四周目 伍
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女豹のポーズ!!
……なんてするには、魅力も胸も足りない、衣装もそれっぽい感じのものがない時代。
どこぞの縫製係に頼めば喜んで作ってくれそうだけど絶対頼みたくない。
なので自分自身で勝負!杏寿郎さんを悩殺できるかどうか、試してみた。
遊女かな?というほど着物の襟元を開け、うなじを露出して杏寿郎さんの前に出る。裾もわざとちょっぴり長くした。
いやこれ、ほんと遊女のそれだわ。花街での任務なんてあったら、御館様から直々に任命されちゃうかもしれない。
基本はお酒ついで、お歌歌って踊りを披露する場所なんだよね?楽しそう。
たっかい追加料金払わないとその先のお楽しみは得られないなかなかがめついシステムらしいし、どうせ私なんかにはご指名入らないから余裕そうだよね。
そして目の前の杏寿郎さんはすぐに私の格好に気がついた。
「どうした朝緋。着物が着崩れているぞ。ちゃんと着なさい」
え、それだけ?何も思わないの?
「おはしょりも出てしまっているな。裾を引きずっていてだらしがないぞ!君らしくもない!!」
そう言って冷静な顔でスルー。私の思惑については気がつかずガン無視で、幼な子にするみたいに襟をきゅっきゅっと直して去った。
むーーー!納得がいかない!!
さすがに、これくらいで花に惹かれる蝶々みたいに誘われるとは思わなかったけど、注意された挙句直されるなんて誰が思う?
私もう大人なんですが。子供扱いされたくない。
もうちょっとこう、顔を赤くするとかさあ!ドギマギする様子が一つくらいあってもいいのに。
よし、第二の作戦決行だ。
「ね、ね、杏寿郎さん」
「ん、!?!!?」
「どうですか?似合います?」
これは前に杏寿郎さんが望んでいた格好。
ちょっと肌寒い感はあるし、正直かなーり恥ずかしくて痛々しい。
もしもこの状況で誰か炎柱邸に訪れようものなら、目も当てられない。変な噂が飛び交うこと間違いなしだろう。隊士よ、来ないでくれ。
でもやるー。
そう。
裸にカフェーのお給仕さんが着るような、西洋のエプロンを身につけたスタイル。
その名も『裸エプロン』だ!
「な、な、な……、
何の真似だっ!!あられもない!!」
さすがの杏寿郎さんも顔が赤い。
ううん、ぶっちゃけ私の方が顔赤いし熱いし恥ずかしい。
杏寿郎さんと先に進むためとはいえ、恥をかなぐり捨ててここまでやるなんて。
いつもの私なら絶対ありえないこと。
別にお酒飲んでないよ。素面だよ。未成年ですから。
「いやそれより、また風邪をひいたらどうするっ!着ていろーー!!」
でも罠にはかかってくれなかった。あの時は望んでたのになんでぇー!?
「へぶっ!?」
羽織かけにかけられていた炎柱の羽織がフルスイングで投げつけられる。
バフッと私の体に当たり、まるで意思を持つかのようなそれが私の体に巻きつくようにしてくるりと包んでくる。
「ちょ、これ大事な炎柱の羽織!!投げないでよ!?そんなことしたら私ホントに着ちゃうよ!今日から私が炎柱ごっこだよ!?」
「いい!着ろ!!」
その言葉、しかと受け取った。見てろ煉獄杏寿郎!ギャフンと言わせてやる!!
……私、何と戦っているのだろう。自分でもわからなくなった。
「じゃあ着ますからね……ほら、こうやって?」
「ああ、着替えるまではそれを……、」
まるで裸に纏っているかのように羽織で体を包み込み、まだ畳まれていなかった敷きっぱなしの杏寿郎さんの布団にエイヤッと身を投げ出す。エプロンは羽織に隠れて見えない状態だ。
だから傍目から見たら羽織から私の足が太ももまで露わな状態で。今度は裸に羽織を纏っているようで。
もしかしたら、少しは色っぽく見えているかもしれない。ううん、そんな魅力はないからもやしが羽織を纏ってるようにしか見えないか。
ちらと見上げた杏寿郎さんはまーた冷静な顔で……、……。
冷静……?
ガン見だ。恐ろしいほどの視線で、杏寿郎さんが私を見下ろしていた。
うわなんか怖い。蛇に睨まれた蛙の気分。
でも私は嬉しかった。だってようやく見てもらえたのだから。
私の中で勃発したこの勝負は私の勝ちだ。
「わーい!杏寿郎さん、やっとこっち見てくれ……え、」
ぬっと近づかれ、顔がドアップ。顔が良くてかっこいいのに、ガン見の時のままのその視線は少しだけ怖い。
「なぜ……、なぜこんなことをしたか聞いていいか?」
「ぇ、あ……その……。
ちょっとね、先に進みたくて。そろそろ体を、その……許したいなって…………えへ?
それであの、悩殺できる仕草とか、考えて、着物を着崩したり、裸にエプロン着てみたり、……ね…………?」
言うのが恥ずかしいのと、自分でも口にした先について考えたのと、目の前の人に睨むような視線を向けられたのとでしどろもどろ。
視線を外しながら、髪の毛の先を指でくるくると巻いて気を紛らわす。
「そうか」
杏寿郎さんは優しく。優しく、にっこりと笑いながら返事してくださった。
その手が伸ばされ、髪を何度も撫でてきて、
ポニーテールの髪紐を一気に解かれた。ばさりと流れ落ちる髪の束。
「えっ、杏寿郎……さ、…………ヒッ!?」
次に見上げた場所にあったのは、獲物を射殺さんと欲す獣の目。その飢えた獣の前では、私はただの美味しそうな子羊に成り下がる。
……なんてするには、魅力も胸も足りない、衣装もそれっぽい感じのものがない時代。
どこぞの縫製係に頼めば喜んで作ってくれそうだけど絶対頼みたくない。
なので自分自身で勝負!杏寿郎さんを悩殺できるかどうか、試してみた。
遊女かな?というほど着物の襟元を開け、うなじを露出して杏寿郎さんの前に出る。裾もわざとちょっぴり長くした。
いやこれ、ほんと遊女のそれだわ。花街での任務なんてあったら、御館様から直々に任命されちゃうかもしれない。
基本はお酒ついで、お歌歌って踊りを披露する場所なんだよね?楽しそう。
たっかい追加料金払わないとその先のお楽しみは得られないなかなかがめついシステムらしいし、どうせ私なんかにはご指名入らないから余裕そうだよね。
そして目の前の杏寿郎さんはすぐに私の格好に気がついた。
「どうした朝緋。着物が着崩れているぞ。ちゃんと着なさい」
え、それだけ?何も思わないの?
「おはしょりも出てしまっているな。裾を引きずっていてだらしがないぞ!君らしくもない!!」
そう言って冷静な顔でスルー。私の思惑については気がつかずガン無視で、幼な子にするみたいに襟をきゅっきゅっと直して去った。
むーーー!納得がいかない!!
さすがに、これくらいで花に惹かれる蝶々みたいに誘われるとは思わなかったけど、注意された挙句直されるなんて誰が思う?
私もう大人なんですが。子供扱いされたくない。
もうちょっとこう、顔を赤くするとかさあ!ドギマギする様子が一つくらいあってもいいのに。
よし、第二の作戦決行だ。
「ね、ね、杏寿郎さん」
「ん、!?!!?」
「どうですか?似合います?」
これは前に杏寿郎さんが望んでいた格好。
ちょっと肌寒い感はあるし、正直かなーり恥ずかしくて痛々しい。
もしもこの状況で誰か炎柱邸に訪れようものなら、目も当てられない。変な噂が飛び交うこと間違いなしだろう。隊士よ、来ないでくれ。
でもやるー。
そう。
裸にカフェーのお給仕さんが着るような、西洋のエプロンを身につけたスタイル。
その名も『裸エプロン』だ!
「な、な、な……、
何の真似だっ!!あられもない!!」
さすがの杏寿郎さんも顔が赤い。
ううん、ぶっちゃけ私の方が顔赤いし熱いし恥ずかしい。
杏寿郎さんと先に進むためとはいえ、恥をかなぐり捨ててここまでやるなんて。
いつもの私なら絶対ありえないこと。
別にお酒飲んでないよ。素面だよ。未成年ですから。
「いやそれより、また風邪をひいたらどうするっ!着ていろーー!!」
でも罠にはかかってくれなかった。あの時は望んでたのになんでぇー!?
「へぶっ!?」
羽織かけにかけられていた炎柱の羽織がフルスイングで投げつけられる。
バフッと私の体に当たり、まるで意思を持つかのようなそれが私の体に巻きつくようにしてくるりと包んでくる。
「ちょ、これ大事な炎柱の羽織!!投げないでよ!?そんなことしたら私ホントに着ちゃうよ!今日から私が炎柱ごっこだよ!?」
「いい!着ろ!!」
その言葉、しかと受け取った。見てろ煉獄杏寿郎!ギャフンと言わせてやる!!
……私、何と戦っているのだろう。自分でもわからなくなった。
「じゃあ着ますからね……ほら、こうやって?」
「ああ、着替えるまではそれを……、」
まるで裸に纏っているかのように羽織で体を包み込み、まだ畳まれていなかった敷きっぱなしの杏寿郎さんの布団にエイヤッと身を投げ出す。エプロンは羽織に隠れて見えない状態だ。
だから傍目から見たら羽織から私の足が太ももまで露わな状態で。今度は裸に羽織を纏っているようで。
もしかしたら、少しは色っぽく見えているかもしれない。ううん、そんな魅力はないからもやしが羽織を纏ってるようにしか見えないか。
ちらと見上げた杏寿郎さんはまーた冷静な顔で……、……。
冷静……?
ガン見だ。恐ろしいほどの視線で、杏寿郎さんが私を見下ろしていた。
うわなんか怖い。蛇に睨まれた蛙の気分。
でも私は嬉しかった。だってようやく見てもらえたのだから。
私の中で勃発したこの勝負は私の勝ちだ。
「わーい!杏寿郎さん、やっとこっち見てくれ……え、」
ぬっと近づかれ、顔がドアップ。顔が良くてかっこいいのに、ガン見の時のままのその視線は少しだけ怖い。
「なぜ……、なぜこんなことをしたか聞いていいか?」
「ぇ、あ……その……。
ちょっとね、先に進みたくて。そろそろ体を、その……許したいなって…………えへ?
それであの、悩殺できる仕草とか、考えて、着物を着崩したり、裸にエプロン着てみたり、……ね…………?」
言うのが恥ずかしいのと、自分でも口にした先について考えたのと、目の前の人に睨むような視線を向けられたのとでしどろもどろ。
視線を外しながら、髪の毛の先を指でくるくると巻いて気を紛らわす。
「そうか」
杏寿郎さんは優しく。優しく、にっこりと笑いながら返事してくださった。
その手が伸ばされ、髪を何度も撫でてきて、
ポニーテールの髪紐を一気に解かれた。ばさりと流れ落ちる髪の束。
「えっ、杏寿郎……さ、…………ヒッ!?」
次に見上げた場所にあったのは、獲物を射殺さんと欲す獣の目。その飢えた獣の前では、私はただの美味しそうな子羊に成り下がる。