四周目 参
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最終選別もあと二日となった。
え?早いって?
いやいやいや、一言であと二日だなんて言ったから短く思うかもしれないけれど、ここに来るまではそれは色々あったよ。長くて長くて、夜が来るたびに早く日が昇らないかな。早く朝にならないかなと、闇に恐怖しながら二つの太陽に祈り捧げたもの。
二つの太陽?もちろん、太陽そのものと杏寿郎さんに決まってるでしょ?
参加者達にも今回は慎重に行動してもらい、ぐんと生存率も上げる事が出来た。
残念ながら大半は途中でリタイアしたけど隠になる人も多いから、結局みんな鬼殺隊と関わりある人生を送るわけで。
隊士じゃなくてもみんな仲間として繋がっている!それがすごく嬉しい!!
彼方此方に声をかけて拠点に集まった子達も、残り二日ともなれば戦いに慣れてきていて。でも油断もせず行動して。鬼を相手取る際も互いの呼吸同士を組み合わせたり、励ましあったりと協力し頸を落として。
この調子ならきっと、ここにいる全員が生き残る。
今のところ、手がいっぱいの異形のアイツ……ここは仮に手鬼とでも呼ぼうかな。手鬼とは遭遇していないし、見かけたという情報も入ってきてはいない。
多分だけどあの鬼は藤襲山の奥深く、もっと山深いところにいる。下手に奥まで進まなければなんとか遭遇せずに済むだろう。
ただし、生き残った人間の数が増えた今、私達は一番恐れていた事態に直面していた。
食糧の枯渇だ。
戦や戦争では兵糧攻めで相手を攻め落とす戦法もよく取られていた。
それほどまでに、食糧というのは大事なもので。それがないともなると、途端に諍いが起こり、仲間割れに発展し、そしてその隙をついて鬼に襲われる。
まあまだ、そこまでの事態に陥っていないから立て直せるだろうね。
っていうかなんで皆さん、自分の食糧を存分に持ってこなかったんですかね。
生き残る気なかったわけ?まさか、鬼殺隊側が七日分のご飯を中で炊き出しみたいに用意してくれているとでも?そんなわけないでしょ。七日を生き残れっていうのは、何も鬼だけに気をつけろって事ではなく、鬼に囲まれながらも自分達でサバイバル生活しろやって事で。食糧やら寝床やらについて自分で考えて行動するくらいじゃないと、この先の任務はこなしていけないんだよ。
なのに、なんっっで!なんで私の食糧をあてにするのさ!
私なんてもともと夜逃げするの?ってレベルに大きな風呂敷に入った食糧付きでの参加してたじゃん?少しは私の用意周到さを見習ってほしいよぉ……。
その量持ってきたのは大食らいだからだろって言いたいやつ出てこい。
この辺りの獲物になり得る野生動物はけっこう獲ったし残りは奥に逃げてしまったし、他をとなると山の奥に行かなくちゃならない。
ウサギ……鳥、鹿……食べられる草や山菜、きのこ。手鬼のいる辺りなら手に入るかも?
鬼に会う可能性を取るか食糧を我慢する事を取るか、さてどうする。お米系は底をついたしなぁ……はぁ。
私が悩みに悩んでいる時、一人が挙手した。
「二日は短いようで長い。なので朝緋さん!自分らが食糧を調達してきます!!」
「ぇっ、鬼を取っちゃうわけ!?」
「鬼?」
「あ、こっちの話」
やっぱりご飯は我慢出来ないよね。
みんな歳の頃は育ち盛りだもの。いっぱい食べる筆頭の私だからこそ、ご飯の大切さはよくわかってる。腹が減ってはなんとやら。
「朝緋さんは山の奥に恐ろしい化け物がいると言って行かせてくれませんでしたが、食糧のためには恐ろしかろうと行くしかないです。皆、空腹で動きが悪い。全体の士気も下がっています。一刻も早く胃袋に何か入れなければ」
「そうよねぇ……ガッツリお肉でも食べないとなぁ……。ンー、でもなぁ」
「危険だと思ったらすぐに引き返します。許可をください!!」
「許可って……」
ここでは何故か私がリーダーだ。多分だけど私が一番、若いのに。目の前にいる人なんて今の杏寿郎さんと同じくらいの年齢だと思う。
私……ただ単にえいさほいさと一人で必死に拠点を作って「ハァイ!ボーイズ&ガールズ!みんなで集まって行動しない?」ってナンパしまくっただけなんだけどなぁ……リーダーって柄じゃない。そういうのは、それこそ杏寿郎さんみたいに人をぐいぐい引っ張っていってくれる人がやるべきで。今ここにそんな人材がいないのが悔やまれる。
因みに私がリーダーなんて話を決めたのは獪岳だ。おいこら言い出しっぺがやるものでしょうが。
「はーーー。あまり行きたくないけど、私も近くで警戒します。引くように合図したら、必ず戻ること!獲物を仕留めている最中でもほっぽり出すこと!!いいね?」
じゃないとこっちが獲物に早変わりするよぉ〜?と脅せば背後から獪岳が身を乗り出してきた。
「おい朝緋、俺も行くぜ」
「獪岳……君も来るなら心強いね!」
「……フン」
フン、だなんて。ほーんとツンデレなんだから。
そう。我が同期としてお馴染みになりつつあるツンだらけのツンデレ要員、獪岳。彼は私と早くから行動を共にしているのだ。
私が拠点を作り始めてー。鬼に遭遇してー。私が鬼の前で妖怪頸オイテケに変貌してる時に出会ってー。
だから一緒に行動し始めたのは割とすぐのことだったけれど、初っ端から疑問ばかり湧いたっけ。
だって、ツンデレのくせに『前』よりツンが少なめだったんだもの!何もしてないのになぁ。むしろ私は妖怪化してたよ。
不思議に思いながらも、彼の強さは折り紙付き。今ではこの地での頼りになる相棒とまで思っている。雷の呼吸との相性もいいし。
実はこの選別が終わったら、お手紙で呼吸法を教えてもらう約束も取り付けた。
生き残る気満々?当たり前じゃん。私は杏寿郎さんの継子になるんだもの。
え?早いって?
いやいやいや、一言であと二日だなんて言ったから短く思うかもしれないけれど、ここに来るまではそれは色々あったよ。長くて長くて、夜が来るたびに早く日が昇らないかな。早く朝にならないかなと、闇に恐怖しながら二つの太陽に祈り捧げたもの。
二つの太陽?もちろん、太陽そのものと杏寿郎さんに決まってるでしょ?
参加者達にも今回は慎重に行動してもらい、ぐんと生存率も上げる事が出来た。
残念ながら大半は途中でリタイアしたけど隠になる人も多いから、結局みんな鬼殺隊と関わりある人生を送るわけで。
隊士じゃなくてもみんな仲間として繋がっている!それがすごく嬉しい!!
彼方此方に声をかけて拠点に集まった子達も、残り二日ともなれば戦いに慣れてきていて。でも油断もせず行動して。鬼を相手取る際も互いの呼吸同士を組み合わせたり、励ましあったりと協力し頸を落として。
この調子ならきっと、ここにいる全員が生き残る。
今のところ、手がいっぱいの異形のアイツ……ここは仮に手鬼とでも呼ぼうかな。手鬼とは遭遇していないし、見かけたという情報も入ってきてはいない。
多分だけどあの鬼は藤襲山の奥深く、もっと山深いところにいる。下手に奥まで進まなければなんとか遭遇せずに済むだろう。
ただし、生き残った人間の数が増えた今、私達は一番恐れていた事態に直面していた。
食糧の枯渇だ。
戦や戦争では兵糧攻めで相手を攻め落とす戦法もよく取られていた。
それほどまでに、食糧というのは大事なもので。それがないともなると、途端に諍いが起こり、仲間割れに発展し、そしてその隙をついて鬼に襲われる。
まあまだ、そこまでの事態に陥っていないから立て直せるだろうね。
っていうかなんで皆さん、自分の食糧を存分に持ってこなかったんですかね。
生き残る気なかったわけ?まさか、鬼殺隊側が七日分のご飯を中で炊き出しみたいに用意してくれているとでも?そんなわけないでしょ。七日を生き残れっていうのは、何も鬼だけに気をつけろって事ではなく、鬼に囲まれながらも自分達でサバイバル生活しろやって事で。食糧やら寝床やらについて自分で考えて行動するくらいじゃないと、この先の任務はこなしていけないんだよ。
なのに、なんっっで!なんで私の食糧をあてにするのさ!
私なんてもともと夜逃げするの?ってレベルに大きな風呂敷に入った食糧付きでの参加してたじゃん?少しは私の用意周到さを見習ってほしいよぉ……。
その量持ってきたのは大食らいだからだろって言いたいやつ出てこい。
この辺りの獲物になり得る野生動物はけっこう獲ったし残りは奥に逃げてしまったし、他をとなると山の奥に行かなくちゃならない。
ウサギ……鳥、鹿……食べられる草や山菜、きのこ。手鬼のいる辺りなら手に入るかも?
鬼に会う可能性を取るか食糧を我慢する事を取るか、さてどうする。お米系は底をついたしなぁ……はぁ。
私が悩みに悩んでいる時、一人が挙手した。
「二日は短いようで長い。なので朝緋さん!自分らが食糧を調達してきます!!」
「ぇっ、鬼を取っちゃうわけ!?」
「鬼?」
「あ、こっちの話」
やっぱりご飯は我慢出来ないよね。
みんな歳の頃は育ち盛りだもの。いっぱい食べる筆頭の私だからこそ、ご飯の大切さはよくわかってる。腹が減ってはなんとやら。
「朝緋さんは山の奥に恐ろしい化け物がいると言って行かせてくれませんでしたが、食糧のためには恐ろしかろうと行くしかないです。皆、空腹で動きが悪い。全体の士気も下がっています。一刻も早く胃袋に何か入れなければ」
「そうよねぇ……ガッツリお肉でも食べないとなぁ……。ンー、でもなぁ」
「危険だと思ったらすぐに引き返します。許可をください!!」
「許可って……」
ここでは何故か私がリーダーだ。多分だけど私が一番、若いのに。目の前にいる人なんて今の杏寿郎さんと同じくらいの年齢だと思う。
私……ただ単にえいさほいさと一人で必死に拠点を作って「ハァイ!ボーイズ&ガールズ!みんなで集まって行動しない?」ってナンパしまくっただけなんだけどなぁ……リーダーって柄じゃない。そういうのは、それこそ杏寿郎さんみたいに人をぐいぐい引っ張っていってくれる人がやるべきで。今ここにそんな人材がいないのが悔やまれる。
因みに私がリーダーなんて話を決めたのは獪岳だ。おいこら言い出しっぺがやるものでしょうが。
「はーーー。あまり行きたくないけど、私も近くで警戒します。引くように合図したら、必ず戻ること!獲物を仕留めている最中でもほっぽり出すこと!!いいね?」
じゃないとこっちが獲物に早変わりするよぉ〜?と脅せば背後から獪岳が身を乗り出してきた。
「おい朝緋、俺も行くぜ」
「獪岳……君も来るなら心強いね!」
「……フン」
フン、だなんて。ほーんとツンデレなんだから。
そう。我が同期としてお馴染みになりつつあるツンだらけのツンデレ要員、獪岳。彼は私と早くから行動を共にしているのだ。
私が拠点を作り始めてー。鬼に遭遇してー。私が鬼の前で妖怪頸オイテケに変貌してる時に出会ってー。
だから一緒に行動し始めたのは割とすぐのことだったけれど、初っ端から疑問ばかり湧いたっけ。
だって、ツンデレのくせに『前』よりツンが少なめだったんだもの!何もしてないのになぁ。むしろ私は妖怪化してたよ。
不思議に思いながらも、彼の強さは折り紙付き。今ではこの地での頼りになる相棒とまで思っている。雷の呼吸との相性もいいし。
実はこの選別が終わったら、お手紙で呼吸法を教えてもらう約束も取り付けた。
生き残る気満々?当たり前じゃん。私は杏寿郎さんの継子になるんだもの。