四周目 伍
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それからしばらく。
煉獄家にて風邪もすっかり治し、再び鬼殺に明け暮れる日々。今日の任務は音柱の宇髄さんとのものだった。
と言っても、調査が主体で鬼を狩るようなものではない。見た目は目立つ人だけど元忍びだからか、そういうのは得意なようだった。任務は滞りなく終わってくれて、今はお昼ご飯にと定食屋で丼ものを囲んでいる。
『前』までは苦手意識も多少あったけど、今は違う。ある意味杏寿郎さんよりも話しやすい。恋愛相手としては却下だけど上官として。友人として好きな相手の一人と言える。
なんでこんな美丈夫相手に恋愛が却下なんだって?そりゃもちろん、杏寿郎さんしか愛せないし愛したくないからに決まってるじゃない?
今日も私の世界は杏寿郎さんで回っている。貴方が神か。そうだ、杏寿郎さんこそ神だ。
「お前よく食うな。煉獄みてぇだ」
「んふふ、師弟ですからね」
もぐもぐごっくん。ずずずー。口に頬張った食べ物を飲み込んで茶を一口。
友人の一人と思っていようと相手は年上で上官。失礼のないように口の中を片付けてから答える。
「師弟ねぇ……恋仲の間違いじゃなくて?」
「ぶっ!?」
でもお茶は吹いた。
「きったねぇなー」
「ぇ、な、なんで知って……」
「見りゃわかるしそもそも煉獄が言ってた。ありゃ俺への牽制だな」
杏寿郎さん……宇髄さん相手に牽制してどーするのよ。ていうか勝手に言うのやめてよ。広まっちゃうじゃんかあ。
ちなみに『前』に私に何度か告白してきた隊士の存在は終ぞ確認することができなかった。別に告白を受けたいわけじゃないよ?
未来はちょっとした変化で変わるんだねってびっくりしてるだけ。
他の人からの愛の告白も今のところ皆無だけど、それは杏寿郎さんが広めているから……?もちろん、別にそれでいい。
二人の時間は邪魔されたくない。
「それより食わねぇのか?箸が止まってるぜ。お、こっちの奴一個もーらい」
そういってヒョイと摘み上げられたのは、私の大大大好物。
「あー!だめだめ返してそれ私の好物のお稲荷さん!!柱だろうと頸狩りとって殺しますよ!?」
「殺すまで言われるのか?こわい!ウケる!!
……はいよ、殺されちゃ敵わねぇから返す」
「わー!ありがとうございますー!」
鬼殺隊士はその生業のせいか、言動自体が物騒なことがよくあるんだよね。
戻ってきたそれをひょいぱくー!んんん、おいしい。丼ものの他に頼んどいてよかったー!ここのお稲荷さんは当たり!!
「お前は稲荷寿司が好物なんだな」
「はい、大好物です。あとあいすくりんもですし、……ああでも、なんでも好きだなぁ。お菓子も好きだし、洋食も和食も好き」
「よだれ垂らすなよ。要するに食うこと全般が好きなんだろ?やっぱり煉獄そっくりだわ」
「師範も食べることが大好きですからね。
鬼にでもなったら食欲全振りで大変そう。人食べすぎてすぐ十二鬼月にのし上がりそうですよねぇ」
杏寿郎さんが鬼に、か。いつも考えることだ。
「柱が鬼とか恐ろしいこと言うなよ……。
でも、意外と食欲じゃないほうに行ったりしてな。鬼にそういう気持ちがあるかどうかはしらねぇが」
「食欲じゃないほう?そういう気持ち?」
「ま、気にすんな」
んー?気になるけどまあいいか。
おいしー。お持ち帰り用に買って帰ろっと。もちろんそれも自分用。
私の世界が杏寿郎さんで回っていようと、好物だけは渡さない。
「そういえば宇髄さんは好物あるんですか?」
「何?ゴチしてくれんの?」
「この間本部で縄抜け教えてくださったじゃないですか。あの時のお礼がまだだったと思って」
「大したことしてないがな。まー、あの後は御館様に庭を汚して池を濁したことを叱られたが」
縄抜けだけじゃなくて水遁と火遁の術を教えてくださったけど、やっぱり怒られたんだ……。
「で、俺の好物はフグ刺し」
フグ?あの高級食材のフグとな。
「これまた贅沢な……」
「好物に贅沢もクソもないだろ。で?ゴチしてくれんの?してくれるなら、ありがたく頂戴するぜ」
柱はほしい分だけのお給金が出るのになぁ。まあ、私も甲にあがってかなり稼ぐようになったからお金にはほとんど困ってないけどさ。ご飯以外に使うところってあまりないのよね。
「じゃあ後で新鮮で美味しい最高のフグ刺し持っていきますよ。音柱邸でいいですよね」
「おっマジか!……って、毒入ってたりしねぇよな?」
フグには強力な毒がある。
毒があるとわかっていても、その美味しさ。希少価値ゆえに食べる者が後を絶たず。専門知識を有する者が捌いたものでなく素人が捌くものだと、毒に当たり死に至る者も多い食材だ。
宇髄さんが躊躇するのは当然だった。
「失礼しちゃうなー。私が切ったものじゃなくてちゃんと専門の人に捌いてもらうから大丈夫ですよ。
前に鬼から助けた人がお魚料理をお出しになる料亭の方だったので、フグも捌けたはず。言えばすぐ捌いてもらえるかと」
人を助けるとこういう時にいい。お菓子屋さんだとオマケしてもらえたりする。
「というか、元忍びなら毒耐性あるんでしょう?フグ毒くらい解毒できるのでは?」
「そういう問題かボケ!」
わっ宇髄さんにまでボケって言われた。
雷やその派生の音の呼吸一派は、人にボケという言葉を放つのが基本なのだろうか。
でも善逸はボケだなんて言ってこないのに。
その後は藤の家紋の家にて報告書を二人で書いてから一旦別れる。私は料亭のある左手に。宇髄さんは音柱邸のある右手へ。
あ、ついでにどこかでおやつ食べていこうかな。わらび餅食べたい。
いつの時代も甘いものは別腹だ。
煉獄家にて風邪もすっかり治し、再び鬼殺に明け暮れる日々。今日の任務は音柱の宇髄さんとのものだった。
と言っても、調査が主体で鬼を狩るようなものではない。見た目は目立つ人だけど元忍びだからか、そういうのは得意なようだった。任務は滞りなく終わってくれて、今はお昼ご飯にと定食屋で丼ものを囲んでいる。
『前』までは苦手意識も多少あったけど、今は違う。ある意味杏寿郎さんよりも話しやすい。恋愛相手としては却下だけど上官として。友人として好きな相手の一人と言える。
なんでこんな美丈夫相手に恋愛が却下なんだって?そりゃもちろん、杏寿郎さんしか愛せないし愛したくないからに決まってるじゃない?
今日も私の世界は杏寿郎さんで回っている。貴方が神か。そうだ、杏寿郎さんこそ神だ。
「お前よく食うな。煉獄みてぇだ」
「んふふ、師弟ですからね」
もぐもぐごっくん。ずずずー。口に頬張った食べ物を飲み込んで茶を一口。
友人の一人と思っていようと相手は年上で上官。失礼のないように口の中を片付けてから答える。
「師弟ねぇ……恋仲の間違いじゃなくて?」
「ぶっ!?」
でもお茶は吹いた。
「きったねぇなー」
「ぇ、な、なんで知って……」
「見りゃわかるしそもそも煉獄が言ってた。ありゃ俺への牽制だな」
杏寿郎さん……宇髄さん相手に牽制してどーするのよ。ていうか勝手に言うのやめてよ。広まっちゃうじゃんかあ。
ちなみに『前』に私に何度か告白してきた隊士の存在は終ぞ確認することができなかった。別に告白を受けたいわけじゃないよ?
未来はちょっとした変化で変わるんだねってびっくりしてるだけ。
他の人からの愛の告白も今のところ皆無だけど、それは杏寿郎さんが広めているから……?もちろん、別にそれでいい。
二人の時間は邪魔されたくない。
「それより食わねぇのか?箸が止まってるぜ。お、こっちの奴一個もーらい」
そういってヒョイと摘み上げられたのは、私の大大大好物。
「あー!だめだめ返してそれ私の好物のお稲荷さん!!柱だろうと頸狩りとって殺しますよ!?」
「殺すまで言われるのか?こわい!ウケる!!
……はいよ、殺されちゃ敵わねぇから返す」
「わー!ありがとうございますー!」
鬼殺隊士はその生業のせいか、言動自体が物騒なことがよくあるんだよね。
戻ってきたそれをひょいぱくー!んんん、おいしい。丼ものの他に頼んどいてよかったー!ここのお稲荷さんは当たり!!
「お前は稲荷寿司が好物なんだな」
「はい、大好物です。あとあいすくりんもですし、……ああでも、なんでも好きだなぁ。お菓子も好きだし、洋食も和食も好き」
「よだれ垂らすなよ。要するに食うこと全般が好きなんだろ?やっぱり煉獄そっくりだわ」
「師範も食べることが大好きですからね。
鬼にでもなったら食欲全振りで大変そう。人食べすぎてすぐ十二鬼月にのし上がりそうですよねぇ」
杏寿郎さんが鬼に、か。いつも考えることだ。
「柱が鬼とか恐ろしいこと言うなよ……。
でも、意外と食欲じゃないほうに行ったりしてな。鬼にそういう気持ちがあるかどうかはしらねぇが」
「食欲じゃないほう?そういう気持ち?」
「ま、気にすんな」
んー?気になるけどまあいいか。
おいしー。お持ち帰り用に買って帰ろっと。もちろんそれも自分用。
私の世界が杏寿郎さんで回っていようと、好物だけは渡さない。
「そういえば宇髄さんは好物あるんですか?」
「何?ゴチしてくれんの?」
「この間本部で縄抜け教えてくださったじゃないですか。あの時のお礼がまだだったと思って」
「大したことしてないがな。まー、あの後は御館様に庭を汚して池を濁したことを叱られたが」
縄抜けだけじゃなくて水遁と火遁の術を教えてくださったけど、やっぱり怒られたんだ……。
「で、俺の好物はフグ刺し」
フグ?あの高級食材のフグとな。
「これまた贅沢な……」
「好物に贅沢もクソもないだろ。で?ゴチしてくれんの?してくれるなら、ありがたく頂戴するぜ」
柱はほしい分だけのお給金が出るのになぁ。まあ、私も甲にあがってかなり稼ぐようになったからお金にはほとんど困ってないけどさ。ご飯以外に使うところってあまりないのよね。
「じゃあ後で新鮮で美味しい最高のフグ刺し持っていきますよ。音柱邸でいいですよね」
「おっマジか!……って、毒入ってたりしねぇよな?」
フグには強力な毒がある。
毒があるとわかっていても、その美味しさ。希少価値ゆえに食べる者が後を絶たず。専門知識を有する者が捌いたものでなく素人が捌くものだと、毒に当たり死に至る者も多い食材だ。
宇髄さんが躊躇するのは当然だった。
「失礼しちゃうなー。私が切ったものじゃなくてちゃんと専門の人に捌いてもらうから大丈夫ですよ。
前に鬼から助けた人がお魚料理をお出しになる料亭の方だったので、フグも捌けたはず。言えばすぐ捌いてもらえるかと」
人を助けるとこういう時にいい。お菓子屋さんだとオマケしてもらえたりする。
「というか、元忍びなら毒耐性あるんでしょう?フグ毒くらい解毒できるのでは?」
「そういう問題かボケ!」
わっ宇髄さんにまでボケって言われた。
雷やその派生の音の呼吸一派は、人にボケという言葉を放つのが基本なのだろうか。
でも善逸はボケだなんて言ってこないのに。
その後は藤の家紋の家にて報告書を二人で書いてから一旦別れる。私は料亭のある左手に。宇髄さんは音柱邸のある右手へ。
あ、ついでにどこかでおやつ食べていこうかな。わらび餅食べたい。
いつの時代も甘いものは別腹だ。