四周目 伍
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また順調に。順当に。
蛇柱、霞柱、恋柱が柱就任の日を迎えた。
元々の知り合いである伊黒さん、そして蜜璃に贈るお祝いの品を品定めしていると偶然にも今夜の任務で伊黒さんとの合同任務に行くようにと言い渡された。
宇髄さんの時は多少渋っていた杏寿郎さんも、伊黒さんが相手なら。と、今夜ばかりは快く送り出してくれて。
最近杏寿郎さん以外の柱との任務が地味に多い。もちろん、杏寿郎さんとの任務は更に多い。柱とその継子だから当たり前か。
ブブブブブブ……。
低い低い羽音が森のそこかしこから聞こえている。
そして私の叫びも響き渡る。
「蜂イャァァァァァ怖いいいいいい!!」
私と伊黒さんは、大量の雀蜂に追われていた。
ただの雀蜂ではない。鬼の血鬼術で強化された巨大な雀蜂だ。
どこぞの携帯獣に出てくるやつに似てる気がする……!意外と覚えてるものなのね。あれは有名だし昔よく明槻とやったからかな?
「細かな斬撃で敵を屠る技が朝緋にはあるのだろう?勿体ぶっていないで出して蜂供を蹴散らせ」
何でもないように私の隣に並び、声をかけてくる伊黒さん。あれが見えてないの?怖くないの?柱ってすごい。
そんでもって、私に伍ノ型・炎虎改、乱咬みを打てって言ってるんだね。
「伍ノ型の改だね!?でも今は斬ってる暇ないよ!?だって怖いんだもん!!」
斬るためには一瞬とはいえ止まらなくてはいけないし、相手側に振り向かなくてはいけない。蜂なんか見たくない。
「逃げてばかりでは鬼も斬れん」
鬼は雀蜂の後方でボスのように構え、にやにやしながら此方を追いかけてきている。その姿も蜂のようなふざけたナリで宙を飛んでいて。でも雀蜂の大群に守られて余裕綽々だ。ずるい。
大元である鬼さえ斬れば雀蜂だって普通サイズに戻るかもしれないけれど、それでも蜂は怖い。虫、嫌い。
「仕方ない。ーー蛇の呼吸、伍ノ型・蜿蜿長蛇」
うねりを帯びた斬撃が、蜂を斬り刻み駆逐していく。その数が一気に減った!!
「自分で斬れるならさっさと斬ってよぉ!!」
「朝緋にも花を持たせてやろうという俺の優しさがわからんとは。それよりそちらに行ったぞ。この数ならお前にも斬れるはずだ」
花とか持たせなくていいのに。
言われた方向を見れば、伊黒さんが斬った残りの蜂がこっちに飛んできていた。うわ速!顔リアルでキモい!!針、するどっ!!
「うぎゃぁぁあ!刺されたら恨みますからね!?伍ノ型・炎虎改、乱咬み!!」
私の小虎達もこんなの咬み殺したくないと思う!エフェクトだろうが私の虎はかわいい小虎!!
けれど蜂をものともせずに噛み殺してくれた!良い子!かわいいやつらめ〜!!
「って、ぎゃあ虫の汁的なものついた!きったなぁぁいえんがちょッ!!」
蜂の体液が飛んできて私にぺちょりと付着した。
そうだ、この蜂達は鬼の血鬼術で強化されてるだけの本物の蜂。鬼が作り出したものと違う。
生き物を利用するなんて許せないし斬ってしまって申し訳ないけど、虫は嫌い。嫌いったら嫌いなのだ。
「よくやった朝緋ーー蛇の呼吸、弐ノ型・狭頭の毒牙」
「ヒッ!?悪鬼滅殺の文字……っ柱……っ!!ーーギャアアアアッ!?」
鬼への道が一直線に拓かれ、伊黒さんが一気に距離を詰める。蛇の呼吸の中でも一際強力な一撃、弐ノ型で鬼の頸を刎ねた。
ぼと、落ちた頸が驚愕と恐怖に震える。けれど何も言えないまま、鬼の頸も体も闇夜に溶けて消えた。
残った蜂は元の大きさに戻り、飛んでいった。
「おい。いつまでそうしている」
「だって、気持ち悪いんだもの」
私はというと、汚れを叩き落とそうと羽織についた虫の体液と格闘していた。落ちない。
「洗えば良かろう。いや、それくらい避ければよかったのだお前の速さなら避けられたのになぜそうしない。そもそも指示した時に技を放たんとは。役立たずめ。蜂如きで逃げに回るとは同じ鬼殺隊士として恥ずかしい。隊規違反と変わらん。階級を落とした方がいいのではないか?普段本当に鬼を斬れているのか?そんな状態でよく炎柱の継子が務まるな。煉獄に迷惑をかけたら許さんぞ」
ネチネチネチネチ。これが噂に聞く伊黒さんの弐ノ型もびっくりのネチネチ口撃か。ここまで言われたの初めてかも。結構グッサリ刺さるわ。
「ごめん……!でもそんなにネチネチ言わなくてもいいよね!?……こほん、そんなにネチネチと言わなくてもいいですよね?」
「言い直すな今更敬語はやめろ」
「ふぇい」
後で洗お。諦めて着直し、ネチネチ口撃の中で気になったワードについて聞く。
「伊黒さん、師範のこと煉獄って呼んでるんだね。私も煉獄だよ?」
「お前も外ではアイツを師範と呼んでいるだろう。それと同じで俺も外では煉獄と呼ぶようにしているだけだ。そしてお前を呼ぶなら煉獄でなくお前か名前で十分だと思うが」
なにそれ煉獄家の一員と認めないと?いや、そういう話じゃないな。伊黒さんは素直じゃないし、ただ杏寿郎さんとごっちゃになるから名前で呼んであげるよ!という意味だと思う。ツンデレさんめっ!
「今も外だけど私しかいないよ。杏寿郎、でいいんじゃないの?この前伊黒さんと二人の時にも『煉獄と呼ばれた』と寂しがってたよ」
「黙れうるさい。癖だ」
森から出ようと並んで歩く中、まだまだ蜂が屯しているのが見える。夜空の中で飛ぶ姿を見るなら蛍がいい。蛍も虫?蛍は光っているのを見てる分には平気。
あー、杏寿郎さんと見に行きたい。
「まだ蜂さんいるんだけど。めちゃくちゃ飛んでるんだけど。夜だよ」
「ここはもともと蜂が多い森だとわかっている。あと雀蜂は夜も飛ぶ。こちらが何もしなければおとなしい。人間が巣に近づき、危険だとわかると攻撃してくる」
「それはそうなんだけどさ……。
私、蚯蚓とかうねうねしてる虫が嫌いなんだけど、でも蜂も大っ嫌いなのよねぇ。なんで雀蜂なんか使役してきたのあの鬼……!」
「俺は知らんよ」
鬼の造形、鬼の使う血鬼術。
それらは人間だった時の鬼の記憶や人生が関係してくるのはもう大体わかっている。でも雀蜂って!せめて蜜蜂にしてほしい。まるまるっとしててフォルムがかわいいし、集めてくれる蜂蜜は美味しい。
パンケーキ食べたい。
「うねうねなら鏑丸もうねっているが?」
「鏑丸は大丈夫。味方だもの、ねー?」
他の隊士がいきなり触るなどすると怒る鏑丸だけど、幼少期に私と過ごしたことを覚えているのか好きにナデナデさせてくれた。
それどころか、伊黒さんの肩からするするりと私の首に移動して擦り寄ってくれた。
すべすべ気持ちいい。かわいい。
蛇柱、霞柱、恋柱が柱就任の日を迎えた。
元々の知り合いである伊黒さん、そして蜜璃に贈るお祝いの品を品定めしていると偶然にも今夜の任務で伊黒さんとの合同任務に行くようにと言い渡された。
宇髄さんの時は多少渋っていた杏寿郎さんも、伊黒さんが相手なら。と、今夜ばかりは快く送り出してくれて。
最近杏寿郎さん以外の柱との任務が地味に多い。もちろん、杏寿郎さんとの任務は更に多い。柱とその継子だから当たり前か。
ブブブブブブ……。
低い低い羽音が森のそこかしこから聞こえている。
そして私の叫びも響き渡る。
「蜂イャァァァァァ怖いいいいいい!!」
私と伊黒さんは、大量の雀蜂に追われていた。
ただの雀蜂ではない。鬼の血鬼術で強化された巨大な雀蜂だ。
どこぞの携帯獣に出てくるやつに似てる気がする……!意外と覚えてるものなのね。あれは有名だし昔よく明槻とやったからかな?
「細かな斬撃で敵を屠る技が朝緋にはあるのだろう?勿体ぶっていないで出して蜂供を蹴散らせ」
何でもないように私の隣に並び、声をかけてくる伊黒さん。あれが見えてないの?怖くないの?柱ってすごい。
そんでもって、私に伍ノ型・炎虎改、乱咬みを打てって言ってるんだね。
「伍ノ型の改だね!?でも今は斬ってる暇ないよ!?だって怖いんだもん!!」
斬るためには一瞬とはいえ止まらなくてはいけないし、相手側に振り向かなくてはいけない。蜂なんか見たくない。
「逃げてばかりでは鬼も斬れん」
鬼は雀蜂の後方でボスのように構え、にやにやしながら此方を追いかけてきている。その姿も蜂のようなふざけたナリで宙を飛んでいて。でも雀蜂の大群に守られて余裕綽々だ。ずるい。
大元である鬼さえ斬れば雀蜂だって普通サイズに戻るかもしれないけれど、それでも蜂は怖い。虫、嫌い。
「仕方ない。ーー蛇の呼吸、伍ノ型・蜿蜿長蛇」
うねりを帯びた斬撃が、蜂を斬り刻み駆逐していく。その数が一気に減った!!
「自分で斬れるならさっさと斬ってよぉ!!」
「朝緋にも花を持たせてやろうという俺の優しさがわからんとは。それよりそちらに行ったぞ。この数ならお前にも斬れるはずだ」
花とか持たせなくていいのに。
言われた方向を見れば、伊黒さんが斬った残りの蜂がこっちに飛んできていた。うわ速!顔リアルでキモい!!針、するどっ!!
「うぎゃぁぁあ!刺されたら恨みますからね!?伍ノ型・炎虎改、乱咬み!!」
私の小虎達もこんなの咬み殺したくないと思う!エフェクトだろうが私の虎はかわいい小虎!!
けれど蜂をものともせずに噛み殺してくれた!良い子!かわいいやつらめ〜!!
「って、ぎゃあ虫の汁的なものついた!きったなぁぁいえんがちょッ!!」
蜂の体液が飛んできて私にぺちょりと付着した。
そうだ、この蜂達は鬼の血鬼術で強化されてるだけの本物の蜂。鬼が作り出したものと違う。
生き物を利用するなんて許せないし斬ってしまって申し訳ないけど、虫は嫌い。嫌いったら嫌いなのだ。
「よくやった朝緋ーー蛇の呼吸、弐ノ型・狭頭の毒牙」
「ヒッ!?悪鬼滅殺の文字……っ柱……っ!!ーーギャアアアアッ!?」
鬼への道が一直線に拓かれ、伊黒さんが一気に距離を詰める。蛇の呼吸の中でも一際強力な一撃、弐ノ型で鬼の頸を刎ねた。
ぼと、落ちた頸が驚愕と恐怖に震える。けれど何も言えないまま、鬼の頸も体も闇夜に溶けて消えた。
残った蜂は元の大きさに戻り、飛んでいった。
「おい。いつまでそうしている」
「だって、気持ち悪いんだもの」
私はというと、汚れを叩き落とそうと羽織についた虫の体液と格闘していた。落ちない。
「洗えば良かろう。いや、それくらい避ければよかったのだお前の速さなら避けられたのになぜそうしない。そもそも指示した時に技を放たんとは。役立たずめ。蜂如きで逃げに回るとは同じ鬼殺隊士として恥ずかしい。隊規違反と変わらん。階級を落とした方がいいのではないか?普段本当に鬼を斬れているのか?そんな状態でよく炎柱の継子が務まるな。煉獄に迷惑をかけたら許さんぞ」
ネチネチネチネチ。これが噂に聞く伊黒さんの弐ノ型もびっくりのネチネチ口撃か。ここまで言われたの初めてかも。結構グッサリ刺さるわ。
「ごめん……!でもそんなにネチネチ言わなくてもいいよね!?……こほん、そんなにネチネチと言わなくてもいいですよね?」
「言い直すな今更敬語はやめろ」
「ふぇい」
後で洗お。諦めて着直し、ネチネチ口撃の中で気になったワードについて聞く。
「伊黒さん、師範のこと煉獄って呼んでるんだね。私も煉獄だよ?」
「お前も外ではアイツを師範と呼んでいるだろう。それと同じで俺も外では煉獄と呼ぶようにしているだけだ。そしてお前を呼ぶなら煉獄でなくお前か名前で十分だと思うが」
なにそれ煉獄家の一員と認めないと?いや、そういう話じゃないな。伊黒さんは素直じゃないし、ただ杏寿郎さんとごっちゃになるから名前で呼んであげるよ!という意味だと思う。ツンデレさんめっ!
「今も外だけど私しかいないよ。杏寿郎、でいいんじゃないの?この前伊黒さんと二人の時にも『煉獄と呼ばれた』と寂しがってたよ」
「黙れうるさい。癖だ」
森から出ようと並んで歩く中、まだまだ蜂が屯しているのが見える。夜空の中で飛ぶ姿を見るなら蛍がいい。蛍も虫?蛍は光っているのを見てる分には平気。
あー、杏寿郎さんと見に行きたい。
「まだ蜂さんいるんだけど。めちゃくちゃ飛んでるんだけど。夜だよ」
「ここはもともと蜂が多い森だとわかっている。あと雀蜂は夜も飛ぶ。こちらが何もしなければおとなしい。人間が巣に近づき、危険だとわかると攻撃してくる」
「それはそうなんだけどさ……。
私、蚯蚓とかうねうねしてる虫が嫌いなんだけど、でも蜂も大っ嫌いなのよねぇ。なんで雀蜂なんか使役してきたのあの鬼……!」
「俺は知らんよ」
鬼の造形、鬼の使う血鬼術。
それらは人間だった時の鬼の記憶や人生が関係してくるのはもう大体わかっている。でも雀蜂って!せめて蜜蜂にしてほしい。まるまるっとしててフォルムがかわいいし、集めてくれる蜂蜜は美味しい。
パンケーキ食べたい。
「うねうねなら鏑丸もうねっているが?」
「鏑丸は大丈夫。味方だもの、ねー?」
他の隊士がいきなり触るなどすると怒る鏑丸だけど、幼少期に私と過ごしたことを覚えているのか好きにナデナデさせてくれた。
それどころか、伊黒さんの肩からするするりと私の首に移動して擦り寄ってくれた。
すべすべ気持ちいい。かわいい。