五周目 肆
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隠によって炭治郎が運ばれてきた。炭治郎のいる柱合会議は二度目ましてだ。
やはり鬼を連れた隊士の情報は、炭治郎で間違いがなかった。まあ、明槻によるとこの子が『主人公』だものね。
相変わらず傷だらけで痛々しい。応急処置はしてあるっていうけれど、足りてない。あ、でもこの後は蝶屋敷で療養するんだっけ。機能回復訓練にも入るのよね。
炭治郎が起きても素知らぬふりしておかないと……。なんていうの?さも初めて会います、みたいに。匂いでバレるかもしれないけど、それはそれ。いくらでも誤魔化しようがある。
「……この子は?」
「鬼を連れていたっていう鬼殺隊士だ。派手な真似してやがると思ったけど、期待外れだ。地味な野郎だぜ」
「うむ!鬼を連れるなど明らかな隊律違反!だからこれからこの少年の裁判をするそうだ!!」
「へー、裁判……」
あ、炭治郎の瞼がぴくぴく動いた。杏寿郎さんの声で覚醒しかけたのかな。そこにすかさず、隠が無理やり起こしにかかる。
杏寿郎さんのものとはまた違う、深みのある綺麗な赤い目が虚空を彷徨った。
「なんだ、この人た……い゛っ!?」
「口を挟むな!誰の前にいると思ってるんだ!柱の前だぞ!」
べしん!隠に叩かれてる……。柱の前だからって怪我人には優しくしなきゃ駄目だよ。
「あ、私も黙っといたほうがいいかな。退席した方がよくない?だってよく考えたら柱の中に一般隊士がいつまでもいるとか……恐れ多いんですけど」
「君は別にいいだろう?話してかまわないし会議が始まったら退席すればいい。共に帰る予定もある事だしな。……せめて今は俺の隣にいてくれ」
「杏寿郎さん……」
手を取られ、ぎゅっと握られた。見つめてくる太陽のような熱視線で焼けて溶けちゃいそう。
柱に囲まれた状況の中、二人だけの世界が広がる。甘い空気が漂った瞬間に咳払いが聞こえてきて、慌てて前を向く。
しのぶがピキピキしていた。咳払いはしのぶだったかぁ。
「ええと、裁判を始める前に君が犯した罪について……」
「いや、裁判の必要などない!鬼もろとも斬首する!!」
杏寿郎さんが柱の顔に逆戻り。んー!いい笑顔!……でも言葉が強すぎる。
「出たよ斬首の言葉……。ちょっと過激すぎやしませんかね、師範?」
「む、この件について朝緋は黙っていなさい。柱としての会話だ!」
「えぇ〜さっき別に話してもいいって言ったのにぃ……」
「庇いだてすればお前も隊律違反と見なされるぞー」
「南無……うんうん」
「うげ、気をつけます」
宇髄さんからも注意されたし、悲鳴嶼さんも頷いていることだし、お口のチャック閉めときます。
「俺が派手に首を斬ってやろう、派手にな」
「かわいそうに……生まれてきたことがかわいそうだ」
杏寿郎さん、宇髄さん、悲鳴嶼さんはやっぱり、殺しちゃおう派かぁ。他の柱も『前』と同じ考えのようであまり炭治郎に友好的とは言えない。
まだここに来てない不死川さんも確実に殺しちゃおう派だ。それだけはよーくわかってる。
不死川さんといえば禰󠄀豆子ちゃんの入った木箱も不死川さんに人質……、連れてこられるんだっけ。
禰󠄀豆子ちゃんは刺されるのよね。かわいそうだけど、私に止める手段はない。止めたら今度こそ隊律違反と見なされる……。
私は鬼じゃないので頸を斬られるのも罰せられるのもごめんだ。
でもどこに置いてあったんだろう。先に知っていればなあ……。
炭治郎も柱の言葉は無視して、視線で禰󠄀豆子ちゃんの箱を探していた。
あまりにも炭治郎がキョロキョロするものだから『鬼殺隊で最も位の高い九名の剣士なんだぞ』と隠の……えっと、後藤さんだっけ?から、説明されて首を元の位置に戻されてる。
「柱……、」
「あ、私は違うよ竈門くんに後藤さん。ただの一般隊士です」
シュバ!炭治郎の目が私にまで及んだので、速攻で否定する。柱と同格に思われるなんて、恐れ多い!!
「わかってますよ朝緋さん!でも貴女は一般隊士じゃなくて地位も高めの炎柱様継子で……って、ええ!ただの隠である俺の名前を知ってる!?」
「あー、まあ……うん、知ってる」
これくらいならボロが出ても大丈夫、だよね?
「そんなことより冨岡はどうするのかね?どう処分する?どう責任を取らせる?どんな目に合わせてやろうか」
木の上の伊黒さんの指の先、冨岡さんが佇む。まだそんなところに一人でいたのね……。
炭治郎は伊黒さんと冨岡さんに今気がついたみたい。二人とも気配を消すのが上手だよね。伊黒さんの場合は蛇が獲物を狙うが如く気配を消すから、どこにいるのか本当にわからなくなる時がある。
それにしても伊黒さん、相変わらず冨岡さんを嫌ってるのね。『今回』もあたりがきつい。冨岡さんも言葉が足りないから誤解されるんだろうけどさ。
一応水の呼吸的には兄弟子だから肩を持ちたいけど持てない……ごめん冨岡さん。貴方から変わってくれないと駄目なの。
しのぶの一言で冨岡さんの処罰はあとになった。まずは炭治郎のことが先みたい。
改めて聞いたけど、鬼を連れているとやっぱり隊律違反なのね……。隊律が書いてある本とかないのかな。ルールブック的なの。
読んだことも見たこともないから、きっと暗黙の了解になっているんだろうね。
その後の展開は『前回』と同じだった。
……不死川さんの所業も何もかも、私は見ていることしかできなかった。
私は知っていても口にも顔にも、心にもださずただ見守るしかできないの。炭治郎。禰󠄀豆子ちゃん。痛かったよね。つらいよね。本当にごめんね。
知っているとバレるわけにいかない。怒られる行動はすべきじゃない。他の柱にも御館様にも杏寿郎さんにも。誰にも不審に思われるべきじゃないから。
やはり鬼を連れた隊士の情報は、炭治郎で間違いがなかった。まあ、明槻によるとこの子が『主人公』だものね。
相変わらず傷だらけで痛々しい。応急処置はしてあるっていうけれど、足りてない。あ、でもこの後は蝶屋敷で療養するんだっけ。機能回復訓練にも入るのよね。
炭治郎が起きても素知らぬふりしておかないと……。なんていうの?さも初めて会います、みたいに。匂いでバレるかもしれないけど、それはそれ。いくらでも誤魔化しようがある。
「……この子は?」
「鬼を連れていたっていう鬼殺隊士だ。派手な真似してやがると思ったけど、期待外れだ。地味な野郎だぜ」
「うむ!鬼を連れるなど明らかな隊律違反!だからこれからこの少年の裁判をするそうだ!!」
「へー、裁判……」
あ、炭治郎の瞼がぴくぴく動いた。杏寿郎さんの声で覚醒しかけたのかな。そこにすかさず、隠が無理やり起こしにかかる。
杏寿郎さんのものとはまた違う、深みのある綺麗な赤い目が虚空を彷徨った。
「なんだ、この人た……い゛っ!?」
「口を挟むな!誰の前にいると思ってるんだ!柱の前だぞ!」
べしん!隠に叩かれてる……。柱の前だからって怪我人には優しくしなきゃ駄目だよ。
「あ、私も黙っといたほうがいいかな。退席した方がよくない?だってよく考えたら柱の中に一般隊士がいつまでもいるとか……恐れ多いんですけど」
「君は別にいいだろう?話してかまわないし会議が始まったら退席すればいい。共に帰る予定もある事だしな。……せめて今は俺の隣にいてくれ」
「杏寿郎さん……」
手を取られ、ぎゅっと握られた。見つめてくる太陽のような熱視線で焼けて溶けちゃいそう。
柱に囲まれた状況の中、二人だけの世界が広がる。甘い空気が漂った瞬間に咳払いが聞こえてきて、慌てて前を向く。
しのぶがピキピキしていた。咳払いはしのぶだったかぁ。
「ええと、裁判を始める前に君が犯した罪について……」
「いや、裁判の必要などない!鬼もろとも斬首する!!」
杏寿郎さんが柱の顔に逆戻り。んー!いい笑顔!……でも言葉が強すぎる。
「出たよ斬首の言葉……。ちょっと過激すぎやしませんかね、師範?」
「む、この件について朝緋は黙っていなさい。柱としての会話だ!」
「えぇ〜さっき別に話してもいいって言ったのにぃ……」
「庇いだてすればお前も隊律違反と見なされるぞー」
「南無……うんうん」
「うげ、気をつけます」
宇髄さんからも注意されたし、悲鳴嶼さんも頷いていることだし、お口のチャック閉めときます。
「俺が派手に首を斬ってやろう、派手にな」
「かわいそうに……生まれてきたことがかわいそうだ」
杏寿郎さん、宇髄さん、悲鳴嶼さんはやっぱり、殺しちゃおう派かぁ。他の柱も『前』と同じ考えのようであまり炭治郎に友好的とは言えない。
まだここに来てない不死川さんも確実に殺しちゃおう派だ。それだけはよーくわかってる。
不死川さんといえば禰󠄀豆子ちゃんの入った木箱も不死川さんに人質……、連れてこられるんだっけ。
禰󠄀豆子ちゃんは刺されるのよね。かわいそうだけど、私に止める手段はない。止めたら今度こそ隊律違反と見なされる……。
私は鬼じゃないので頸を斬られるのも罰せられるのもごめんだ。
でもどこに置いてあったんだろう。先に知っていればなあ……。
炭治郎も柱の言葉は無視して、視線で禰󠄀豆子ちゃんの箱を探していた。
あまりにも炭治郎がキョロキョロするものだから『鬼殺隊で最も位の高い九名の剣士なんだぞ』と隠の……えっと、後藤さんだっけ?から、説明されて首を元の位置に戻されてる。
「柱……、」
「あ、私は違うよ竈門くんに後藤さん。ただの一般隊士です」
シュバ!炭治郎の目が私にまで及んだので、速攻で否定する。柱と同格に思われるなんて、恐れ多い!!
「わかってますよ朝緋さん!でも貴女は一般隊士じゃなくて地位も高めの炎柱様継子で……って、ええ!ただの隠である俺の名前を知ってる!?」
「あー、まあ……うん、知ってる」
これくらいならボロが出ても大丈夫、だよね?
「そんなことより冨岡はどうするのかね?どう処分する?どう責任を取らせる?どんな目に合わせてやろうか」
木の上の伊黒さんの指の先、冨岡さんが佇む。まだそんなところに一人でいたのね……。
炭治郎は伊黒さんと冨岡さんに今気がついたみたい。二人とも気配を消すのが上手だよね。伊黒さんの場合は蛇が獲物を狙うが如く気配を消すから、どこにいるのか本当にわからなくなる時がある。
それにしても伊黒さん、相変わらず冨岡さんを嫌ってるのね。『今回』もあたりがきつい。冨岡さんも言葉が足りないから誤解されるんだろうけどさ。
一応水の呼吸的には兄弟子だから肩を持ちたいけど持てない……ごめん冨岡さん。貴方から変わってくれないと駄目なの。
しのぶの一言で冨岡さんの処罰はあとになった。まずは炭治郎のことが先みたい。
改めて聞いたけど、鬼を連れているとやっぱり隊律違反なのね……。隊律が書いてある本とかないのかな。ルールブック的なの。
読んだことも見たこともないから、きっと暗黙の了解になっているんだろうね。
その後の展開は『前回』と同じだった。
……不死川さんの所業も何もかも、私は見ていることしかできなかった。
私は知っていても口にも顔にも、心にもださずただ見守るしかできないの。炭治郎。禰󠄀豆子ちゃん。痛かったよね。つらいよね。本当にごめんね。
知っているとバレるわけにいかない。怒られる行動はすべきじゃない。他の柱にも御館様にも杏寿郎さんにも。誰にも不審に思われるべきじゃないから。