五周目 肆
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再びまっすぐな線路を走っていく列車。速度が徐々に上がっていく。
「どうせ前の車両の方でしょうね……」
あの鬼の気配なら探れる。
何回魘夢を見たと思って?まだ列車と融合のゆの字も出ていない今、どこを彷徨いているのかなんて丸わかりだ。
お前に隠れる場所なんてないんだからね。
前といっても、車両の中にはいない。運転室にもだ。
この運転士も協力者かしら……。ちらと覗いた運転室の中、ただハンドルを握るだけの人間を眺める。どう見ても疑わしき人間だけど、今は放置でいいだろう。
……上か。
「みぃつけた」
私が鬼役の鬼ごっこはこれにて終いだ。にんまり笑って鬼の前に現れる私。
場所は走る列車の上。ああ、これは炭治郎と魘夢が戦った時の状況と酷似しているわね。
面倒臭いしこの鬼の頸、今ここで斬ってしまいたいのだけども、駄目なのだろうか。
この状況、この場面が、私に『鬼の頸を斬る』ようにと力を与えてくる。
あっ間違えて斬っちゃった!てへぺろ!
で、通用しない?いいよね、間違えたなら。
未来に不安はあるけれど、鬼が一匹でも減るのは嬉しい。
よし殺そう。
「見つかるのなんてわかりきっていたよ。だって、君を待っていたんだも、のッ!!」
長い足から蹴りが繰り出される。
上弦の参・猗窩座ほどの格闘術は持ち合わせていないけれど、その辺のキックボクサーよりはキレのいい蹴り。かわしきるのがやっとだ。
ちなみにこの時代はキックボクサーなんていないどころかそんな言葉すらないので、比べる対象もいない。
列車の屋根から滑って落ちそうになる中、負けじと日輪刀を振るう。
私の青い炎が、夜空に軌跡を描いた。
「ちっ、今度こそ逃しはしな、」
ガクン!
「!?……な、なに!?」
「見てわからない?俺の左手首だよ」
足が引っ張られ、固定される感覚。見てみれば、魘夢の左手首が私の足を掴んでいた。
ぼこり、手首の先から肉塊が広がり、私の足を、体を包み込む。
「なっ!?」
融合してからしか、肉塊を操ってこないと勘違いしていた!
そうだ、そもそもこの鬼は既に四十名の人間を食べて強さを増している!!
「捕まっちゃった……ねぇ!」
私を高く持ち上げると──ビタン!!
「うぐっ!?」
列車の屋根に、思い切り叩きつける。
バキッ!バァン!!一度ではない、二度も三度も。
「──っ!!」
どこか折れたかヒビが入ったな……。まずい、血も出た……。魘夢が私の稀血に気付く前になんとかしないと、捕まったままの今の状況じゃ食われてしまう。
とりあえず、動けるように。痛みを和らげるように、回復の呼吸をしないと。
「さて。屋根から乗車したなら、屋根からご退場いただくのが普通、でしょう?」
ぶらり、列車から逆さ吊りにされる。地面……というか川が遥か下の、橋の上に差し掛かった。
「この高さから落ちたらいくら鬼狩りでも死ぬよねぇ?死ね、鬼狩り!」
私は水面に叩きつけられるようにして、魘夢に落とされた。
殺せなかった。頸を取れなかった。バイバイ、と手のひらを振る奴が憎らしい。
あとで絶対に、責任を持って私が頸を取る。でも、杏寿郎さんは列車に乗せたくないから任務はなしの方向でお願いします。
「ん……あの鬼狩り、稀血だったのか。食べておけばよかっ……、………………あの方が、望んでいる。────、と…………?
──生きていたら、また会おうね。稀血ちゃん」
魘夢の目を通して、禍々しく輝く紅い瞳が、私に狙いを定めてみえる。
にんまり笑って何かを呟いていたけれど、私の耳には落下時の風の音しか聞こえなかった。
ザパン!!
私を置いて進んでいく列車の下、川へと投げ捨てられ水に叩きつけられた私。
死んでない、生きている。
「ぷはっ!
あー、もう。死ぬかと思った。あんなたっかい橋の上から落とすだなんて……。打った肩もヒビが入ったのかかなり痛い、皮膚も少し裂けて痛い、最悪」
なんという高いところから落とされたのだろう。下が流れの緩やかな深い川だった事と、着水の仕方を学んでいたから助かった。滝行や川での修行をつけてくださった鱗滝さんに感謝だ。
これで少しでも、未来が何かしらいい方に変わってくれるといいんだけど……。
隊士達を救えたのは大きい気がする。
だって、仲間は多い方がいい。死者は少ない方がいいもの。
しかし展開通り、無限列車の車体は整備工場に運ばれてしまった。
人喰い列車、だなんて不名誉なレッテルを貼られて。
「どうせ前の車両の方でしょうね……」
あの鬼の気配なら探れる。
何回魘夢を見たと思って?まだ列車と融合のゆの字も出ていない今、どこを彷徨いているのかなんて丸わかりだ。
お前に隠れる場所なんてないんだからね。
前といっても、車両の中にはいない。運転室にもだ。
この運転士も協力者かしら……。ちらと覗いた運転室の中、ただハンドルを握るだけの人間を眺める。どう見ても疑わしき人間だけど、今は放置でいいだろう。
……上か。
「みぃつけた」
私が鬼役の鬼ごっこはこれにて終いだ。にんまり笑って鬼の前に現れる私。
場所は走る列車の上。ああ、これは炭治郎と魘夢が戦った時の状況と酷似しているわね。
面倒臭いしこの鬼の頸、今ここで斬ってしまいたいのだけども、駄目なのだろうか。
この状況、この場面が、私に『鬼の頸を斬る』ようにと力を与えてくる。
あっ間違えて斬っちゃった!てへぺろ!
で、通用しない?いいよね、間違えたなら。
未来に不安はあるけれど、鬼が一匹でも減るのは嬉しい。
よし殺そう。
「見つかるのなんてわかりきっていたよ。だって、君を待っていたんだも、のッ!!」
長い足から蹴りが繰り出される。
上弦の参・猗窩座ほどの格闘術は持ち合わせていないけれど、その辺のキックボクサーよりはキレのいい蹴り。かわしきるのがやっとだ。
ちなみにこの時代はキックボクサーなんていないどころかそんな言葉すらないので、比べる対象もいない。
列車の屋根から滑って落ちそうになる中、負けじと日輪刀を振るう。
私の青い炎が、夜空に軌跡を描いた。
「ちっ、今度こそ逃しはしな、」
ガクン!
「!?……な、なに!?」
「見てわからない?俺の左手首だよ」
足が引っ張られ、固定される感覚。見てみれば、魘夢の左手首が私の足を掴んでいた。
ぼこり、手首の先から肉塊が広がり、私の足を、体を包み込む。
「なっ!?」
融合してからしか、肉塊を操ってこないと勘違いしていた!
そうだ、そもそもこの鬼は既に四十名の人間を食べて強さを増している!!
「捕まっちゃった……ねぇ!」
私を高く持ち上げると──ビタン!!
「うぐっ!?」
列車の屋根に、思い切り叩きつける。
バキッ!バァン!!一度ではない、二度も三度も。
「──っ!!」
どこか折れたかヒビが入ったな……。まずい、血も出た……。魘夢が私の稀血に気付く前になんとかしないと、捕まったままの今の状況じゃ食われてしまう。
とりあえず、動けるように。痛みを和らげるように、回復の呼吸をしないと。
「さて。屋根から乗車したなら、屋根からご退場いただくのが普通、でしょう?」
ぶらり、列車から逆さ吊りにされる。地面……というか川が遥か下の、橋の上に差し掛かった。
「この高さから落ちたらいくら鬼狩りでも死ぬよねぇ?死ね、鬼狩り!」
私は水面に叩きつけられるようにして、魘夢に落とされた。
殺せなかった。頸を取れなかった。バイバイ、と手のひらを振る奴が憎らしい。
あとで絶対に、責任を持って私が頸を取る。でも、杏寿郎さんは列車に乗せたくないから任務はなしの方向でお願いします。
「ん……あの鬼狩り、稀血だったのか。食べておけばよかっ……、………………あの方が、望んでいる。────、と…………?
──生きていたら、また会おうね。稀血ちゃん」
魘夢の目を通して、禍々しく輝く紅い瞳が、私に狙いを定めてみえる。
にんまり笑って何かを呟いていたけれど、私の耳には落下時の風の音しか聞こえなかった。
ザパン!!
私を置いて進んでいく列車の下、川へと投げ捨てられ水に叩きつけられた私。
死んでない、生きている。
「ぷはっ!
あー、もう。死ぬかと思った。あんなたっかい橋の上から落とすだなんて……。打った肩もヒビが入ったのかかなり痛い、皮膚も少し裂けて痛い、最悪」
なんという高いところから落とされたのだろう。下が流れの緩やかな深い川だった事と、着水の仕方を学んでいたから助かった。滝行や川での修行をつけてくださった鱗滝さんに感謝だ。
これで少しでも、未来が何かしらいい方に変わってくれるといいんだけど……。
隊士達を救えたのは大きい気がする。
だって、仲間は多い方がいい。死者は少ない方がいいもの。
しかし展開通り、無限列車の車体は整備工場に運ばれてしまった。
人喰い列車、だなんて不名誉なレッテルを貼られて。