四周目 陸
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炭治郎から禰󠄀豆子が鬼になった経緯を説明された。明槻の時と同じだ。
鬼舞辻無惨。あいつ……、炭治郎の家族も同じように惨殺し、そして鬼に……。許せない。
『鬼になったけれど人を食べたことはない。人を傷つけることは絶対にしない』
その言葉に、身内なら庇って当然。信用しないと伊黒さん。
鬼に取り憑かれている。殺して解き放とう。
死、あるのみと悲鳴嶼さん。
『二年もの間、食べていない』との話にも。
本当に食べていないのかの証明、これから先も食べないことの証明を提示するようにと宇髄さん。
そんなの、難しすぎるよ。だって食べていないという証拠は残しようがないもんね……。
全てが炭治郎に不利へと働いている。
「なんだっけあの鳥……」
って時透君!?あれはトンビだと思うよ!でも今それどころじゃないよ!?
ああ、炭治郎が殺されちゃう……でも待って?ここで殺されてしまったら、無限列車で会った炭治郎はどうなるの。過去必ず炭治郎はあの場にいた。ならそれは変えようのない未来なのかもしれない。私達に無限列車の任務が回ってくるように。
となると、無限列車で会えないのはおかしいから、この流れは回避できるのかな。
それともまさか、『前』と違って私がここにいるという展開が、炭治郎の死を引き起こしたり……?ああああもしそうならどうしよう!?誰かなんとかしてー!!
「む?どうしたんだ朝緋。そんな百面相をして。君は面白いな!」
「したくてしてるわけじゃないやい……」
一人悩んでいると、蜜璃がおずおずと声をあげた。
御館様が知らないわけがない。勝手に処分していいのかな、と。来るまで待とうと、そう言ってくれたのだ!
蜜璃、ナイスゥゥゥ!!
そりゃそうだよね!だって、ここに連れて来いって言ったのは、御館様だという話じゃん。なら、知っていて当然だ。
「妹は鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!だから……!」
蜜璃の言葉に勇気付けられたか、訴える炭治郎。
「鬼を連れた隊士はそいつかィ?」
しかしその声を遮って現れたのが、今ここにいなかった最後の柱。不死川さんだ。
その手には、禰󠄀豆子ちゃんが入っているであろう背負い箱が軽々と持たれていた。
隠が一人、箱を下ろすようにいうが無視だ。
つまりこれは、不死川さんがどこかから勝手に持ち出したということで合っているだろう。しのぶが怒るも、箱を下ろさず。
不死川さんは、柱の中でも特に鬼を嫌う人だ。鬼とみるや否や、自身の稀血はなんのそので日輪刀を手に向かっていくくらいで。
その鬼がここにいるのだ。それも、鬼を殺すはずの隊士が連れているときた。
殺意マックス。その顔は鬼への憎しみでいつもの倍以上に怖かった。
それに加えて柱が持つ特有の威圧感に圧倒され、私がつい杏寿郎さんの影に隠れてしまうほどで。
「!?」
不死川さんが日輪刀を抜き、箱に突き立てた。あああああ酷い!血が!禰󠄀豆子ちゃんの血が箱を突き抜けた刃に伝っている!!
その威圧感もものともせず、怒りに我を忘れて炭治郎が動いた。
「俺の妹を傷つける奴は、柱だろうがなんだろうが許さない!」
一触即発の中、冨岡さんの鶴の一声が響く。
えっお館様が来る!?
止まる不死川さん。柱全員の動きも止まる。でも炭治郎は止まらなかった。
刀の一振りをかわし、必殺の頭突きを入れる。
ゴォォォォンと、いい音が聞こえた。
わ、うわ、うわうわうわ!あれ直撃したよね!?ね!?
私も『前回』無限列車の中で受けたけどめちゃくちゃ痛かった頭突きだよ!
私は間一髪直撃は免れたからいいけど、不死川さん……大丈夫なの!?
転倒したよ?鼻血出たよ?鼻から稀血が飛んだよ!?
自分がぶつけられたわけじゃないのに、思わず額を抑えてしまった。
沈黙の中、「ぶふっ」と蜜璃が吹き出す声が。蜜璃、笑うなよ……君もあれ食らったら笑ってなんていられないよ……。
『柱をやめろ』
炭治郎は不死川さんが怒るようなことを叫び、怒らせた。
やば、斬られる。炭治郎が斬られる。今度こそ斬られる。宇髄さんや悲鳴嶼さん、杏寿郎さんだって、斬る気はあった。けれどその心のどこかには良心が残っていて。
でも、今の不死川さんは違う。完全に頭に血が昇っている。
どうしよう……どうしよう、どうしよう!!
階級は上の方だとはいえ、柱とは雲泥の差のある私の『甲』階級。
私には何も言えない。何もできない。炭治郎を処罰せんとしている杏寿郎さんにも、こればかりは頼れない。
自分の羽織をきゅっと握りしめることしかできなくて。
「「御館様のおなりです」」
その時、待ち望んでいた人がやっと来てくださった。
お、御館様ぁぁぁぁ!私泣きそうです!!
天の助けー!!飛びつきたくなるほどホッとした。怒られるからやらない。
けれども暫くぶりにお会いする御館様は、御息女二人に連れられ、どちらの目も見えない状態になってしまわれていた。
杏寿郎さん達に倣い、膝をついて頭を垂れる。
炭治郎は不死川さんが無理やり頭を下げさせていた。それ痛いよ。玉砂利が顔に食い込むよ。
御館様の言葉に、不死川さんがご挨拶を述べる。これは早い者勝ちという話だけど、杏寿郎さんは勝ち取ったことあるのかな?
せっかちだからフライングの一つや二つしてそうな気はする。
「朝緋も。久しぶりだね。会えて嬉しいよ」
「あ、は、はい!お久しぶりでございます……。私もお会いできて嬉しゅうございます」
ひいい私にまで声かけてくださった嬉しい〜癒しの声〜〜。その声で呪いも癒やされてどっかに飛んでけー。
いつもそう思う。
その後不死川さんが炭治郎についての説明を御館様に求めた。至極当然なことだ。
鬼を憎み、鬼を滅する鬼殺隊当主でありながら、なぜなのか、と。
そしてやはり御館様は容認していた。知っていて、任務を与えていて。みんなに炭治郎達を認めてほしいと、そうお話をされた。
悲鳴嶼さんと宇髄さんは反対、伊黒さんも反対のよう。蜜璃と時透君はどちらかというと中立意見になるのかな。御館様次第のよう。
しのぶと冨岡さんは無言。考えが見えない。
そして。
杏寿郎さんは、理解できない考えだと、全力で反対していた。
鬼は憎い。人間を食べぬ鬼などいるわけない。今は人を食べていなくとも、いずれ人を食べるに決まっている。今のうちに殺すべきだと、断固拒否で殺す一択のようで頑なで。
でも、知らなかったら私も杏寿郎さんと意見を同じくしていたろう。
『最初』の無限列車で禰󠄀豆子ちゃんをみていなかったら、人を食べないでいられる鬼がいるだなんて。それどころか人間を守り共に戦う鬼がいるだなんて、信じることはできなかった。炭治郎を。禰󠄀豆子ちゃんを信用できなかった。
あ、それとイレギュラーすぎる変な鬼……明槻の存在も大きいかもね。あいつも人は食べない。
不死川さんはもちろん、反対意見の筆頭で。
炭治郎だけでなく、冨岡さんの処罰まで求めている。
冨岡さん、貴方本当にどんな隊律違反犯したんだー!誰か教えてよー!!
鬼舞辻無惨。あいつ……、炭治郎の家族も同じように惨殺し、そして鬼に……。許せない。
『鬼になったけれど人を食べたことはない。人を傷つけることは絶対にしない』
その言葉に、身内なら庇って当然。信用しないと伊黒さん。
鬼に取り憑かれている。殺して解き放とう。
死、あるのみと悲鳴嶼さん。
『二年もの間、食べていない』との話にも。
本当に食べていないのかの証明、これから先も食べないことの証明を提示するようにと宇髄さん。
そんなの、難しすぎるよ。だって食べていないという証拠は残しようがないもんね……。
全てが炭治郎に不利へと働いている。
「なんだっけあの鳥……」
って時透君!?あれはトンビだと思うよ!でも今それどころじゃないよ!?
ああ、炭治郎が殺されちゃう……でも待って?ここで殺されてしまったら、無限列車で会った炭治郎はどうなるの。過去必ず炭治郎はあの場にいた。ならそれは変えようのない未来なのかもしれない。私達に無限列車の任務が回ってくるように。
となると、無限列車で会えないのはおかしいから、この流れは回避できるのかな。
それともまさか、『前』と違って私がここにいるという展開が、炭治郎の死を引き起こしたり……?ああああもしそうならどうしよう!?誰かなんとかしてー!!
「む?どうしたんだ朝緋。そんな百面相をして。君は面白いな!」
「したくてしてるわけじゃないやい……」
一人悩んでいると、蜜璃がおずおずと声をあげた。
御館様が知らないわけがない。勝手に処分していいのかな、と。来るまで待とうと、そう言ってくれたのだ!
蜜璃、ナイスゥゥゥ!!
そりゃそうだよね!だって、ここに連れて来いって言ったのは、御館様だという話じゃん。なら、知っていて当然だ。
「妹は鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!だから……!」
蜜璃の言葉に勇気付けられたか、訴える炭治郎。
「鬼を連れた隊士はそいつかィ?」
しかしその声を遮って現れたのが、今ここにいなかった最後の柱。不死川さんだ。
その手には、禰󠄀豆子ちゃんが入っているであろう背負い箱が軽々と持たれていた。
隠が一人、箱を下ろすようにいうが無視だ。
つまりこれは、不死川さんがどこかから勝手に持ち出したということで合っているだろう。しのぶが怒るも、箱を下ろさず。
不死川さんは、柱の中でも特に鬼を嫌う人だ。鬼とみるや否や、自身の稀血はなんのそので日輪刀を手に向かっていくくらいで。
その鬼がここにいるのだ。それも、鬼を殺すはずの隊士が連れているときた。
殺意マックス。その顔は鬼への憎しみでいつもの倍以上に怖かった。
それに加えて柱が持つ特有の威圧感に圧倒され、私がつい杏寿郎さんの影に隠れてしまうほどで。
「!?」
不死川さんが日輪刀を抜き、箱に突き立てた。あああああ酷い!血が!禰󠄀豆子ちゃんの血が箱を突き抜けた刃に伝っている!!
その威圧感もものともせず、怒りに我を忘れて炭治郎が動いた。
「俺の妹を傷つける奴は、柱だろうがなんだろうが許さない!」
一触即発の中、冨岡さんの鶴の一声が響く。
えっお館様が来る!?
止まる不死川さん。柱全員の動きも止まる。でも炭治郎は止まらなかった。
刀の一振りをかわし、必殺の頭突きを入れる。
ゴォォォォンと、いい音が聞こえた。
わ、うわ、うわうわうわ!あれ直撃したよね!?ね!?
私も『前回』無限列車の中で受けたけどめちゃくちゃ痛かった頭突きだよ!
私は間一髪直撃は免れたからいいけど、不死川さん……大丈夫なの!?
転倒したよ?鼻血出たよ?鼻から稀血が飛んだよ!?
自分がぶつけられたわけじゃないのに、思わず額を抑えてしまった。
沈黙の中、「ぶふっ」と蜜璃が吹き出す声が。蜜璃、笑うなよ……君もあれ食らったら笑ってなんていられないよ……。
『柱をやめろ』
炭治郎は不死川さんが怒るようなことを叫び、怒らせた。
やば、斬られる。炭治郎が斬られる。今度こそ斬られる。宇髄さんや悲鳴嶼さん、杏寿郎さんだって、斬る気はあった。けれどその心のどこかには良心が残っていて。
でも、今の不死川さんは違う。完全に頭に血が昇っている。
どうしよう……どうしよう、どうしよう!!
階級は上の方だとはいえ、柱とは雲泥の差のある私の『甲』階級。
私には何も言えない。何もできない。炭治郎を処罰せんとしている杏寿郎さんにも、こればかりは頼れない。
自分の羽織をきゅっと握りしめることしかできなくて。
「「御館様のおなりです」」
その時、待ち望んでいた人がやっと来てくださった。
お、御館様ぁぁぁぁ!私泣きそうです!!
天の助けー!!飛びつきたくなるほどホッとした。怒られるからやらない。
けれども暫くぶりにお会いする御館様は、御息女二人に連れられ、どちらの目も見えない状態になってしまわれていた。
杏寿郎さん達に倣い、膝をついて頭を垂れる。
炭治郎は不死川さんが無理やり頭を下げさせていた。それ痛いよ。玉砂利が顔に食い込むよ。
御館様の言葉に、不死川さんがご挨拶を述べる。これは早い者勝ちという話だけど、杏寿郎さんは勝ち取ったことあるのかな?
せっかちだからフライングの一つや二つしてそうな気はする。
「朝緋も。久しぶりだね。会えて嬉しいよ」
「あ、は、はい!お久しぶりでございます……。私もお会いできて嬉しゅうございます」
ひいい私にまで声かけてくださった嬉しい〜癒しの声〜〜。その声で呪いも癒やされてどっかに飛んでけー。
いつもそう思う。
その後不死川さんが炭治郎についての説明を御館様に求めた。至極当然なことだ。
鬼を憎み、鬼を滅する鬼殺隊当主でありながら、なぜなのか、と。
そしてやはり御館様は容認していた。知っていて、任務を与えていて。みんなに炭治郎達を認めてほしいと、そうお話をされた。
悲鳴嶼さんと宇髄さんは反対、伊黒さんも反対のよう。蜜璃と時透君はどちらかというと中立意見になるのかな。御館様次第のよう。
しのぶと冨岡さんは無言。考えが見えない。
そして。
杏寿郎さんは、理解できない考えだと、全力で反対していた。
鬼は憎い。人間を食べぬ鬼などいるわけない。今は人を食べていなくとも、いずれ人を食べるに決まっている。今のうちに殺すべきだと、断固拒否で殺す一択のようで頑なで。
でも、知らなかったら私も杏寿郎さんと意見を同じくしていたろう。
『最初』の無限列車で禰󠄀豆子ちゃんをみていなかったら、人を食べないでいられる鬼がいるだなんて。それどころか人間を守り共に戦う鬼がいるだなんて、信じることはできなかった。炭治郎を。禰󠄀豆子ちゃんを信用できなかった。
あ、それとイレギュラーすぎる変な鬼……明槻の存在も大きいかもね。あいつも人は食べない。
不死川さんはもちろん、反対意見の筆頭で。
炭治郎だけでなく、冨岡さんの処罰まで求めている。
冨岡さん、貴方本当にどんな隊律違反犯したんだー!誰か教えてよー!!