四周目 参
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初任務を言い渡された。
その際、怪我はするなと色々な人から口を酸っぱくして言われた。できる限りでなく、絶対に、と。手紙で獪岳にまで言われたよどういうこった。
杏寿郎さんの方が怪我してるよね?なんで私ばっかり言われるの。いや、私は稀血だし怪我しちゃ駄目って元から言われてるけどさあ……。
私の元にやってきたお馴染みの鎹烏・あずままでもが、私が稀血だからか怪我しないように目を光らせているらしい。
ぐすん、みんなして私にきびちぃ。
けれども初任務は滞りなく進み、負傷者も亡くなる人もいなくて。私も怪我せずに終わった。
んふふー、さすがは私。『以前』よりもこの時期にしては強いだけはある。
でもこのままだとしのぶや花柱であるカナエさんと会わずして終わってしまう。友達になれずに終わる。知り合いにもなれない。
知り合いになれなかったら、カナエさんのピンチに駆けつけるための情報すら簡単には手に入らない可能性がある。その辺はあずまにも非常線を張っていてもらってるけど……。
なので、最近月の物の症状が重いこともあり、薬をもらいに行くという体で初蝶屋敷にお邪魔することにした。
「朝緋!こんなところで会えるとは奇遇だな!!」
「……朝緋か。久しぶりだな」
診療スペースに案内される道すがら、隊士の入院病棟を目にするとそこには杏寿郎さんと獪岳が仲良くベッドに横になっていた。
「あれっ二人とも怪我したの?」
「ほとんど治ってはいるが、背中に鬼の毒を受けてしまってな!もういいというにまだ療養中だ!!」
「俺も右に同じく」
「へー」
ピンピンして見えるからほとんど治りかけか。診療スペースがどこだかはわかっているので案内してくれている子に断りを入れて二人の部屋に入る。
「お邪魔しまーす」
「ああ、俺の隣に座るといい。……それで、朝緋は獪岳少年とは知己の仲なのか?」
「藤襲山で行動を共にした同期ですよ。素直じゃないし強情っぱりな所あるけど優しい子、って言ったの覚えてます?彼がそうです」
「あの包帯を巻くのが下手な子だな!」
「誰が素直じゃないけど強情っぱりだ。優しいで終わりにしとけよ。あと包帯巻くの下手くそで悪かったな!」
「いだだだだ!包帯は私が言ったわけじゃないよ!?弟が師範に言ったんだと思う!」
起き上がった獪岳にスリーパーホールドを食らった。治りかけも何もないよ。私より元気じゃん!
すぐに杏寿郎さんがべりりと引き剥がしてくれたから、落ちずにすんだ……。
「獪岳少年、あまりうちの朝緋を虐めないでくれるか?」
「へいへい、すみませんでした。
で?同じ煉獄だったから親戚か何かだとは思ってたが、師範?朝緋は煉獄さんと師弟関係なのか?」
「師弟であり兄妹だよ」
「へーー。兄妹ねぇ?ふーん」
意味深な言い方で杏寿郎さんを見る獪岳。何だかわからないけど、挑発してる?
「獪岳少年。……やらんぞ?」
「兄妹よりは機会があると思いますけどね」
「!?血はほぼ繋がっていないから大丈夫だっ!!」
「あっそ」
「なになに、何の話?」
「「朝緋は気にしなくていい」」
「アッハイ」
バチバチしている気がするのは、獪岳が雷の呼吸を使うからかな?でも杏寿郎さんは炎の呼吸使いなのに……変なの。
「ところで朝緋はなぜここに?」
「薬を貰いにきたんです」
「薬!!どこか悪いのか!?ここか!それともここか!!」
「ぎゃあ!?どこ触ってるのよ助平!」
バチン!いい音が響いて、杏寿郎さんの頬に紅葉が咲いた。……獪岳が引いていた。
退室しようとすると、なぜか杏寿郎さんが着いてくる。それはもう金魚のフンみたいに。
「何でついて来てるのさ」
「俺は師範だし兄だから当然だ。君の薬とやらが気になる」
そういう時にばかりお兄さんぶるんだから。
「あ。獪岳、またね」
「ああ、また文を出す。アレについても詳しく書くから読めよ」
「ふふ、アレね。りょーかい!」
呼吸についてだ。そう言って別れれば更にツッコミを入れてくるのはこの人。
「アレとは何だ?」
「教えません。友達との手紙にまで突っ込んでこないでよ……」
「友達なぁ……。鋼鐵塚殿の時も思ったが君は秘密が多すぎる」
「秘密は女を女にするって誰か言ってたからいいの」
「その通りよ煉獄君」
その時、たどり着いた診察室から声がした。
そこには果たして、花柱の胡蝶カナエ、その妹の胡蝶しのぶのお二人が詰めていた。
まずは欲しい薬について主治医であるカナエさんに話す。
私が症状や理由を話しいただく薬の説明を受けていると、杏寿郎さんがある話で反応した。
薬の影響で気持ち悪くなったり、血液がいつもよりドロドロになりやすくなったりの話ではない。
「こちらの薬は子防ぎの薬にもなるのよ」
「子防ぎ!」
「なぜそこで煉獄さんが反応するの!」
しのぶが怒ってる。怒ってはいるものの、まだ感情をあらわにしているしのぶにホッとする。
それにしても子防ぎで反応とは。理由はよくわかってるけれど今反応されても困る。
「はぁ……師範はお部屋にお戻りを」
「嫌だな!」
「ならうるさいので煉獄さんは口を閉じていてください!口を縫い付けますよ!?」
途端に口に手を当てた杏寿郎さんかわいい。
「あ、私も煉獄さんになってしまうので、できれば下の名前でお呼びいただくと助かります」
「なら朝緋ちゃんね。
朝緋ちゃん。よかったらしのぶの友達になってやってちょうだい?この子ったらあまりにも勝気で、鬼殺隊内に同じ年頃のお友達がいないのよ」
「姉さん!」
タイミングを見計らっていたけど、カナエさんから言ってくれるなんて!
「もちろんです!
実は私も鬼殺隊での女性のお友達が欲しいので!……あの、しのぶさん。友達になってくれますか?」
「えー!?……、う……いいですよ朝緋さん」
キラキラしたカナエさんと私の目二つに押され、承諾してくれたしのぶ。
「なら早速どこか喫茶室でお茶でもしてきたらどうかしら?ううん、それがいいわね。時間もあるし行ってらっしゃいな」
「は?姉さん!?」
「わーいやったー!!しのぶちゃん行こ!」
「もうちゃん付け呼び!?」
すぐにでも行こうと手を取る。ちゃん付けもこの手も拒否されることはなかった。
「俺も行っていいだろうか!」
「煉獄君はだーめ。女子会の邪魔する気なの?獪岳君相手にならわかるけど女の子同士にまで嫉妬する男は嫌われるわよ。
それにまだ私は退院を許可していません」
「む、むう……」
そかそか、杏寿郎さんたらまさかの獪岳にまで嫉妬したんだね。ありえないのに。
「そうだわ。朝緋ちゃん、しのぶとのデェトが終わったら生家に帰るんでしょう?悪いんだけど炎柱さんにこのお薬を届けてちょうだい。……煉獄君じゃなくて槇寿朗さんよ」
炎柱と言われて一瞬、誰だかわからなくなってしまった。つい、杏寿郎さんを見てしまった私悪くない。
渡された薬は開けてもいない状態でなお、匂いがきつかった。
「……うわ、これまた苦そうな薬ですね。すでに匂いがえぐいわー」
「ふふふ、彼はお酒を嗜まれるでしょう?臓腑を傷めないためのお薬よ。苦いのは当然。よろしくね?」
嗜むってレベルじゃない気がする。カナエさんもそれを理解しているからこそ、にっっっがい薬として調合したのだろう。カナエさんなりの「柱としてちゃんとしろ」という圧だった。
その際、怪我はするなと色々な人から口を酸っぱくして言われた。できる限りでなく、絶対に、と。手紙で獪岳にまで言われたよどういうこった。
杏寿郎さんの方が怪我してるよね?なんで私ばっかり言われるの。いや、私は稀血だし怪我しちゃ駄目って元から言われてるけどさあ……。
私の元にやってきたお馴染みの鎹烏・あずままでもが、私が稀血だからか怪我しないように目を光らせているらしい。
ぐすん、みんなして私にきびちぃ。
けれども初任務は滞りなく進み、負傷者も亡くなる人もいなくて。私も怪我せずに終わった。
んふふー、さすがは私。『以前』よりもこの時期にしては強いだけはある。
でもこのままだとしのぶや花柱であるカナエさんと会わずして終わってしまう。友達になれずに終わる。知り合いにもなれない。
知り合いになれなかったら、カナエさんのピンチに駆けつけるための情報すら簡単には手に入らない可能性がある。その辺はあずまにも非常線を張っていてもらってるけど……。
なので、最近月の物の症状が重いこともあり、薬をもらいに行くという体で初蝶屋敷にお邪魔することにした。
「朝緋!こんなところで会えるとは奇遇だな!!」
「……朝緋か。久しぶりだな」
診療スペースに案内される道すがら、隊士の入院病棟を目にするとそこには杏寿郎さんと獪岳が仲良くベッドに横になっていた。
「あれっ二人とも怪我したの?」
「ほとんど治ってはいるが、背中に鬼の毒を受けてしまってな!もういいというにまだ療養中だ!!」
「俺も右に同じく」
「へー」
ピンピンして見えるからほとんど治りかけか。診療スペースがどこだかはわかっているので案内してくれている子に断りを入れて二人の部屋に入る。
「お邪魔しまーす」
「ああ、俺の隣に座るといい。……それで、朝緋は獪岳少年とは知己の仲なのか?」
「藤襲山で行動を共にした同期ですよ。素直じゃないし強情っぱりな所あるけど優しい子、って言ったの覚えてます?彼がそうです」
「あの包帯を巻くのが下手な子だな!」
「誰が素直じゃないけど強情っぱりだ。優しいで終わりにしとけよ。あと包帯巻くの下手くそで悪かったな!」
「いだだだだ!包帯は私が言ったわけじゃないよ!?弟が師範に言ったんだと思う!」
起き上がった獪岳にスリーパーホールドを食らった。治りかけも何もないよ。私より元気じゃん!
すぐに杏寿郎さんがべりりと引き剥がしてくれたから、落ちずにすんだ……。
「獪岳少年、あまりうちの朝緋を虐めないでくれるか?」
「へいへい、すみませんでした。
で?同じ煉獄だったから親戚か何かだとは思ってたが、師範?朝緋は煉獄さんと師弟関係なのか?」
「師弟であり兄妹だよ」
「へーー。兄妹ねぇ?ふーん」
意味深な言い方で杏寿郎さんを見る獪岳。何だかわからないけど、挑発してる?
「獪岳少年。……やらんぞ?」
「兄妹よりは機会があると思いますけどね」
「!?血はほぼ繋がっていないから大丈夫だっ!!」
「あっそ」
「なになに、何の話?」
「「朝緋は気にしなくていい」」
「アッハイ」
バチバチしている気がするのは、獪岳が雷の呼吸を使うからかな?でも杏寿郎さんは炎の呼吸使いなのに……変なの。
「ところで朝緋はなぜここに?」
「薬を貰いにきたんです」
「薬!!どこか悪いのか!?ここか!それともここか!!」
「ぎゃあ!?どこ触ってるのよ助平!」
バチン!いい音が響いて、杏寿郎さんの頬に紅葉が咲いた。……獪岳が引いていた。
退室しようとすると、なぜか杏寿郎さんが着いてくる。それはもう金魚のフンみたいに。
「何でついて来てるのさ」
「俺は師範だし兄だから当然だ。君の薬とやらが気になる」
そういう時にばかりお兄さんぶるんだから。
「あ。獪岳、またね」
「ああ、また文を出す。アレについても詳しく書くから読めよ」
「ふふ、アレね。りょーかい!」
呼吸についてだ。そう言って別れれば更にツッコミを入れてくるのはこの人。
「アレとは何だ?」
「教えません。友達との手紙にまで突っ込んでこないでよ……」
「友達なぁ……。鋼鐵塚殿の時も思ったが君は秘密が多すぎる」
「秘密は女を女にするって誰か言ってたからいいの」
「その通りよ煉獄君」
その時、たどり着いた診察室から声がした。
そこには果たして、花柱の胡蝶カナエ、その妹の胡蝶しのぶのお二人が詰めていた。
まずは欲しい薬について主治医であるカナエさんに話す。
私が症状や理由を話しいただく薬の説明を受けていると、杏寿郎さんがある話で反応した。
薬の影響で気持ち悪くなったり、血液がいつもよりドロドロになりやすくなったりの話ではない。
「こちらの薬は子防ぎの薬にもなるのよ」
「子防ぎ!」
「なぜそこで煉獄さんが反応するの!」
しのぶが怒ってる。怒ってはいるものの、まだ感情をあらわにしているしのぶにホッとする。
それにしても子防ぎで反応とは。理由はよくわかってるけれど今反応されても困る。
「はぁ……師範はお部屋にお戻りを」
「嫌だな!」
「ならうるさいので煉獄さんは口を閉じていてください!口を縫い付けますよ!?」
途端に口に手を当てた杏寿郎さんかわいい。
「あ、私も煉獄さんになってしまうので、できれば下の名前でお呼びいただくと助かります」
「なら朝緋ちゃんね。
朝緋ちゃん。よかったらしのぶの友達になってやってちょうだい?この子ったらあまりにも勝気で、鬼殺隊内に同じ年頃のお友達がいないのよ」
「姉さん!」
タイミングを見計らっていたけど、カナエさんから言ってくれるなんて!
「もちろんです!
実は私も鬼殺隊での女性のお友達が欲しいので!……あの、しのぶさん。友達になってくれますか?」
「えー!?……、う……いいですよ朝緋さん」
キラキラしたカナエさんと私の目二つに押され、承諾してくれたしのぶ。
「なら早速どこか喫茶室でお茶でもしてきたらどうかしら?ううん、それがいいわね。時間もあるし行ってらっしゃいな」
「は?姉さん!?」
「わーいやったー!!しのぶちゃん行こ!」
「もうちゃん付け呼び!?」
すぐにでも行こうと手を取る。ちゃん付けもこの手も拒否されることはなかった。
「俺も行っていいだろうか!」
「煉獄君はだーめ。女子会の邪魔する気なの?獪岳君相手にならわかるけど女の子同士にまで嫉妬する男は嫌われるわよ。
それにまだ私は退院を許可していません」
「む、むう……」
そかそか、杏寿郎さんたらまさかの獪岳にまで嫉妬したんだね。ありえないのに。
「そうだわ。朝緋ちゃん、しのぶとのデェトが終わったら生家に帰るんでしょう?悪いんだけど炎柱さんにこのお薬を届けてちょうだい。……煉獄君じゃなくて槇寿朗さんよ」
炎柱と言われて一瞬、誰だかわからなくなってしまった。つい、杏寿郎さんを見てしまった私悪くない。
渡された薬は開けてもいない状態でなお、匂いがきつかった。
「……うわ、これまた苦そうな薬ですね。すでに匂いがえぐいわー」
「ふふふ、彼はお酒を嗜まれるでしょう?臓腑を傷めないためのお薬よ。苦いのは当然。よろしくね?」
嗜むってレベルじゃない気がする。カナエさんもそれを理解しているからこそ、にっっっがい薬として調合したのだろう。カナエさんなりの「柱としてちゃんとしろ」という圧だった。