殿方から贈られる意味は確か……。
そこまで考えて頬が熱くなった。
「いけないいけない。桃色の考えは鬼の頸と一緒にすぱすぱ斬っちゃおうねぇ〜」
しかし次に入った洋装店や呉服屋でも同じような桃色の思いが浮かび、頭から湯気が出そうになった。自分で勝手に考えたことなのにね。
何を見ても杏寿郎さんのこと考えちゃう。一人で来るんじゃなかったかも。
ところで、せっかく買い物に来たのだからと、肉などの卸問屋、魚屋、油屋、醤油店、味噌屋に米屋などにも寄った。
煉獄家において、食料品の買い出しはとても重要任務だ。杏寿郎さんという大食漢がたまに帰ることが大きい。
肉類などを保存するには冷蔵庫が必要だ。この時代は電気で動く冷蔵庫なんてものはない。
氷で冷やすので、氷屋から氷を買わなくてはいけないけれど、安心してくれ。煉獄家には冷蔵庫がある!氷さえ買って来れば、こっちのものだ。保存なら任せろ。
なのでいっぱい買った。重いけどなんとかなる!
「ふひぃ〜これも鍛錬……!」
ただなぁ、腕に負荷としてかかる重量については耐え切れても、荷物の多さはどうしようもない。千手観音でもあるまいし、もっと手がないと全部は持てない。
そんな私を見かねてか、米屋の主人が荷車を貸してくれた。助かる〜〜〜!持つべきものは、近所の優しい人たち。昔からやりとりしてる馴染みの店だね。
荷物いくらでも運べる物を手に入れたせいか、気も大きくなった私は更に買い物を続けてしまった。
八百屋に並ぶ果実を私の目が捉える。
「ンン゛!?め、めめめめめメロン!?」
真桑瓜じゃない、あの甘いメロンが売ってる!この時代のこの時期に!?室内栽培かなにかですかね!?お偉い様への献上品のなりそのないとかかもしれない。めちゃ高いけど売ってることがすごい!!
令和時代でのあまーい果実感はないかもしれないけど、貴重だ。今買わなくていつ買うの!!
私は目ん玉が飛び出す勢いで、店頭に並ぶメロンを四方八方から見つめた。
「ふぉ!バナーナ!?」
その横にあったものに、ついつい黄色い体にオーバーオールの謎の生き物みたいな声をあげてしまった。
ひぃん……この御時世しかも庶民が利用する八百屋にバナナ……実芭蕉や林檎までもが売ってる!
見つけた以上、片っ端から買って帰ろうかな!?
バナナ一房安くても七千五百円からとか、これもお値段高杉くんだわ〜!!でもこの出会いは大切にしたい。金銭感覚がどこかいきそう。
「おじちゃーん!真桑瓜もどきと実芭蕉と林檎を片っ端からくださいな!」
「あいよっ!!」
ついでに適当に野菜もたくさん買う。
にしても、メロンやバナナなんて高級フルーツ、鬼殺隊士じゃなかったらぽんっ!なんて気軽に買えない。命の期間が伴うからか、お給金が高い点は本当に嬉しい。
一番下の階級の癸すら、初給金は平成や令和でいう、手取り二十万ほど。今の階級はそれよりも上なので……んふふ。言わなくてもわかるでしょ?私は今高級取りなのだ!!
たまには美味しいフルーツを瑠火さんにお供えしたいし、お酒ばかりで足りてないビタミンとか大事な栄養素が取れるから槇寿朗さんにお出しするのにもいいかもしれない。私も食べたいし、千寿郎にも食べさせてやりたい。
何よりも、杏寿郎さんに食べて欲しい。強い体を作るのは、鍛錬だけではない。日々の食事だ。買って当然。
同じ理由で煉獄家の一角には畑だけではなく、蜜柑や柚子の木まで植えてある。火鉢で焼いた蜜柑は最高の贅沢。
ま、杏寿郎さんに食べさせたいけれど熟れすぎて美味しく食べられなかったら悲しいし、一部は菓子やドライフルーツにしておいてもいいかもしれない。
ただバナナならバナナチップスが食べたいけど、残念ながらココナッツオイルなんてこの時代の日本では手に入らないから、揚げられないんだよねぇ。
あのサクサクとココナッツオイルの風味が香る、あまーいバナナチップス、食べたいなぁ。