五周目 肆
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いつの間にやら無限列車の任務の時期も迫ってきていた。
ああ、まずい。もっと強くならなくちゃいけないのに、私ったら何を呑気に過ごしていたのだろう。
何故その時期が迫っているのかわかったか?
もうすぐ、炭治郎が連れてこられるであろう、あの柱合会議が開かれると、杏寿郎さんから聞いたからだ。
でもまだ杏寿郎さんや他の柱達は炭治郎が参加することを知らない。炭治郎自身もそんな事は夢にも思っていないはず。柱というのが何の事かわかっていなかったくらいだし。
勘でしかないけれど、絶対炭治郎は来る。柱合会議に来る。くーる、きっと来る、きっと来るー!
あっこれじゃ、私の嫌いな幽霊が来ちゃう。この曲はやめとこう。
とりあえず炭治郎の情報はまだお口チャックだな、と思ったっけ。
「ゴロゴロ、にゃあ」
任務前のゆったりした昼の時間。陽の光差し込む炎柱邸の縁側。
私は杏寿郎さんの膝の上で飼い猫ごっこに興じていた。
「三日後に柱合会議があるぞ、俺のかわいい飼い猫殿」
こしょこしょと顎を掻かれながらの、そんな大事な話。
「確か朝緋も三日後は御館様に用事があるのではなかったか?」
「んー、正確にはあまね様に用事ですね」
欠伸しつつ起き上がる。遊びはこれで終わりかな?まだゴロゴロと、杏寿郎さん専用の猫になっていたかったなあ。
「あまね様に?」
「私もこれで神職の家の娘ですからね。神職の者にしかわからないお話ししてくるだけですよ。鬼殺隊との関わりがどの程度ある神社なのかとか、使っていた呼吸と舞いとか……」
どんな事でも、何か杏寿郎さんの生への希望、そして鬼殺隊の宿願である鬼舞辻無惨討伐に繋がるなら情報はいくらでも提供するし、私も情報が欲しい。
戦いに応用の効くヒノカミ神楽が炭治郎にあるように、私の家の炎の呼吸を駆使した舞も何か意味があるかもと踏んだのだ。
「なるほどな!ならば共に行こう!!」
「連れていってくれる隠さんも二度手間にならなくて済みますし、そうしましょうか」
そういえば、炭治郎が呼ばれる柱合会議ということは、蜘蛛の鬼との戦いはすぐそこに迫っているってことにもなる。
『前回』わかったことだけど、下弦の伍が出たんだよね。冨岡さんが禰󠄀豆子ちゃんを庇って、他の柱に大ブーイングくらう事になった、隊律違反の話も聞いている。
残念ながら今日これから他の任務地に行かなくちゃいけないし、その任務には駆けつけられないだろうけど、那田蜘蛛山か……。下弦の伍なら柱が行けば比較的簡単に頸を落とせそうだけど、階級がまだまだ下のほうであろう炭治郎達にはキツイだろうね。
でも炭治郎が柱合会議に呼ばれる流れを変えるわけにいかない。冨岡さんやしのぶの邪魔をするわけにもいかない。だから私がその任務に行くのはどちらにせよやめておいた方がいいのかもしれない。……彼らに怪我させたくないし他の隊士も助けに行きたいけど。何人も殺められ、喰われ、蜘蛛にされたと聞いた。
炭治郎達が生き残ったのが奇跡だ。
……そして。
このまま予定通りに進んでいくのであれば、運命の日まで三ヶ月ほどしかない。
炭治郎が蝶屋敷で機能回復訓練を受けていたのも三ヶ月ほど。柱合会議から無限列車の任務までも三ヶ月ほど。
残り三ヶ月!まだまだある?いいえ、もう三ヶ月しかないだなんて!!
私や杏寿郎さん、獪岳などが隊士になったのは『以前』に比べるととても早かったけれど、それでも予定調和が入った。
隊士として任務に明け暮れた時間が多くなり、前より少しだけ強くなったと実感した。ただ、それだけの利点しかなかった。
まだだ、まだ、強さが足りていない。
三ヶ月……たった三ヶ月でまた……。
目の前の大切な人を失うかもしれないの?また鬼にしてしまうかもしれないの?
私が死ぬのは別にい……、ううん、私がそこで命を落とすのも駄目なのだった。
貴方が後を追ってきてしまう事もあったから。
やだよ。
怖いよ。
その時が来るのが怖い。
その暗闇の方へいかせたくない。そんな思いが行動に現れたようで、杏寿郎さんの腰にぎゅっと抱きついた。
相変わらずあったかい。生きている。
このぬくもりは失わせては駄目。
「どうした朝緋。人肌恋しいのか」
「んーん。なんでもない」
「そんな強く抱きついて、何でもないわけがあるか。俺は此処にいるよ。
……おいで」
杏寿郎さんに導かれるまま、正面から抱き合う。愛おしむように頬擦りされるとともに、子供でもあやすように背中を数回ぽんぽんされた。
「ん、……、」
ちぅ、重なった唇も熱くあたたかい。
熱を移し合うだけだったやわい口付けが、少しずつ激しいものにかわってく。
舌先がとんとんと唇をノックし、中へ入れてくれと催促してくる。快く迎え入れれば、くちゅりと音を立てて吸い付かれた。
あ……気持ちいい……。
貴方のものにされたいと腰が疼く。
「ん、ぁ、は……」
「任務前に、少しだけ軽い運動がしたい。いいか?」
「軽いだなんて……いつも全力で好きをぶつけてくるくせに」
「君がかわいく啼くからだ」
「任務に遅れないようにしていただけるのなら、私も運動したい……」
本当はそんな暇があるなら鍛錬しなくちゃいけないけれど、その火がついたら止められない。私も貴方も。
杏寿郎さんの着物から手のひらをスルリと侵入させ、その体をなぞるように擦る。ぞくり、その肌が興奮でなのか粟立った気がした。
「……ッ、もちろん遅刻はしないしさせない。此度の任務の責任者は俺だろう?何かあれば俺が責任を持つ」
こちらも着物の合わせから手を入れられた。熱い手のひらが、するり。私の全てを暴こうと脱がしてくる。空気に触れた肌は少し寒くなるはずなのに、杏寿郎さんの手のおかげでちっとも寒くなかった。
「君は大人しく俺に愛されて猫のように啼いていてくれ」
「にゃあ、って?」
「そんなかわいい仕草を覚えてきて……我慢ができなくなってしまうではないか!」
拳で猫の手を作って鳴いてみれば、杏寿郎さんが勢いよく覆い被さり、押し倒してきた。
杏寿郎さんしか見えない。私の世界は貴方で出来ている。
顔の至る所に、首筋に、指に嵌められた指輪にまで優しい口づけが贈られる。
とろりと甘みを増したその瞳と共に、杏寿郎さんの一つ一つの愛撫が私を快楽の底に堕とした。
ああ、まずい。もっと強くならなくちゃいけないのに、私ったら何を呑気に過ごしていたのだろう。
何故その時期が迫っているのかわかったか?
もうすぐ、炭治郎が連れてこられるであろう、あの柱合会議が開かれると、杏寿郎さんから聞いたからだ。
でもまだ杏寿郎さんや他の柱達は炭治郎が参加することを知らない。炭治郎自身もそんな事は夢にも思っていないはず。柱というのが何の事かわかっていなかったくらいだし。
勘でしかないけれど、絶対炭治郎は来る。柱合会議に来る。くーる、きっと来る、きっと来るー!
あっこれじゃ、私の嫌いな幽霊が来ちゃう。この曲はやめとこう。
とりあえず炭治郎の情報はまだお口チャックだな、と思ったっけ。
「ゴロゴロ、にゃあ」
任務前のゆったりした昼の時間。陽の光差し込む炎柱邸の縁側。
私は杏寿郎さんの膝の上で飼い猫ごっこに興じていた。
「三日後に柱合会議があるぞ、俺のかわいい飼い猫殿」
こしょこしょと顎を掻かれながらの、そんな大事な話。
「確か朝緋も三日後は御館様に用事があるのではなかったか?」
「んー、正確にはあまね様に用事ですね」
欠伸しつつ起き上がる。遊びはこれで終わりかな?まだゴロゴロと、杏寿郎さん専用の猫になっていたかったなあ。
「あまね様に?」
「私もこれで神職の家の娘ですからね。神職の者にしかわからないお話ししてくるだけですよ。鬼殺隊との関わりがどの程度ある神社なのかとか、使っていた呼吸と舞いとか……」
どんな事でも、何か杏寿郎さんの生への希望、そして鬼殺隊の宿願である鬼舞辻無惨討伐に繋がるなら情報はいくらでも提供するし、私も情報が欲しい。
戦いに応用の効くヒノカミ神楽が炭治郎にあるように、私の家の炎の呼吸を駆使した舞も何か意味があるかもと踏んだのだ。
「なるほどな!ならば共に行こう!!」
「連れていってくれる隠さんも二度手間にならなくて済みますし、そうしましょうか」
そういえば、炭治郎が呼ばれる柱合会議ということは、蜘蛛の鬼との戦いはすぐそこに迫っているってことにもなる。
『前回』わかったことだけど、下弦の伍が出たんだよね。冨岡さんが禰󠄀豆子ちゃんを庇って、他の柱に大ブーイングくらう事になった、隊律違反の話も聞いている。
残念ながら今日これから他の任務地に行かなくちゃいけないし、その任務には駆けつけられないだろうけど、那田蜘蛛山か……。下弦の伍なら柱が行けば比較的簡単に頸を落とせそうだけど、階級がまだまだ下のほうであろう炭治郎達にはキツイだろうね。
でも炭治郎が柱合会議に呼ばれる流れを変えるわけにいかない。冨岡さんやしのぶの邪魔をするわけにもいかない。だから私がその任務に行くのはどちらにせよやめておいた方がいいのかもしれない。……彼らに怪我させたくないし他の隊士も助けに行きたいけど。何人も殺められ、喰われ、蜘蛛にされたと聞いた。
炭治郎達が生き残ったのが奇跡だ。
……そして。
このまま予定通りに進んでいくのであれば、運命の日まで三ヶ月ほどしかない。
炭治郎が蝶屋敷で機能回復訓練を受けていたのも三ヶ月ほど。柱合会議から無限列車の任務までも三ヶ月ほど。
残り三ヶ月!まだまだある?いいえ、もう三ヶ月しかないだなんて!!
私や杏寿郎さん、獪岳などが隊士になったのは『以前』に比べるととても早かったけれど、それでも予定調和が入った。
隊士として任務に明け暮れた時間が多くなり、前より少しだけ強くなったと実感した。ただ、それだけの利点しかなかった。
まだだ、まだ、強さが足りていない。
三ヶ月……たった三ヶ月でまた……。
目の前の大切な人を失うかもしれないの?また鬼にしてしまうかもしれないの?
私が死ぬのは別にい……、ううん、私がそこで命を落とすのも駄目なのだった。
貴方が後を追ってきてしまう事もあったから。
やだよ。
怖いよ。
その時が来るのが怖い。
その暗闇の方へいかせたくない。そんな思いが行動に現れたようで、杏寿郎さんの腰にぎゅっと抱きついた。
相変わらずあったかい。生きている。
このぬくもりは失わせては駄目。
「どうした朝緋。人肌恋しいのか」
「んーん。なんでもない」
「そんな強く抱きついて、何でもないわけがあるか。俺は此処にいるよ。
……おいで」
杏寿郎さんに導かれるまま、正面から抱き合う。愛おしむように頬擦りされるとともに、子供でもあやすように背中を数回ぽんぽんされた。
「ん、……、」
ちぅ、重なった唇も熱くあたたかい。
熱を移し合うだけだったやわい口付けが、少しずつ激しいものにかわってく。
舌先がとんとんと唇をノックし、中へ入れてくれと催促してくる。快く迎え入れれば、くちゅりと音を立てて吸い付かれた。
あ……気持ちいい……。
貴方のものにされたいと腰が疼く。
「ん、ぁ、は……」
「任務前に、少しだけ軽い運動がしたい。いいか?」
「軽いだなんて……いつも全力で好きをぶつけてくるくせに」
「君がかわいく啼くからだ」
「任務に遅れないようにしていただけるのなら、私も運動したい……」
本当はそんな暇があるなら鍛錬しなくちゃいけないけれど、その火がついたら止められない。私も貴方も。
杏寿郎さんの着物から手のひらをスルリと侵入させ、その体をなぞるように擦る。ぞくり、その肌が興奮でなのか粟立った気がした。
「……ッ、もちろん遅刻はしないしさせない。此度の任務の責任者は俺だろう?何かあれば俺が責任を持つ」
こちらも着物の合わせから手を入れられた。熱い手のひらが、するり。私の全てを暴こうと脱がしてくる。空気に触れた肌は少し寒くなるはずなのに、杏寿郎さんの手のおかげでちっとも寒くなかった。
「君は大人しく俺に愛されて猫のように啼いていてくれ」
「にゃあ、って?」
「そんなかわいい仕草を覚えてきて……我慢ができなくなってしまうではないか!」
拳で猫の手を作って鳴いてみれば、杏寿郎さんが勢いよく覆い被さり、押し倒してきた。
杏寿郎さんしか見えない。私の世界は貴方で出来ている。
顔の至る所に、首筋に、指に嵌められた指輪にまで優しい口づけが贈られる。
とろりと甘みを増したその瞳と共に、杏寿郎さんの一つ一つの愛撫が私を快楽の底に堕とした。