幕間 ノ 壱
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それから一刻ほど。無事に最終選別を突破したお祝いをしようと、杏寿郎さんがお頭付きの鯛や鶏肉や野菜、甘味などを買いに行ってくれた。
……私の選別突破なんて、大して祝う価値ないのに。祝わなくてもよかったのに。
いや待て。お祝いといいつつ買ってきてくれたの甘味以外はほぼ食材じゃん。調理しないと食べられないじゃん。野菜はいいけど、鶏肉や鯛は足がつきやすいから急いで調理しなくてはならないよね?
それもお頭付きの鯛っておいおい。明らかに杏寿郎さんの好物じゃないのさ。自分が食べたかっただけでは?とは思っても言ってはいけない。でも望んでるのは鯛の塩焼きだよね。私知ってる。
私の好物の油揚げもあるのだから、ここは冷静にならねば。
……むふふ、この大判の油揚げはお稲荷寿司にせず美味しく煮ておうどんにどーんと乗っけて食べよう。そうしよう。
あー。赤いきつね食べたい。でもこの時代にはないからセルフ赤いきつねあとで作ろう。熱湯で三分だっけ。
「よーし、この食材達でお料理じゃんじゃん作っちゃうぞ〜」
襷掛けをして羽釜に入れた大量のお米をぎゅっぎゅっと研いでいく。杏寿郎さんがいるなら、お櫃からあふれんばかりの量のご飯が必要だもんね。
一回目の研ぎ汁は色々使えるから捨てないよーに。ふわっと立ったご飯にするためお米の粒は砕かないよーに。でも力を入れて。この絶妙な研ぎ加減が大事。
うん、これもまた鍛錬だ。
「あのっ姉上!」
さて次に鶏肉をやっつけるぞ、と今日のおすすめレシピを脳内●ックパッドに聞いていると。
眉尻を更に下げた千寿郎が、私の裾を引っ張っていた。
「姉上のためのお祝いなのに、姉上が厨に立ってしまっては意味がありません!僕が全部やりますから姉上は湯浴みするとか、休憩していてください!」
「そうだぞ朝緋。七日も頑張ったすぐあとに炊ぎまでせずともよかろう」
厨入口に立つ杏寿郎さんも、私を止める。
「なんなら俺が鯛を焼くぞ!どれ、手伝おう!」
「「それは遠慮します」」
「よもや!?」
まかせろ!と、隊服を腕まくりする杏寿郎さんに、私達は二人揃って同じ言葉で断りを入れた。
杏寿郎さんには火加減はおろか厨で行う炊ぎのすべて。それは絶対に、絶対にさせてはいけない。
厨爆発なんて起こした日には、鬼殺以外のこちらのすることに口を出してこない槇寿朗さんですら、すっとんでくるだろう。
そうなれば杏寿郎さんは勘当同然だ。もしかしたら杏寿郎さんを厨に入れた私達も連帯責任を負うかも。
「せっかくの鯛が台無しになってしまいます。兄上だけは絶対に来ないで下さいっ」
「だ、台無しっ!ひどいぞ千寿郎!?」
「……何度も言ってるでしょう。杏寿郎兄さんは煮炊きをしてはいけません。この線から内側は絶対絶対ぜぇぇぇったいに、立ち入り禁止です」
こういうこともあろうかと、厨の床に薄く引っ張った線。それは、もし杏寿郎さんが来て手伝いでもしようとした場合に、入っちゃだめー!の境界線がわりにするためのものだ。
千寿郎と私で考案しましたっ!いえーい。
「なんと。床の線はそのためのものだったのか……。
俺が焚き火で火事を起こしかけたのはたった一回だけだろう!君達は根に持ちすぎでは!?」
「いや、それ以前にも前科がありますから。
線からこっちに入ったらさつま芋料理作らないのでよろしくー」
「よもやぁ……」
さつまいもを引き合いに出してみれば、目に見えて落ち込む。しなしなしな〜と、杏寿郎さんの触覚のような前髪がしおれた。
えっ、しおれた??草花ですか??
顔も見たことないくらいしなしなしてて、梅干し食べた人……あっ違う。これはしわしわの●かちゅうの顔だ!
「じょ、冗談ですよ。冗談!」
あ、前髪と顔が元に戻った。……面白いなあ。
……私の選別突破なんて、大して祝う価値ないのに。祝わなくてもよかったのに。
いや待て。お祝いといいつつ買ってきてくれたの甘味以外はほぼ食材じゃん。調理しないと食べられないじゃん。野菜はいいけど、鶏肉や鯛は足がつきやすいから急いで調理しなくてはならないよね?
それもお頭付きの鯛っておいおい。明らかに杏寿郎さんの好物じゃないのさ。自分が食べたかっただけでは?とは思っても言ってはいけない。でも望んでるのは鯛の塩焼きだよね。私知ってる。
私の好物の油揚げもあるのだから、ここは冷静にならねば。
……むふふ、この大判の油揚げはお稲荷寿司にせず美味しく煮ておうどんにどーんと乗っけて食べよう。そうしよう。
あー。赤いきつね食べたい。でもこの時代にはないからセルフ赤いきつねあとで作ろう。熱湯で三分だっけ。
「よーし、この食材達でお料理じゃんじゃん作っちゃうぞ〜」
襷掛けをして羽釜に入れた大量のお米をぎゅっぎゅっと研いでいく。杏寿郎さんがいるなら、お櫃からあふれんばかりの量のご飯が必要だもんね。
一回目の研ぎ汁は色々使えるから捨てないよーに。ふわっと立ったご飯にするためお米の粒は砕かないよーに。でも力を入れて。この絶妙な研ぎ加減が大事。
うん、これもまた鍛錬だ。
「あのっ姉上!」
さて次に鶏肉をやっつけるぞ、と今日のおすすめレシピを脳内●ックパッドに聞いていると。
眉尻を更に下げた千寿郎が、私の裾を引っ張っていた。
「姉上のためのお祝いなのに、姉上が厨に立ってしまっては意味がありません!僕が全部やりますから姉上は湯浴みするとか、休憩していてください!」
「そうだぞ朝緋。七日も頑張ったすぐあとに炊ぎまでせずともよかろう」
厨入口に立つ杏寿郎さんも、私を止める。
「なんなら俺が鯛を焼くぞ!どれ、手伝おう!」
「「それは遠慮します」」
「よもや!?」
まかせろ!と、隊服を腕まくりする杏寿郎さんに、私達は二人揃って同じ言葉で断りを入れた。
杏寿郎さんには火加減はおろか厨で行う炊ぎのすべて。それは絶対に、絶対にさせてはいけない。
厨爆発なんて起こした日には、鬼殺以外のこちらのすることに口を出してこない槇寿朗さんですら、すっとんでくるだろう。
そうなれば杏寿郎さんは勘当同然だ。もしかしたら杏寿郎さんを厨に入れた私達も連帯責任を負うかも。
「せっかくの鯛が台無しになってしまいます。兄上だけは絶対に来ないで下さいっ」
「だ、台無しっ!ひどいぞ千寿郎!?」
「……何度も言ってるでしょう。杏寿郎兄さんは煮炊きをしてはいけません。この線から内側は絶対絶対ぜぇぇぇったいに、立ち入り禁止です」
こういうこともあろうかと、厨の床に薄く引っ張った線。それは、もし杏寿郎さんが来て手伝いでもしようとした場合に、入っちゃだめー!の境界線がわりにするためのものだ。
千寿郎と私で考案しましたっ!いえーい。
「なんと。床の線はそのためのものだったのか……。
俺が焚き火で火事を起こしかけたのはたった一回だけだろう!君達は根に持ちすぎでは!?」
「いや、それ以前にも前科がありますから。
線からこっちに入ったらさつま芋料理作らないのでよろしくー」
「よもやぁ……」
さつまいもを引き合いに出してみれば、目に見えて落ち込む。しなしなしな〜と、杏寿郎さんの触覚のような前髪がしおれた。
えっ、しおれた??草花ですか??
顔も見たことないくらいしなしなしてて、梅干し食べた人……あっ違う。これはしわしわの●かちゅうの顔だ!
「じょ、冗談ですよ。冗談!」
あ、前髪と顔が元に戻った。……面白いなあ。