三周目 肆
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蜜璃に協力してもらい、仲直り用のスイートポテトを大量に生産した。
一部蜜璃や家族の分にして味見がてら食べてみたけれど、思った通りのお味。芋本来の味を壊すことなく活かし、しっとりふんわりと甘く焦げ目は香ばしくて……つまりものすごく美味しい。
ほっぺが落ちちゃいそう。
これは杏寿郎さんでなくても、わっしょい出るわ。文句なしの満点星三つ!
さぁて。
風呂敷きにめいっぱいのスイートポテトと愛情を包んで持ち、蜜璃に送り出されてやって来ました蝶屋敷。
杏寿郎さんが入院しているのは今回は相部屋ではなく個室のようだった。
他の人があまり入院していないだけか、それとも杏寿郎さんの階級が上の方に上がってきているからか。きっとそのどちらもが理由だ。
覗いて入ろうとしたけれど、これまで喧嘩というか、避けていた手前入りにくい。
たった一枚の扉がこんなにも分厚く感じるとは……。
はあ。
どう入室しようか悩んでいれば。
「そこにいるのはわかっているぞ、入ってきてはどうだ。
…………朝緋」
杏寿郎さんの方から声をかけてきた。
私の気配についてはもうそこまで察知できるようだ。階級が柱に近くなったのは伊達じゃないなあ。
バレているなら仕方ないと、顔をひょこりと出して頭を下げる。
「お邪魔しまーす……」
「うむ。久しぶりだな」
椅子に座って向かい合う。
杏寿郎さんからのまっすぐな視線が私を射抜いて逃さない。見つめ返すなんてできなくて、私は視線を僅かに下に向けたまま会話することにした。
「この通りまた怪我を負ってしまった。不甲斐ない!君は見舞いに来てくれたのだな」
「今日は非番なので。……体の方はどうなのですか?」
「背中に多少の傷跡は残ったが安心してほしい!もうほとんど治っているし、風邪もひいていない!!」
「良かった……」
ホッとしたら気が緩み、つい顔を上げてしまう。杏寿郎さんはまだ私を見ていたようで、バッチリ目が合った。
「やっと俺の顔を真っ直ぐ見てくれたようで嬉しい」
陽の光差し込む明るい部屋の中、目の前に輝く太陽の目には今日も炎のかけらがよく燃えていた。
ずっと見たかった私の太陽は、眩しくてキラキラしていて……綺麗だった。
「……うん。ごめんね、杏寿郎兄さん」
「むう、師範から兄さんに呼び名が戻ったな。その『兄』という敬称もなくしてくれればより嬉しいのだがな!」
「それはなかなか難しそうですね」
「だろうな!まあそれは追々でいいさ」
んー。わかってたことだけど、諦める気はないんだね。
「今日はお見舞いも兼ねてますが、仲直りしたいと思ってさつまいものお菓子を作って持ってきました」
普通の食事は……あ、どう考えてももう摂れそうだ。ピンピンしてるもんね。
それを確認してから持っていた風呂敷包みを開け、中の箱をぱかっと開く。
杏寿郎さんの目が輝いた。
「仲直りも何もあるまい。俺は喧嘩をしたとは思っていないし、怒ってもいないよ。
だが、ありがたく頂戴しよう!芋の菓子は俺の好物だからな!!
朝緋の手が入った物ならば、これ以上嬉しいことはない!先日のいきなり団子とやらもかなり美味かった!わっしょい!!
それに君は料理が上手だから今回も期待できよう?」
黄金色のスイートポテトをキラッキラの目で見ながらそう言う。試しに箱を動かしてみた。……目と顔の動きがそれを追う。
おっきな猫かな?面白い。
「買い被りすぎです。でも作り方にちょっぴり不安なところがあって蜜璃ちゃんにも手伝ってもらいました。貴方に美味しく食べてほしくって。
だから美味しさは保証します」
「朝緋……そこまで俺のことを考えてくれたのだな。俺は果報者だ」
スッと差し出された手が、私の髪を漉くように撫でてゆく。
目を細めてゆるりと笑う杏寿郎さんからは幸せでたまらないという感情が溢れていた。
高鳴る胸。
「お、お茶を淹れてきますね!さ、さーて、蝶屋敷の厨を貸してもらわないと〜!厨はどこかな〜!!」
「ははは!そう照れるな!厨はそこを出て左奥だぞ!!」
うん、実は場所がどこだかも知ってる。
アワアワしてさも知らないふりしてしまったけれど『前』に行ったことあるし。
それよりこの胸の高鳴りはどうにか治めないと。しっかりしろ煉獄朝緋!
火照る体の熱を冷ますように、部屋を急ぎ出た。
一部蜜璃や家族の分にして味見がてら食べてみたけれど、思った通りのお味。芋本来の味を壊すことなく活かし、しっとりふんわりと甘く焦げ目は香ばしくて……つまりものすごく美味しい。
ほっぺが落ちちゃいそう。
これは杏寿郎さんでなくても、わっしょい出るわ。文句なしの満点星三つ!
さぁて。
風呂敷きにめいっぱいのスイートポテトと愛情を包んで持ち、蜜璃に送り出されてやって来ました蝶屋敷。
杏寿郎さんが入院しているのは今回は相部屋ではなく個室のようだった。
他の人があまり入院していないだけか、それとも杏寿郎さんの階級が上の方に上がってきているからか。きっとそのどちらもが理由だ。
覗いて入ろうとしたけれど、これまで喧嘩というか、避けていた手前入りにくい。
たった一枚の扉がこんなにも分厚く感じるとは……。
はあ。
どう入室しようか悩んでいれば。
「そこにいるのはわかっているぞ、入ってきてはどうだ。
…………朝緋」
杏寿郎さんの方から声をかけてきた。
私の気配についてはもうそこまで察知できるようだ。階級が柱に近くなったのは伊達じゃないなあ。
バレているなら仕方ないと、顔をひょこりと出して頭を下げる。
「お邪魔しまーす……」
「うむ。久しぶりだな」
椅子に座って向かい合う。
杏寿郎さんからのまっすぐな視線が私を射抜いて逃さない。見つめ返すなんてできなくて、私は視線を僅かに下に向けたまま会話することにした。
「この通りまた怪我を負ってしまった。不甲斐ない!君は見舞いに来てくれたのだな」
「今日は非番なので。……体の方はどうなのですか?」
「背中に多少の傷跡は残ったが安心してほしい!もうほとんど治っているし、風邪もひいていない!!」
「良かった……」
ホッとしたら気が緩み、つい顔を上げてしまう。杏寿郎さんはまだ私を見ていたようで、バッチリ目が合った。
「やっと俺の顔を真っ直ぐ見てくれたようで嬉しい」
陽の光差し込む明るい部屋の中、目の前に輝く太陽の目には今日も炎のかけらがよく燃えていた。
ずっと見たかった私の太陽は、眩しくてキラキラしていて……綺麗だった。
「……うん。ごめんね、杏寿郎兄さん」
「むう、師範から兄さんに呼び名が戻ったな。その『兄』という敬称もなくしてくれればより嬉しいのだがな!」
「それはなかなか難しそうですね」
「だろうな!まあそれは追々でいいさ」
んー。わかってたことだけど、諦める気はないんだね。
「今日はお見舞いも兼ねてますが、仲直りしたいと思ってさつまいものお菓子を作って持ってきました」
普通の食事は……あ、どう考えてももう摂れそうだ。ピンピンしてるもんね。
それを確認してから持っていた風呂敷包みを開け、中の箱をぱかっと開く。
杏寿郎さんの目が輝いた。
「仲直りも何もあるまい。俺は喧嘩をしたとは思っていないし、怒ってもいないよ。
だが、ありがたく頂戴しよう!芋の菓子は俺の好物だからな!!
朝緋の手が入った物ならば、これ以上嬉しいことはない!先日のいきなり団子とやらもかなり美味かった!わっしょい!!
それに君は料理が上手だから今回も期待できよう?」
黄金色のスイートポテトをキラッキラの目で見ながらそう言う。試しに箱を動かしてみた。……目と顔の動きがそれを追う。
おっきな猫かな?面白い。
「買い被りすぎです。でも作り方にちょっぴり不安なところがあって蜜璃ちゃんにも手伝ってもらいました。貴方に美味しく食べてほしくって。
だから美味しさは保証します」
「朝緋……そこまで俺のことを考えてくれたのだな。俺は果報者だ」
スッと差し出された手が、私の髪を漉くように撫でてゆく。
目を細めてゆるりと笑う杏寿郎さんからは幸せでたまらないという感情が溢れていた。
高鳴る胸。
「お、お茶を淹れてきますね!さ、さーて、蝶屋敷の厨を貸してもらわないと〜!厨はどこかな〜!!」
「ははは!そう照れるな!厨はそこを出て左奥だぞ!!」
うん、実は場所がどこだかも知ってる。
アワアワしてさも知らないふりしてしまったけれど『前』に行ったことあるし。
それよりこの胸の高鳴りはどうにか治めないと。しっかりしろ煉獄朝緋!
火照る体の熱を冷ますように、部屋を急ぎ出た。