五周目 陸
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押し倒し、覆い被さっての口付け。
「んっ、んぅ、……っふ」
舌先が性急に入り込み、じゅるりと歯列や喉をなぞりあげられて肌がぞくりと粟立つ。
素早いその行為に目を白黒させ、それから思い切り突き飛ばして離れようともがく。……突き飛ばせても離れることだけはできなかったが。
「やめてください!なんなんですか!?」
「腹ごなしに運動をと思ってな」
「いやいやいや、運動しなくていいです!
そもそも今ので足りる!?あいすくりんといなり寿司だけで足りる?今から私、杏寿郎さんが買ってきてくださった食材で追加の食事作りますよ!だから退いて!」
腰が掴まれたままだ。このままでは襦袢の腰巻きを捲られ脱がされて、いいようにされてしまう!
「要らん。
俺は今から朝緋を食べる。そしてそのあとは朝緋が俺を食べる……いや、血を啜る」
「食べられたくないし啜りません!ぎゃあっ!無理やり脱がそうとしないで!?」
思った通り、杏寿郎さんに脱がされかけている。
でも下手に引っ張ればまた破ける。私の着るものについては少し汚れただけで捨てればいい、なんて言うくらいだもの。彼は破く事になんの抵抗もない。
「行為に耽っていれば、四半刻などすぐだろう。そうしたらあいすくりんやいなり寿司が俺の血を巡る。味も巡る。あいすくりんやいなり寿司味の血になる」
「まだ言ってるの!?血に味は溶け込みませんが!?味がするっていうのなら、貴方の血はすでに芋の味がしているのではなくて!?」
だってさつまいもばかり食べたがるし。
「そうかもしれんな……。さぁて、往生際が悪いぞ朝緋!鬼ならば腹を括れ!!」
「ウワァァァ腹を括るのに鬼とか関係ない〜!!」
悲しいかな、鬼になろうと杏寿郎さんにはどうあっても敵わないのだ。力の差は歴然。
美味しくいただかれ、散々啼かされ、疲弊した私は血を啜るどころじゃなくなり、杏寿郎さんの腕の中でぐったりと横になっていた。
「も、駄目……あぅ、鬼退治されました……」
「鬼退治とな!俺は愛しい鬼を丁寧に優しく愛しただけで、退治した覚えはないのだが?」
優しいなんてとてもいえない。丁寧というのも、どちらかというとねっとりしつこくと言い換えた方がいい。
むぎゅり、杏寿郎さんのお腹をつねってやろうとしたけども、贅肉がひとつもなくてつまめない。
代わりに小さくお腹を殴っておいた。
「鬼とは思えぬかわいらしい抵抗だな」
「ふん。杏寿郎さんのばーかばーか。かっこよすぎる。体力お化け。精力柱。ヌカロク」
「どれも何故か褒め言葉にしか聞こえんな。そのヌカロクという言葉は誰から聞いた」
「宇髄さん」
意味もよーく教わった。なんて助平な柱だろう、なんで知ってるのだろう。彼に三人もの奥さんがいること、元忍者だということを知らなかったら、そう思ってひいただろうな。
「宇髄め、変な言葉を朝緋に教えおって……はっ!まさか俺という夫がありながら、君は宇髄と懇ろに」
「ならないならない」
絶対ならない。私が好きなのはたった一人、目の前の貴方です。
「ならいいが。
いやしかし、これだけ注ぎ込んでも鬼となった君には根付かないのだろうか」
「………………」
杏寿郎さん、貴方は私にそれを求めるのか。鬼に、ややこを産めと……?
望んでいなかったわけじゃない。無限列車の任務を無事に終えて、少しでも平穏無事なひと時が私達に訪れたなら、杏寿郎さんと祝言をあげていつかは子供を……なんて考えていた。
でも今の私は鬼だ。
鬼が人との子を望むなんて許されないはずだ。それに、人から鬼に変わる過程で、人間は一度死ぬようなもの。だから──
「鬼は孕んだりしない、と思う。そもそも人と鬼が交わるだなんて、普通はあり得ないからなんとも言えない……前例がない」
「人を目の前にすれば、鬼は目の前の獲物を食うことばかり考えてしまうからな」
「うんうん。男の鬼がこっちを犯してこようとすることはあっても、最終的には食べる、に行き着くもんね」
特に私の稀血を嗅いだ時なんかそうだ。性欲にも食欲にも走るなんて、なんと恐ろしく強欲なのだろう。
「なに!?その言い方ではまるで君も犯されかけるか何かあったということでは!?そんな報告は受けておらんぞ!!」
目を吊り上げて私の肩を掴んで揺さぶってくる。怖い、柱が鬼に向ける時の顔と同じじゃん。
でもその肉体はお互い素っ裸だというね。
「ひい!隊士になりたてほやほやの頃のことだから報告してなくて当然です!気にしないで!?」
「いいや気にする!許せん!」
「その鬼はもういないよ私頸斬ったよっ!ぐわんぐわん揺らさないでっ」
懇願すればブランコ地獄からは解放されたけれど、代わりに杏寿郎さんがプルプルしている。揺れてる?震えてる?え、なんで?
「…………。隊士になりたての頃ということはだ、その助平な鬼の手が朝緋に触れたということでは……?」
ギクーン!怒ってる!?怒りの震えかー!
でも年がら年中、助平なことしてくる杏寿郎さんに言われたくないと思うのは私だけかな。
「ああ駄目だ、悋気を覚えた。こうなったら朝緋に根付くまで徹底的にしよう!!」
「どゆこと!?」
「君は俺のお嫁さんだからなぁ?夫のあれやそれやも受け止めてもらわねばなるまい?後継も必要だしなあ!?」
「だから鬼は人の子を産むなんて……あああああ〜〜〜」
逃げようにも私は最初から杏寿郎さんの腕の中。しかも、衣服は纏っていない状態。
またも丁寧……いや、ねちっこくしつこく攻め立てられ杏寿郎さんに美味しくいただかれてしまった。
数刻後、布団の中には幸せそうにツヤツヤした顔を晒す杏寿郎さんと、さらにぐったりして萎びた私がいた。
「杏寿郎さんめぇ、満足そうな顔してぇ……」
「ああ満足だな!ふふふ、これだけ回数と量をこなせば朝緋の体も懐妊からは逃れられまい。
このぽこりと膨らんだ君の腹には今、大量の俺がいるのだなぁ」
私の下腹部をくるくると撫でまわし、嬉しそうに口づけひとつ。
その黄金色の後頭部に言葉を降らせる。
「無尽蔵」
「ああそうだな、俺は無尽蔵なのだろうな。朝緋を見ていると何度でもできる気がしてくる。これも全部、君がいとおしく可愛らしいのが悪い」
「……どーも。
まあ、鬼となってからお薬を飲めてないからね。私の存在は秘匿されていてしのぶにももらいに行けないし。そう考えると歴史上初の、人と鬼の子が産まれてもおかしくないかも」
ちょっと恐ろしい冗談を言ってみる。人と鬼の子だなんて脅威にしかならない気がする。
「んっ、んぅ、……っふ」
舌先が性急に入り込み、じゅるりと歯列や喉をなぞりあげられて肌がぞくりと粟立つ。
素早いその行為に目を白黒させ、それから思い切り突き飛ばして離れようともがく。……突き飛ばせても離れることだけはできなかったが。
「やめてください!なんなんですか!?」
「腹ごなしに運動をと思ってな」
「いやいやいや、運動しなくていいです!
そもそも今ので足りる!?あいすくりんといなり寿司だけで足りる?今から私、杏寿郎さんが買ってきてくださった食材で追加の食事作りますよ!だから退いて!」
腰が掴まれたままだ。このままでは襦袢の腰巻きを捲られ脱がされて、いいようにされてしまう!
「要らん。
俺は今から朝緋を食べる。そしてそのあとは朝緋が俺を食べる……いや、血を啜る」
「食べられたくないし啜りません!ぎゃあっ!無理やり脱がそうとしないで!?」
思った通り、杏寿郎さんに脱がされかけている。
でも下手に引っ張ればまた破ける。私の着るものについては少し汚れただけで捨てればいい、なんて言うくらいだもの。彼は破く事になんの抵抗もない。
「行為に耽っていれば、四半刻などすぐだろう。そうしたらあいすくりんやいなり寿司が俺の血を巡る。味も巡る。あいすくりんやいなり寿司味の血になる」
「まだ言ってるの!?血に味は溶け込みませんが!?味がするっていうのなら、貴方の血はすでに芋の味がしているのではなくて!?」
だってさつまいもばかり食べたがるし。
「そうかもしれんな……。さぁて、往生際が悪いぞ朝緋!鬼ならば腹を括れ!!」
「ウワァァァ腹を括るのに鬼とか関係ない〜!!」
悲しいかな、鬼になろうと杏寿郎さんにはどうあっても敵わないのだ。力の差は歴然。
美味しくいただかれ、散々啼かされ、疲弊した私は血を啜るどころじゃなくなり、杏寿郎さんの腕の中でぐったりと横になっていた。
「も、駄目……あぅ、鬼退治されました……」
「鬼退治とな!俺は愛しい鬼を丁寧に優しく愛しただけで、退治した覚えはないのだが?」
優しいなんてとてもいえない。丁寧というのも、どちらかというとねっとりしつこくと言い換えた方がいい。
むぎゅり、杏寿郎さんのお腹をつねってやろうとしたけども、贅肉がひとつもなくてつまめない。
代わりに小さくお腹を殴っておいた。
「鬼とは思えぬかわいらしい抵抗だな」
「ふん。杏寿郎さんのばーかばーか。かっこよすぎる。体力お化け。精力柱。ヌカロク」
「どれも何故か褒め言葉にしか聞こえんな。そのヌカロクという言葉は誰から聞いた」
「宇髄さん」
意味もよーく教わった。なんて助平な柱だろう、なんで知ってるのだろう。彼に三人もの奥さんがいること、元忍者だということを知らなかったら、そう思ってひいただろうな。
「宇髄め、変な言葉を朝緋に教えおって……はっ!まさか俺という夫がありながら、君は宇髄と懇ろに」
「ならないならない」
絶対ならない。私が好きなのはたった一人、目の前の貴方です。
「ならいいが。
いやしかし、これだけ注ぎ込んでも鬼となった君には根付かないのだろうか」
「………………」
杏寿郎さん、貴方は私にそれを求めるのか。鬼に、ややこを産めと……?
望んでいなかったわけじゃない。無限列車の任務を無事に終えて、少しでも平穏無事なひと時が私達に訪れたなら、杏寿郎さんと祝言をあげていつかは子供を……なんて考えていた。
でも今の私は鬼だ。
鬼が人との子を望むなんて許されないはずだ。それに、人から鬼に変わる過程で、人間は一度死ぬようなもの。だから──
「鬼は孕んだりしない、と思う。そもそも人と鬼が交わるだなんて、普通はあり得ないからなんとも言えない……前例がない」
「人を目の前にすれば、鬼は目の前の獲物を食うことばかり考えてしまうからな」
「うんうん。男の鬼がこっちを犯してこようとすることはあっても、最終的には食べる、に行き着くもんね」
特に私の稀血を嗅いだ時なんかそうだ。性欲にも食欲にも走るなんて、なんと恐ろしく強欲なのだろう。
「なに!?その言い方ではまるで君も犯されかけるか何かあったということでは!?そんな報告は受けておらんぞ!!」
目を吊り上げて私の肩を掴んで揺さぶってくる。怖い、柱が鬼に向ける時の顔と同じじゃん。
でもその肉体はお互い素っ裸だというね。
「ひい!隊士になりたてほやほやの頃のことだから報告してなくて当然です!気にしないで!?」
「いいや気にする!許せん!」
「その鬼はもういないよ私頸斬ったよっ!ぐわんぐわん揺らさないでっ」
懇願すればブランコ地獄からは解放されたけれど、代わりに杏寿郎さんがプルプルしている。揺れてる?震えてる?え、なんで?
「…………。隊士になりたての頃ということはだ、その助平な鬼の手が朝緋に触れたということでは……?」
ギクーン!怒ってる!?怒りの震えかー!
でも年がら年中、助平なことしてくる杏寿郎さんに言われたくないと思うのは私だけかな。
「ああ駄目だ、悋気を覚えた。こうなったら朝緋に根付くまで徹底的にしよう!!」
「どゆこと!?」
「君は俺のお嫁さんだからなぁ?夫のあれやそれやも受け止めてもらわねばなるまい?後継も必要だしなあ!?」
「だから鬼は人の子を産むなんて……あああああ〜〜〜」
逃げようにも私は最初から杏寿郎さんの腕の中。しかも、衣服は纏っていない状態。
またも丁寧……いや、ねちっこくしつこく攻め立てられ杏寿郎さんに美味しくいただかれてしまった。
数刻後、布団の中には幸せそうにツヤツヤした顔を晒す杏寿郎さんと、さらにぐったりして萎びた私がいた。
「杏寿郎さんめぇ、満足そうな顔してぇ……」
「ああ満足だな!ふふふ、これだけ回数と量をこなせば朝緋の体も懐妊からは逃れられまい。
このぽこりと膨らんだ君の腹には今、大量の俺がいるのだなぁ」
私の下腹部をくるくると撫でまわし、嬉しそうに口づけひとつ。
その黄金色の後頭部に言葉を降らせる。
「無尽蔵」
「ああそうだな、俺は無尽蔵なのだろうな。朝緋を見ていると何度でもできる気がしてくる。これも全部、君がいとおしく可愛らしいのが悪い」
「……どーも。
まあ、鬼となってからお薬を飲めてないからね。私の存在は秘匿されていてしのぶにももらいに行けないし。そう考えると歴史上初の、人と鬼の子が産まれてもおかしくないかも」
ちょっと恐ろしい冗談を言ってみる。人と鬼の子だなんて脅威にしかならない気がする。