幕間 ノ 参
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覗き見すること四半刻弱。
杏寿郎さんが。あの杏寿郎さんが!
握る得物を、刀からお鍋や包丁に変えている。手拭いを頭に巻いて、隊服から着替えた着物に襷掛けしてやる気満々ーーッ!
真剣な眼差しが向く先は鬼でなく葱だけど、そんな目を向けられている葱が羨ましくなるくらいかっこいいー!素敵!感動!!
なんでこの時代は軽い気持ちでシャッター押せる写真機……スマホがないんだろう!?大正時代?ン〜そっかあ〜!!
ついでに私の存在、いや気配にすら全く気がついてない!それほど真剣に向き合っているのか〜〜〜!!かっこいいのに、可愛いッ!
杏寿郎さんは千寿郎に師事してもらいながら、丁寧に作業をしてい……
る……?
んんんんん??
千寿郎がついて見ているのは、火加減だけだ。火が大きくならないよう、監視するように下をじっと見つめている。
そんなに火を見つめ続けて観篝なのかな!?と思わせるほどに。
それほどまでに杏寿郎さんに火を任せたくないらしい。
……ちょっと千寿郎に火のこと言い過ぎちゃったかな?話は盛っていないけど。
だからか、杏寿郎さんがしてることに全く気がついていない!!
おいおいおい千寿郎貴方杏寿郎さんの料理も監視しないでどーするの。上を見てあげて!?
ジェスチャーで示してみたり、念を送ってみるも、それは杏寿郎さんはおろか千寿郎にも届かなかった。
因みに「寝てろ」って言われてしまいそうなので、厨の中にまで入る気はない。
杏寿郎さんは千寿郎が火加減を監視する上側で、土鍋をドンドコゴトゴト音を立てて中身を沸騰させている。
中に米が入ってるのはわかる。でも水あんまり入ってなくない?蓋もしないの?
変に沸騰して謎の高火力になっているよ!それだと生米のまま半沸えになるよね!!
あと包丁どこいった?さっき握ってたのに、結局使ってないね!
なんで葱を真っ二つに折って土鍋に入れたっ!?葱粥?あ、そーぉ!!切ってくださいっ!!
次にどこから食材取り出したのか、丸鷄と洗っただけのさつまいもがそのまま投入された。
ねえ今からそれ入れるとかありなのっ!また切らないの!?皮は!!
仕上げなのか、鰹節が……削らずドボン!!
ええーーーっ!?
うん、まあ……雑炊のつもりなんだろうけど、あれ私食べるんだよね?杏寿郎さんじゃなくて私の口に入る料理だよね?
死にはしなくてもお腹壊さない?ねえ大丈夫??
めちゃくちゃ不安〜〜!
かぽ。
そうしてしばし煮込んで杏寿郎さんが土鍋の蓋をした。
「よし!出来上がりだ!!」
その声に千寿郎が初めて顔を上げた。
千寿郎、顔あげるの遅い。
黄泉の国への料理が終わったあとだよっ!んもうっ!!
「あ、出来たんですね!」
「ああ!!完璧にできあがった!!」
どの辺が完璧かどうかわからないけれど、杏寿郎さんは自分の料理が完璧に出来上がったと信じて疑わない。
自信たっぷり〜!!
「どんな料理ですか?」
「まあ待て千寿郎。そういうのは朝緋が蓋を開けてのお楽しみだ!」
開けてくれ頼むから。
食べられないとは言わない。
だって杏寿郎さんが他でもない私のために作ってくれたものだものね。
杏寿郎さん、ここで初めて厨の入り口に立つ私の存在に気がついた。
「むっ!朝緋!そんなところで見ていたのか!!」
今の私は家政婦は見たスタイルで顔を半分出している。ちょっとビビられた。
「俺の料理の腕が心配なのはわかるが、何故寝ていない!顔色が真っ青だぞ!?
早く寝なさい!!!!」
「ひゃ、ひゃいっ!!」
大声で叱責を受け、反射的に返事をして自室へ向かうことにする。
顔色悪いのは貴方のせいが大きいんですけどねぇ?
「千寿郎、この料理を朝緋に食べさせてくれるか?それと朝緋が起きてこぬよう見ていなさい」
「え、でも後片付けが……火の元を処理しないと」
「後片付けは俺がしておく。火も消すだけだろう!流石にそれくらいはできる」
「そう、ですね」
最後までちらちらと燻る火の元を確認しながら、千寿郎は私の後に続き料理を運んでくれた。
……私が見ていた杏寿郎さんのトンデモビックリ料理ショーについては、千寿郎に告げ口するのはやめておいた。
杏寿郎さんの曇りなき眼を濁らせたくない。
守りたい、この自尊心。
杏寿郎さんが。あの杏寿郎さんが!
握る得物を、刀からお鍋や包丁に変えている。手拭いを頭に巻いて、隊服から着替えた着物に襷掛けしてやる気満々ーーッ!
真剣な眼差しが向く先は鬼でなく葱だけど、そんな目を向けられている葱が羨ましくなるくらいかっこいいー!素敵!感動!!
なんでこの時代は軽い気持ちでシャッター押せる写真機……スマホがないんだろう!?大正時代?ン〜そっかあ〜!!
ついでに私の存在、いや気配にすら全く気がついてない!それほど真剣に向き合っているのか〜〜〜!!かっこいいのに、可愛いッ!
杏寿郎さんは千寿郎に師事してもらいながら、丁寧に作業をしてい……
る……?
んんんんん??
千寿郎がついて見ているのは、火加減だけだ。火が大きくならないよう、監視するように下をじっと見つめている。
そんなに火を見つめ続けて観篝なのかな!?と思わせるほどに。
それほどまでに杏寿郎さんに火を任せたくないらしい。
……ちょっと千寿郎に火のこと言い過ぎちゃったかな?話は盛っていないけど。
だからか、杏寿郎さんがしてることに全く気がついていない!!
おいおいおい千寿郎貴方杏寿郎さんの料理も監視しないでどーするの。上を見てあげて!?
ジェスチャーで示してみたり、念を送ってみるも、それは杏寿郎さんはおろか千寿郎にも届かなかった。
因みに「寝てろ」って言われてしまいそうなので、厨の中にまで入る気はない。
杏寿郎さんは千寿郎が火加減を監視する上側で、土鍋をドンドコゴトゴト音を立てて中身を沸騰させている。
中に米が入ってるのはわかる。でも水あんまり入ってなくない?蓋もしないの?
変に沸騰して謎の高火力になっているよ!それだと生米のまま半沸えになるよね!!
あと包丁どこいった?さっき握ってたのに、結局使ってないね!
なんで葱を真っ二つに折って土鍋に入れたっ!?葱粥?あ、そーぉ!!切ってくださいっ!!
次にどこから食材取り出したのか、丸鷄と洗っただけのさつまいもがそのまま投入された。
ねえ今からそれ入れるとかありなのっ!また切らないの!?皮は!!
仕上げなのか、鰹節が……削らずドボン!!
ええーーーっ!?
うん、まあ……雑炊のつもりなんだろうけど、あれ私食べるんだよね?杏寿郎さんじゃなくて私の口に入る料理だよね?
死にはしなくてもお腹壊さない?ねえ大丈夫??
めちゃくちゃ不安〜〜!
かぽ。
そうしてしばし煮込んで杏寿郎さんが土鍋の蓋をした。
「よし!出来上がりだ!!」
その声に千寿郎が初めて顔を上げた。
千寿郎、顔あげるの遅い。
黄泉の国への料理が終わったあとだよっ!んもうっ!!
「あ、出来たんですね!」
「ああ!!完璧にできあがった!!」
どの辺が完璧かどうかわからないけれど、杏寿郎さんは自分の料理が完璧に出来上がったと信じて疑わない。
自信たっぷり〜!!
「どんな料理ですか?」
「まあ待て千寿郎。そういうのは朝緋が蓋を開けてのお楽しみだ!」
開けてくれ頼むから。
食べられないとは言わない。
だって杏寿郎さんが他でもない私のために作ってくれたものだものね。
杏寿郎さん、ここで初めて厨の入り口に立つ私の存在に気がついた。
「むっ!朝緋!そんなところで見ていたのか!!」
今の私は家政婦は見たスタイルで顔を半分出している。ちょっとビビられた。
「俺の料理の腕が心配なのはわかるが、何故寝ていない!顔色が真っ青だぞ!?
早く寝なさい!!!!」
「ひゃ、ひゃいっ!!」
大声で叱責を受け、反射的に返事をして自室へ向かうことにする。
顔色悪いのは貴方のせいが大きいんですけどねぇ?
「千寿郎、この料理を朝緋に食べさせてくれるか?それと朝緋が起きてこぬよう見ていなさい」
「え、でも後片付けが……火の元を処理しないと」
「後片付けは俺がしておく。火も消すだけだろう!流石にそれくらいはできる」
「そう、ですね」
最後までちらちらと燻る火の元を確認しながら、千寿郎は私の後に続き料理を運んでくれた。
……私が見ていた杏寿郎さんのトンデモビックリ料理ショーについては、千寿郎に告げ口するのはやめておいた。
杏寿郎さんの曇りなき眼を濁らせたくない。
守りたい、この自尊心。