四周目 参
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私が最終選別を受ける日がやってきた。
そろそろ次の最終選別の時期が来ることを知っていた槇寿朗さんが私の行動にかなり注意を払っていたけれど、なんとか監視の目をくぐりぬけられた……と思う。
実際はここまでこそこそと用意周到に準備してきた私の意を汲んで、わざと素知らぬふりをしている可能性もある。だって柱だよ?小娘ひとりの考えなんて簡単に見抜けてしまう。槇寿朗さんなんて、柱歴が長いから余計に聡い。
とはいえ出立する現場を見つかってしまえば連れ戻されてしまうことは想像に難くない。そこまで優しくないでしょ。
だから私はかなーり早く起きた。
まだ暗かった夜空が少しずつ朝焼け色に変わっていく。忙しいこともあったから最近はこんなゆっくり眺める時間なんてなかった朝一番の日の光。
東の空にゆらゆら昇っていく太陽は杏寿郎さんのように輝いていて。
私の太陽は今日も元気に過ごしているかしら。無事を祈る、祈る、そして祈る。
綺麗な朝焼けを見られてよかった。神々しくって、私だけじゃなく杏寿郎さんにもご利益ありそう。
「ふわぁぁあ〜ぁあ〜」
そんな中でも欠伸は止まらない。仕方ないでしょ!これも生理現象の一種なんだから!!
まあこの通り眠いけれど早起きをした甲斐はある。何も気にせずに……とはいかないけれど、これで無事に出立できるというものだ。
「大きな欠伸ですねぇ。緊張感皆無じゃないですか」
苦笑しながら千寿郎が食糧の入った風呂敷を渡してくる。
そうなのだ。私のために七日分の食糧を用意してくれた千寿郎も早く起きた。巻き込んで申し訳ない。
でも千寿郎のおむすび美味しいから楽しみにしてたんだよね!!んふふ、ありがたや〜。
「千寿郎?私は大物だから緊張なんてしないのだよ!はい、出発のハグハグ〜!ぎゅーっ!!」
千寿郎を引き寄せ、ぎゅうぎゅうに抱き締める。うーん、千寿郎も大きくなったなぁ……。
やっぱり『前』よりも食事にお肉や牛乳なんかを取り入れているからかな?
筋肉のつき方が、こう、比べ物にならないよね。
わきわき、抱きしめたまま千寿郎の肩や腕の筋肉をモミモミする。驚いて飛び上がった千寿郎が私から離れた。
「嬉しいですけど、あまり僕とこういうことをしてはいけません」
「なんで?嬉しいならいいでしょ」
「だってその、姉上は兄上のこと好いておられるのに勘違いされるような行為は……」
「ん?んんん!?」
そりゃ『前』よりはわがままに、そして杏寿郎さんへの愛を垂れ流しにしてるけど、千寿郎にわかるようにした覚えないよね。
ふー、パタパタ!あー、やだやだ顔が熱くなってき、
「想いはお伝えにならないのですか?」
ぼひゅん!!
千寿郎に言われた言葉を前に、顔から火が出そうになった。
「おっお子様はあまりそういう話に首突っ込まなくていーの!私は姉で、君は弟なんだから行ってきますの抱擁くらいさせてよね!」
「お子様って……姉上もそれほど僕との年齢は変わらないじゃないですか」
「それはそれ、これはこれです!
抱擁したところで今生の別れにはする気ないんだからさぁいいじゃないのー」
まさかそれで死亡フラグが立つわけもない。……だよね?フラグ立ったりしないよね?
『今回』杏寿郎さんは最終選別で怪我して帰ってきたけどさ、まさか私まで大怪我だとか、最悪の場合死んだりとか……しないよね?
そんな事態は全力で回避するよ?でもちょっと不安になってきたかも……。
今生の別れなんて言葉を使ったからだろう。私以上に千寿郎の表情が翳った。
「姉上、藤襲山では選別に参加した人のうち、毎回半分ほどの人がお亡くなりになると聞きます。どうか……どうか無事で帰ってきてくださいね」
「っ!?
もちろん!どーしてもやりたい事もあるしちゃんと帰ってくるよ!私は自分よりも千寿郎の方が心配だなぁ。一緒に連れて行きたいくらいよ」
「それはご遠慮します」
わかってたけど即答かい。
「千寿郎、何かあって父様に叩かれたらあとで私に報告しなさい。あ、叩かれなくても腹の立つこと言われたら報告必須ね?紙にでも書いときなさいな!
……全く!父様のおたんこなすったら、最近は千寿郎が木刀を持つことすらいい顔しないんだから!」
「父上をおたんこなすって……ふふふ!
大丈夫ですよ。でも胸に留めておきますね」
「ん、そうしてちょうだい」
今一度抱き寄せた千寿郎の頭を数回ぽんぽん。んー、かわいい弟を補給完了っと。
「それじゃ行ってくるね!」
「はい姉上、御武運を」
別れた後、勇み足で向かったわけなんだけど。
そろそろ次の最終選別の時期が来ることを知っていた槇寿朗さんが私の行動にかなり注意を払っていたけれど、なんとか監視の目をくぐりぬけられた……と思う。
実際はここまでこそこそと用意周到に準備してきた私の意を汲んで、わざと素知らぬふりをしている可能性もある。だって柱だよ?小娘ひとりの考えなんて簡単に見抜けてしまう。槇寿朗さんなんて、柱歴が長いから余計に聡い。
とはいえ出立する現場を見つかってしまえば連れ戻されてしまうことは想像に難くない。そこまで優しくないでしょ。
だから私はかなーり早く起きた。
まだ暗かった夜空が少しずつ朝焼け色に変わっていく。忙しいこともあったから最近はこんなゆっくり眺める時間なんてなかった朝一番の日の光。
東の空にゆらゆら昇っていく太陽は杏寿郎さんのように輝いていて。
私の太陽は今日も元気に過ごしているかしら。無事を祈る、祈る、そして祈る。
綺麗な朝焼けを見られてよかった。神々しくって、私だけじゃなく杏寿郎さんにもご利益ありそう。
「ふわぁぁあ〜ぁあ〜」
そんな中でも欠伸は止まらない。仕方ないでしょ!これも生理現象の一種なんだから!!
まあこの通り眠いけれど早起きをした甲斐はある。何も気にせずに……とはいかないけれど、これで無事に出立できるというものだ。
「大きな欠伸ですねぇ。緊張感皆無じゃないですか」
苦笑しながら千寿郎が食糧の入った風呂敷を渡してくる。
そうなのだ。私のために七日分の食糧を用意してくれた千寿郎も早く起きた。巻き込んで申し訳ない。
でも千寿郎のおむすび美味しいから楽しみにしてたんだよね!!んふふ、ありがたや〜。
「千寿郎?私は大物だから緊張なんてしないのだよ!はい、出発のハグハグ〜!ぎゅーっ!!」
千寿郎を引き寄せ、ぎゅうぎゅうに抱き締める。うーん、千寿郎も大きくなったなぁ……。
やっぱり『前』よりも食事にお肉や牛乳なんかを取り入れているからかな?
筋肉のつき方が、こう、比べ物にならないよね。
わきわき、抱きしめたまま千寿郎の肩や腕の筋肉をモミモミする。驚いて飛び上がった千寿郎が私から離れた。
「嬉しいですけど、あまり僕とこういうことをしてはいけません」
「なんで?嬉しいならいいでしょ」
「だってその、姉上は兄上のこと好いておられるのに勘違いされるような行為は……」
「ん?んんん!?」
そりゃ『前』よりはわがままに、そして杏寿郎さんへの愛を垂れ流しにしてるけど、千寿郎にわかるようにした覚えないよね。
ふー、パタパタ!あー、やだやだ顔が熱くなってき、
「想いはお伝えにならないのですか?」
ぼひゅん!!
千寿郎に言われた言葉を前に、顔から火が出そうになった。
「おっお子様はあまりそういう話に首突っ込まなくていーの!私は姉で、君は弟なんだから行ってきますの抱擁くらいさせてよね!」
「お子様って……姉上もそれほど僕との年齢は変わらないじゃないですか」
「それはそれ、これはこれです!
抱擁したところで今生の別れにはする気ないんだからさぁいいじゃないのー」
まさかそれで死亡フラグが立つわけもない。……だよね?フラグ立ったりしないよね?
『今回』杏寿郎さんは最終選別で怪我して帰ってきたけどさ、まさか私まで大怪我だとか、最悪の場合死んだりとか……しないよね?
そんな事態は全力で回避するよ?でもちょっと不安になってきたかも……。
今生の別れなんて言葉を使ったからだろう。私以上に千寿郎の表情が翳った。
「姉上、藤襲山では選別に参加した人のうち、毎回半分ほどの人がお亡くなりになると聞きます。どうか……どうか無事で帰ってきてくださいね」
「っ!?
もちろん!どーしてもやりたい事もあるしちゃんと帰ってくるよ!私は自分よりも千寿郎の方が心配だなぁ。一緒に連れて行きたいくらいよ」
「それはご遠慮します」
わかってたけど即答かい。
「千寿郎、何かあって父様に叩かれたらあとで私に報告しなさい。あ、叩かれなくても腹の立つこと言われたら報告必須ね?紙にでも書いときなさいな!
……全く!父様のおたんこなすったら、最近は千寿郎が木刀を持つことすらいい顔しないんだから!」
「父上をおたんこなすって……ふふふ!
大丈夫ですよ。でも胸に留めておきますね」
「ん、そうしてちょうだい」
今一度抱き寄せた千寿郎の頭を数回ぽんぽん。んー、かわいい弟を補給完了っと。
「それじゃ行ってくるね!」
「はい姉上、御武運を」
別れた後、勇み足で向かったわけなんだけど。