四周目 参
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腕が私へと一直線に伸びてくる。あの女性のように潰されて食われる。
稀血だからこの鬼もまた強化されるんだろうな。他の人が襲われないといいけど。
杏寿郎さんに会いたい。
私ってばどれだけ杏寿郎さんのことが好きなんだろうね?スローモーションの世界の中、走り始めたのは結局杏寿郎さんとの様々な思い出、走馬灯だったけれど、その走馬灯はテレビのスイッチがバツンと切られるようにいきなり真っ暗な画面になった。
ピシャン、雷が落ちる。走る稲光。
ああ、雷が落ちたから停電してテレビの画面が消えたのね……。
いや違う、目の前の手鬼の腕が吹っ飛んだ。獪岳が放った雷の呼吸で。
「獪岳……」
「待たせた!走るぞ!!」
まさか、この危険の中でまた戻ってきてくれるとは!
傷に触れぬよう気をつけて私を担ぎ、運ぶ獪岳。
私は逃げながら、いつのまにか足の速さにでなく回復に全集中の呼吸をまわしていたらしい。手負いの私よりずっとずっと速い!
ぐんぐん距離が開く。小さくなり、取り残されていく手鬼の姿。
かなりの距離を進んで、拠点まで逃げずとも奴が諦めたのが見えた。助かった……。
ほっとしたのが伝わったか地面に降ろされた。気がつけば、仕留めた獲物を抱えた男性も隣にいる。
ああよかった、彼も無事だった。
「獪岳、助けに戻ってくれてありが、」
「朝緋お前!!危ないだろうが!!お前が死ぬところだぞ!!他の奴を庇った挙句自分であんな化け物引き受けやがって!馬鹿かテメェ!!」
「あはは、ごめんー」
「何があははだ!俺が戻ってなかったらお前死んでただろうが!それを分かってんのか!あぁ゛!?」
相変わらず口悪いなこの子。どこのヤンキーだろう。
「でもお肉も仕留められて、きのこや山菜も採れたし全部回収できてるじゃん。あの女性は残念だったけど……。結果的に良かっ、うぐっ!?……痛ぁーい」
「朝緋!?
もういい!怪我がひどいんだ!寝てろ!!他の事は他の奴に任せちまえ!!」
脇腹めちゃくちゃ痛い……先程までは必死だったから痛みの中でも動けたんだろうけど、今になって激しい痛みが襲ってきたわ。動けない。
血も止まってない。服にしみしみだ〜。煮物なら絶対美味しいやつ。
「えーご飯は?私が作った方が美味し、「うるせぇテメェの飯が美味いのは知ってるが却下だ!はよ寝ろや!!
包帯くらいは巻いといてやる!!」はぁい」
人に指差すなよ獪岳。褒められて嬉しいけどさ。
「ではあとは任せておやすみ三秒〜」
「早いなおい!?」
どっこいせと獪岳に寄りかかり、眠りに落ちる私。だって本当は痛みで限界だったんだもの。
一瞬ですやすや眠り出す私に、獪岳のツッコミが入った。
「……おいお前。あとでこいつにしっかりお礼言えよ、命の恩人だからな」
「わ、わかってます!」
私が眠った後にそんな周りの事を考えた話までしてくれているとは知らなかったけれど、夢の中でさえ、私は獪岳に疑問を抱いて不思議がっていた。
夢の中、考える。
まさか、獪岳がこんなにデレを発揮するだなんて。私の料理を褒めてくれるだなんて。……助けてくれるなんて。
失礼だけど、獪岳ってば今までもこんなに優しい人だったかなぁ。
私にだけってくらい優しめに感じるのって私の気のせい?いや、他の子にも前より優しいと思う。ただし話しぶりから察するに善逸にはかなり厳しくて嫌っているのは変わらなさそうだけどもね。そこはぶれないらしい。
ただのおむすび効果?千寿郎のおむすびはいつから桃太郎のきび団子に変わったんだろう。ううん、私の料理もきび団子だったんだね。
そうか獪岳はわんちゃんだったのか……。
猿や雉という感じはしないし、目つきの悪いドーベルマンかな?怖いなそれ。
『やり直し』を繰り返すごとにじわじわ溜まる好感度のゲージ。
獪岳からの好感度にハートマークがつき始めている事など、私は知らない。
明槻の血鬼術での記憶のリセット機能が絶対ではないこともまた、誰も知らない。
稀血だからこの鬼もまた強化されるんだろうな。他の人が襲われないといいけど。
杏寿郎さんに会いたい。
私ってばどれだけ杏寿郎さんのことが好きなんだろうね?スローモーションの世界の中、走り始めたのは結局杏寿郎さんとの様々な思い出、走馬灯だったけれど、その走馬灯はテレビのスイッチがバツンと切られるようにいきなり真っ暗な画面になった。
ピシャン、雷が落ちる。走る稲光。
ああ、雷が落ちたから停電してテレビの画面が消えたのね……。
いや違う、目の前の手鬼の腕が吹っ飛んだ。獪岳が放った雷の呼吸で。
「獪岳……」
「待たせた!走るぞ!!」
まさか、この危険の中でまた戻ってきてくれるとは!
傷に触れぬよう気をつけて私を担ぎ、運ぶ獪岳。
私は逃げながら、いつのまにか足の速さにでなく回復に全集中の呼吸をまわしていたらしい。手負いの私よりずっとずっと速い!
ぐんぐん距離が開く。小さくなり、取り残されていく手鬼の姿。
かなりの距離を進んで、拠点まで逃げずとも奴が諦めたのが見えた。助かった……。
ほっとしたのが伝わったか地面に降ろされた。気がつけば、仕留めた獲物を抱えた男性も隣にいる。
ああよかった、彼も無事だった。
「獪岳、助けに戻ってくれてありが、」
「朝緋お前!!危ないだろうが!!お前が死ぬところだぞ!!他の奴を庇った挙句自分であんな化け物引き受けやがって!馬鹿かテメェ!!」
「あはは、ごめんー」
「何があははだ!俺が戻ってなかったらお前死んでただろうが!それを分かってんのか!あぁ゛!?」
相変わらず口悪いなこの子。どこのヤンキーだろう。
「でもお肉も仕留められて、きのこや山菜も採れたし全部回収できてるじゃん。あの女性は残念だったけど……。結果的に良かっ、うぐっ!?……痛ぁーい」
「朝緋!?
もういい!怪我がひどいんだ!寝てろ!!他の事は他の奴に任せちまえ!!」
脇腹めちゃくちゃ痛い……先程までは必死だったから痛みの中でも動けたんだろうけど、今になって激しい痛みが襲ってきたわ。動けない。
血も止まってない。服にしみしみだ〜。煮物なら絶対美味しいやつ。
「えーご飯は?私が作った方が美味し、「うるせぇテメェの飯が美味いのは知ってるが却下だ!はよ寝ろや!!
包帯くらいは巻いといてやる!!」はぁい」
人に指差すなよ獪岳。褒められて嬉しいけどさ。
「ではあとは任せておやすみ三秒〜」
「早いなおい!?」
どっこいせと獪岳に寄りかかり、眠りに落ちる私。だって本当は痛みで限界だったんだもの。
一瞬ですやすや眠り出す私に、獪岳のツッコミが入った。
「……おいお前。あとでこいつにしっかりお礼言えよ、命の恩人だからな」
「わ、わかってます!」
私が眠った後にそんな周りの事を考えた話までしてくれているとは知らなかったけれど、夢の中でさえ、私は獪岳に疑問を抱いて不思議がっていた。
夢の中、考える。
まさか、獪岳がこんなにデレを発揮するだなんて。私の料理を褒めてくれるだなんて。……助けてくれるなんて。
失礼だけど、獪岳ってば今までもこんなに優しい人だったかなぁ。
私にだけってくらい優しめに感じるのって私の気のせい?いや、他の子にも前より優しいと思う。ただし話しぶりから察するに善逸にはかなり厳しくて嫌っているのは変わらなさそうだけどもね。そこはぶれないらしい。
ただのおむすび効果?千寿郎のおむすびはいつから桃太郎のきび団子に変わったんだろう。ううん、私の料理もきび団子だったんだね。
そうか獪岳はわんちゃんだったのか……。
猿や雉という感じはしないし、目つきの悪いドーベルマンかな?怖いなそれ。
『やり直し』を繰り返すごとにじわじわ溜まる好感度のゲージ。
獪岳からの好感度にハートマークがつき始めている事など、私は知らない。
明槻の血鬼術での記憶のリセット機能が絶対ではないこともまた、誰も知らない。