五周目 弐
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今まで体験したことのないような任務が言い渡された。
鬼を滅する任務ではなく、どちらかというと隠が行うような気がする、そこに鬼が潜むか潜まないか間接的でも鬼が関係してこないか。あまり私がやりたがらない調査系の任務だ。
だって脳筋だもの。私は考えるより先に手や刃が出るタイプの人間です。
というわけで私は今、女中としてクラシカルなタイプのメイド服に身を包んでいる。隣にいるのはスーツスタイルの上下に身を包む使用人の杏寿郎さん。やだかっこいい……眩しくて目が潰れそう。
それにしても女中と男性使用人か……。通常は出自や学歴がはっきりしない人間を雇うことはないと言われているはずだけど。ましてや、ここは一応上流階級の一族のお屋敷みたいだし。
え?目鼻立ちや眉毛は濃ゆいしはっきりしている?うるさいそれは今関係ないでしょ杏寿郎さんのキリッとした眉毛とおめめかっこいいでしょ異論は認めないよ。
きっと、私達がきても問題がないよう、御館様がなんとかしてくれたんだろうと思う。御館様の一族って、貴族以上に貴族みたいで政界や国にも顔が広そうだもの。
でもなんでそんな私には合わなさそうな任務が、と思うだろう。私も思った。こういうのは適材適所なのにね。
なんと、私達のいる場所から近いからだって!向かえる隊士が私達しかいないからだって!!仕方ないから諦める。それに御館様の采配に文句はない。
腰に回された腕には文句たらたらだけどね!?
ベチン!!腰に置かれた手を思い切り叩き落とす。
「イタッ!なぜ叩く朝緋!」
「師範の手が悪さしてくるからだよ」
「尻を撫で回したわけでもなし、悪さはしておらんだろう。かわいらしい格好をしている好いたおなごを愛でて何が悪い」
「ありがとうでも腰に腕回すことないよね」
「なら手で我慢しよう」
スマートな動きで手を取られ、そして繋がれる。杏寿郎さんの熱すぎるくらい温かい熱がじわじわ移ってきて、身も心もほぐれ、絆されてしまいそ……いやいや駄目駄目。
それもスパン!と叩き落とす。
「仕事中ですよ使用人殿?女中と手を繋ぐ時間はありませんでしょ」
口を尖らせて抗議してきたが無視。せっかくかっこいいお姿してるのだから、顔もかっこよくいてください。口尖らせるのはかわいすぎるから却下。
くんっ!
そこを離れようとした瞬間、杏寿郎さんに引っ張られ、誰もいない空き部屋に連れ込まれた。
ご丁寧なことに手も再び繋がれている。まるで見えない鎖のようにぴたりと重なり、握り締められたそれ。
「!?ちょっと、師範!なんでこんなとこに引っ張るの!なんでまた手を繋ぎ直すの!
そもそも咄嗟の時に手が塞がってるのは危険なんだからやめてってば。私達は常に鬼の気配を探っていないといけないんだからね?この暗い部屋だって怪しまないとなのに」
「咄嗟も何も、どちらにせよ刀は携帯していないのだからいいだろう。それに今は虫除けに俺の匂いをつけているだけだ」
すりすりすり、体全体をなすりつけるように擦り付けてくる。スーツやお顔が擦れて、ちょっと痛い。あ、杏寿郎さん少しずつお髭生えてきてる。もう大人の人だあ……。
「もう冬だよ。季節的に虫なんていないし匂いってなに?それと、二本目なら日輪刀を携帯してますよ」
二本目の日輪刀は少し短いからね。
「ほら、こうしてここに」
ぐいぐい距離を取り、長いメイド服スカートの裾を持ち上げ太ももをちらりと晒す。ガーターベルト型の刀ホルダーに収まっているのが、私の二本目の日輪刀だ。
それを見た杏寿郎さんの目がきらきらと輝いた。
「おお、なんと素晴らしい場所に日輪刀を隠しているのだ!俺もそこに入りたいなあ……!」
「見るのそっち?変態の発言だよそれ……」
「朝緋にしか言わんよ」
「私にも言わないでください」
スカートの裾に伸びてきた手を、また叩き落とした。
その後、任務……もといここでの女中・使用人としての仕事が言い渡され、私達は別れることになった。
杏寿郎さん、最後まで私のこと見てたなあ。
私が失敗しないか、もし鬼がいて喰われやしないか、それも心配なんだろうね。なんてったってここの使用人から直々に、主人が連れてくる女子供が消えている、調査してほしいとの依頼が鬼殺隊に回ってきたのだから。
実は私も心配で不安が大きい。
大きなお屋敷。暗いところもたくさんあるし古いお屋敷なのかお化けが出そう。
地下にも閉ざされた大きなお部屋があるみたいで、そこは鍵がかかっているしすごく怪しい……。怪しすぎる。多分ビンゴだ。
鬼がいるとしたら、絶対あそこ。地下室の中だ。
私の仕事は掃除。
その掃除場所は徐々に、その地下室の方へと近づいている。
どことなく鬼の気配に似た、気持ち悪い空気を感じる地下室の方へ。
今更なこと言うよ?鬼だったらいいけど、まさか幽霊が出る地下室とかではないよね?
私は鬼なんかよりお化けが大の苦手なのだ。いいか、出るなよ。お化け出るなよ。
鬼を滅する任務ではなく、どちらかというと隠が行うような気がする、そこに鬼が潜むか潜まないか間接的でも鬼が関係してこないか。あまり私がやりたがらない調査系の任務だ。
だって脳筋だもの。私は考えるより先に手や刃が出るタイプの人間です。
というわけで私は今、女中としてクラシカルなタイプのメイド服に身を包んでいる。隣にいるのはスーツスタイルの上下に身を包む使用人の杏寿郎さん。やだかっこいい……眩しくて目が潰れそう。
それにしても女中と男性使用人か……。通常は出自や学歴がはっきりしない人間を雇うことはないと言われているはずだけど。ましてや、ここは一応上流階級の一族のお屋敷みたいだし。
え?目鼻立ちや眉毛は濃ゆいしはっきりしている?うるさいそれは今関係ないでしょ杏寿郎さんのキリッとした眉毛とおめめかっこいいでしょ異論は認めないよ。
きっと、私達がきても問題がないよう、御館様がなんとかしてくれたんだろうと思う。御館様の一族って、貴族以上に貴族みたいで政界や国にも顔が広そうだもの。
でもなんでそんな私には合わなさそうな任務が、と思うだろう。私も思った。こういうのは適材適所なのにね。
なんと、私達のいる場所から近いからだって!向かえる隊士が私達しかいないからだって!!仕方ないから諦める。それに御館様の采配に文句はない。
腰に回された腕には文句たらたらだけどね!?
ベチン!!腰に置かれた手を思い切り叩き落とす。
「イタッ!なぜ叩く朝緋!」
「師範の手が悪さしてくるからだよ」
「尻を撫で回したわけでもなし、悪さはしておらんだろう。かわいらしい格好をしている好いたおなごを愛でて何が悪い」
「ありがとうでも腰に腕回すことないよね」
「なら手で我慢しよう」
スマートな動きで手を取られ、そして繋がれる。杏寿郎さんの熱すぎるくらい温かい熱がじわじわ移ってきて、身も心もほぐれ、絆されてしまいそ……いやいや駄目駄目。
それもスパン!と叩き落とす。
「仕事中ですよ使用人殿?女中と手を繋ぐ時間はありませんでしょ」
口を尖らせて抗議してきたが無視。せっかくかっこいいお姿してるのだから、顔もかっこよくいてください。口尖らせるのはかわいすぎるから却下。
くんっ!
そこを離れようとした瞬間、杏寿郎さんに引っ張られ、誰もいない空き部屋に連れ込まれた。
ご丁寧なことに手も再び繋がれている。まるで見えない鎖のようにぴたりと重なり、握り締められたそれ。
「!?ちょっと、師範!なんでこんなとこに引っ張るの!なんでまた手を繋ぎ直すの!
そもそも咄嗟の時に手が塞がってるのは危険なんだからやめてってば。私達は常に鬼の気配を探っていないといけないんだからね?この暗い部屋だって怪しまないとなのに」
「咄嗟も何も、どちらにせよ刀は携帯していないのだからいいだろう。それに今は虫除けに俺の匂いをつけているだけだ」
すりすりすり、体全体をなすりつけるように擦り付けてくる。スーツやお顔が擦れて、ちょっと痛い。あ、杏寿郎さん少しずつお髭生えてきてる。もう大人の人だあ……。
「もう冬だよ。季節的に虫なんていないし匂いってなに?それと、二本目なら日輪刀を携帯してますよ」
二本目の日輪刀は少し短いからね。
「ほら、こうしてここに」
ぐいぐい距離を取り、長いメイド服スカートの裾を持ち上げ太ももをちらりと晒す。ガーターベルト型の刀ホルダーに収まっているのが、私の二本目の日輪刀だ。
それを見た杏寿郎さんの目がきらきらと輝いた。
「おお、なんと素晴らしい場所に日輪刀を隠しているのだ!俺もそこに入りたいなあ……!」
「見るのそっち?変態の発言だよそれ……」
「朝緋にしか言わんよ」
「私にも言わないでください」
スカートの裾に伸びてきた手を、また叩き落とした。
その後、任務……もといここでの女中・使用人としての仕事が言い渡され、私達は別れることになった。
杏寿郎さん、最後まで私のこと見てたなあ。
私が失敗しないか、もし鬼がいて喰われやしないか、それも心配なんだろうね。なんてったってここの使用人から直々に、主人が連れてくる女子供が消えている、調査してほしいとの依頼が鬼殺隊に回ってきたのだから。
実は私も心配で不安が大きい。
大きなお屋敷。暗いところもたくさんあるし古いお屋敷なのかお化けが出そう。
地下にも閉ざされた大きなお部屋があるみたいで、そこは鍵がかかっているしすごく怪しい……。怪しすぎる。多分ビンゴだ。
鬼がいるとしたら、絶対あそこ。地下室の中だ。
私の仕事は掃除。
その掃除場所は徐々に、その地下室の方へと近づいている。
どことなく鬼の気配に似た、気持ち悪い空気を感じる地下室の方へ。
今更なこと言うよ?鬼だったらいいけど、まさか幽霊が出る地下室とかではないよね?
私は鬼なんかよりお化けが大の苦手なのだ。いいか、出るなよ。お化け出るなよ。