四周目 伍
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隣から咳払いが聞こえた。
「……ところで朝緋。
その、お前は恋柱の甘露寺と仲が良いのだったな」
「うん?仲良しだよ。それがどうかした?」
「……、…………甘露寺と仲良くなりたいのだが、どうしたら良いかわからない」
あら。あらあらあらあら!つい、笑顔になるのが止められない。伊黒さんがついに!蜜璃に恋を自覚し始めた!
今私は歴史が動く瞬間にいる!!
「えー、まだそんなことで悩んでたの?初々しいな〜」
「にやにやするな気持ち悪い」
その後、いかに蜜璃が魅力あふれる女性なのか、どこに惹かれたのかを話して聞かせてくれた。
内容は『前』にも聞いて知っているけど、それを語る伊黒さんは、それはもうすごくすごーく幸せそうだった。
「私によく無遠慮に送ってきてたみたいに、お手紙送って文通すれば?そもそも、靴下送ってあげたくらいなんでしょ。それと同じでお気軽に声かけて始めてみればいいのに」
「ぶ、文通だとっ!?く、靴下は足が寒そうだったからで……っ」
「その勢いで文通しちゃえよぉ!それでご飯に誘うの!蜜璃は食べるのが私以上に大好きな子だよ!!」
「文通に食事か……、だが」
「なんなら、私からも蜜璃にそれとなく聞いてみよっか。文通する気ない?って。多分、喜んでしてくれるよ」
「!!……感謝する。俺だけではなかなかどうして、先に進めぬのでな。
だが、いいのか?そのような手間をお前に……」
ああ、森を抜けた。
伊黒さんの首に帰りたがった鏑丸を戻してやりながら、満天の星輝く夜空を見上げつぶやく。
「私はね、伊黒さんと蜜璃が夫婦になるのを見届けるまで死んでも死にきれないのよ。だから協力できることならなんでもする。したい。させて」
杏寿郎さんの幸せな未来はもちろん、伊黒さんと蜜璃の幸せ。鬼殺隊のみんなの幸せ。家族の幸せ。人々の幸せを見届けたい。望みたい。
なんなら、鬼達も……。鬼達が鬼としての生から解放された先、生まれ変わった先で幸せに生きてほしいと望むくらいで。
「夫婦など、そこまで考えていない……それに、俺みたいな男、甘露寺に悪いだろう」
「……自分に自信持ってよ」
だって蜜璃は伊黒さんのこと……、これは言わないでおこう。いつか、伊黒さんが。そして蜜璃が自分で伝えるべき言葉だ。
「お前こそどうなんだ?杏寿郎との仲は」
「えっ」
聞き間違えじゃなければ、今、伊黒さんがこっちの恋バナについて聞いてきた!?
「わ、わぁぁぁぁぁぁ!人の恋愛になんて興味なさげな伊黒さんが私と杏寿郎さんの恋愛の話してるーー!!めっずらしー!」
「馬鹿者!お前のではない!杏寿郎のだ!」
「いたっ!殴ることなくない!?」
ポカッと叩かれた。柱の中では力なさそうに見えるけどかなり痛い。やっぱり柱は人外だ。
「随分と前だが恋仲になれたとの報告があった。杏寿郎は嬉しそうだった。それはもう幸せそうで。あんな顔は久しぶりに見た」
杏寿郎さん、伊黒さんには早めに報告したんだ。幼少期に少しの間とはいえ一緒に過ごした仲。幼馴染みだもんね。
「俺も素直になるよう努力する。だからお前も素直になれ。
何か悩んでいるだろう、杏寿郎のことで。杏寿郎もまた、お前のことで悩んでいるように見受けられた。最近はあの幸せそうな顔が見えない」
素直。
素直かあ……そろそろ、体も許すべきなんだろうな。
何度もちょっかいかけてきていたし、正直にいうと私もそういうことに素直になりたい。
一度断ってしまってからと言うもの、お互い言いにくくて……。
あの風邪ひき以来、杏寿郎さんは手を出してこない。ちゅーはする。けれどある一定のラインまでしか、進んでこなくなった。
それが少し寂しくて。
身体もあれから成長した。心の準備は十分にさせてもらえた。あとは私が一歩踏み出すだけだった。
無限列車の任務についても大事だけど、杏寿郎さんと日々を健やかに、幸せに過ごすこともまた、とても大事なこと。
「よし!伊黒さん!ありがとう!!
素直になって杏寿郎さんを私からお布団の中に誘う!前に押し倒された時は、断っちゃったから!!そうとわかれば悩殺できる仕草を勉強しなきゃね!!」
天に向かってえいおー!と叫ぶ。
「ぶっ!?そういう話を俺にするな!」
「だって私も杏寿郎さんも、悩んでるのなんてそういうことだもの!」
「杏寿郎がそんな破廉恥なことを考えるわけがない!この助平女め!!」
また殴られた痛い。
伊黒さんたら、杏寿郎さんを神聖視しすぎじゃないの?
私より杏寿郎さんの方が助平なこと知ってるし助平なことしてくるんですが?
「……ところで朝緋。
その、お前は恋柱の甘露寺と仲が良いのだったな」
「うん?仲良しだよ。それがどうかした?」
「……、…………甘露寺と仲良くなりたいのだが、どうしたら良いかわからない」
あら。あらあらあらあら!つい、笑顔になるのが止められない。伊黒さんがついに!蜜璃に恋を自覚し始めた!
今私は歴史が動く瞬間にいる!!
「えー、まだそんなことで悩んでたの?初々しいな〜」
「にやにやするな気持ち悪い」
その後、いかに蜜璃が魅力あふれる女性なのか、どこに惹かれたのかを話して聞かせてくれた。
内容は『前』にも聞いて知っているけど、それを語る伊黒さんは、それはもうすごくすごーく幸せそうだった。
「私によく無遠慮に送ってきてたみたいに、お手紙送って文通すれば?そもそも、靴下送ってあげたくらいなんでしょ。それと同じでお気軽に声かけて始めてみればいいのに」
「ぶ、文通だとっ!?く、靴下は足が寒そうだったからで……っ」
「その勢いで文通しちゃえよぉ!それでご飯に誘うの!蜜璃は食べるのが私以上に大好きな子だよ!!」
「文通に食事か……、だが」
「なんなら、私からも蜜璃にそれとなく聞いてみよっか。文通する気ない?って。多分、喜んでしてくれるよ」
「!!……感謝する。俺だけではなかなかどうして、先に進めぬのでな。
だが、いいのか?そのような手間をお前に……」
ああ、森を抜けた。
伊黒さんの首に帰りたがった鏑丸を戻してやりながら、満天の星輝く夜空を見上げつぶやく。
「私はね、伊黒さんと蜜璃が夫婦になるのを見届けるまで死んでも死にきれないのよ。だから協力できることならなんでもする。したい。させて」
杏寿郎さんの幸せな未来はもちろん、伊黒さんと蜜璃の幸せ。鬼殺隊のみんなの幸せ。家族の幸せ。人々の幸せを見届けたい。望みたい。
なんなら、鬼達も……。鬼達が鬼としての生から解放された先、生まれ変わった先で幸せに生きてほしいと望むくらいで。
「夫婦など、そこまで考えていない……それに、俺みたいな男、甘露寺に悪いだろう」
「……自分に自信持ってよ」
だって蜜璃は伊黒さんのこと……、これは言わないでおこう。いつか、伊黒さんが。そして蜜璃が自分で伝えるべき言葉だ。
「お前こそどうなんだ?杏寿郎との仲は」
「えっ」
聞き間違えじゃなければ、今、伊黒さんがこっちの恋バナについて聞いてきた!?
「わ、わぁぁぁぁぁぁ!人の恋愛になんて興味なさげな伊黒さんが私と杏寿郎さんの恋愛の話してるーー!!めっずらしー!」
「馬鹿者!お前のではない!杏寿郎のだ!」
「いたっ!殴ることなくない!?」
ポカッと叩かれた。柱の中では力なさそうに見えるけどかなり痛い。やっぱり柱は人外だ。
「随分と前だが恋仲になれたとの報告があった。杏寿郎は嬉しそうだった。それはもう幸せそうで。あんな顔は久しぶりに見た」
杏寿郎さん、伊黒さんには早めに報告したんだ。幼少期に少しの間とはいえ一緒に過ごした仲。幼馴染みだもんね。
「俺も素直になるよう努力する。だからお前も素直になれ。
何か悩んでいるだろう、杏寿郎のことで。杏寿郎もまた、お前のことで悩んでいるように見受けられた。最近はあの幸せそうな顔が見えない」
素直。
素直かあ……そろそろ、体も許すべきなんだろうな。
何度もちょっかいかけてきていたし、正直にいうと私もそういうことに素直になりたい。
一度断ってしまってからと言うもの、お互い言いにくくて……。
あの風邪ひき以来、杏寿郎さんは手を出してこない。ちゅーはする。けれどある一定のラインまでしか、進んでこなくなった。
それが少し寂しくて。
身体もあれから成長した。心の準備は十分にさせてもらえた。あとは私が一歩踏み出すだけだった。
無限列車の任務についても大事だけど、杏寿郎さんと日々を健やかに、幸せに過ごすこともまた、とても大事なこと。
「よし!伊黒さん!ありがとう!!
素直になって杏寿郎さんを私からお布団の中に誘う!前に押し倒された時は、断っちゃったから!!そうとわかれば悩殺できる仕草を勉強しなきゃね!!」
天に向かってえいおー!と叫ぶ。
「ぶっ!?そういう話を俺にするな!」
「だって私も杏寿郎さんも、悩んでるのなんてそういうことだもの!」
「杏寿郎がそんな破廉恥なことを考えるわけがない!この助平女め!!」
また殴られた痛い。
伊黒さんたら、杏寿郎さんを神聖視しすぎじゃないの?
私より杏寿郎さんの方が助平なこと知ってるし助平なことしてくるんですが?