五周目 伍
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「朝緋さん危ない!」
ズパッ!!
背後から忍び寄っていた触手を、炭治郎が斬り落とした。
「炭治郎……!」
「戦いの音が聞こえたので来ました!大丈夫ですか!!」
「ありがとう。助かったわ……」
やっと来たか!なんという救世主!!
「この鬼は……下弦の壱!」
「そう、下弦の壱、魘夢。無限列車に巣食う鬼っ!この鬼の頸を斬ったところで本体はここじゃない、この列車そのものが鬼と同化してる!」
尚も続く触手の猛攻に反撃し、時に逃れながら説明する。背後にいる炭治郎が心強い。
「おはよう鬼狩り。稀血ちゃんへの陵辱を邪魔されたくないからまだ寝ててよかったのにぃ」
うっ!凌辱だなんて、いやらしくて気持ちの悪い言葉を使いおってからに!鳥肌が立つ!炭治郎に聞かせたくない。
「じゃあ、斬っても意味は……」
「ないけどある!多少は体力を削ることができる。頸や人の形をしているから」
「さすがは稀血ちゃん。よくわかっているね。でもそう簡単にはいかないよ?この『俺』も『俺』自身もね。それで君は俺に捕まる、と。どうせこの中は俺の腹の中と同じだからねぇ」
何をしたところでお前は俺の掌の上だと。逃げても無駄だとにんまりと目を細めて笑う魘夢に、口中で舌打ちする。
「炭治郎、貴方が鬼の頸を斬って!私は、ちょっと……この触手で忙し、いっ!!」
「え、でも朝緋さんを狙うようにこの触手は向かって……!」
「私の事はいいから!!」
「は、はいっ!!」
強く言えば、炭治郎は前に出た。
元より、炭治郎でなく私に向かってきていた触手なのだ。この程度を一人で相手出来ずにどうする!
私は誰だ?私は炎柱が継子、煉獄朝緋だ!!
「炎の呼吸、肆ノ型 盛炎のうねり!!」
赤く、そして蒼き私の炎が周りを焼いた。
炭治郎と魘夢が会話しているのが聞こえる。魘夢が、炭治郎の逆鱗に触れたようだ。
「俺はお前を許さない!」
青筋を立てて日輪刀を構える炭治郎をものともせず、ゆるりとしゃべる魘夢。余裕を構えていられるのは今のうちだぞ。炭治郎はお前の血鬼術には負けない。
「君、耳に飾りをつけているねぇ。稀血ちゃんは手に入るわ、耳に飾りをつけた鬼狩りを殺せるわ、俺は本当に運がいいなぁ!
夢みたいだぁ!これでもっと無惨様に血を分けていただける!!」
──耳に飾り?炭治郎のあの花札みたいなイヤリングの事だよね。あれが一体なんだというの?いや、今はいい。頭の中に留め置く。
「水の呼吸、拾ノ型 生生流転!」
「血鬼術、強制昏倒睡眠 催眠の囁きおねむりぃ!」
炭治郎は眠らない。眠らされてもすぐに起きる。どうやってこの子が起きたと思っているのよ。
一度覚悟して自刃したものに、そんな真似は効かない!
「俺の家族を侮辱するなぁ!!!」
攻撃の最中、ブチ切れた炭治郎が刃を振るう。その刃が一瞬、火のようなものに包まれて見えた。──水の呼吸なのに、ヒノカミ神楽の片鱗が見えている?
交互に使い分けるのとは違う、併せた呼吸のようなものか。
より速く強く、勢いの増した刃が魘夢の頸に届く。
スパァン!魘夢の頸が闇夜に刎ね跳んだ。
「あーぁ、やられちゃった……また来るよ……」
魘夢が頸と体を列車に吸収させて消えていくと同時、私を狙う触手の数が少なくなる。
「消えた……中か!でもやりましたよ、朝緋さん!!」
「よくやった炭治郎!おかげでこっちも少し落ち着いたわ。でもこれで終わりじゃない!」
「はい!わかってます!次はどうしたらいいですか!!」
「中にも外にも肉塊が溢れ始めている!車両の中に入って、他の隊士と協力して乗客を鬼の肉から守る!!」
中は鬼の腹の中と同じだから、行くのちょっと嫌だけどね……。狙われている私は特に捕まらないようにしないと。
湧いて出る触腕を斬り刻み、共に列車の上を走り抜ける。
「炭治郎以外の隊士は?師範は!?」
「まだ起きていません!」
「なら伊之助は多分じきに起きる!二人で協力してこれらを斬って!!戦いの気配を感じるから、禰󠄀豆子ちゃんも肉壁に攻撃しているはずよ!!」
こうなったら器物損壊だなんて言っていられない。窓を蹴破り中に戻る。
私は後方、炭治郎は前方を見据えて技を放つ。
頸も早く斬りたいけど、それにしたって触腕が多すぎるのだ。乗客の命が優先される今の状況的に、どんなに頸を斬りにいきたくとも、まずは杏寿郎さんを起こすのが先決。
この鬼の触腕の対処には、人手は多い方がいい。
「私は師範達を起こす!!」
「はい!でも善逸は大丈夫だと思います!こちらは任せてください!!」
「了解!」
確か酔拳……じゃなかった。善逸は睡剣の使い手だったものね。
炭治郎と別れ、肉壁から伸びてくる触腕を斬りつつ進む。私を狙っているだけあってキリがない。
「ほんっと、邪魔だなぁ!?
何よこの八目鰻みたいな口と牙のついた触腕!捕まえるだけじゃなくて、ちょっと味見する気満々じゃないの!!」
伸びてくる触腕の一部先端に、口がついている。その口にびっしりと並ぶギザギザの歯。よだれまで垂らしてまあ〜私を食べようともしてきているわけだ。
捕まえるか食べるかどっちにしろ。苦々しく思いながら、斬り刻む。
「だって稀血だもの。少しは食べてみたいって思うでしょう?」
「うわいたの!」
にゅっと湧いて出る魘夢の顔。触腕の先端にいきなりとは、さすがにビビる。
「列車は俺であり、俺は列車である。どこにでも顔は出せるし、見られるし、お話しできるんだよ?こうやって腕を出して君を拘束することもできる……」
すぐ最後の壁から出る魘夢の腕。けれど見えている!──不知火!
「……その前に斬るけどねっ」
「ふふ、つれないなぁ」
少しも残念そうにしていない魘夢は、私に斬られて消えた。
ズパッ!!
背後から忍び寄っていた触手を、炭治郎が斬り落とした。
「炭治郎……!」
「戦いの音が聞こえたので来ました!大丈夫ですか!!」
「ありがとう。助かったわ……」
やっと来たか!なんという救世主!!
「この鬼は……下弦の壱!」
「そう、下弦の壱、魘夢。無限列車に巣食う鬼っ!この鬼の頸を斬ったところで本体はここじゃない、この列車そのものが鬼と同化してる!」
尚も続く触手の猛攻に反撃し、時に逃れながら説明する。背後にいる炭治郎が心強い。
「おはよう鬼狩り。稀血ちゃんへの陵辱を邪魔されたくないからまだ寝ててよかったのにぃ」
うっ!凌辱だなんて、いやらしくて気持ちの悪い言葉を使いおってからに!鳥肌が立つ!炭治郎に聞かせたくない。
「じゃあ、斬っても意味は……」
「ないけどある!多少は体力を削ることができる。頸や人の形をしているから」
「さすがは稀血ちゃん。よくわかっているね。でもそう簡単にはいかないよ?この『俺』も『俺』自身もね。それで君は俺に捕まる、と。どうせこの中は俺の腹の中と同じだからねぇ」
何をしたところでお前は俺の掌の上だと。逃げても無駄だとにんまりと目を細めて笑う魘夢に、口中で舌打ちする。
「炭治郎、貴方が鬼の頸を斬って!私は、ちょっと……この触手で忙し、いっ!!」
「え、でも朝緋さんを狙うようにこの触手は向かって……!」
「私の事はいいから!!」
「は、はいっ!!」
強く言えば、炭治郎は前に出た。
元より、炭治郎でなく私に向かってきていた触手なのだ。この程度を一人で相手出来ずにどうする!
私は誰だ?私は炎柱が継子、煉獄朝緋だ!!
「炎の呼吸、肆ノ型 盛炎のうねり!!」
赤く、そして蒼き私の炎が周りを焼いた。
炭治郎と魘夢が会話しているのが聞こえる。魘夢が、炭治郎の逆鱗に触れたようだ。
「俺はお前を許さない!」
青筋を立てて日輪刀を構える炭治郎をものともせず、ゆるりとしゃべる魘夢。余裕を構えていられるのは今のうちだぞ。炭治郎はお前の血鬼術には負けない。
「君、耳に飾りをつけているねぇ。稀血ちゃんは手に入るわ、耳に飾りをつけた鬼狩りを殺せるわ、俺は本当に運がいいなぁ!
夢みたいだぁ!これでもっと無惨様に血を分けていただける!!」
──耳に飾り?炭治郎のあの花札みたいなイヤリングの事だよね。あれが一体なんだというの?いや、今はいい。頭の中に留め置く。
「水の呼吸、拾ノ型 生生流転!」
「血鬼術、強制昏倒睡眠 催眠の囁きおねむりぃ!」
炭治郎は眠らない。眠らされてもすぐに起きる。どうやってこの子が起きたと思っているのよ。
一度覚悟して自刃したものに、そんな真似は効かない!
「俺の家族を侮辱するなぁ!!!」
攻撃の最中、ブチ切れた炭治郎が刃を振るう。その刃が一瞬、火のようなものに包まれて見えた。──水の呼吸なのに、ヒノカミ神楽の片鱗が見えている?
交互に使い分けるのとは違う、併せた呼吸のようなものか。
より速く強く、勢いの増した刃が魘夢の頸に届く。
スパァン!魘夢の頸が闇夜に刎ね跳んだ。
「あーぁ、やられちゃった……また来るよ……」
魘夢が頸と体を列車に吸収させて消えていくと同時、私を狙う触手の数が少なくなる。
「消えた……中か!でもやりましたよ、朝緋さん!!」
「よくやった炭治郎!おかげでこっちも少し落ち着いたわ。でもこれで終わりじゃない!」
「はい!わかってます!次はどうしたらいいですか!!」
「中にも外にも肉塊が溢れ始めている!車両の中に入って、他の隊士と協力して乗客を鬼の肉から守る!!」
中は鬼の腹の中と同じだから、行くのちょっと嫌だけどね……。狙われている私は特に捕まらないようにしないと。
湧いて出る触腕を斬り刻み、共に列車の上を走り抜ける。
「炭治郎以外の隊士は?師範は!?」
「まだ起きていません!」
「なら伊之助は多分じきに起きる!二人で協力してこれらを斬って!!戦いの気配を感じるから、禰󠄀豆子ちゃんも肉壁に攻撃しているはずよ!!」
こうなったら器物損壊だなんて言っていられない。窓を蹴破り中に戻る。
私は後方、炭治郎は前方を見据えて技を放つ。
頸も早く斬りたいけど、それにしたって触腕が多すぎるのだ。乗客の命が優先される今の状況的に、どんなに頸を斬りにいきたくとも、まずは杏寿郎さんを起こすのが先決。
この鬼の触腕の対処には、人手は多い方がいい。
「私は師範達を起こす!!」
「はい!でも善逸は大丈夫だと思います!こちらは任せてください!!」
「了解!」
確か酔拳……じゃなかった。善逸は睡剣の使い手だったものね。
炭治郎と別れ、肉壁から伸びてくる触腕を斬りつつ進む。私を狙っているだけあってキリがない。
「ほんっと、邪魔だなぁ!?
何よこの八目鰻みたいな口と牙のついた触腕!捕まえるだけじゃなくて、ちょっと味見する気満々じゃないの!!」
伸びてくる触腕の一部先端に、口がついている。その口にびっしりと並ぶギザギザの歯。よだれまで垂らしてまあ〜私を食べようともしてきているわけだ。
捕まえるか食べるかどっちにしろ。苦々しく思いながら、斬り刻む。
「だって稀血だもの。少しは食べてみたいって思うでしょう?」
「うわいたの!」
にゅっと湧いて出る魘夢の顔。触腕の先端にいきなりとは、さすがにビビる。
「列車は俺であり、俺は列車である。どこにでも顔は出せるし、見られるし、お話しできるんだよ?こうやって腕を出して君を拘束することもできる……」
すぐ最後の壁から出る魘夢の腕。けれど見えている!──不知火!
「……その前に斬るけどねっ」
「ふふ、つれないなぁ」
少しも残念そうにしていない魘夢は、私に斬られて消えた。