一周目 弐
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炎柱になる覚悟ができていようとできていなかろうと、杏寿郎さんを喪った事にすぐに踏ん切りがつくのかと言われたらそうではない。
それから暫くもふとした時に涙は溢れ、眠れば枕が涙でべしょべしょな状態だった。
ほぼ覚えてないけれど、夢の中でも私は泣いているのか。情緒不安定ここに極まれり。
しかもまさか私が炎柱に……こんな最悪の形で。今でも信じられない。
この期に及んでもなお、悪い夢なのではと、思うことがたびたびある。
それでも刻は止まってくれない。
明日には、とうとう私の日輪刀ができあがる。悪鬼滅殺と刻まれた、炎柱としての日輪刀だ。
未だに自分の中での炎柱は杏寿郎さんなので、その文字を刻まれる事はあまり嬉しくない。けれど、ここまでは仮の日輪刀で任務に出ていたのもあり、慣れ親しんだ自分の日輪刀が戻ってくること自体は嬉しく思う。
自分の色変わりの刀と、他人の色変わりの刀。振り抜きの良さも技の精度も全く違う。
日輪刀を受け取りに行くのに、私はその前の日から出ていた。
今や杏寿郎さんの形見となってしまった炎柱の羽織を抱え、彼の最期の地である無限列車事故跡地に訪れたのだ。彼の最期の地。最期の時間。とはいえ、夜明けはまだ遠い。
杏寿郎さん以外の死者こそ出なかったものの、大正の列車事故としては最大の事件として世間を騒がせた今回の件。
しかし、瓦礫と化した列車はすでにどこにもない。
いつまでも撤去せずにいては、他の列車の運行に支障が出るし当たり前か。えぐれた土も湾曲した線路も元通りだ。人間の逞しさと前に進もうとする力には目を見張るものがある。
だからただそこに残っているのは、猗窩座との激闘の爪痕。そして、ある程度薄れてしまったが杏寿郎さんの血の跡だ。
夥しい出血量だったから、完全には隠せなかったのだろう。
ほのかな月明かりの下でも、それは私の目に鮮やかにすら甦ってくる。目を閉じれば、そこには杏寿郎さんの姿も見えるよう。
「杏寿郎さん……私、炎柱を就任いたしました。貴方の羽織を受け継ぎます」
杏寿郎さんがここにいるとは到底思えなかったが、私はこの地を訪れることで納得して炎柱になりたかった。だから来た。
その死を悼むように暫く抱きしめてから、私は炎柱の羽織を身に纏った。これは炎の呼吸を後世に継いでいく証だ。
代わりに、今までの羽織はその場に脱いだ。もう、子供の自分は必要はない。
そう思うのに、涙だけは尚も止まってはくれなかった。
「あーあ、こんなに泣いちゃってさ……」
「誰!?」
その時、背後に一人の男が現れた。
気配に全く気が付かなかった。それほどまでに私は無防備に泣いていたのか、いや違う。
殺意も何も感じなかったのだ。
けれどこの夜更けにこうして現れるのなんて、十中八九鬼しかいない。
私は刀の柄に手をかけた。
刀の間合いに入るのは嫌なのか、鬼が後方へ飛び退く。……攻撃してこない?鬼なのに。
「お前、稀血のくせにひとりで何やってんの?……今は夜だぞ。その様子じゃ任務でもないんだろ」
この鬼もまた、猗窩座と同じように論理的かつ、人の言葉が通用する理性的な鬼のよう。しかも猗窩座とは違い、会話も出来そうだ。
しかし、なぜ私が稀血であることまで知っている?
雲が晴れ、月が明るくなった。
鬼の顔が月に照らされて見えるようになると、私は目を大きく見開く事となる。
「え、お兄ちゃ……鬼?」
目の前にいたのは、幼少期に死に別れた兄だった。年相応に成長してはいるが、見間違えようもない。この男は兄だ。
まるで禰󠄀豆子ちゃんのように人とそう変わらぬ見た目をしてはいるが爪と歯は鋭く尖り、瞳が縦長に変貌している。
鬼だ。鬼として、兄はそこに立っている。
お兄ちゃんは鬼いちゃんだった?なんて、冗談を言いたい位、ヘラヘラしているけれど。
しかしどちらにしても鬼は鬼。
炎柱の名をいただいた以上は悪鬼は滅殺する。
兄だろうが肉親だろうが、鬼になってしまったのならば斬らなければ。
「炎の呼吸、参ノ型・気炎万象!」
私は間髪入れずに上空から刀を振り下ろした。
「げ。ちょ、タンマ!!」
慌てたように、そこから逃げる鬼。
避けるのがやたら速い。私の足よりも速いとは、相当の人を食べている?
「お兄ちゃんだとわかってるんだよな!?
頼むから鬼と見るや否や、いきなり頸斬り落とそうとするのやめて!ねえやめて!?」
「く、逃げるな!壱ノ型・不知火ッ!」
何か喚いているが聞いてはならない。こちらの油断を誘って逃げようとしたり、襲ってきたりするのは鬼の常套手段だ。
素早い斬撃の壱ノ型で追い、その頸を狙う。
だがその速い型でさえ、すれすれのところで避けられてしまう。逃げ足の速い鬼め!
「どひ〜〜〜!鬼殺隊ってホントなんなの!血気盛んすぎない!?
ちょっと献血でもして頭冷やした方がいいよ!いや!鬼のために献血しろってことじゃないからね!?」
脱兎。ぴょんぴょんと兎のように跳ねて避けながら、訳のわからないことを喚く兄。いや、鬼なのだから兄と思ってはいけない。
宙を舞う鬼を追従するように、肆ノ型を放つ。
「あっぶね!あっぶね!!?俺じゃなかったら死んでた!でも頭ハゲた!落武者みたいに!!
鬼だから治るけど!鬼だから治るけど!!大事なことなので二回言いました!!」
「頸を取る気で刀振ってるんだから危なくて当たり前でしょう!」
鬼の髪だけが消し飛んで吹いた。
ああもう、なんだろうこの感じ。調子狂う!笑ってしまう!
「きいいいい!ちょっとは!話を聞けって!の!」
森の中に逃げ込み、木々の間から顔を出して叫んでいる。
時折り石ころを投げつけて対抗してくるその姿は、鬼とは思えないほど情けなくて、つい刀を持つ手が緩んでしまったほど。
ちなみにもうふさふさの髪は生え揃っていた。良かったね。
「俺は全く人を食べてない善良な鬼だ!禰󠄀豆子ちゃんと同じな!希少価値が高いんだから簡単に殺そうとするなよ!
あと食べてるのはネズミとか虫!味はすっかいし苦いしにおいが鼻もげそうに臭いし肉は少ないし毒虫はピリピリ辛いし食感パキパキカサカサしてて超マズイっ!あとダブルチーズバーガーセット食べたい!!
はい終わりっ!」
食べている物が人間の代わりにネズミや虫なのが本当だとしよう。でも詳細な味のことは言わなくていいのに。吐きそう。あとだぶる……何?
私の兄はこんなだっただろうか。鬼になって性格が変わった?ほんと調子狂う。
「…………私が稀血である事だけじゃなくて、禰󠄀豆子ちゃんを知っているのは何故?」
一端の鬼が知るはずもない情報だ。ただの
下級の鬼が知ったという事は、鬼舞辻無惨の襲撃にあう可能性がある。鬼としての異分子は、粛清か捕獲されるか……どちらかしかない。
「いずれわかる。けど、鬼舞辻無惨に知られているかって心配してるなら取り越し苦労だ。奴はまだ知らないぞ」
「!」
鬼、いやお兄ちゃんは、鬼舞辻無惨の呪いを解いている!
普通の鬼には鬼舞辻無惨の呪いがかけられており、情報を敵に渡さぬようにと無惨の名を口にするだけで死ぬ呪いが発動するはずだった。
その名を口にできるということは、鬼舞辻無惨の支配からも外れた、敵でも味方でもないそれこそ本当の意味での異分子になっているということ。
鬼だから敵といえば敵かもしれない。でもーー。
「朝緋。お前、煉獄杏寿郎を救いたいか?また会いたいか?」
……は?今、なんと。杏寿郎さんを救いたいか?会いたいか??
これは鬼が自身の命乞いがわりに言う、ただの甘言かもしれない。
けれど私は、自分の思うまま思いのまま、その問いに大きく頷き返した。
「救えるものなら救いたいに決まってる。あの笑顔と声に、もう一度会いたいに決まってる!」
杏寿郎さんを今も愛しているから。
喪っても尚、愛しい気持ちは消えない。火に油をかけるが如く、より一層燃えている。
「うーん、そっか。それを聞いて安心した!
俺も救いたい!だから頼むな!!
『血鬼術、時空逃走』!」
「ッ!?」
一息で言われ、血鬼術も発動される。
しまった!やられた!いつのまに漂わせていたのだろう、濃い血の霧が私を中心に広がり、包んでいた。月も何もかもが見えない。
私はその血霧を諸に浴びた。不思議と痛くもなく痒くもなく、苦しさすらなく。
ただ、走馬灯のような何かが、逆再生されていく不思議な感覚があるだけだった。
記憶が帯のようにたなびき揺蕩う中、まどろみの向こうに兄の声がくぐもって聞こえた。
「次は間違えるなよ。お前の大切な人を死なせるな。諦めるな」
待ってほしい。間違えるなというのは一体……。
手を伸ばしても、何にも触れられず。私はただ、深い深い海の底に落ちるかのように意識を失った。
それから暫くもふとした時に涙は溢れ、眠れば枕が涙でべしょべしょな状態だった。
ほぼ覚えてないけれど、夢の中でも私は泣いているのか。情緒不安定ここに極まれり。
しかもまさか私が炎柱に……こんな最悪の形で。今でも信じられない。
この期に及んでもなお、悪い夢なのではと、思うことがたびたびある。
それでも刻は止まってくれない。
明日には、とうとう私の日輪刀ができあがる。悪鬼滅殺と刻まれた、炎柱としての日輪刀だ。
未だに自分の中での炎柱は杏寿郎さんなので、その文字を刻まれる事はあまり嬉しくない。けれど、ここまでは仮の日輪刀で任務に出ていたのもあり、慣れ親しんだ自分の日輪刀が戻ってくること自体は嬉しく思う。
自分の色変わりの刀と、他人の色変わりの刀。振り抜きの良さも技の精度も全く違う。
日輪刀を受け取りに行くのに、私はその前の日から出ていた。
今や杏寿郎さんの形見となってしまった炎柱の羽織を抱え、彼の最期の地である無限列車事故跡地に訪れたのだ。彼の最期の地。最期の時間。とはいえ、夜明けはまだ遠い。
杏寿郎さん以外の死者こそ出なかったものの、大正の列車事故としては最大の事件として世間を騒がせた今回の件。
しかし、瓦礫と化した列車はすでにどこにもない。
いつまでも撤去せずにいては、他の列車の運行に支障が出るし当たり前か。えぐれた土も湾曲した線路も元通りだ。人間の逞しさと前に進もうとする力には目を見張るものがある。
だからただそこに残っているのは、猗窩座との激闘の爪痕。そして、ある程度薄れてしまったが杏寿郎さんの血の跡だ。
夥しい出血量だったから、完全には隠せなかったのだろう。
ほのかな月明かりの下でも、それは私の目に鮮やかにすら甦ってくる。目を閉じれば、そこには杏寿郎さんの姿も見えるよう。
「杏寿郎さん……私、炎柱を就任いたしました。貴方の羽織を受け継ぎます」
杏寿郎さんがここにいるとは到底思えなかったが、私はこの地を訪れることで納得して炎柱になりたかった。だから来た。
その死を悼むように暫く抱きしめてから、私は炎柱の羽織を身に纏った。これは炎の呼吸を後世に継いでいく証だ。
代わりに、今までの羽織はその場に脱いだ。もう、子供の自分は必要はない。
そう思うのに、涙だけは尚も止まってはくれなかった。
「あーあ、こんなに泣いちゃってさ……」
「誰!?」
その時、背後に一人の男が現れた。
気配に全く気が付かなかった。それほどまでに私は無防備に泣いていたのか、いや違う。
殺意も何も感じなかったのだ。
けれどこの夜更けにこうして現れるのなんて、十中八九鬼しかいない。
私は刀の柄に手をかけた。
刀の間合いに入るのは嫌なのか、鬼が後方へ飛び退く。……攻撃してこない?鬼なのに。
「お前、稀血のくせにひとりで何やってんの?……今は夜だぞ。その様子じゃ任務でもないんだろ」
この鬼もまた、猗窩座と同じように論理的かつ、人の言葉が通用する理性的な鬼のよう。しかも猗窩座とは違い、会話も出来そうだ。
しかし、なぜ私が稀血であることまで知っている?
雲が晴れ、月が明るくなった。
鬼の顔が月に照らされて見えるようになると、私は目を大きく見開く事となる。
「え、お兄ちゃ……鬼?」
目の前にいたのは、幼少期に死に別れた兄だった。年相応に成長してはいるが、見間違えようもない。この男は兄だ。
まるで禰󠄀豆子ちゃんのように人とそう変わらぬ見た目をしてはいるが爪と歯は鋭く尖り、瞳が縦長に変貌している。
鬼だ。鬼として、兄はそこに立っている。
お兄ちゃんは鬼いちゃんだった?なんて、冗談を言いたい位、ヘラヘラしているけれど。
しかしどちらにしても鬼は鬼。
炎柱の名をいただいた以上は悪鬼は滅殺する。
兄だろうが肉親だろうが、鬼になってしまったのならば斬らなければ。
「炎の呼吸、参ノ型・気炎万象!」
私は間髪入れずに上空から刀を振り下ろした。
「げ。ちょ、タンマ!!」
慌てたように、そこから逃げる鬼。
避けるのがやたら速い。私の足よりも速いとは、相当の人を食べている?
「お兄ちゃんだとわかってるんだよな!?
頼むから鬼と見るや否や、いきなり頸斬り落とそうとするのやめて!ねえやめて!?」
「く、逃げるな!壱ノ型・不知火ッ!」
何か喚いているが聞いてはならない。こちらの油断を誘って逃げようとしたり、襲ってきたりするのは鬼の常套手段だ。
素早い斬撃の壱ノ型で追い、その頸を狙う。
だがその速い型でさえ、すれすれのところで避けられてしまう。逃げ足の速い鬼め!
「どひ〜〜〜!鬼殺隊ってホントなんなの!血気盛んすぎない!?
ちょっと献血でもして頭冷やした方がいいよ!いや!鬼のために献血しろってことじゃないからね!?」
脱兎。ぴょんぴょんと兎のように跳ねて避けながら、訳のわからないことを喚く兄。いや、鬼なのだから兄と思ってはいけない。
宙を舞う鬼を追従するように、肆ノ型を放つ。
「あっぶね!あっぶね!!?俺じゃなかったら死んでた!でも頭ハゲた!落武者みたいに!!
鬼だから治るけど!鬼だから治るけど!!大事なことなので二回言いました!!」
「頸を取る気で刀振ってるんだから危なくて当たり前でしょう!」
鬼の髪だけが消し飛んで吹いた。
ああもう、なんだろうこの感じ。調子狂う!笑ってしまう!
「きいいいい!ちょっとは!話を聞けって!の!」
森の中に逃げ込み、木々の間から顔を出して叫んでいる。
時折り石ころを投げつけて対抗してくるその姿は、鬼とは思えないほど情けなくて、つい刀を持つ手が緩んでしまったほど。
ちなみにもうふさふさの髪は生え揃っていた。良かったね。
「俺は全く人を食べてない善良な鬼だ!禰󠄀豆子ちゃんと同じな!希少価値が高いんだから簡単に殺そうとするなよ!
あと食べてるのはネズミとか虫!味はすっかいし苦いしにおいが鼻もげそうに臭いし肉は少ないし毒虫はピリピリ辛いし食感パキパキカサカサしてて超マズイっ!あとダブルチーズバーガーセット食べたい!!
はい終わりっ!」
食べている物が人間の代わりにネズミや虫なのが本当だとしよう。でも詳細な味のことは言わなくていいのに。吐きそう。あとだぶる……何?
私の兄はこんなだっただろうか。鬼になって性格が変わった?ほんと調子狂う。
「…………私が稀血である事だけじゃなくて、禰󠄀豆子ちゃんを知っているのは何故?」
一端の鬼が知るはずもない情報だ。ただの
下級の鬼が知ったという事は、鬼舞辻無惨の襲撃にあう可能性がある。鬼としての異分子は、粛清か捕獲されるか……どちらかしかない。
「いずれわかる。けど、鬼舞辻無惨に知られているかって心配してるなら取り越し苦労だ。奴はまだ知らないぞ」
「!」
鬼、いやお兄ちゃんは、鬼舞辻無惨の呪いを解いている!
普通の鬼には鬼舞辻無惨の呪いがかけられており、情報を敵に渡さぬようにと無惨の名を口にするだけで死ぬ呪いが発動するはずだった。
その名を口にできるということは、鬼舞辻無惨の支配からも外れた、敵でも味方でもないそれこそ本当の意味での異分子になっているということ。
鬼だから敵といえば敵かもしれない。でもーー。
「朝緋。お前、煉獄杏寿郎を救いたいか?また会いたいか?」
……は?今、なんと。杏寿郎さんを救いたいか?会いたいか??
これは鬼が自身の命乞いがわりに言う、ただの甘言かもしれない。
けれど私は、自分の思うまま思いのまま、その問いに大きく頷き返した。
「救えるものなら救いたいに決まってる。あの笑顔と声に、もう一度会いたいに決まってる!」
杏寿郎さんを今も愛しているから。
喪っても尚、愛しい気持ちは消えない。火に油をかけるが如く、より一層燃えている。
「うーん、そっか。それを聞いて安心した!
俺も救いたい!だから頼むな!!
『血鬼術、時空逃走』!」
「ッ!?」
一息で言われ、血鬼術も発動される。
しまった!やられた!いつのまに漂わせていたのだろう、濃い血の霧が私を中心に広がり、包んでいた。月も何もかもが見えない。
私はその血霧を諸に浴びた。不思議と痛くもなく痒くもなく、苦しさすらなく。
ただ、走馬灯のような何かが、逆再生されていく不思議な感覚があるだけだった。
記憶が帯のようにたなびき揺蕩う中、まどろみの向こうに兄の声がくぐもって聞こえた。
「次は間違えるなよ。お前の大切な人を死なせるな。諦めるな」
待ってほしい。間違えるなというのは一体……。
手を伸ばしても、何にも触れられず。私はただ、深い深い海の底に落ちるかのように意識を失った。