四周目 参
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あとは私の方に完全に注目させれば、追わせれば。
仕留めていた獲物すらも獪岳達が回収してくれるはず。
ブツクサ文句を言いつつも、目的は果たすのが獪岳だ。面倒見もよくて、みんなが今求めてるものがなんなのか、その辺りもきちんと理解している男なのだ。
獲物と男性をある程度の位置まで運び、戻ってくるにしても三分はかかる。三分逃げ切れば……。ああでもこの死地なんかに戻ってくるかなぁ。期待してはいけない。自分でなんとかしなくちゃ。
私は私の生を諦めはしない。けれど同時に死を、最悪を想定して挑み、そして逃げる。
「お前の相手はこっちなんだからねっ!」
派生・炎山渦で体を横から抉るように削る。一応狙ってみたものの、頸のある場所までは届かなかったけど、なおも追おうとした男性達から私の方に注目させることができた。グリン、顔が此方を向く。
見た目怖っ。化物じゃん。あ、鬼は化物か。
「ほら見て男より美味しそうでしょ?」
「そうだなぁ、さっきの女も美味かったし、今まで食べた女も男より美味かった、なぁぁぁ!!」
腕が一斉に伸びてきた。どこぞの下弦壱の触腕が伸びてくるよりマシだけど、やっぱり怖いし気持ち悪い。
「そう簡単につかまりませんっ、よーっだ!!」
飛んできた大量の腕を飛んで回避する。炎山渦を放った時点では、まだ刀の消耗度も高くない。イケる……!
「飛翔の昇り炎天、からのーーっ!気炎万象!!」
弐ノ型と参ノ型を続け放つ。いきなりミシ、と刃が嫌な感じに軋んだ。
うっそこれだけで!?摩耗はしてないのに、さすがに固い!これでは刀が持たないではないか!
「かくなる上は不知火!を応用した逃走!!」
完全に鬼の興味がこちらに向いた今、攻撃はもういい。足に全集中し、不知火を打ち放つが如く超速で逃走する。
「逃ーげーるーなぁー!」
「ばっかじゃないの!逃げるわよ!?
うわ、ととと!」
分かっていた事だけど腕が多すぎる。
上からも下からも左右からも伸びて私を捕らえようとしてくる。逃げながら避けるってかなりハードだったんだね!?
自棄に入ったか、腕がめちゃくちゃなルートで数本同時に伸びてきた。
「っ!?」
あれはどうやっても避けられない。ならばと、体を捻って急所だけは避ける方法へ切り替える。
「ーーがはっ!?」
ボタボタボタ、ビシャアッ!
かすっただけなのに、脇腹が薄く抉れた。夥しい量の血が流れた。
急所から外れて致命傷ではないけれど、鬼殺隊にも入ってないこの『序盤』の内から負っていいような傷ではない。
痛みで意識が飛びそうで。汗と震えが止まらない。痛みによる生理的な涙で視界が滲む。
それでもなお止まらずに走る私の耳が鬼の言葉を拾う。
「あー、稀血だぁ!今回は狐面がいないからハズレだと思ったけど稀血がいるなら当たりだなぁ。こっちの方が美味いもんなあ!」
鬼が稀血に気がついて嬉々として追ってくる。そのスピードも上げてきている。
狐面って何だろう……?先程から狐の面の話が出るけれど、お面をつけた誰かを探してる?
いや、今はどうでもいい。私はこの鬼から逃れないとならない。
この鬼の一撃はかなり重く、一つ一つが致命傷に繋がりやすい。次に捕まったら最後だ。
来るであろう攻撃を予測、確実に避ける。
地面にいるのだって危険だ。土の下からも腕が生えてくるし。
あーもう、モグラ叩きしたい!!
速度を落とすわけにはいかないが、血が流れてクラクラする。
幸い私の方がまだまだ速く。徐々に差は開いてきている。
私が稀血だからそうそう諦めはしないだろうけど、あまりにも遠くなれば諦めるはず。
ここは木が多くて霧も濃くて昼間も暗すぎるけれど、手鬼の領域から出れば拠点ではまだ昼間!!
日が差すところに逃げればさすがに諦める!
あと少し、あと少しなの……!
「にぃーがぁーすぅーかぁー!」
「!?」
ギュルルルル!!
一本集中に入ったのか、大量の腕でなく一本のみ細長い……といっても私の体くらいの太さはある腕が高速で伸びてきた!
これはやばい、やばすぎる。
私の脳が、全身が危険を前に警鐘を鳴らす。
ああ、私終わったな。
仕留めていた獲物すらも獪岳達が回収してくれるはず。
ブツクサ文句を言いつつも、目的は果たすのが獪岳だ。面倒見もよくて、みんなが今求めてるものがなんなのか、その辺りもきちんと理解している男なのだ。
獲物と男性をある程度の位置まで運び、戻ってくるにしても三分はかかる。三分逃げ切れば……。ああでもこの死地なんかに戻ってくるかなぁ。期待してはいけない。自分でなんとかしなくちゃ。
私は私の生を諦めはしない。けれど同時に死を、最悪を想定して挑み、そして逃げる。
「お前の相手はこっちなんだからねっ!」
派生・炎山渦で体を横から抉るように削る。一応狙ってみたものの、頸のある場所までは届かなかったけど、なおも追おうとした男性達から私の方に注目させることができた。グリン、顔が此方を向く。
見た目怖っ。化物じゃん。あ、鬼は化物か。
「ほら見て男より美味しそうでしょ?」
「そうだなぁ、さっきの女も美味かったし、今まで食べた女も男より美味かった、なぁぁぁ!!」
腕が一斉に伸びてきた。どこぞの下弦壱の触腕が伸びてくるよりマシだけど、やっぱり怖いし気持ち悪い。
「そう簡単につかまりませんっ、よーっだ!!」
飛んできた大量の腕を飛んで回避する。炎山渦を放った時点では、まだ刀の消耗度も高くない。イケる……!
「飛翔の昇り炎天、からのーーっ!気炎万象!!」
弐ノ型と参ノ型を続け放つ。いきなりミシ、と刃が嫌な感じに軋んだ。
うっそこれだけで!?摩耗はしてないのに、さすがに固い!これでは刀が持たないではないか!
「かくなる上は不知火!を応用した逃走!!」
完全に鬼の興味がこちらに向いた今、攻撃はもういい。足に全集中し、不知火を打ち放つが如く超速で逃走する。
「逃ーげーるーなぁー!」
「ばっかじゃないの!逃げるわよ!?
うわ、ととと!」
分かっていた事だけど腕が多すぎる。
上からも下からも左右からも伸びて私を捕らえようとしてくる。逃げながら避けるってかなりハードだったんだね!?
自棄に入ったか、腕がめちゃくちゃなルートで数本同時に伸びてきた。
「っ!?」
あれはどうやっても避けられない。ならばと、体を捻って急所だけは避ける方法へ切り替える。
「ーーがはっ!?」
ボタボタボタ、ビシャアッ!
かすっただけなのに、脇腹が薄く抉れた。夥しい量の血が流れた。
急所から外れて致命傷ではないけれど、鬼殺隊にも入ってないこの『序盤』の内から負っていいような傷ではない。
痛みで意識が飛びそうで。汗と震えが止まらない。痛みによる生理的な涙で視界が滲む。
それでもなお止まらずに走る私の耳が鬼の言葉を拾う。
「あー、稀血だぁ!今回は狐面がいないからハズレだと思ったけど稀血がいるなら当たりだなぁ。こっちの方が美味いもんなあ!」
鬼が稀血に気がついて嬉々として追ってくる。そのスピードも上げてきている。
狐面って何だろう……?先程から狐の面の話が出るけれど、お面をつけた誰かを探してる?
いや、今はどうでもいい。私はこの鬼から逃れないとならない。
この鬼の一撃はかなり重く、一つ一つが致命傷に繋がりやすい。次に捕まったら最後だ。
来るであろう攻撃を予測、確実に避ける。
地面にいるのだって危険だ。土の下からも腕が生えてくるし。
あーもう、モグラ叩きしたい!!
速度を落とすわけにはいかないが、血が流れてクラクラする。
幸い私の方がまだまだ速く。徐々に差は開いてきている。
私が稀血だからそうそう諦めはしないだろうけど、あまりにも遠くなれば諦めるはず。
ここは木が多くて霧も濃くて昼間も暗すぎるけれど、手鬼の領域から出れば拠点ではまだ昼間!!
日が差すところに逃げればさすがに諦める!
あと少し、あと少しなの……!
「にぃーがぁーすぅーかぁー!」
「!?」
ギュルルルル!!
一本集中に入ったのか、大量の腕でなく一本のみ細長い……といっても私の体くらいの太さはある腕が高速で伸びてきた!
これはやばい、やばすぎる。
私の脳が、全身が危険を前に警鐘を鳴らす。
ああ、私終わったな。