三周目 伍
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臨時に開かれる柱合会議に連れて行かれた。
鬼の情報についての報告会は定期の柱合会議だけでは足らず、ここ最近はこうして臨時で何度も開かれていたらしい。
臨時とはいえどうして私まで。それは継子として紹介したい人材はお館様や柱達にも伝えておくのが常だからだ。同じ理由でかつて、しのぶのところのカナヲちゃんが紹介されているところを見たことがある。
あと多分だけど、杏寿郎さんは『俺のだ』というのを他の柱にも知らしめたいんだと思う。
じゃなかったらこんなことしない!
「ねえ私を運んできた人って師範ですよね?柱が隠の仕事とってどーするの」
「隠だろうと朝緋に触れるのは許せんからな!」
そう言うと思ったから女性の隠を指定してあったんだけどなー?
「私としては、貴方の触れ方が許せませんでした」
「何!?普通に運んだつもりだが!?」
「あれは普通と言わない。触り方が助平すぎる。太ももさわさわしてきて痴漢かと思ったし、目隠ししてるのをいいことにキス……接吻しようとしたよね?耳栓してたけど気配でわかってるから」
「むう」
「むうじゃないです。ご挨拶が終わったら私隠の皆さんとすぐ帰るからね」
そう。こんなこと、というのは杏寿郎さんが私を運んできた際の触り方などにあった。
そして集まっている他の柱に聞こえようが杏寿郎さんはお構いなしで大声。もうすでに、他の柱に継子=自分のものだ、と知らしめようという魂胆まで見えていた。
当たり前だけれどまだ霞柱の時透君、あと伊黒さん、蜜璃はいない。けれどみんな一様にそれぞれの顔をしながら、私とそして杏寿郎さんを眺めている。
初めましてがこれになる柱がいるのは頭が痛い……。
そうこうしている内にお館様がお目見えになった。柱の一人がお館様へのご挨拶を述べる。
頭を上げるよう言われ、『今回』では初めてお顔を拝見する。
相変わらずその御尊顔の呪いは進んでおり、痛々しく思う。どうにか出来ないものか……。
「久しぶりだね、朝緋。……ん?久しぶりではないか。はじめまして」
「ッまさかお館さまは知って……!」
久しぶり。お館様は今、そう言った。それはまるで私が何度も過去からやり直していることを知っているかのようで。
そういえば『前』の時だって、お館様は気がついているような節があった。先見の力の一種だ、と言われてしまえばそれまでなんだけども。
「さて……何のことかな?」
ふわりと微笑みを向けられた瞬間、それ以上聞く気はなくなってしまった。
お身体の弱いお館様に変なこと聞いて考えさせて、御無理もさせられないしこれでいい。
あとさあとさ、ほんと良い声だよ〜。癒されるぅ〜〜。杏寿郎さんへの怒りがすーっと消えていくよう……いや消しちゃだめだわ。
そうして会議は滞りなく終わり。
「よォ、しばらくぶりだなァ、煉獄朝緋」
囲まれた、否。私の元にやって来たのは、杏寿郎さんの他にはまさかの風柱である不死川さんだった。
この前の揶揄いの延長線上なのか、宇髄さんもいるけれど。他の柱は任務があるとのことですぐ帰った。
「不死川さん!お久しぶりです!あれからあのお店は行きました?」
「最近お前との任務がねぇから、行けてねェな……」
「不死川さんの柱としての管轄の地も私共の地とは離れてますし、任務が被らないとなかなかご一緒できませんからね」
そうやって会話しているとずずいと割り込むのが。
「あのお店とはなんだ!!」
杏寿郎さんである。
「よもやいかがわしき店などでは……」
「プッ!煉獄、もしかして出合茶屋かなんかと勘違いか?」
「「「!?」」」
でっ……出合茶屋!!相変わらず突拍子もない言葉を言うわ考えるわとんでもない柱達だな炎柱に音柱!!
けど、不死川さんが赤くなるのはわかるけど、なんでいかがわしい店の話した杏寿郎さんまで真っ赤なのさ!赤くなりたいのはこっちよ。
「宇髄さん変なこと言わないでください。
あと師範。不死川さんと私はそういう関係じゃ…ただ和菓し……もごっ」
私と不死川さんが行く場所なんて、おはぎのある和菓子屋しかない。
って、不死川さんに口を押さえられた!
俺がおはぎに目がない事を他の柱に言うんじゃねぇ。鋭い目はそう語っているみたいだけど、これじゃ訂正できない。
貴方は私と変なところに行っていると勘違いされていてもいいの?私は困る。
だってほら、目の前の勘違い柱が、めちゃくちゃ怒ってる。心を憤怒の炎で燃やしてる!炎の呼吸、怒の型かな??
多分だけど私の口に不死川さんの手があったのも、距離が近すぎるのも気に入らなかったんだと思うなぁ。
「なあ不死川。前の続きといきたいのだがよろしいだろうか?」
杏寿郎さんが静かな、しかし怒りを孕む声音で不死川さんに呼びかけた。
「前ってのは何だァ?」
「あの会議の時、決着がつかなかっただろう。お館様の手前、いつまでも隊員同士がぶつかり合う姿を見せてはいけないとすぐ終わりにしたが、俺はあの時のことを忘れていない!」
「はー、またやり合う気かよォ炎柱ァァ」
「また?」
「あー、あれね」
宇髄さんまで思い出したかのように、言葉を発する。説明してもらわないとわからないんだけど!?
「宇髄さんはい質問!あれとかまたとか、一体何なんです?」
「ああ?お前が任務後に不死川と茶屋で過ごしたとかなんとかで、それに嫉妬したみたいだぜ。ここで初めて不死川と相対した瞬間に、勝負が勃発して殴り合ってたんだよ。
そういや決着ついてなかったな」
えええええー!
こんなところも『前』と違うの!?
後から聞いた話だけれども、『前』の杏寿郎さんは槇寿朗さんの代わりにと出た柱合会議で、不死川さんから攻撃を受けたらしいのよね。だけど殴ってはいけない、殴りたくないと決して自分から手は出さなかったそうだ。
そんなところも芯が通っていてかっこいい!
こほん。
なのに今回は違う。まさかの杏寿郎さんから喧嘩をふっかけたという。それも嫉妬心で。
もうやだこの人。嫉妬深すぎだし根に持ちすぎじゃないかな。
それでも嫌いになれない、むしろ大好きだという私も相当だけれどね。
「俺はやりたくねえなァ……元はお前の悋気からきてるモンだろォ?俺にその気はねえしぶつかり合う意味はないじゃねえか」
「柱同士の稽古という体でならどうだろうか。俺は君と決着をつけんと気が済まん。心が落ち着かない!心に宿る炎が燻ってしまう!!」
そこまで?炎の柱なのに、炎が燻ったら大変じゃん。不死川さんも頬をポリポリかいて私の方に「これどうしたらいいんだァ?」と指示をあおいできてる。
私にはわからないのでやめて下さい。
「稽古だろ?続きやりゃあいいじゃねぇか。ここじゃなくて、お前らどっちかの邸でよ」
「ちょ、宇髄さん!?余計なことを……!」
それだとここからより近い炎柱邸になることは確実だし、柱がやり合ったらお庭が『また』半壊してしまうではないか。
遠い目をして青い空を仰いだ。
結果的に庭は半壊したが意気投合して二人は私が大量に生産したおはぎを縁側で食べ合う仲になるまでには打ち解けた。
ああ良かっ……半壊させておいて良かったはないな。
柱だろうが関係ない。二人には説教を垂れてきちんと庭を整備させた。
鬼の情報についての報告会は定期の柱合会議だけでは足らず、ここ最近はこうして臨時で何度も開かれていたらしい。
臨時とはいえどうして私まで。それは継子として紹介したい人材はお館様や柱達にも伝えておくのが常だからだ。同じ理由でかつて、しのぶのところのカナヲちゃんが紹介されているところを見たことがある。
あと多分だけど、杏寿郎さんは『俺のだ』というのを他の柱にも知らしめたいんだと思う。
じゃなかったらこんなことしない!
「ねえ私を運んできた人って師範ですよね?柱が隠の仕事とってどーするの」
「隠だろうと朝緋に触れるのは許せんからな!」
そう言うと思ったから女性の隠を指定してあったんだけどなー?
「私としては、貴方の触れ方が許せませんでした」
「何!?普通に運んだつもりだが!?」
「あれは普通と言わない。触り方が助平すぎる。太ももさわさわしてきて痴漢かと思ったし、目隠ししてるのをいいことにキス……接吻しようとしたよね?耳栓してたけど気配でわかってるから」
「むう」
「むうじゃないです。ご挨拶が終わったら私隠の皆さんとすぐ帰るからね」
そう。こんなこと、というのは杏寿郎さんが私を運んできた際の触り方などにあった。
そして集まっている他の柱に聞こえようが杏寿郎さんはお構いなしで大声。もうすでに、他の柱に継子=自分のものだ、と知らしめようという魂胆まで見えていた。
当たり前だけれどまだ霞柱の時透君、あと伊黒さん、蜜璃はいない。けれどみんな一様にそれぞれの顔をしながら、私とそして杏寿郎さんを眺めている。
初めましてがこれになる柱がいるのは頭が痛い……。
そうこうしている内にお館様がお目見えになった。柱の一人がお館様へのご挨拶を述べる。
頭を上げるよう言われ、『今回』では初めてお顔を拝見する。
相変わらずその御尊顔の呪いは進んでおり、痛々しく思う。どうにか出来ないものか……。
「久しぶりだね、朝緋。……ん?久しぶりではないか。はじめまして」
「ッまさかお館さまは知って……!」
久しぶり。お館様は今、そう言った。それはまるで私が何度も過去からやり直していることを知っているかのようで。
そういえば『前』の時だって、お館様は気がついているような節があった。先見の力の一種だ、と言われてしまえばそれまでなんだけども。
「さて……何のことかな?」
ふわりと微笑みを向けられた瞬間、それ以上聞く気はなくなってしまった。
お身体の弱いお館様に変なこと聞いて考えさせて、御無理もさせられないしこれでいい。
あとさあとさ、ほんと良い声だよ〜。癒されるぅ〜〜。杏寿郎さんへの怒りがすーっと消えていくよう……いや消しちゃだめだわ。
そうして会議は滞りなく終わり。
「よォ、しばらくぶりだなァ、煉獄朝緋」
囲まれた、否。私の元にやって来たのは、杏寿郎さんの他にはまさかの風柱である不死川さんだった。
この前の揶揄いの延長線上なのか、宇髄さんもいるけれど。他の柱は任務があるとのことですぐ帰った。
「不死川さん!お久しぶりです!あれからあのお店は行きました?」
「最近お前との任務がねぇから、行けてねェな……」
「不死川さんの柱としての管轄の地も私共の地とは離れてますし、任務が被らないとなかなかご一緒できませんからね」
そうやって会話しているとずずいと割り込むのが。
「あのお店とはなんだ!!」
杏寿郎さんである。
「よもやいかがわしき店などでは……」
「プッ!煉獄、もしかして出合茶屋かなんかと勘違いか?」
「「「!?」」」
でっ……出合茶屋!!相変わらず突拍子もない言葉を言うわ考えるわとんでもない柱達だな炎柱に音柱!!
けど、不死川さんが赤くなるのはわかるけど、なんでいかがわしい店の話した杏寿郎さんまで真っ赤なのさ!赤くなりたいのはこっちよ。
「宇髄さん変なこと言わないでください。
あと師範。不死川さんと私はそういう関係じゃ…ただ和菓し……もごっ」
私と不死川さんが行く場所なんて、おはぎのある和菓子屋しかない。
って、不死川さんに口を押さえられた!
俺がおはぎに目がない事を他の柱に言うんじゃねぇ。鋭い目はそう語っているみたいだけど、これじゃ訂正できない。
貴方は私と変なところに行っていると勘違いされていてもいいの?私は困る。
だってほら、目の前の勘違い柱が、めちゃくちゃ怒ってる。心を憤怒の炎で燃やしてる!炎の呼吸、怒の型かな??
多分だけど私の口に不死川さんの手があったのも、距離が近すぎるのも気に入らなかったんだと思うなぁ。
「なあ不死川。前の続きといきたいのだがよろしいだろうか?」
杏寿郎さんが静かな、しかし怒りを孕む声音で不死川さんに呼びかけた。
「前ってのは何だァ?」
「あの会議の時、決着がつかなかっただろう。お館様の手前、いつまでも隊員同士がぶつかり合う姿を見せてはいけないとすぐ終わりにしたが、俺はあの時のことを忘れていない!」
「はー、またやり合う気かよォ炎柱ァァ」
「また?」
「あー、あれね」
宇髄さんまで思い出したかのように、言葉を発する。説明してもらわないとわからないんだけど!?
「宇髄さんはい質問!あれとかまたとか、一体何なんです?」
「ああ?お前が任務後に不死川と茶屋で過ごしたとかなんとかで、それに嫉妬したみたいだぜ。ここで初めて不死川と相対した瞬間に、勝負が勃発して殴り合ってたんだよ。
そういや決着ついてなかったな」
えええええー!
こんなところも『前』と違うの!?
後から聞いた話だけれども、『前』の杏寿郎さんは槇寿朗さんの代わりにと出た柱合会議で、不死川さんから攻撃を受けたらしいのよね。だけど殴ってはいけない、殴りたくないと決して自分から手は出さなかったそうだ。
そんなところも芯が通っていてかっこいい!
こほん。
なのに今回は違う。まさかの杏寿郎さんから喧嘩をふっかけたという。それも嫉妬心で。
もうやだこの人。嫉妬深すぎだし根に持ちすぎじゃないかな。
それでも嫌いになれない、むしろ大好きだという私も相当だけれどね。
「俺はやりたくねえなァ……元はお前の悋気からきてるモンだろォ?俺にその気はねえしぶつかり合う意味はないじゃねえか」
「柱同士の稽古という体でならどうだろうか。俺は君と決着をつけんと気が済まん。心が落ち着かない!心に宿る炎が燻ってしまう!!」
そこまで?炎の柱なのに、炎が燻ったら大変じゃん。不死川さんも頬をポリポリかいて私の方に「これどうしたらいいんだァ?」と指示をあおいできてる。
私にはわからないのでやめて下さい。
「稽古だろ?続きやりゃあいいじゃねぇか。ここじゃなくて、お前らどっちかの邸でよ」
「ちょ、宇髄さん!?余計なことを……!」
それだとここからより近い炎柱邸になることは確実だし、柱がやり合ったらお庭が『また』半壊してしまうではないか。
遠い目をして青い空を仰いだ。
結果的に庭は半壊したが意気投合して二人は私が大量に生産したおはぎを縁側で食べ合う仲になるまでには打ち解けた。
ああ良かっ……半壊させておいて良かったはないな。
柱だろうが関係ない。二人には説教を垂れてきちんと庭を整備させた。