二周目 玖
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「伍ノ型改・乱咬みっ!!」
猗窩座を斬り刻むべく刃が迫り、しのぶさんの蜻蛉ノ舞・複眼六角という技のように、鋭く素早く何度も刺突する。
嫌いだ嫌いだ嫌いだ!お前なんか嫌いだ!
憎い鬼は須く死すべし!
死ね!!死ね死ね死ね!!
刺して刺して刺して刺して!
絶対ころすころすころすころす!!
炭治郎に今の私の匂いを嗅いでもらったなら、怒りと殺意の匂いが猛威を奮い、鼻を刺すほどだろう。
心の中には嵐が吹き荒び、雷が轟き、黒い炎が燃え盛っている。
今の私こそが鬼だ。
私の参戦にもう何も言わなくなった杏寿郎さんと共に攻撃に入る。
杏寿郎さんは前から。そして私は後ろや横から、鬼の気を分散させるかのように斬撃を繰り出し続けた。
「小賢しい真似を!女ぁ!貴様の攻撃なぞ効かん!!」
「うおおおおあ!」
「はぁぁああっ!」
殺意マックスでその頸を付け狙う。
怒りで更に研磨された私の技が、杏寿郎さんの強力で豪胆な技が、その頸に届く。
ーーそりゃあ、私の手で殺せるなら殺したい。
猗窩座の頸を討ち取りたい。
けれど殺すのは、私でなくてもいい。
お前が死んでさえくれるならーー。
「壱ノ型・不知火ぃぃぃ!!」
「伍ノ型・炎虎ッッ!!」
挟み討ちにしてやろうと、壱ノ型・不知火で刃を向ける。向こう側から杏寿郎さんも伍ノ型・炎虎で大きく抉るように……斬る!
猗窩座は『破壊殺・乱式』という技で迎え討ってきた。
『今度』は確実に仕留めたと思った。
だが、結果的に押し負けたのはこちらだった。
「ァッ、ガッ!!?」
「ぐぁっ……!く、朝緋ーーーっ!!」
私達の技は打ち消され、気が付けば私は体を地に叩きつけられていた。
杏寿郎さんが私の身を案じる声が、遠のいていく。
徐々に音が聞こえなくなっていく。
「チッ……女には手を出さんつもりが、つい振り払ってしまったではないか。気分が悪い!」
え、何が起きたの?
飛んだ?飛んだよね?体が飛んで、地に落ちて、バウンドして……?
匂いも音も感じない。
耳がよく聞こえないのに、どくどくどく、心臓の鼓動だけがうるさく鳴り響いている。
視界に問題はないけれど、目の焦点がおかしい。世界がブレて見える。
そして燃えるように熱い、痛い。これは何、火傷?いや、火は使っていない。
全身が痛い。……動けない。
視界の端で、猗窩座が私の近くに降り立つのが見えた。
体が地面に張り付いたかのように動かない中、目だけを猗窩座に向ける。
「この匂い、お前稀血か……!
俺は女は食べないが、これはクる」
「はぁっ、……っ朝緋!!逃げろ!!」
鬼が舌なめずりをして私を見ている。
言葉はよく聞こえないけれど、私の稀血に気がついたのかな。結局、稀血を前に屈服するのね。
私はそれを、どこか違う世界の出来事のようにただ見ていた。
ゆらりと近づく猗窩座が、ある一定の距離に近づいた瞬間、嫌悪感を丸出しにして睨んできた。
「ウッ……!藤と混ざって変な匂いだ。臭い!
チッ。二度とこちらに来るなよ、次は殺す!!」
何かを捲し立て、そして猗窩座が私を炭治郎のところまでぶん投げた。あまり触りたくないのか、端っこを掴むようにして。
……また吹っ飛ばされた!
けど、食われずに済んだ。私は鬼に食われるわけにはいかない。
ひどい痛みの中、私を受け止めた炭治郎が悲痛な表情で私を覗き込んでいる。
何かを手に駆けつけた伊之助もそばで焦っている。
炭治郎、何その顔。何を心配しているの?……何を、しているの?
私に呼びかけてる??声が聞こえないよ。
耳鳴りもひどくて音が聞こえないの。
ねえ今どうなってるの?
私に構う暇あったら杏寿郎さんの方へ行って欲しいのに。
杏寿郎さんを助けて。
このままじゃ彼はきっと、奥義である煉獄を放つ。
強力だけど捨て身としか思えない諸刃の剣。
相手の攻撃を受ける隙ができてしまう、玖ノ型・煉獄を。
私が奥義を習得できない理由も多分ここにある。鬼からの攻撃を受けるをよしとしない私の体は、隙を作るわけにいかない。
燃えてないから火傷じゃないのはわかってるし全身打撲かもしれない。ううん、骨が折れている?
ズキズキと全身が痛む中、炭治郎が自らの羽織を破き、私に使っているようだ。
……なぁにその羽織。真っ赤じゃないの。ペンキ塗りたて?
「んぐ、ぅっ……、」
ようやく出た声はただの唸り声だった。
やっとの思いで始めた回復の呼吸。それで痛む箇所を認識してみると、左腕の辺りが特に痛む。
他は全身を強打した痛みだ。それだって体がバラバラになりそうに痛いけれど、これくらいならまだ耐えられ……。
目を横へ向ける。
本来あるべき場所にそれはなかった。
猗窩座を斬り刻むべく刃が迫り、しのぶさんの蜻蛉ノ舞・複眼六角という技のように、鋭く素早く何度も刺突する。
嫌いだ嫌いだ嫌いだ!お前なんか嫌いだ!
憎い鬼は須く死すべし!
死ね!!死ね死ね死ね!!
刺して刺して刺して刺して!
絶対ころすころすころすころす!!
炭治郎に今の私の匂いを嗅いでもらったなら、怒りと殺意の匂いが猛威を奮い、鼻を刺すほどだろう。
心の中には嵐が吹き荒び、雷が轟き、黒い炎が燃え盛っている。
今の私こそが鬼だ。
私の参戦にもう何も言わなくなった杏寿郎さんと共に攻撃に入る。
杏寿郎さんは前から。そして私は後ろや横から、鬼の気を分散させるかのように斬撃を繰り出し続けた。
「小賢しい真似を!女ぁ!貴様の攻撃なぞ効かん!!」
「うおおおおあ!」
「はぁぁああっ!」
殺意マックスでその頸を付け狙う。
怒りで更に研磨された私の技が、杏寿郎さんの強力で豪胆な技が、その頸に届く。
ーーそりゃあ、私の手で殺せるなら殺したい。
猗窩座の頸を討ち取りたい。
けれど殺すのは、私でなくてもいい。
お前が死んでさえくれるならーー。
「壱ノ型・不知火ぃぃぃ!!」
「伍ノ型・炎虎ッッ!!」
挟み討ちにしてやろうと、壱ノ型・不知火で刃を向ける。向こう側から杏寿郎さんも伍ノ型・炎虎で大きく抉るように……斬る!
猗窩座は『破壊殺・乱式』という技で迎え討ってきた。
『今度』は確実に仕留めたと思った。
だが、結果的に押し負けたのはこちらだった。
「ァッ、ガッ!!?」
「ぐぁっ……!く、朝緋ーーーっ!!」
私達の技は打ち消され、気が付けば私は体を地に叩きつけられていた。
杏寿郎さんが私の身を案じる声が、遠のいていく。
徐々に音が聞こえなくなっていく。
「チッ……女には手を出さんつもりが、つい振り払ってしまったではないか。気分が悪い!」
え、何が起きたの?
飛んだ?飛んだよね?体が飛んで、地に落ちて、バウンドして……?
匂いも音も感じない。
耳がよく聞こえないのに、どくどくどく、心臓の鼓動だけがうるさく鳴り響いている。
視界に問題はないけれど、目の焦点がおかしい。世界がブレて見える。
そして燃えるように熱い、痛い。これは何、火傷?いや、火は使っていない。
全身が痛い。……動けない。
視界の端で、猗窩座が私の近くに降り立つのが見えた。
体が地面に張り付いたかのように動かない中、目だけを猗窩座に向ける。
「この匂い、お前稀血か……!
俺は女は食べないが、これはクる」
「はぁっ、……っ朝緋!!逃げろ!!」
鬼が舌なめずりをして私を見ている。
言葉はよく聞こえないけれど、私の稀血に気がついたのかな。結局、稀血を前に屈服するのね。
私はそれを、どこか違う世界の出来事のようにただ見ていた。
ゆらりと近づく猗窩座が、ある一定の距離に近づいた瞬間、嫌悪感を丸出しにして睨んできた。
「ウッ……!藤と混ざって変な匂いだ。臭い!
チッ。二度とこちらに来るなよ、次は殺す!!」
何かを捲し立て、そして猗窩座が私を炭治郎のところまでぶん投げた。あまり触りたくないのか、端っこを掴むようにして。
……また吹っ飛ばされた!
けど、食われずに済んだ。私は鬼に食われるわけにはいかない。
ひどい痛みの中、私を受け止めた炭治郎が悲痛な表情で私を覗き込んでいる。
何かを手に駆けつけた伊之助もそばで焦っている。
炭治郎、何その顔。何を心配しているの?……何を、しているの?
私に呼びかけてる??声が聞こえないよ。
耳鳴りもひどくて音が聞こえないの。
ねえ今どうなってるの?
私に構う暇あったら杏寿郎さんの方へ行って欲しいのに。
杏寿郎さんを助けて。
このままじゃ彼はきっと、奥義である煉獄を放つ。
強力だけど捨て身としか思えない諸刃の剣。
相手の攻撃を受ける隙ができてしまう、玖ノ型・煉獄を。
私が奥義を習得できない理由も多分ここにある。鬼からの攻撃を受けるをよしとしない私の体は、隙を作るわけにいかない。
燃えてないから火傷じゃないのはわかってるし全身打撲かもしれない。ううん、骨が折れている?
ズキズキと全身が痛む中、炭治郎が自らの羽織を破き、私に使っているようだ。
……なぁにその羽織。真っ赤じゃないの。ペンキ塗りたて?
「んぐ、ぅっ……、」
ようやく出た声はただの唸り声だった。
やっとの思いで始めた回復の呼吸。それで痛む箇所を認識してみると、左腕の辺りが特に痛む。
他は全身を強打した痛みだ。それだって体がバラバラになりそうに痛いけれど、これくらいならまだ耐えられ……。
目を横へ向ける。
本来あるべき場所にそれはなかった。