四周目 参
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話があるからと夜に私の部屋を訪れた杏寿郎さん。眠るところだったのに、というか彼、普通に布団に入ってきたんですが?話はどうした煉獄杏寿郎!
「何やってるんですか。私はもう怪我も治ってますから看病は要らないし、自分の部屋で寝てしっかり休養しないと明日の任務に支障をきたしますよ?」
「明日は非番だ!」
「えーうそぉ。どんだけ非番にしてあるの?私の日輪刀の色が変わるところ見たんだからサボりの時間は終わりのはずでしょ」
「いや!何かあっても困るので共に寝ておこうと思う!!」
「せめて拳一個分空けてね」
空けてって言ったのに拳一個分すら空けてくれない杏寿郎さん。まさかと想うけど何かってナニかの間違いじゃないよね?
だって背中にぴったりくっつかれてると、変な感じするんだもの。それにあの嫉妬していた目……。身の危険を感じる。
「フー……フー!!」
「いや、怖いわ。鼻息荒いんですけど。怖いんですけど。眠れない!落ち着かないから自分の部屋に帰ってもらえません!?」
「断る」
「じゃあ、せめて私の体から少し離れてくださいませんかね?」
いくら杏寿郎さんのこと好きでもこれはちょっとな。私達、恋仲でもないしただの家族で師弟だよ。
「それで話のことだが……朝緋は鋼鐵塚殿と一体何を話していたんだ?鋼鐵塚殿は君に求婚をしてきた男だぞ。なのにあのように笑い合い、二人きりで話など……。
俺はそれが気になって眠れん」
やっぱりそれだよね。気にすると思った。でも私と鋼鐵塚さんの間に甘酸っぱい話などありえない。
「師範には関係がないこと。気にしなくていいことです」
「ーー関係ない?気にしなくていいだと?」
「しはん、」
鋭い目で射抜かれた瞬間、杏寿郎さんが上に覆いかぶさってきた。布団の中、押しつぶされる私。手が真横に置かれる。顔が近い、吐息がぶつかった。
「朝緋は床の間でまで師範と呼ぶのか?名前で呼ばれた方が嬉しいと、呼び方を変える時にそう教えたはずだが?」
「……杏寿郎さん、と?今は呼びたくないなあ。せめて杏寿郎お兄様じゃなくて?」
「むう……この期に及んで兄か」
更に顔が近くなった。キス、されてしまいそう。いや、私がしたくなる。唇にばかり目がいく。
だって、目を見たらもう逃げられないだろうから。
「ここ生家ですよわかってます?父様呼んじゃうよ?」
「君より先に口を塞いでしまえばいい」
「んっ!?んんー!!」
幅広く肉厚になった男性の手のひらで口を覆われた。たしかにこれでは何も話せない。叫べない。もがいてみても強く押さえられ、声は一つも出せなかった。
「口で塞がなかっただけいいだろう?」
にんまりと笑って言われた瞬間、嫌な予感すらした。まだ、まだその時期ではない。まだその先には進むわけにいかない。
「なあ朝緋、君は俺の気持ちを知っているだろうか」
手のひらが離れていく。代わりに頭ごと引き寄せ抱きしめられた。逞しい体だ。思わずその背に腕を回したくなる。
耳元に声が降ってきた。
「君も隊士になった。だからそろそろ……」
「駄目、杏寿郎『兄さん』。
せめて私の階級がある程度上がったらで。貴方の階級が甲に上がったらで。そしたら色々と考えます」
「!
……甲だな。よかろう、それまでに色々と覚悟しておいてくれ」
杏寿郎さんが名残惜しくも離れていく。私の上から退き、背後に戻っていく。
背中には杏寿郎さんの体が添えられているけれど、あの熱っぽい視線から逃れられた。
ふーー。流されるところだった……。
「それで、鋼鐵塚殿とは添い遂げたいだとか、好い感情を向けているだとかはないのだろうな!?」
「だからそう言ってるじゃん!!そんな感情ひとっつも向けてないって!」
「全くそういう風には聞いていなかったが!?」
「ああ確かにそうでしたね!?言ってませんでした!鋼鐵塚さんはただの刀鍛冶さんです!以上!!」
「了解したっっ!!!」
声がうるさかったのだろう、外から槇寿朗さんが一喝してきた。
「うるさいぞお前らぁ!!」
貴方の声も大きいよ、槇寿朗さん。
私は杏寿郎さんと二人、顔を見合わせて笑い合った。
「何やってるんですか。私はもう怪我も治ってますから看病は要らないし、自分の部屋で寝てしっかり休養しないと明日の任務に支障をきたしますよ?」
「明日は非番だ!」
「えーうそぉ。どんだけ非番にしてあるの?私の日輪刀の色が変わるところ見たんだからサボりの時間は終わりのはずでしょ」
「いや!何かあっても困るので共に寝ておこうと思う!!」
「せめて拳一個分空けてね」
空けてって言ったのに拳一個分すら空けてくれない杏寿郎さん。まさかと想うけど何かってナニかの間違いじゃないよね?
だって背中にぴったりくっつかれてると、変な感じするんだもの。それにあの嫉妬していた目……。身の危険を感じる。
「フー……フー!!」
「いや、怖いわ。鼻息荒いんですけど。怖いんですけど。眠れない!落ち着かないから自分の部屋に帰ってもらえません!?」
「断る」
「じゃあ、せめて私の体から少し離れてくださいませんかね?」
いくら杏寿郎さんのこと好きでもこれはちょっとな。私達、恋仲でもないしただの家族で師弟だよ。
「それで話のことだが……朝緋は鋼鐵塚殿と一体何を話していたんだ?鋼鐵塚殿は君に求婚をしてきた男だぞ。なのにあのように笑い合い、二人きりで話など……。
俺はそれが気になって眠れん」
やっぱりそれだよね。気にすると思った。でも私と鋼鐵塚さんの間に甘酸っぱい話などありえない。
「師範には関係がないこと。気にしなくていいことです」
「ーー関係ない?気にしなくていいだと?」
「しはん、」
鋭い目で射抜かれた瞬間、杏寿郎さんが上に覆いかぶさってきた。布団の中、押しつぶされる私。手が真横に置かれる。顔が近い、吐息がぶつかった。
「朝緋は床の間でまで師範と呼ぶのか?名前で呼ばれた方が嬉しいと、呼び方を変える時にそう教えたはずだが?」
「……杏寿郎さん、と?今は呼びたくないなあ。せめて杏寿郎お兄様じゃなくて?」
「むう……この期に及んで兄か」
更に顔が近くなった。キス、されてしまいそう。いや、私がしたくなる。唇にばかり目がいく。
だって、目を見たらもう逃げられないだろうから。
「ここ生家ですよわかってます?父様呼んじゃうよ?」
「君より先に口を塞いでしまえばいい」
「んっ!?んんー!!」
幅広く肉厚になった男性の手のひらで口を覆われた。たしかにこれでは何も話せない。叫べない。もがいてみても強く押さえられ、声は一つも出せなかった。
「口で塞がなかっただけいいだろう?」
にんまりと笑って言われた瞬間、嫌な予感すらした。まだ、まだその時期ではない。まだその先には進むわけにいかない。
「なあ朝緋、君は俺の気持ちを知っているだろうか」
手のひらが離れていく。代わりに頭ごと引き寄せ抱きしめられた。逞しい体だ。思わずその背に腕を回したくなる。
耳元に声が降ってきた。
「君も隊士になった。だからそろそろ……」
「駄目、杏寿郎『兄さん』。
せめて私の階級がある程度上がったらで。貴方の階級が甲に上がったらで。そしたら色々と考えます」
「!
……甲だな。よかろう、それまでに色々と覚悟しておいてくれ」
杏寿郎さんが名残惜しくも離れていく。私の上から退き、背後に戻っていく。
背中には杏寿郎さんの体が添えられているけれど、あの熱っぽい視線から逃れられた。
ふーー。流されるところだった……。
「それで、鋼鐵塚殿とは添い遂げたいだとか、好い感情を向けているだとかはないのだろうな!?」
「だからそう言ってるじゃん!!そんな感情ひとっつも向けてないって!」
「全くそういう風には聞いていなかったが!?」
「ああ確かにそうでしたね!?言ってませんでした!鋼鐵塚さんはただの刀鍛冶さんです!以上!!」
「了解したっっ!!!」
声がうるさかったのだろう、外から槇寿朗さんが一喝してきた。
「うるさいぞお前らぁ!!」
貴方の声も大きいよ、槇寿朗さん。
私は杏寿郎さんと二人、顔を見合わせて笑い合った。