五周目 参
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「朝緋っ!!」
風邪が治ったからと道場の方で鍛錬に励んでいた杏寿郎さんが、私のいる勝手場へと飛び込んできた。
「ぎゃっ!なんて格好してるんですか!!」
その格好は薄い道着を一枚着ただけの御姿。
汗だくで下着も透けて見え、その全てがピッタリと張り付いて杏寿郎さんの体の形が丸見え状態だ。……大きい。何がとは言わないけど、臨戦状態でもないのに、大きい。
暑いのはわかるけど、それ一枚は目の毒すぎる。
「風邪も治ったことだからな。気分をすっきりさせようと思ってな!いつもよりも鍛錬に力を入れたのだ。風呂は沸いているだろうか!!」
「今お料理してるの見てわからない!?沸いてるわけないでしょう!?
下まで透けてる!ぴったり張り付いてる!!すぐ沸かすからこれで隠してて!?」
ばふ、と取り込んである洗濯物の一枚から大きかったそれを慌てて杏寿郎さんに投げつける。なお、敷布か何かだと思ったそれは炎柱羽織。
「干してふかふかになった炎柱の羽織ではないか!!濡れてしまう!」
「また洗えばいいじゃん!」
「むう!脱衣所で待つ!!」
今すぐ沸かしてこいと?いや、そんなのすぐだしいいけどね。
超特急、炎の呼吸で沸かしたお風呂に入ってもらいながら、杏寿郎さんを思う。
「はぁー、心臓に悪い……」
服の上からとはいえ、見てしまったその体。丸見えではなく透けた衣服の上からというのが、また余計に想像力を掻き立ててきて……。
ああ、『前』よりも体の大きさも、筋力のつきかたも、その隅々も逞しく成長していて……思い出すだけで口から心臓が飛び出てしまいそうだ。
「師範、お湯加減はどうですか?」
少しでも紛らわそうと口にしてみれば、すぐ上の窓がガラッと開いた。
「とてもいい!」
「わっ!顔出さないでくださいよ!」
うわあああ!かっこいい!!
湯に濡れ、髪の毛が下りているその御姿!胸板が水の雫で艶かしく光っているその御姿!!
心臓が鷲掴みにされたみたいにキュウ、と苦しくなってドキドキと高鳴っているところに。
「……朝緋も共に入るか?」
降りた前髪を掻き上げ、目を細めてにこりと見下ろしてくる。ウッ……破壊力抜群!
「見ればわかるでしょ入らないですっ!
今、貴方のために吹子で温度を調整してるんですからね!?」
そう言ってバタバタと吹子を煽る素振りに熱中する。今の私はただの風呂炊き娘よ。
「温度はもうちょうどいい。
俺は愛しい君と風呂にも入りたいし、唇や肌を重ねたいし、その先も欲しい。
俺の姿を見たらわかるだろう。ここにいる雄は。俺は、朝緋の全てを全身で求めているのだがなあ……?」
私の後頭部にジリジリと熱視線が注がれている……。
「盛大な告白ですねっ!」
ぴしゃん!
これ以上続く前に、振り払うようにして私から窓を閉めた。
「またも受け流すとは相変わらずつれないな」
窓の内側からカラカラと笑う声が聞こえる。
でも、その声はどことなく寂しそうにも思えた。
毎回、例によって断ってきた。今日も告白を断った。
でも本当は断りたくない、今すぐ『はい』と返したい。
……今日はいつもよりもモヤモヤが止まらない。
それもそのはずだ。だって、彼の裸に近いお姿をこの目にしてしまったのだもの。
求めている雄の、凛々しい姿、そして体。
『これまで』幾度となく恋仲になってきた手前、杏寿郎さんの全てを想像してしまった。
私はその夜、今回で初めて自分を慰めた。
風邪が治ったからと道場の方で鍛錬に励んでいた杏寿郎さんが、私のいる勝手場へと飛び込んできた。
「ぎゃっ!なんて格好してるんですか!!」
その格好は薄い道着を一枚着ただけの御姿。
汗だくで下着も透けて見え、その全てがピッタリと張り付いて杏寿郎さんの体の形が丸見え状態だ。……大きい。何がとは言わないけど、臨戦状態でもないのに、大きい。
暑いのはわかるけど、それ一枚は目の毒すぎる。
「風邪も治ったことだからな。気分をすっきりさせようと思ってな!いつもよりも鍛錬に力を入れたのだ。風呂は沸いているだろうか!!」
「今お料理してるの見てわからない!?沸いてるわけないでしょう!?
下まで透けてる!ぴったり張り付いてる!!すぐ沸かすからこれで隠してて!?」
ばふ、と取り込んである洗濯物の一枚から大きかったそれを慌てて杏寿郎さんに投げつける。なお、敷布か何かだと思ったそれは炎柱羽織。
「干してふかふかになった炎柱の羽織ではないか!!濡れてしまう!」
「また洗えばいいじゃん!」
「むう!脱衣所で待つ!!」
今すぐ沸かしてこいと?いや、そんなのすぐだしいいけどね。
超特急、炎の呼吸で沸かしたお風呂に入ってもらいながら、杏寿郎さんを思う。
「はぁー、心臓に悪い……」
服の上からとはいえ、見てしまったその体。丸見えではなく透けた衣服の上からというのが、また余計に想像力を掻き立ててきて……。
ああ、『前』よりも体の大きさも、筋力のつきかたも、その隅々も逞しく成長していて……思い出すだけで口から心臓が飛び出てしまいそうだ。
「師範、お湯加減はどうですか?」
少しでも紛らわそうと口にしてみれば、すぐ上の窓がガラッと開いた。
「とてもいい!」
「わっ!顔出さないでくださいよ!」
うわあああ!かっこいい!!
湯に濡れ、髪の毛が下りているその御姿!胸板が水の雫で艶かしく光っているその御姿!!
心臓が鷲掴みにされたみたいにキュウ、と苦しくなってドキドキと高鳴っているところに。
「……朝緋も共に入るか?」
降りた前髪を掻き上げ、目を細めてにこりと見下ろしてくる。ウッ……破壊力抜群!
「見ればわかるでしょ入らないですっ!
今、貴方のために吹子で温度を調整してるんですからね!?」
そう言ってバタバタと吹子を煽る素振りに熱中する。今の私はただの風呂炊き娘よ。
「温度はもうちょうどいい。
俺は愛しい君と風呂にも入りたいし、唇や肌を重ねたいし、その先も欲しい。
俺の姿を見たらわかるだろう。ここにいる雄は。俺は、朝緋の全てを全身で求めているのだがなあ……?」
私の後頭部にジリジリと熱視線が注がれている……。
「盛大な告白ですねっ!」
ぴしゃん!
これ以上続く前に、振り払うようにして私から窓を閉めた。
「またも受け流すとは相変わらずつれないな」
窓の内側からカラカラと笑う声が聞こえる。
でも、その声はどことなく寂しそうにも思えた。
毎回、例によって断ってきた。今日も告白を断った。
でも本当は断りたくない、今すぐ『はい』と返したい。
……今日はいつもよりもモヤモヤが止まらない。
それもそのはずだ。だって、彼の裸に近いお姿をこの目にしてしまったのだもの。
求めている雄の、凛々しい姿、そして体。
『これまで』幾度となく恋仲になってきた手前、杏寿郎さんの全てを想像してしまった。
私はその夜、今回で初めて自分を慰めた。