二周目 玖
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私達を囲み込むようにして、肉が盛り上がり、無数の腕を生やして迫り来る。
うわああこのままだと押しつぶされて包み込まれて……そして喰われるっ!!
斬り落としながら上へと飛び上がり、私達は一旦退避するしかなかった。
「埒があかないね……今まで戦っていた貴方達はどうみる!
作戦は何かあったの!?」
作戦の有無を確認すれば炭治郎と伊之助の両名は、背筋をシャンと伸ばして答えてきた。
上官ほどではなくも、階級も強さも上の私に敬意と畏れをもっているようだったけど……。
んー。別に敬意も畏れも必要ないんだけどなあ。
「はいっ!伊之助と呼吸を合わせて鬼の頸を絶つ作戦です!
どちらか一方が肉壁を削ぎ、どちらか一方が巨大な頸を斬り落とす!!」
「なるほど!素晴らしい作戦だね!」
「ただすごく硬くて!肉が二重になっているのか、斬る度肉壁もより分厚くなってきているんです!!」
「周りのぶっとい腕みたいなモンも多すぎて集中できねぇ!!」
肉が二重……?
筋肉層と脂肪層みたいなものだろうか??普通は外側に脂肪層がついてるけども。
「わかった、触腕と外側の分厚くて硬い肉壁は任せて!
どちらかは肉の薄くなったところを、もう一方で頸を!君たちに任せた!!」
「はいっ!首を取ってみせます!!
伊之助、連撃行くぞ!!」
「おうよ!」
鬼の肉塊がうじゃうじゃ蠢く縁に降り立ち、頸の埋まる中央を見据える。
呼吸を整えた私が飛び上がった瞬間、鬼の触腕がこれまで以上の太さ、強度で迫ってきた。
恐怖はない。こんなもの、捕まらなければどうということはない。
私を追うように炭治郎達も飛び上がるのが見えた。
安心して後を任せられる下の子達なんて、今までいなかった。
心強い。自分の炎にもより熱がこもるというものだ。
「炎の呼吸、肆ノ型・盛炎のうねり!伍ノ型・炎虎改・乱咬み!!」
周りでは鬼の巨大な目が無数に開いたようだ。でも悪いね、そんなもの見ている余裕ない。
私が見るのは、鬼の頸付近だけ。
周りなど一切見ずに感覚だけで剣技を振るい、鬼の肉塊と触腕を一掃する。
あったッ!真下だ!!
だが、そこに鬼の目がついた触腕が飛び込もうとしていた。
あれは見てはいけない類の血鬼術だ。
なぜだかそう思え、咄嗟に目を瞑る。
大丈夫、斬るべき場所ならわかっている!真下に振り下ろせば問題なしっ!!
『こいつ、目を閉じたままっ!?』
鬼の声が響く。
なんだかよくわからないけれど血鬼術が効かなくて残念ね?
「炎の呼吸、壱ノ型・不知火ッ!!」
目玉が出現したその触腕を見もせずに斬り伏せる。
斬り裂かれたそれが、燃え尽きるように消える気配がする。
「ーー参ノ型ッ!気炎、万象ッ!!」
そのまま流れるように刃を振り下ろす。
日輪刀の一閃が、硬い肉壁をごっそりと抉り裂いた。
「薄くなったわ!!二人とも!今よ行って!!」
「おうよ!!ーー獣の呼吸、肆の牙・切り細裂き!!」
伊之助の斬撃の一振りも合わさって、とうとう鬼の肉が全て削がれた。
その下から鬼の頸、それも巨大な首の骨が目の前に晒される。
太っ!でっか!!
がしゃどくろもびっくりだね!?
内心ビビっていると、追従していた炭治郎の呼吸の音が変わったのを聞いた。
水ではない、炎の呼吸によく似た、その呼吸。
炭治郎の刃がスッと鬼の頸へと振り下ろされる!
「ヒノカミ神楽……碧羅の天!!」
これが、ヒノカミ神楽……!
初めて目にするそれは、たしかに神楽舞だった。記憶の底。どこかで見たことがある気がするその舞。
舞を舞うような、それでいて円環を描くような剣技がそこにあった。
美しい太陽のような火が天に放たれると、鬼の頸の骨は斬られ……ううん、粉砕するレベルで吹っ飛んだ。
……威力すごいな?
威力もだが、衝撃がまた凄すぎる。
大地震でも来たかのように衝撃で列車が揺れ、今度こそ鬼の断末魔が響いた。
『ギィエエエエエエエーーーッ!!』
最後の抵抗たる鬼の触腕が、無数に伸ばされる。
避けていると、列車の奥から鬼が起こしているものとは別の揺れが轟いた。
これは杏寿郎さんの技だ!!
技の連発音。
のち、鬼の肉が一旦大きく膨れ上がりそしてボロボロ剥がれ落ちていく。
大きく跳ね飛ぶ車体に、脱線を覚悟した。
線路を胴体が滑る音。摩擦で発生する火花。
焦げるような匂い。
衝撃で飛び上がる体。
視界の端に車体から飛び出した炭治郎と伊之助の姿が映る。
「炭治郎!伊之助っ!」
「朝緋さん!俺達はいいから運転手を!!」
「……ッわかった!」
お腹を怪我した炭治郎が特に心配だが、その言葉に視界を回転させ、見つけたその人を抱えて着地に備えた。
鬼殺隊士ならば、乗客、運転士……ここにいる一般人は全て守らねばならない。
たとえ自分が怪我を負っても。……その結果、杏寿郎さんを守れなくなろうとも。
ドシャッ!ゴロゴロゴロ……!
地面に落ちて転がる私。
「ぅあいたたァ……」
受け身は取れたけれど、人を抱えてだと多少の負傷はどうしたって免れない。
打った背中……めちゃくちゃいったぁぁい〜!
でもよかった、この人は無傷だ。
運転士の無事を確認して、私は呼吸を高めて立ち上がる。
すぅはぁ。痛みを軽減する回復の呼吸。これは本当に便利だ。
多少の痛みは消せるし、怪我してもまた動くことも可能だ。あとで反動はくるから無理したらしのぶさんあたりにシュッシュッ!ってされるけど。
……炭治郎や伊之助はどうなっただろう?
善逸と禰󠄀豆子ちゃんは?他の乗客は?
そして杏寿郎さんは……?
全員が心配だけれど、この後『前回」と同じように奴が来るというなら、私は杏寿郎さんの近くにいたい。
あいつの頸を取りたい。
こちらの頭であり私の命ともいうべき人を取られるその前に。
うわああこのままだと押しつぶされて包み込まれて……そして喰われるっ!!
斬り落としながら上へと飛び上がり、私達は一旦退避するしかなかった。
「埒があかないね……今まで戦っていた貴方達はどうみる!
作戦は何かあったの!?」
作戦の有無を確認すれば炭治郎と伊之助の両名は、背筋をシャンと伸ばして答えてきた。
上官ほどではなくも、階級も強さも上の私に敬意と畏れをもっているようだったけど……。
んー。別に敬意も畏れも必要ないんだけどなあ。
「はいっ!伊之助と呼吸を合わせて鬼の頸を絶つ作戦です!
どちらか一方が肉壁を削ぎ、どちらか一方が巨大な頸を斬り落とす!!」
「なるほど!素晴らしい作戦だね!」
「ただすごく硬くて!肉が二重になっているのか、斬る度肉壁もより分厚くなってきているんです!!」
「周りのぶっとい腕みたいなモンも多すぎて集中できねぇ!!」
肉が二重……?
筋肉層と脂肪層みたいなものだろうか??普通は外側に脂肪層がついてるけども。
「わかった、触腕と外側の分厚くて硬い肉壁は任せて!
どちらかは肉の薄くなったところを、もう一方で頸を!君たちに任せた!!」
「はいっ!首を取ってみせます!!
伊之助、連撃行くぞ!!」
「おうよ!」
鬼の肉塊がうじゃうじゃ蠢く縁に降り立ち、頸の埋まる中央を見据える。
呼吸を整えた私が飛び上がった瞬間、鬼の触腕がこれまで以上の太さ、強度で迫ってきた。
恐怖はない。こんなもの、捕まらなければどうということはない。
私を追うように炭治郎達も飛び上がるのが見えた。
安心して後を任せられる下の子達なんて、今までいなかった。
心強い。自分の炎にもより熱がこもるというものだ。
「炎の呼吸、肆ノ型・盛炎のうねり!伍ノ型・炎虎改・乱咬み!!」
周りでは鬼の巨大な目が無数に開いたようだ。でも悪いね、そんなもの見ている余裕ない。
私が見るのは、鬼の頸付近だけ。
周りなど一切見ずに感覚だけで剣技を振るい、鬼の肉塊と触腕を一掃する。
あったッ!真下だ!!
だが、そこに鬼の目がついた触腕が飛び込もうとしていた。
あれは見てはいけない類の血鬼術だ。
なぜだかそう思え、咄嗟に目を瞑る。
大丈夫、斬るべき場所ならわかっている!真下に振り下ろせば問題なしっ!!
『こいつ、目を閉じたままっ!?』
鬼の声が響く。
なんだかよくわからないけれど血鬼術が効かなくて残念ね?
「炎の呼吸、壱ノ型・不知火ッ!!」
目玉が出現したその触腕を見もせずに斬り伏せる。
斬り裂かれたそれが、燃え尽きるように消える気配がする。
「ーー参ノ型ッ!気炎、万象ッ!!」
そのまま流れるように刃を振り下ろす。
日輪刀の一閃が、硬い肉壁をごっそりと抉り裂いた。
「薄くなったわ!!二人とも!今よ行って!!」
「おうよ!!ーー獣の呼吸、肆の牙・切り細裂き!!」
伊之助の斬撃の一振りも合わさって、とうとう鬼の肉が全て削がれた。
その下から鬼の頸、それも巨大な首の骨が目の前に晒される。
太っ!でっか!!
がしゃどくろもびっくりだね!?
内心ビビっていると、追従していた炭治郎の呼吸の音が変わったのを聞いた。
水ではない、炎の呼吸によく似た、その呼吸。
炭治郎の刃がスッと鬼の頸へと振り下ろされる!
「ヒノカミ神楽……碧羅の天!!」
これが、ヒノカミ神楽……!
初めて目にするそれは、たしかに神楽舞だった。記憶の底。どこかで見たことがある気がするその舞。
舞を舞うような、それでいて円環を描くような剣技がそこにあった。
美しい太陽のような火が天に放たれると、鬼の頸の骨は斬られ……ううん、粉砕するレベルで吹っ飛んだ。
……威力すごいな?
威力もだが、衝撃がまた凄すぎる。
大地震でも来たかのように衝撃で列車が揺れ、今度こそ鬼の断末魔が響いた。
『ギィエエエエエエエーーーッ!!』
最後の抵抗たる鬼の触腕が、無数に伸ばされる。
避けていると、列車の奥から鬼が起こしているものとは別の揺れが轟いた。
これは杏寿郎さんの技だ!!
技の連発音。
のち、鬼の肉が一旦大きく膨れ上がりそしてボロボロ剥がれ落ちていく。
大きく跳ね飛ぶ車体に、脱線を覚悟した。
線路を胴体が滑る音。摩擦で発生する火花。
焦げるような匂い。
衝撃で飛び上がる体。
視界の端に車体から飛び出した炭治郎と伊之助の姿が映る。
「炭治郎!伊之助っ!」
「朝緋さん!俺達はいいから運転手を!!」
「……ッわかった!」
お腹を怪我した炭治郎が特に心配だが、その言葉に視界を回転させ、見つけたその人を抱えて着地に備えた。
鬼殺隊士ならば、乗客、運転士……ここにいる一般人は全て守らねばならない。
たとえ自分が怪我を負っても。……その結果、杏寿郎さんを守れなくなろうとも。
ドシャッ!ゴロゴロゴロ……!
地面に落ちて転がる私。
「ぅあいたたァ……」
受け身は取れたけれど、人を抱えてだと多少の負傷はどうしたって免れない。
打った背中……めちゃくちゃいったぁぁい〜!
でもよかった、この人は無傷だ。
運転士の無事を確認して、私は呼吸を高めて立ち上がる。
すぅはぁ。痛みを軽減する回復の呼吸。これは本当に便利だ。
多少の痛みは消せるし、怪我してもまた動くことも可能だ。あとで反動はくるから無理したらしのぶさんあたりにシュッシュッ!ってされるけど。
……炭治郎や伊之助はどうなっただろう?
善逸と禰󠄀豆子ちゃんは?他の乗客は?
そして杏寿郎さんは……?
全員が心配だけれど、この後『前回」と同じように奴が来るというなら、私は杏寿郎さんの近くにいたい。
あいつの頸を取りたい。
こちらの頭であり私の命ともいうべき人を取られるその前に。