三周目 漆
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触腕を斬り刻みながら前方へと向かう。
どうあっても私の事は食べたくてたまらないという思いが透けていて、肉壁の迫る分厚さ。触手の本数は他の比ではない。
行動がしづらくて苛々する。
これだけ斬っていたら日輪刀が摩耗してしまうではないか!研ぎに出すの大変なんだからね!?
そんな中、鬼の雄叫びが響き渡った。地震のような横揺れがすごい。列車と同化しているだけはある……。
この揺れと叫び。もしかして強烈な一撃が頸近くに。本体に加わった?
そうとしか考えられないし、炭治郎達が頸のあたりまで到達したということだろう。
でも油断はできない。
確か炭治郎はあの時お腹に怪我を……。
中からでは前方の様子も見ずらい。列車の上に飛び乗り、向かってくる肉を切り進む向こう。
交戦する炭治郎達に鬼が血鬼術を放つ様子が見えた。
強制昏倒睡眠、眼。
肉壁全体に『夢』と描かれた目玉が無数にぎょろぎょろ蠢いている。それを目にした瞬間、炭治郎達が眠りに落ちたのがわかった。
あれは本体に近ければ近いほど強く発動される、鬼にとっての一撃必殺に近い血鬼術なのだろう。
離れたところから見る分には此方に術が向いてないからかからないようだけど、炭治郎は何度もかかっているようだった。
何度も。つまりその度、自分の頸を……。
伊之助はその頭に被った猪の皮のおかげか、術にかからないようだった。
夢と現実の境目が曖昧になってきていた炭治郎を止めている!
その時、上に避難していたらしい運転士が動いた。
あ!きっとあいつだ……あいつが炭治郎の腹部に大怪我をさせた犯人……!
錐持ってるし!!
そうはさせない。
「盛炎のうねりっ!!」
歯向かう触腕が一太刀で滅され道が拓ける。杏寿郎さんの真似をし、技の勢いで斬りながら一気に距離を詰めたのだ。
「貴方には御退場願います、よっ!」
「うぐっ!?」
錐を奪い捨てて武装解除させ、首に手刀を入れて気絶させる。慌ててたからちょっと強めにやってしまった気がするけれど……まっ、大丈夫よね!
「狙われてたわよ二人ともっ!警戒するのは鬼だけにあらず!!」
「朝緋さん!来てくれたんですね!」
「うぉ、まだら!?」
状況の報告は要らない。見たらわかる。
肉壁で覆ってはいるが、相変わらず巨大な頸の骨がそこにあるようだ。
つまり二人で肉を咲き、骨をたとうとしているところか。
だから二人まとめて眠らせようと、鬼側も躍起になって血鬼術を放っている。
見なきゃこんなのどうってことないけど。
んでも私もこれで標的の仲間入りだ。特に狙いたいはず。
この現場では私も眠らせる対象の一人であり、同時に鬼が喉から手が出るほどに食べたくてたまらないご馳走なのだから。
炭治郎達が頸を斬るには、少しでも注意をこっちに逸らせる分有利だけどもね!
「援護するわ」
「はいっ助かります!」
「おうよ!周りの気色悪いのは任せたぜ!!」
開口一番飛び上がれば、鬼が触腕を私に集中して向かわせ、眼というあの技を発動した。
『ーー俺の本体にこんなに近づいて。稀血ちゃんは眠らされて食われて終わりなのにぃ。
絶対に逃がさない。絶対に食べてあげる……!!』
にやり、肉壁の奥にそんな笑みが見えた気がした。顔がついていたら鬼は舌なめずりもしていたかもしれない。
けれどそんなことにはならない。
私は鬼には捕まらないし食べられないし眠らされもしない。
「見ずに全て斬ってしまえばどうってこと……ないっ!!壱ノ型不知火肆ノ型盛炎のうねり伍ノ型炎虎ッ!!」
『前』と同じで見ないままに、しかし技の連続で鬼の肉を。眼を斬る。手応えあり!
『目を閉じて……!?』
気色悪い鬼の気配、その触腕が風を切って向かってくる空気の流れ、そのすべてを読めば目なんか開いていなくたって斬れる!触れるもの全てを斬り刻む私の刃を。鬼殺隊、炎柱継子をなめんな!!
「二人とも!!」
頸への道が拓けた!あとは二人の呼吸を合わせ、鬼の頸をーー。
「獣の呼吸!肆の牙・切り細裂き!!」
「ヒノカミ神楽!碧羅の天!!」
伊之助が頸の骨を覆う肉壁を削ぎ、そして炭治郎が骨を断つ!
再びこの闇夜に、ヒノカミ神楽による美しき太陽のような光が。火が広がった。
見とれている場合ではない。鬼の断末魔と共に、最後の足掻きが繰り出される。
何がなんでも乗客や私を食らおうとしてるみたいだけど、決して食わせやしないし食われる事もないよ!!
「不知火改・六連火!!」
往復にして三度の不知火が走り抜ける。鬼の触腕は退けたが横揺れ、そして縦揺れが続く。車体が大きく傾ぐ……!どうあっても横転は免れない!!
「ッ何かに捕まって!!」
列車が横転してしばらく滑り、そしてゆっくりと止まった。炎上しないのが不思議なくらいの衝撃だ。
止まった場所は……ああまたこの小さな森の近く……!鬼が隠れる隙間すらすらない、もっと拓けた場所に止まったなら良かったのに。
どうあっても私の事は食べたくてたまらないという思いが透けていて、肉壁の迫る分厚さ。触手の本数は他の比ではない。
行動がしづらくて苛々する。
これだけ斬っていたら日輪刀が摩耗してしまうではないか!研ぎに出すの大変なんだからね!?
そんな中、鬼の雄叫びが響き渡った。地震のような横揺れがすごい。列車と同化しているだけはある……。
この揺れと叫び。もしかして強烈な一撃が頸近くに。本体に加わった?
そうとしか考えられないし、炭治郎達が頸のあたりまで到達したということだろう。
でも油断はできない。
確か炭治郎はあの時お腹に怪我を……。
中からでは前方の様子も見ずらい。列車の上に飛び乗り、向かってくる肉を切り進む向こう。
交戦する炭治郎達に鬼が血鬼術を放つ様子が見えた。
強制昏倒睡眠、眼。
肉壁全体に『夢』と描かれた目玉が無数にぎょろぎょろ蠢いている。それを目にした瞬間、炭治郎達が眠りに落ちたのがわかった。
あれは本体に近ければ近いほど強く発動される、鬼にとっての一撃必殺に近い血鬼術なのだろう。
離れたところから見る分には此方に術が向いてないからかからないようだけど、炭治郎は何度もかかっているようだった。
何度も。つまりその度、自分の頸を……。
伊之助はその頭に被った猪の皮のおかげか、術にかからないようだった。
夢と現実の境目が曖昧になってきていた炭治郎を止めている!
その時、上に避難していたらしい運転士が動いた。
あ!きっとあいつだ……あいつが炭治郎の腹部に大怪我をさせた犯人……!
錐持ってるし!!
そうはさせない。
「盛炎のうねりっ!!」
歯向かう触腕が一太刀で滅され道が拓ける。杏寿郎さんの真似をし、技の勢いで斬りながら一気に距離を詰めたのだ。
「貴方には御退場願います、よっ!」
「うぐっ!?」
錐を奪い捨てて武装解除させ、首に手刀を入れて気絶させる。慌ててたからちょっと強めにやってしまった気がするけれど……まっ、大丈夫よね!
「狙われてたわよ二人ともっ!警戒するのは鬼だけにあらず!!」
「朝緋さん!来てくれたんですね!」
「うぉ、まだら!?」
状況の報告は要らない。見たらわかる。
肉壁で覆ってはいるが、相変わらず巨大な頸の骨がそこにあるようだ。
つまり二人で肉を咲き、骨をたとうとしているところか。
だから二人まとめて眠らせようと、鬼側も躍起になって血鬼術を放っている。
見なきゃこんなのどうってことないけど。
んでも私もこれで標的の仲間入りだ。特に狙いたいはず。
この現場では私も眠らせる対象の一人であり、同時に鬼が喉から手が出るほどに食べたくてたまらないご馳走なのだから。
炭治郎達が頸を斬るには、少しでも注意をこっちに逸らせる分有利だけどもね!
「援護するわ」
「はいっ助かります!」
「おうよ!周りの気色悪いのは任せたぜ!!」
開口一番飛び上がれば、鬼が触腕を私に集中して向かわせ、眼というあの技を発動した。
『ーー俺の本体にこんなに近づいて。稀血ちゃんは眠らされて食われて終わりなのにぃ。
絶対に逃がさない。絶対に食べてあげる……!!』
にやり、肉壁の奥にそんな笑みが見えた気がした。顔がついていたら鬼は舌なめずりもしていたかもしれない。
けれどそんなことにはならない。
私は鬼には捕まらないし食べられないし眠らされもしない。
「見ずに全て斬ってしまえばどうってこと……ないっ!!壱ノ型不知火肆ノ型盛炎のうねり伍ノ型炎虎ッ!!」
『前』と同じで見ないままに、しかし技の連続で鬼の肉を。眼を斬る。手応えあり!
『目を閉じて……!?』
気色悪い鬼の気配、その触腕が風を切って向かってくる空気の流れ、そのすべてを読めば目なんか開いていなくたって斬れる!触れるもの全てを斬り刻む私の刃を。鬼殺隊、炎柱継子をなめんな!!
「二人とも!!」
頸への道が拓けた!あとは二人の呼吸を合わせ、鬼の頸をーー。
「獣の呼吸!肆の牙・切り細裂き!!」
「ヒノカミ神楽!碧羅の天!!」
伊之助が頸の骨を覆う肉壁を削ぎ、そして炭治郎が骨を断つ!
再びこの闇夜に、ヒノカミ神楽による美しき太陽のような光が。火が広がった。
見とれている場合ではない。鬼の断末魔と共に、最後の足掻きが繰り出される。
何がなんでも乗客や私を食らおうとしてるみたいだけど、決して食わせやしないし食われる事もないよ!!
「不知火改・六連火!!」
往復にして三度の不知火が走り抜ける。鬼の触腕は退けたが横揺れ、そして縦揺れが続く。車体が大きく傾ぐ……!どうあっても横転は免れない!!
「ッ何かに捕まって!!」
列車が横転してしばらく滑り、そしてゆっくりと止まった。炎上しないのが不思議なくらいの衝撃だ。
止まった場所は……ああまたこの小さな森の近く……!鬼が隠れる隙間すらすらない、もっと拓けた場所に止まったなら良かったのに。