四周目 肆
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比較的軽症だった私と蜜璃は軽く治療をするのみで済んだ。まあ、蜜璃のほっぺたと足が包帯まみれでちょっと痛々しいけど……。
反対に大怪我を負った杏寿郎さんは大事をとって入院だ。明日には退院できるようだけど、それは安静にしていた場合のみ。
杏寿郎さんは賑やかで、騒ぐことが多いと思われているから静かにさせるためにそう言ったんだと思うけど……。
でも。
お見舞いに来るのは構いませんがくれぐれもベッドの上で変な真似はしないように。と、しのぶから釘を刺された。
変な真似って……私、まだこれでも清らかな体なんですが!?
しのぶったら失礼しちゃう!私と杏寿郎さんをなんだと思っているんだ。
お見舞いに来たら、杏寿郎さんはちょうど薬が切れて目を覚ましたところだった。元気に輝く太陽の目がこちらを向いていて安心する。
「おはよう朝緋。いや、おそようの刻限か?」
「そうですね。あれから半日はたっぷり眠っていましたからおそようかもしれません。朝とお昼を食べはぐったお腹は?」
「空いている!!腹ペコで死にそうだ!!」
その言葉と合わせてグゥ、と杏寿郎さんのお腹も返事した。お互いクスクスわははとしばらく笑い合う。
「あー、おかしい〜!お腹でお返事しないでよ〜。あ、ご飯を頼んでくるね!」
「ありがとう。だがその前に話がある」
笑顔から一転し、真面目な顔になられたのでまっすぐ座り直す。
「まず呼吸についてだ」
「今更呼吸?」
「ああ。朝緋はあの時、雷の呼吸を使おうとしていなかっただろうか?その際、いつもと違う日輪刀が見えた気がしたのだが。
雷の呼吸といえば獪岳だ。日輪刀といえば鋼鐵塚殿だ。朝緋、彼らとのことについて何か隠していないだろうか?」
ぎくりとしたが、態度には出さないよう努めた。
向けられたのは咎めるような視線だ。他の呼吸に。他の男に浮気など絶対に許さない。と言いたげで。
杏寿郎さんは私を独占したがる。束縛したがる。恋愛面では心が狭い。
嬉しい反面、少し困る。
「見間違えでは?私は炎の呼吸の使い手ですよ。それは師範が一番よくわかってるはずです」
「俺の見間違いか……うーん?」
「何も隠していません」
「……ならいいが」
納得はしない。けれど、保留にしておこうというような目だった。私って、もしかしてこの手の……浮気だとかそういうのは信用されていない?
「それと」
「まだ何かあるんですか!?」
「まず、と言ったろう。
今回朝緋に庇われた事だが……。あの時は朝緋自ら、危険に飛び込んできたな。
煉獄家は狙われていたのに。復讐しようとしている鬼だったのに。なのに関係者だと。俺があれほど黙っていろと言ったのに、俺と恋仲であると悟られるような言動をした!
頼むから無茶なことはしないでくれ……心配しすぎて心の臓が止まりそうだ。俺は命がいくつあっても足りんよ」
懇願してくる言葉と共に手を握られ、そのまま抱き寄せられる。
私の無事を確認するかのような抱擁を前に、身を乗り出して自分からも抱きついた。
「ごめんなさい……。でも結果的に師範は足を折らずに済んだ。こんな私でも少しは貴方の役に立てたと思うの」
その時失言に気がついた。けれどもう遅い。
「足はもともと無事だが……?その言い方ではまるで俺が足を折る予定だったみたいではないか」
「!?、……そ、そんな気がしただけですよ!はい、任務についての話はこれでおしまいっ」
「んんー?」
尚もじろりと不審げに見つめてくるが無視だ無視。
そういえば杏寿郎さんは『また』君を失う、との言葉を仰っていたっけ。でも忘れているようだしこれも蒸し返さないでおこうかな。
「そんなことよりほら、しっかり寝て!ご飯も今頼んできますからたくさん食べて!そして早く治してください!
大人しくしていれば明日には退院できるそうですよ!!」
抱擁からも逃れて言い切る。途端に明るい笑顔に変わってくれた。
「それは真か!早く千寿郎にも父上にも今回のことを報告せねばな!!」
柱になる、という報告だ。
十二鬼月を倒した今回の功績が御館様に。柱に。鬼殺隊の人々に、認められた。
まだすぐではない。だけどだからこそ柱への就任が決まったのだ。あとは日輪刀に『悪鬼滅殺』の文字を入れてもらい、柱就任の儀を行って終わり。
炎柱の誕生だ。
けれどそれは同時に、槇寿朗さんが柱をクビになることを意味する。
反対に大怪我を負った杏寿郎さんは大事をとって入院だ。明日には退院できるようだけど、それは安静にしていた場合のみ。
杏寿郎さんは賑やかで、騒ぐことが多いと思われているから静かにさせるためにそう言ったんだと思うけど……。
でも。
お見舞いに来るのは構いませんがくれぐれもベッドの上で変な真似はしないように。と、しのぶから釘を刺された。
変な真似って……私、まだこれでも清らかな体なんですが!?
しのぶったら失礼しちゃう!私と杏寿郎さんをなんだと思っているんだ。
お見舞いに来たら、杏寿郎さんはちょうど薬が切れて目を覚ましたところだった。元気に輝く太陽の目がこちらを向いていて安心する。
「おはよう朝緋。いや、おそようの刻限か?」
「そうですね。あれから半日はたっぷり眠っていましたからおそようかもしれません。朝とお昼を食べはぐったお腹は?」
「空いている!!腹ペコで死にそうだ!!」
その言葉と合わせてグゥ、と杏寿郎さんのお腹も返事した。お互いクスクスわははとしばらく笑い合う。
「あー、おかしい〜!お腹でお返事しないでよ〜。あ、ご飯を頼んでくるね!」
「ありがとう。だがその前に話がある」
笑顔から一転し、真面目な顔になられたのでまっすぐ座り直す。
「まず呼吸についてだ」
「今更呼吸?」
「ああ。朝緋はあの時、雷の呼吸を使おうとしていなかっただろうか?その際、いつもと違う日輪刀が見えた気がしたのだが。
雷の呼吸といえば獪岳だ。日輪刀といえば鋼鐵塚殿だ。朝緋、彼らとのことについて何か隠していないだろうか?」
ぎくりとしたが、態度には出さないよう努めた。
向けられたのは咎めるような視線だ。他の呼吸に。他の男に浮気など絶対に許さない。と言いたげで。
杏寿郎さんは私を独占したがる。束縛したがる。恋愛面では心が狭い。
嬉しい反面、少し困る。
「見間違えでは?私は炎の呼吸の使い手ですよ。それは師範が一番よくわかってるはずです」
「俺の見間違いか……うーん?」
「何も隠していません」
「……ならいいが」
納得はしない。けれど、保留にしておこうというような目だった。私って、もしかしてこの手の……浮気だとかそういうのは信用されていない?
「それと」
「まだ何かあるんですか!?」
「まず、と言ったろう。
今回朝緋に庇われた事だが……。あの時は朝緋自ら、危険に飛び込んできたな。
煉獄家は狙われていたのに。復讐しようとしている鬼だったのに。なのに関係者だと。俺があれほど黙っていろと言ったのに、俺と恋仲であると悟られるような言動をした!
頼むから無茶なことはしないでくれ……心配しすぎて心の臓が止まりそうだ。俺は命がいくつあっても足りんよ」
懇願してくる言葉と共に手を握られ、そのまま抱き寄せられる。
私の無事を確認するかのような抱擁を前に、身を乗り出して自分からも抱きついた。
「ごめんなさい……。でも結果的に師範は足を折らずに済んだ。こんな私でも少しは貴方の役に立てたと思うの」
その時失言に気がついた。けれどもう遅い。
「足はもともと無事だが……?その言い方ではまるで俺が足を折る予定だったみたいではないか」
「!?、……そ、そんな気がしただけですよ!はい、任務についての話はこれでおしまいっ」
「んんー?」
尚もじろりと不審げに見つめてくるが無視だ無視。
そういえば杏寿郎さんは『また』君を失う、との言葉を仰っていたっけ。でも忘れているようだしこれも蒸し返さないでおこうかな。
「そんなことよりほら、しっかり寝て!ご飯も今頼んできますからたくさん食べて!そして早く治してください!
大人しくしていれば明日には退院できるそうですよ!!」
抱擁からも逃れて言い切る。途端に明るい笑顔に変わってくれた。
「それは真か!早く千寿郎にも父上にも今回のことを報告せねばな!!」
柱になる、という報告だ。
十二鬼月を倒した今回の功績が御館様に。柱に。鬼殺隊の人々に、認められた。
まだすぐではない。だけどだからこそ柱への就任が決まったのだ。あとは日輪刀に『悪鬼滅殺』の文字を入れてもらい、柱就任の儀を行って終わり。
炎柱の誕生だ。
けれどそれは同時に、槇寿朗さんが柱をクビになることを意味する。