五周目 伍
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無限列車に乗り込み、煉獄さんを探す。
黄色と赤の髪色で、派手な炎柄の羽織を着ていたからどんな人なのかもわかっている。
そういえば、朝緋さんは煉獄さんの継子と言っていたな。
俺達の機能回復訓練や修行に付き合ってくれた優しくて面白いけれど、同時に厳しい人。きちんと言えなかったからあの時のお礼を言いたいけれど、煉獄さんと一緒にここに来ているのだろうか。
どちらにせよきっと、煉獄さんはこの先の車両だ。
がらり、次の車両への引き戸を開ける。
「うまい!!」
耳のいい善逸が失神しそうになる程の声が響いた。大声すぎて正直、俺もびっくりして固まってしまった。
「うまい!うまい!うまい!うまい!!」
周りの乗客も、その声の大きさにその人を見ている。
うまいと声を発している人こそ、煉獄さんだった。声をかけるも無視。いや、お弁当と真摯に向き合っているだけなのか……?
「あの……煉獄さん……?」
「うまい!!!!」
「それはすごくわかりました……」
最終的に『うまい!』で返された。
そんなに美味しいんだ、このお弁当……。
「うん、ほんとに美味しー。お口の中が甘くて冷たくて……ここが天国か!」
ほわほわ〜と花を散らすように幸せそうな顔をした朝緋さんが、煉獄さんの隣にいた。匙を口に含んで、こちらも完全に自分の世界に浸っている。食べているのは氷菓子?列車の中でか?
「朝緋さん」
「あ、炭治郎達か。来たのね〜。食べる?」
あれ?まるで俺達が来る事をわかっていたかのようだ。朝緋さん、全く驚いていない。煉獄さんはお弁当に夢中なだけのようだけど。
「あむっ」
「あ」
差し出された匙を断る前に、煉獄さんがばくりと口に含んで食べた。
「なんで師範が食べるのさ。口の中でお肉とアイスが混ざるよ?」
「混ざった!だが美味い!!」
「え、まじで?」
「まじでも何でもいいが、君は俺以外の人に同じ匙を使わせるのか。あーんするのか」
「う……すみません」
うわ、煉獄さんから焦げ付く匂いがしている。善逸によると、これは嫉妬の感情だそうだ。なるほど、煉獄さんは朝緋さんが好きなんだなあ。
挨拶と自己紹介をして同じ席につかせてもらった。
煉獄さんが食べていたものと同じお弁当ももらえた。確かに美味しいけど、来るのがわかっていたかのように三つだけ残してあったのはどういう事なのだろう。
「回復訓練ではありがとうございました。朝緋さんが何度も教えに来てくださったおかげもあり、全員常中も出来るようになりましたし、俺はヒノカミ神楽も少しは使えるようになりました。水の呼吸との切り替えはまだまだ上手く出来ていませんが……」
早く、複数の呼吸を使えるようにならなくては。強くならないと……。この人の教えてくれたことに。期待にも応えたい。
「私は綺麗なヒノカミ神楽の一部がみられて嬉しかったし、少しでも成長出来たのなら何より」
朝緋さんが頭に手を置いて撫でてくれた。俺は少しばかり、難しい顔をしていたようだ。
「俺は技にキレが増したぜ!ありがとなまだら!」
「あはは、ならよかった。私はまだらじゃなくて朝緋だけどね」
「……俺は何にも変わってないよ」
「常中ができるようになったならいいじゃん。それに速さは増してると思うし、善逸が強くなるのはこれからでしょ。そんなに自分を卑下しないの」
励まされた事で善逸が明るい顔になっている。面倒見のいいお姉さんだなあ。俺に姉がいたら、こんな感じなのかな。
「ほう。朝緋はそんなことまでしていたのだな。その他に一人で列車の鬼を調査したり任務に出たりとお疲れ様だ。いやしかし、少年達と……男と……」
「悋 気 禁 止」
「む……」
むぎゅ。嫉妬したらしい煉獄さんが朝緋さんに頬を摘まれている。柱になんと恐れ多い……!
「こほん。ところで君達はどうしてここにいる。任務か?」
他の席に座って騒ぐ伊之助は善逸に任せ、煉獄さんと話す。任務であると同時、煉獄さんに聞きたいことがあるのだと伝える。
けれど、煉獄さんから答えは得られず、継子に誘われて終わった。
炎の呼吸とヒの呼吸。何かわかるかもと、しのぶさんにも言われた事だし、ヒノカミ神楽について聞いてみたんだが、何も知らないとのことだ。
それにしても煉獄さんはどこを見て言っているのだろう……。目線が合わないなぁ。
そう思ったけれど、よく見たら大抵は朝緋さんを見ていた。本当に好きなんだな、この人。
ヒノカミ神楽については逆に朝緋さんの方が知っているかのようだった。
「ヒの呼吸は、お日様の日。日の呼吸だと思うよ。全てに通ずる始まりの一つ。最強と謳われている……と、読んだ事がある」
「何?朝緋は何故そんなことを知って……」
「何かの書物に書いてあったってだけ」
その書物が知りたい。けれど、そこまでは朝緋さんも教えてはくれなかった。
「私の元の家は神社なんだけど、そこにも神楽舞があるのよ。炎の呼吸を独自に用いた神楽舞。炭治郎のように戦いに応用したりは出来なさそうだけど、この前本部で繰り返し踊ったの」
「おお!朝緋の踊り!ぜひ見てみたい!!今度俺の前でも踊ってくれ!!」
「はいはい今度ね」
「よも……その言い方はつれない」
あっさりかわされている。あしらい方が上手いけれど、それじゃ煉獄さんが可哀想だ。
「踊り続けていたら、色々な記憶が蘇ってきた。それは全部大したことじゃなかったけれど、今は亡き父や母に言われたことを思い出したし、気づいたことがたくさんある。一部は炎の呼吸の扱いにも通ずるものがあった。
炭治郎もヒノカミ神楽の呼吸を極めれば……強くなればきっと何かわかるかもしれない。何かを掴めるかもしれないよ」
「はい……!ありがとうございます」
その後、煉獄さんと朝緋さんに各呼吸について教えてもらった。
基本の呼吸、派生の呼吸。みんな自分に合う呼吸はそれぞれ違って、枝分かれして派生の呼吸になっていくんだな。
朝緋さんが複数の呼吸を使うことは派生ではなく、あくまでも基本炎の呼吸を使う複数呼吸使いということらしい。
俺は水とヒノカミ神楽。複数の呼吸を使うのと同じだから、こんなにも親身になってくれているのかな。ありがたいことだ。
あと煉獄さん、俺の名前は竈門です。溝口って誰ですか。
黄色と赤の髪色で、派手な炎柄の羽織を着ていたからどんな人なのかもわかっている。
そういえば、朝緋さんは煉獄さんの継子と言っていたな。
俺達の機能回復訓練や修行に付き合ってくれた優しくて面白いけれど、同時に厳しい人。きちんと言えなかったからあの時のお礼を言いたいけれど、煉獄さんと一緒にここに来ているのだろうか。
どちらにせよきっと、煉獄さんはこの先の車両だ。
がらり、次の車両への引き戸を開ける。
「うまい!!」
耳のいい善逸が失神しそうになる程の声が響いた。大声すぎて正直、俺もびっくりして固まってしまった。
「うまい!うまい!うまい!うまい!!」
周りの乗客も、その声の大きさにその人を見ている。
うまいと声を発している人こそ、煉獄さんだった。声をかけるも無視。いや、お弁当と真摯に向き合っているだけなのか……?
「あの……煉獄さん……?」
「うまい!!!!」
「それはすごくわかりました……」
最終的に『うまい!』で返された。
そんなに美味しいんだ、このお弁当……。
「うん、ほんとに美味しー。お口の中が甘くて冷たくて……ここが天国か!」
ほわほわ〜と花を散らすように幸せそうな顔をした朝緋さんが、煉獄さんの隣にいた。匙を口に含んで、こちらも完全に自分の世界に浸っている。食べているのは氷菓子?列車の中でか?
「朝緋さん」
「あ、炭治郎達か。来たのね〜。食べる?」
あれ?まるで俺達が来る事をわかっていたかのようだ。朝緋さん、全く驚いていない。煉獄さんはお弁当に夢中なだけのようだけど。
「あむっ」
「あ」
差し出された匙を断る前に、煉獄さんがばくりと口に含んで食べた。
「なんで師範が食べるのさ。口の中でお肉とアイスが混ざるよ?」
「混ざった!だが美味い!!」
「え、まじで?」
「まじでも何でもいいが、君は俺以外の人に同じ匙を使わせるのか。あーんするのか」
「う……すみません」
うわ、煉獄さんから焦げ付く匂いがしている。善逸によると、これは嫉妬の感情だそうだ。なるほど、煉獄さんは朝緋さんが好きなんだなあ。
挨拶と自己紹介をして同じ席につかせてもらった。
煉獄さんが食べていたものと同じお弁当ももらえた。確かに美味しいけど、来るのがわかっていたかのように三つだけ残してあったのはどういう事なのだろう。
「回復訓練ではありがとうございました。朝緋さんが何度も教えに来てくださったおかげもあり、全員常中も出来るようになりましたし、俺はヒノカミ神楽も少しは使えるようになりました。水の呼吸との切り替えはまだまだ上手く出来ていませんが……」
早く、複数の呼吸を使えるようにならなくては。強くならないと……。この人の教えてくれたことに。期待にも応えたい。
「私は綺麗なヒノカミ神楽の一部がみられて嬉しかったし、少しでも成長出来たのなら何より」
朝緋さんが頭に手を置いて撫でてくれた。俺は少しばかり、難しい顔をしていたようだ。
「俺は技にキレが増したぜ!ありがとなまだら!」
「あはは、ならよかった。私はまだらじゃなくて朝緋だけどね」
「……俺は何にも変わってないよ」
「常中ができるようになったならいいじゃん。それに速さは増してると思うし、善逸が強くなるのはこれからでしょ。そんなに自分を卑下しないの」
励まされた事で善逸が明るい顔になっている。面倒見のいいお姉さんだなあ。俺に姉がいたら、こんな感じなのかな。
「ほう。朝緋はそんなことまでしていたのだな。その他に一人で列車の鬼を調査したり任務に出たりとお疲れ様だ。いやしかし、少年達と……男と……」
「悋 気 禁 止」
「む……」
むぎゅ。嫉妬したらしい煉獄さんが朝緋さんに頬を摘まれている。柱になんと恐れ多い……!
「こほん。ところで君達はどうしてここにいる。任務か?」
他の席に座って騒ぐ伊之助は善逸に任せ、煉獄さんと話す。任務であると同時、煉獄さんに聞きたいことがあるのだと伝える。
けれど、煉獄さんから答えは得られず、継子に誘われて終わった。
炎の呼吸とヒの呼吸。何かわかるかもと、しのぶさんにも言われた事だし、ヒノカミ神楽について聞いてみたんだが、何も知らないとのことだ。
それにしても煉獄さんはどこを見て言っているのだろう……。目線が合わないなぁ。
そう思ったけれど、よく見たら大抵は朝緋さんを見ていた。本当に好きなんだな、この人。
ヒノカミ神楽については逆に朝緋さんの方が知っているかのようだった。
「ヒの呼吸は、お日様の日。日の呼吸だと思うよ。全てに通ずる始まりの一つ。最強と謳われている……と、読んだ事がある」
「何?朝緋は何故そんなことを知って……」
「何かの書物に書いてあったってだけ」
その書物が知りたい。けれど、そこまでは朝緋さんも教えてはくれなかった。
「私の元の家は神社なんだけど、そこにも神楽舞があるのよ。炎の呼吸を独自に用いた神楽舞。炭治郎のように戦いに応用したりは出来なさそうだけど、この前本部で繰り返し踊ったの」
「おお!朝緋の踊り!ぜひ見てみたい!!今度俺の前でも踊ってくれ!!」
「はいはい今度ね」
「よも……その言い方はつれない」
あっさりかわされている。あしらい方が上手いけれど、それじゃ煉獄さんが可哀想だ。
「踊り続けていたら、色々な記憶が蘇ってきた。それは全部大したことじゃなかったけれど、今は亡き父や母に言われたことを思い出したし、気づいたことがたくさんある。一部は炎の呼吸の扱いにも通ずるものがあった。
炭治郎もヒノカミ神楽の呼吸を極めれば……強くなればきっと何かわかるかもしれない。何かを掴めるかもしれないよ」
「はい……!ありがとうございます」
その後、煉獄さんと朝緋さんに各呼吸について教えてもらった。
基本の呼吸、派生の呼吸。みんな自分に合う呼吸はそれぞれ違って、枝分かれして派生の呼吸になっていくんだな。
朝緋さんが複数の呼吸を使うことは派生ではなく、あくまでも基本炎の呼吸を使う複数呼吸使いということらしい。
俺は水とヒノカミ神楽。複数の呼吸を使うのと同じだから、こんなにも親身になってくれているのかな。ありがたいことだ。
あと煉獄さん、俺の名前は竈門です。溝口って誰ですか。