四周目 肆
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は確かに継子に近い存在だ。というかもう杏寿郎さんは柱秒読みだから継子でいいのかも。うん、継子だね。
けれど継子であろうとなかろうと、任務の全てが杏寿郎さんと一緒の物にしてもらえるわけではない。
今日の任務で一緒になったのは、水柱の冨岡さんだった。柱と合同だなんて、私も階級をあげたものだ。自分で自分に感心する。
それにしても、『今回』は初めてお会いする。
「本日共に任務にあたります、階級『丙』。煉獄朝緋です」
こくり。頷き返された。え、頷いて終わり?何か喋ろうよ!
あ。言い忘れたけど今の階級は丙です。
冨岡さんは相変わらず切長の目元が涼しげでかっこよかった。
杏寿郎さんと違うタイプのイケメンだ。
柱の人達って強いだけじゃなくかっこよくてかわいくて頼りになって……。全部持ってるよね。
ただ、この人はほんっと無口すぎるよね。言葉が足りなさすぎる。
普賑やかな人が隣にいることが多い私としては心地良い沈黙だけど、他の人からしたらイライラすることもあるんだろうな。
相手から名前で呼べと言われればそっちを優先するけれど、任務時は基本的に柱の名前で呼ぶようにしている。
特にはじめましての時は。
「あの、水柱様」
「冨岡だ」
「水柱さ、」
「冨岡だ」
「……冨岡さん」
お名前でのコールを望まれるの早かったなぁ……。いや、よく考えたらほとんどの柱が『前』から名前でもいいと言ってきてたような?
そうじゃないのしのぶちゃんくらいかも。でも先に友達になっちゃうから、カウントされないか。
その後、何事もなく無事に任務を終えることができた。流石は冨岡さんだ。鬼を見つけて追い込んだら、頸を素早く跳ねてくださった。
だから私の心配事は空腹を訴え続ける自分のお腹のみ。
「お腹すいた……冨岡さん、ご飯食べに行きませんか?帰るまでに空腹で倒れちゃいそうです」
また、こくりと頷かれる。そのまま着いてくるので、食事どころは私に任せてくれるのかな?
任務終わりの朝早くから開いてるところとなると……。
今日は瑠火さんの命日なので杏寿郎さんも帰ってくるけれど、何も任務終わりのこんな早くに帰ってくるわけないし、この近くにいるわけじゃないから冨岡さんとご飯食べてきてもバレることはない。
……でも柱だろうと他の男性と二人きりでご飯食べてきたと知られたら怖いな。
そんなこんなで、定食が美味しくて朝から開いているところを見つけた。んー、お味噌汁や焼き物、煮物の良い匂いが食欲をそそる〜!何にしようかお品書きを眺めながら席に座ろうと……。
「鮭大根で」
座る前から言った!?はやっ!!
柱が即決めたのに一般隊士がもたもたしてるわけにいかない。適当に多く頼む。
日替わりが二つと、天丼とカツ丼一杯ずつ、それから稲荷寿司五皿だ。多い?杏寿郎さんや蜜璃と比べてから言ってね。
届いたご飯を頬張りながら、隣の冨岡さんが食べる鮭大根の定食をちらりと見る。良い匂い。鮭大根も美味しそ、う……?
「!?」
そこにあったのは見たことのないような、冨岡さんの笑顔だった。
「うわ、なんですかその笑顔!そんな顔できたんですね!?」
「?」
えっ私の太陽って杏寿郎さん以外にもいたんだっけ?ピカピカ眩しい!この笑顔を向けたら、あまりの眩しさに鬼なんて一瞬で滅されるんじゃ……?
あとご飯粒がほっぺたにつきまくってる……ギャップ萌え。かわいい、かわいいぞ冨岡さん!
「……鮭大根、大好きなんですね……」
こくこくこく!
何度も頷かれる。よほど好きなんだなあ。
そういえば『前』に作ってご馳走したことあった。鮭と大根持って炎柱邸に来た時は何事かと思ったっけ。懐かしい。
でもあの時の私はそれどころじゃなかったし、冨岡さんが食べている時の顔なんて見てなかった。ま、見たとしてもあの時の私の気分が浮上するわけなかったね。
好物なのはいいけれど……。
鬼殺隊士っていっぱい食べるイメージがあるのに、冨岡さんの食べる量ってすくないなぁ。一膳じゃないの。
あ、伊黒さんほどは少なくないよ。彼は特別食べる量が少ない。
「それだけで足りるんですか?」
「……お前らとは違う」
もきゅ、大きめな鮭の切り身を頬張り、一言。捉える人によっては腹立たしく感じてしまうであろうその言葉の意味を、しばし考え込む。
「ああ。確か冨岡さんはうちの師範……煉獄杏寿郎と任務に行ったことがあるんでしたね。炎の呼吸を使う者は健啖家。いっぱい食べる私や師範と違って俺はそんなにたくさん食べない、という意味ですか?」
こくり。小さく頷かれる。
やったおおよそ当たった。冨岡語の翻訳なら任せろー!
「冨岡さん、めっちゃ分かりづらい。それじゃ言いたいこと一つも伝わってこないです。
誰も傷ついたり嫌がったりしないので思ったことは全て。そう、全て!口に出して言ってみてくださいよ。
言葉が足りなさすぎて真意が伝わってきません……いやほんとマジで。
うちの師範を真似ろとまで言わないけど、ズバズバハキハキ言った方がいいと思います」
柱だとか関係ない。口調を崩してはっきり教える。どちらにせよ今は任務中ではなく、任務後のご飯タイムだから無礼講でいいだろう。ただし砕け口調にする人は選ぶ。
「……言葉に出しているはずだが」
「足りてません。ついでにお野菜も足りてません。はい、野菜のおかず。お肉も足りないから私のカツも一切れあげます」
ぽいぽいと、煮物やカツを冨岡さんのご飯の上に乗っける。
すっごい渋い顔された。もしかして稲荷寿司も欲しいの?好物だからあげないよ。
けれど継子であろうとなかろうと、任務の全てが杏寿郎さんと一緒の物にしてもらえるわけではない。
今日の任務で一緒になったのは、水柱の冨岡さんだった。柱と合同だなんて、私も階級をあげたものだ。自分で自分に感心する。
それにしても、『今回』は初めてお会いする。
「本日共に任務にあたります、階級『丙』。煉獄朝緋です」
こくり。頷き返された。え、頷いて終わり?何か喋ろうよ!
あ。言い忘れたけど今の階級は丙です。
冨岡さんは相変わらず切長の目元が涼しげでかっこよかった。
杏寿郎さんと違うタイプのイケメンだ。
柱の人達って強いだけじゃなくかっこよくてかわいくて頼りになって……。全部持ってるよね。
ただ、この人はほんっと無口すぎるよね。言葉が足りなさすぎる。
普賑やかな人が隣にいることが多い私としては心地良い沈黙だけど、他の人からしたらイライラすることもあるんだろうな。
相手から名前で呼べと言われればそっちを優先するけれど、任務時は基本的に柱の名前で呼ぶようにしている。
特にはじめましての時は。
「あの、水柱様」
「冨岡だ」
「水柱さ、」
「冨岡だ」
「……冨岡さん」
お名前でのコールを望まれるの早かったなぁ……。いや、よく考えたらほとんどの柱が『前』から名前でもいいと言ってきてたような?
そうじゃないのしのぶちゃんくらいかも。でも先に友達になっちゃうから、カウントされないか。
その後、何事もなく無事に任務を終えることができた。流石は冨岡さんだ。鬼を見つけて追い込んだら、頸を素早く跳ねてくださった。
だから私の心配事は空腹を訴え続ける自分のお腹のみ。
「お腹すいた……冨岡さん、ご飯食べに行きませんか?帰るまでに空腹で倒れちゃいそうです」
また、こくりと頷かれる。そのまま着いてくるので、食事どころは私に任せてくれるのかな?
任務終わりの朝早くから開いてるところとなると……。
今日は瑠火さんの命日なので杏寿郎さんも帰ってくるけれど、何も任務終わりのこんな早くに帰ってくるわけないし、この近くにいるわけじゃないから冨岡さんとご飯食べてきてもバレることはない。
……でも柱だろうと他の男性と二人きりでご飯食べてきたと知られたら怖いな。
そんなこんなで、定食が美味しくて朝から開いているところを見つけた。んー、お味噌汁や焼き物、煮物の良い匂いが食欲をそそる〜!何にしようかお品書きを眺めながら席に座ろうと……。
「鮭大根で」
座る前から言った!?はやっ!!
柱が即決めたのに一般隊士がもたもたしてるわけにいかない。適当に多く頼む。
日替わりが二つと、天丼とカツ丼一杯ずつ、それから稲荷寿司五皿だ。多い?杏寿郎さんや蜜璃と比べてから言ってね。
届いたご飯を頬張りながら、隣の冨岡さんが食べる鮭大根の定食をちらりと見る。良い匂い。鮭大根も美味しそ、う……?
「!?」
そこにあったのは見たことのないような、冨岡さんの笑顔だった。
「うわ、なんですかその笑顔!そんな顔できたんですね!?」
「?」
えっ私の太陽って杏寿郎さん以外にもいたんだっけ?ピカピカ眩しい!この笑顔を向けたら、あまりの眩しさに鬼なんて一瞬で滅されるんじゃ……?
あとご飯粒がほっぺたにつきまくってる……ギャップ萌え。かわいい、かわいいぞ冨岡さん!
「……鮭大根、大好きなんですね……」
こくこくこく!
何度も頷かれる。よほど好きなんだなあ。
そういえば『前』に作ってご馳走したことあった。鮭と大根持って炎柱邸に来た時は何事かと思ったっけ。懐かしい。
でもあの時の私はそれどころじゃなかったし、冨岡さんが食べている時の顔なんて見てなかった。ま、見たとしてもあの時の私の気分が浮上するわけなかったね。
好物なのはいいけれど……。
鬼殺隊士っていっぱい食べるイメージがあるのに、冨岡さんの食べる量ってすくないなぁ。一膳じゃないの。
あ、伊黒さんほどは少なくないよ。彼は特別食べる量が少ない。
「それだけで足りるんですか?」
「……お前らとは違う」
もきゅ、大きめな鮭の切り身を頬張り、一言。捉える人によっては腹立たしく感じてしまうであろうその言葉の意味を、しばし考え込む。
「ああ。確か冨岡さんはうちの師範……煉獄杏寿郎と任務に行ったことがあるんでしたね。炎の呼吸を使う者は健啖家。いっぱい食べる私や師範と違って俺はそんなにたくさん食べない、という意味ですか?」
こくり。小さく頷かれる。
やったおおよそ当たった。冨岡語の翻訳なら任せろー!
「冨岡さん、めっちゃ分かりづらい。それじゃ言いたいこと一つも伝わってこないです。
誰も傷ついたり嫌がったりしないので思ったことは全て。そう、全て!口に出して言ってみてくださいよ。
言葉が足りなさすぎて真意が伝わってきません……いやほんとマジで。
うちの師範を真似ろとまで言わないけど、ズバズバハキハキ言った方がいいと思います」
柱だとか関係ない。口調を崩してはっきり教える。どちらにせよ今は任務中ではなく、任務後のご飯タイムだから無礼講でいいだろう。ただし砕け口調にする人は選ぶ。
「……言葉に出しているはずだが」
「足りてません。ついでにお野菜も足りてません。はい、野菜のおかず。お肉も足りないから私のカツも一切れあげます」
ぽいぽいと、煮物やカツを冨岡さんのご飯の上に乗っける。
すっごい渋い顔された。もしかして稲荷寿司も欲しいの?好物だからあげないよ。