四周目 肆
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今度は静かな怒りを込めた声音で続ける杏寿郎さん。
「父上。俺は絶対に、絶対に朝緋と夫婦になります。
俺はもちろんのこと、朝緋が他の者となど考えたくもない。もし他の男となどとなれば、俺はその者を鬼と間違えて頸を斬り飛ばしてしまうかもしれません」
えっほんとこわっ!?
愛されてるとわかる言葉の羅列に嬉しく思う反面、なかなかに恐ろしいワードの羅列でもあり私の表情が引き攣りをみせる。
なんなら槇寿朗さんも圧倒どころか、引いてしまっている。
「…………杏寿郎の気持ちはわかった」
「!なら……っ!!」
「許可する気はないがな。
朝緋はどうなんだ?杏寿郎と夫婦になるつもりはあるのか?」
「それは……、」
夫婦かぁ……なりたいに決まってる。杏寿郎さんと今度こそ未来を紡ぎたい。
でもそれには上弦の参の鬼をなんとかしなければ。無限列車の任務を無事に終えなければ。
そうでなくては夫婦になることも。杏寿郎さんとのややこを宿すことも。何も望めない。
私が望む、炎の未来は望めない。
「もちろん、夫婦になりとうございます」
言ってから隣の杏寿郎さんに笑いかけるも、彼はなぜか怒り狂っていた。
えっなんで?どして??
「……なあ、朝緋」
「な、何……?何を怒って……、」
「朝緋ッ!何故すぐにはいと言わん!なんだ今の間は!!」
「やっ、杏寿郎さ……っ」
私の返答にあった少しの間が許せなかったらしく、胸ぐらに掴みかかられた。襟元が詰まって苦しい。ううん、それよりされたことが悲しかった。
その手が振り上げられたのを見た私は、来たる衝撃を恐怖しぎゅっと目を閉じた。
杏寿郎さんの手を槇寿朗さんが押さえて止める。
「杏寿郎。朝緋を怒るのは違うだろう?手をあげる気か。
お前はそんな粗暴な男だったのか?そのような質では許可する場合でも許可できなくなる。大切な女性を虐げる男に娘はやれんぞ。
離してやりなさい」
「………………」
「杏寿郎、離せ」
強く言えばやっと私を放してくれた。
こうして杏寿郎さんは激しく怒りを露わにしたのだ。父親である槇寿朗さんに楯突いたのは初めてのことかもしれない。
「とにかく、俺は朝緋と婚姻を結びますので他の者との見合いなんて言語道断!朝緋が見合いすることも許しません!!」
「……はあ。考えておく」
「ありがとうございます。それと父上、俺はこれから拠点を炎柱邸へと移します」
「元より藤の家紋の家を拠点として任務に当たっていたお前だ。好きにしろ」
あっ槇寿朗さんたら、ちょっと面倒臭くなったな。投げやり感満載の答え方になった。
杏寿郎さんはそれが嬉しそう……しつこく言うことで許可させようっていう策略かもしれない。
「もちろん朝緋も連れていきます」
「は?二人で住むと!?」
けれどその言葉で勢いよくこちらを振り返る槇寿朗さん。
「はいっその通りです!!」
私の手をギュッと嬉しそうに握る、ぴっかぴかの笑顔だけど……。
「私まだ行かないよ?」
「何故だ?
……ああそうか。おなごは何かと入り用だし、新たに必要になるものも多いからな。だが大丈夫だ!全部俺が買ってあげよう!!」
全部なんて言い方して。これが杏寿郎さんに貢がせようとしてる悪女だったらどーするのさ。
「あのですね、そうではなくて。まだこの家に居たいしやることがたくさんあるんです。だからもう少し待っていただきたいなって。
せめて、その……杏寿郎さんが正式に柱として就任されるまでは」
握られた手に込められる力が少し強くなる。
怖い、また怒られたらどうしよう。ハラハラしながら聞いてみる。
「正式な柱になるまでは……だと?うぅむう…………、……」
「杏寿郎。承諾してやれ」
「………………柱になったら迎えに来る」
槇寿朗さんナイスアシスト!ありがとうございます!
「では父上。母上の命日が近いので、その時にまた来ます」
「ああ」
「朝緋、それまで君とは任務や鍛錬で会うことになると思う。炎柱邸の場所はわかるな?何かあったら烏を飛ばしてから……いや、何もなくともいつでもおいで」
正式な柱になるまで秒読みだからね。多分、それまでの短い期間で行くことはないと思う。
ごめん杏寿郎さん……。だって杏寿郎さん、ずっとずっと牙を研いで舌舐めずりしてる獣みたいなんだもの。行ったら柱になる前なのに、ぺろりと食べられそうな気がしてる。
嫌じゃないけど、もう少し心の準備をさせてほしい。
「それともう一つ朝緋」
「うん?」
「怖かったろう、怒ってしまいすまなかった」
「いいよ。杏寿郎さんがそこまで怒るほどに、私のことを好きでいてくれてるんだなーって改めて実感できたもの。
嬉しかったよ」
情けないほど眉や前髪をへにょんと下げてまで謝罪されて、許さない女がどこにいよう。笑顔で返答すれば。
「朝緋……っ!」
がばりと抱きしめられ。それだけに飽き足らず唇を奪われた。
だから貴方はTPOを考えて!せめて部屋を出てからにしようよ!?
「んっんん、ちょっ、ここ……っ、父様の部屋ぁーー!」
「構うものか!」
構って!?ほら、槇寿朗さんが真っ赤な顔でプルプルしてる!!
「お前ら、他所でやれ!!」
槇寿朗さんの雷が落ちた。
「父上。俺は絶対に、絶対に朝緋と夫婦になります。
俺はもちろんのこと、朝緋が他の者となど考えたくもない。もし他の男となどとなれば、俺はその者を鬼と間違えて頸を斬り飛ばしてしまうかもしれません」
えっほんとこわっ!?
愛されてるとわかる言葉の羅列に嬉しく思う反面、なかなかに恐ろしいワードの羅列でもあり私の表情が引き攣りをみせる。
なんなら槇寿朗さんも圧倒どころか、引いてしまっている。
「…………杏寿郎の気持ちはわかった」
「!なら……っ!!」
「許可する気はないがな。
朝緋はどうなんだ?杏寿郎と夫婦になるつもりはあるのか?」
「それは……、」
夫婦かぁ……なりたいに決まってる。杏寿郎さんと今度こそ未来を紡ぎたい。
でもそれには上弦の参の鬼をなんとかしなければ。無限列車の任務を無事に終えなければ。
そうでなくては夫婦になることも。杏寿郎さんとのややこを宿すことも。何も望めない。
私が望む、炎の未来は望めない。
「もちろん、夫婦になりとうございます」
言ってから隣の杏寿郎さんに笑いかけるも、彼はなぜか怒り狂っていた。
えっなんで?どして??
「……なあ、朝緋」
「な、何……?何を怒って……、」
「朝緋ッ!何故すぐにはいと言わん!なんだ今の間は!!」
「やっ、杏寿郎さ……っ」
私の返答にあった少しの間が許せなかったらしく、胸ぐらに掴みかかられた。襟元が詰まって苦しい。ううん、それよりされたことが悲しかった。
その手が振り上げられたのを見た私は、来たる衝撃を恐怖しぎゅっと目を閉じた。
杏寿郎さんの手を槇寿朗さんが押さえて止める。
「杏寿郎。朝緋を怒るのは違うだろう?手をあげる気か。
お前はそんな粗暴な男だったのか?そのような質では許可する場合でも許可できなくなる。大切な女性を虐げる男に娘はやれんぞ。
離してやりなさい」
「………………」
「杏寿郎、離せ」
強く言えばやっと私を放してくれた。
こうして杏寿郎さんは激しく怒りを露わにしたのだ。父親である槇寿朗さんに楯突いたのは初めてのことかもしれない。
「とにかく、俺は朝緋と婚姻を結びますので他の者との見合いなんて言語道断!朝緋が見合いすることも許しません!!」
「……はあ。考えておく」
「ありがとうございます。それと父上、俺はこれから拠点を炎柱邸へと移します」
「元より藤の家紋の家を拠点として任務に当たっていたお前だ。好きにしろ」
あっ槇寿朗さんたら、ちょっと面倒臭くなったな。投げやり感満載の答え方になった。
杏寿郎さんはそれが嬉しそう……しつこく言うことで許可させようっていう策略かもしれない。
「もちろん朝緋も連れていきます」
「は?二人で住むと!?」
けれどその言葉で勢いよくこちらを振り返る槇寿朗さん。
「はいっその通りです!!」
私の手をギュッと嬉しそうに握る、ぴっかぴかの笑顔だけど……。
「私まだ行かないよ?」
「何故だ?
……ああそうか。おなごは何かと入り用だし、新たに必要になるものも多いからな。だが大丈夫だ!全部俺が買ってあげよう!!」
全部なんて言い方して。これが杏寿郎さんに貢がせようとしてる悪女だったらどーするのさ。
「あのですね、そうではなくて。まだこの家に居たいしやることがたくさんあるんです。だからもう少し待っていただきたいなって。
せめて、その……杏寿郎さんが正式に柱として就任されるまでは」
握られた手に込められる力が少し強くなる。
怖い、また怒られたらどうしよう。ハラハラしながら聞いてみる。
「正式な柱になるまでは……だと?うぅむう…………、……」
「杏寿郎。承諾してやれ」
「………………柱になったら迎えに来る」
槇寿朗さんナイスアシスト!ありがとうございます!
「では父上。母上の命日が近いので、その時にまた来ます」
「ああ」
「朝緋、それまで君とは任務や鍛錬で会うことになると思う。炎柱邸の場所はわかるな?何かあったら烏を飛ばしてから……いや、何もなくともいつでもおいで」
正式な柱になるまで秒読みだからね。多分、それまでの短い期間で行くことはないと思う。
ごめん杏寿郎さん……。だって杏寿郎さん、ずっとずっと牙を研いで舌舐めずりしてる獣みたいなんだもの。行ったら柱になる前なのに、ぺろりと食べられそうな気がしてる。
嫌じゃないけど、もう少し心の準備をさせてほしい。
「それともう一つ朝緋」
「うん?」
「怖かったろう、怒ってしまいすまなかった」
「いいよ。杏寿郎さんがそこまで怒るほどに、私のことを好きでいてくれてるんだなーって改めて実感できたもの。
嬉しかったよ」
情けないほど眉や前髪をへにょんと下げてまで謝罪されて、許さない女がどこにいよう。笑顔で返答すれば。
「朝緋……っ!」
がばりと抱きしめられ。それだけに飽き足らず唇を奪われた。
だから貴方はTPOを考えて!せめて部屋を出てからにしようよ!?
「んっんん、ちょっ、ここ……っ、父様の部屋ぁーー!」
「構うものか!」
構って!?ほら、槇寿朗さんが真っ赤な顔でプルプルしてる!!
「お前ら、他所でやれ!!」
槇寿朗さんの雷が落ちた。