四周目 参
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次の日もまだ杏寿郎さんは私と共にいてくださった。
私?一晩寝たらすごく元気になったよ。ピンピンしてる。今すぐ指令が入っても平気なくら……自分の日輪刀が来てないから無理だ。
日輪刀もそうだけど、杏寿郎さんは昨晩の予告通り、私の隊服受け取りに付き合ってくださった。
しかし、今回は随分早めに出来上がるんだなぁと、びっくりしたっけ。一日で出来るなら藤襲山で渡してくれてもいいのにね。
そう思いながら『前』と同じような、際どくはないけれど裾はやたらと短いスカートタイプの隊服を受け取ったわけだけど。
案の定杏寿郎さんが渋りに渋り、その上怪我をしているからと無理やり試着すら手伝おうとしてきたせいで傷が少し開いてしまった。
また治りが遅くなってしまった……。
頬を膨らませてぷりぷり怒る私の前、杏寿郎さんがあわあわしながら頭を下げる。珍しい光景だ。
「すまんて!だが回復の呼吸しているのだろう!?早く治るはずだ!」
「ちょっととはいえ傷が開いたんですよ?そんな早くに治りません!」
「むむむう……な、ならば!
君の体が早く良くなるようにと、按摩をしよう!!」
「へ?」
どうしてそうなった。
えっちなマッサージ店の気配を察知!
私だって伊達に明槻と共に未来を生きていない。変な情報はすべて明槻から聞かされてミョーな知識がこの頭に入り込んでいる。
杏寿郎さんのマッサージ店なんて、何かされそうで怖い。いや、普通のお客さま相手にはちゃんとした営業してくれると思うよ?でもこの人、恋仲相手になると途端に狼になるからなあ。『前』の時に嫌というほど理解した。今は恋仲じゃないけれど、どうしても身構えちゃう。
「按摩なんてそんなの必要ないですー」
「いいや七日間の疲労がまだ溜まっているはずだ。俺がそうだった!
次の任務が決まるまでだぞ!……と言っても、妹の様子を見ていたいからと、わがままを聞いてもらっている!だから俺が文を送るまでは共にいられるのだがな!!」
杏寿郎さんは妹好きすぎる病気と認識されているようで、御館様に妹の選別後にすぐ帰りたいと先に文を送ってあるとのこと。
嬉しい。でも同時に恥ずかしいからそういうのやめて。御館様も贔屓しすぎ。
「いやいいですって。そういうのは必要なら千寿郎にやってもらいます。だから師範は早く任務に行ってください〜!お仕事溜まっちゃう!」
「千寿郎にだと!?それは許可しない!誰であろうと、按摩師であろうと許可しない!」
「なんで!?」
「なんでもだ!ほらほら、横になれ!ささ!!」
いつにも増してぐいぐい来る杏寿郎さん。その逞しい腕と体で私の体を押して布団の上に横たえようとしてくる。
相変わらず力強いな!くっこの、馬鹿力め!
「あー!ホントそういうのはちょっと、」
「いいから横になりなさい」
「……はぁい」
有無を言わさない声音を前に、抵抗はやめて大人しく横になった。うつ伏せになって初めてわかる、杏寿郎さんからの焼けるような熱い視線。首筋が熱く燃えそうだ。
「あの……、やらないの?」
「っ、ああ!ヤる!!」
ん?なんかやるの響きが違うような。
按摩と言っても摩るだけでなく、杏寿郎さんはきちんと緩急をつけてあちこち揉みほぐしてくださった。腕と肩、背中に腰がすごい気持ちいい〜。涎垂らして寝たい。……でも恥ずかしいから寝ない。
「お客人、なかなかに凝っているな」
「そぉ?なら杏寿郎さんだって凝ってるんじゃない?私代ろうか」
「いや、俺はいい!何も望まぬ朝緋だからな。隊士になった褒美だと思って受けていてくれ」
ご褒美ならいっかぁ……。気持ちいいし気分もいいし、大人しく厚意を甘受する。
「どうだ?痛くないか?炎の呼吸を掌に集中させているから温かいはずだ」
「うん、痛くないよ。凝りと痺れが取れる。
あったかいー」
上半身を終えて下半身に移動してくる。でも下側だからか、上に凝りの本流を流すべくしてつま先から上に上にと指圧していった。……ちなみに足裏は痛かった。
「ふぅむ。この辺りはよく凝っているなぁ」
「っ!足の付け根はやめてよー……」
その指がお尻と足の間にぐいと入る。中心部付近でないだけいいけど、変な気分。快感を拾いやすい体にされそうなその場所。
「だがふくらはぎに続き、やたら足が凝っているようだぞ?」
足に全集中してるからそれは仕方ない。
私は足の動き、速さに特化させたスピード型の炎の呼吸の使い手だ。だからこそかつて雷や水にも適性があるのではと言われたくらいだし。
「だからこの辺りも凝るのでは?」
「そりゃ、そだけど……、そこはちょっとだけにしてね……」
「ああわかった。ーー気持ちいいか?」
グッグッ、グリッ、足の付け根に杏寿郎さんの親指が押し込まれる。
際どい、際どすぎるよソコ!?
おかげで。
「んっ、ぁ……っ、気持ちいっ、……はぁ、」
「……っ!?」
「あっやだ、変な声出ちゃった!師範?」
小さい声だったけれど結局変な声がででしまったではないか。
至近距離で揉みほぐしをしていた杏寿郎さんには小さい声だろうと聞こえるわけで。
「おーい師範、固まってないでよ」
もしかして刺激強かった、とかだったならどうしよう。でも杏寿郎さん、これまでも私の匂い嗅いできたり抱きしめてきたり、かなりギリギリな事しでかしてきたよね?まさかちょっとアレな声如きで、
「……いや、大丈夫だ」
あ、よかった。
杏寿郎さんは赤い顔にはなることはなく、ただただ無表情だった。でも、口元がなんとなくにんまり笑って見えたのは気のせいと思いたい。
ちょっとアレなラッキースケベはあったけれど、結果気持ちよかったからよし。
もしもここが生家でなくて。もしも私がもっと声をあげていたら。
杏寿郎さんを求めてしまっていたら、どうなっていただろう。
怖いけどでも、そんな期待を少し抱いてしまった。
まずは告白して恋仲になれなくてはいけないというに、私ったら何を馬鹿な事考えてるんだろうね。
ちなみに次の日も杏寿郎さんに揉まれた。
変な声出ちゃうから勘弁して。
私?一晩寝たらすごく元気になったよ。ピンピンしてる。今すぐ指令が入っても平気なくら……自分の日輪刀が来てないから無理だ。
日輪刀もそうだけど、杏寿郎さんは昨晩の予告通り、私の隊服受け取りに付き合ってくださった。
しかし、今回は随分早めに出来上がるんだなぁと、びっくりしたっけ。一日で出来るなら藤襲山で渡してくれてもいいのにね。
そう思いながら『前』と同じような、際どくはないけれど裾はやたらと短いスカートタイプの隊服を受け取ったわけだけど。
案の定杏寿郎さんが渋りに渋り、その上怪我をしているからと無理やり試着すら手伝おうとしてきたせいで傷が少し開いてしまった。
また治りが遅くなってしまった……。
頬を膨らませてぷりぷり怒る私の前、杏寿郎さんがあわあわしながら頭を下げる。珍しい光景だ。
「すまんて!だが回復の呼吸しているのだろう!?早く治るはずだ!」
「ちょっととはいえ傷が開いたんですよ?そんな早くに治りません!」
「むむむう……な、ならば!
君の体が早く良くなるようにと、按摩をしよう!!」
「へ?」
どうしてそうなった。
えっちなマッサージ店の気配を察知!
私だって伊達に明槻と共に未来を生きていない。変な情報はすべて明槻から聞かされてミョーな知識がこの頭に入り込んでいる。
杏寿郎さんのマッサージ店なんて、何かされそうで怖い。いや、普通のお客さま相手にはちゃんとした営業してくれると思うよ?でもこの人、恋仲相手になると途端に狼になるからなあ。『前』の時に嫌というほど理解した。今は恋仲じゃないけれど、どうしても身構えちゃう。
「按摩なんてそんなの必要ないですー」
「いいや七日間の疲労がまだ溜まっているはずだ。俺がそうだった!
次の任務が決まるまでだぞ!……と言っても、妹の様子を見ていたいからと、わがままを聞いてもらっている!だから俺が文を送るまでは共にいられるのだがな!!」
杏寿郎さんは妹好きすぎる病気と認識されているようで、御館様に妹の選別後にすぐ帰りたいと先に文を送ってあるとのこと。
嬉しい。でも同時に恥ずかしいからそういうのやめて。御館様も贔屓しすぎ。
「いやいいですって。そういうのは必要なら千寿郎にやってもらいます。だから師範は早く任務に行ってください〜!お仕事溜まっちゃう!」
「千寿郎にだと!?それは許可しない!誰であろうと、按摩師であろうと許可しない!」
「なんで!?」
「なんでもだ!ほらほら、横になれ!ささ!!」
いつにも増してぐいぐい来る杏寿郎さん。その逞しい腕と体で私の体を押して布団の上に横たえようとしてくる。
相変わらず力強いな!くっこの、馬鹿力め!
「あー!ホントそういうのはちょっと、」
「いいから横になりなさい」
「……はぁい」
有無を言わさない声音を前に、抵抗はやめて大人しく横になった。うつ伏せになって初めてわかる、杏寿郎さんからの焼けるような熱い視線。首筋が熱く燃えそうだ。
「あの……、やらないの?」
「っ、ああ!ヤる!!」
ん?なんかやるの響きが違うような。
按摩と言っても摩るだけでなく、杏寿郎さんはきちんと緩急をつけてあちこち揉みほぐしてくださった。腕と肩、背中に腰がすごい気持ちいい〜。涎垂らして寝たい。……でも恥ずかしいから寝ない。
「お客人、なかなかに凝っているな」
「そぉ?なら杏寿郎さんだって凝ってるんじゃない?私代ろうか」
「いや、俺はいい!何も望まぬ朝緋だからな。隊士になった褒美だと思って受けていてくれ」
ご褒美ならいっかぁ……。気持ちいいし気分もいいし、大人しく厚意を甘受する。
「どうだ?痛くないか?炎の呼吸を掌に集中させているから温かいはずだ」
「うん、痛くないよ。凝りと痺れが取れる。
あったかいー」
上半身を終えて下半身に移動してくる。でも下側だからか、上に凝りの本流を流すべくしてつま先から上に上にと指圧していった。……ちなみに足裏は痛かった。
「ふぅむ。この辺りはよく凝っているなぁ」
「っ!足の付け根はやめてよー……」
その指がお尻と足の間にぐいと入る。中心部付近でないだけいいけど、変な気分。快感を拾いやすい体にされそうなその場所。
「だがふくらはぎに続き、やたら足が凝っているようだぞ?」
足に全集中してるからそれは仕方ない。
私は足の動き、速さに特化させたスピード型の炎の呼吸の使い手だ。だからこそかつて雷や水にも適性があるのではと言われたくらいだし。
「だからこの辺りも凝るのでは?」
「そりゃ、そだけど……、そこはちょっとだけにしてね……」
「ああわかった。ーー気持ちいいか?」
グッグッ、グリッ、足の付け根に杏寿郎さんの親指が押し込まれる。
際どい、際どすぎるよソコ!?
おかげで。
「んっ、ぁ……っ、気持ちいっ、……はぁ、」
「……っ!?」
「あっやだ、変な声出ちゃった!師範?」
小さい声だったけれど結局変な声がででしまったではないか。
至近距離で揉みほぐしをしていた杏寿郎さんには小さい声だろうと聞こえるわけで。
「おーい師範、固まってないでよ」
もしかして刺激強かった、とかだったならどうしよう。でも杏寿郎さん、これまでも私の匂い嗅いできたり抱きしめてきたり、かなりギリギリな事しでかしてきたよね?まさかちょっとアレな声如きで、
「……いや、大丈夫だ」
あ、よかった。
杏寿郎さんは赤い顔にはなることはなく、ただただ無表情だった。でも、口元がなんとなくにんまり笑って見えたのは気のせいと思いたい。
ちょっとアレなラッキースケベはあったけれど、結果気持ちよかったからよし。
もしもここが生家でなくて。もしも私がもっと声をあげていたら。
杏寿郎さんを求めてしまっていたら、どうなっていただろう。
怖いけどでも、そんな期待を少し抱いてしまった。
まずは告白して恋仲になれなくてはいけないというに、私ったら何を馬鹿な事考えてるんだろうね。
ちなみに次の日も杏寿郎さんに揉まれた。
変な声出ちゃうから勘弁して。