二周目 玖
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ガンガン!と叩き斬るような音が響き、列車の天井に穴が空いたようだ。列車から顔を覗かせ見上げれば、飛び出したのは伊之助その人だ。
「あっほら伊之助起きたよっ!」
「本当だ!?」
猪突猛進!とお決まりの雄叫びをあげながら、そのまま自身が開けた穴から降りてきた伊之助が、私達を視認したかこちらの車両に飛び込んでくる。
「オイオイこりゃ一体なんだってんだ紋次郎!まだら!!」
眠っていて起きてみたらこの状況じゃ驚くのも無理はない。
炭治郎がわかりやすく伊之助に、この汽車全体が鬼だ!人間を守れ!と全力で教えている。
やはり読み通りって……伊之助はこの無限列車が鬼化するのを知っていたのだろうか?
だとしたらすごい。
嗅覚の炭治郎、音で感情が読み取れるような素振りをしていたから聴覚?の善逸、そして感覚の鋭い伊之助ということか。
それぞれ五感が優れているようで、鬼殺隊の未来も明るく感じる。
話ぶりからはそうは見えづらいが、元来頭の良い子なのだろう。スポンジが水を吸うように知識は吸収するみたいだし。
今回の炭治郎の言葉も瞬時に理解した伊之助は、双刀を振るい広範囲を薙ぎ払った。
「獣の呼吸、伍ノ牙・狂い裂き!」
おー!なかなかやるじゃないの。
暴れているかのような太刀捌きだが、乗客はおろか列車の壁や座席にも傷一つついていない。
その攻撃はどこか風の呼吸に近く感じる。
ちょっと物言いに問題は残るけれど、自分に自信があるのはいいことだ。
言葉で自分自身を鼓舞し、もっともっと成長することができる。この子は強くなる。
その時、列車が太った。表現が変?だって太ったようにしか見えなかったんだもの。
「う、わ……なんだっ!?」
「広くなりやがったが肉も増えたぞ!!」
それは人間をより食べやすくするための顎 を開けるが如くで、鬼の肉で覆われ形すら変わってしまった。
きっと外から見たらばっちぃ列車になっているんだろうな……。
令和の人間から見たら、無限列車……SLの車体なんて、レトロ〜で素敵な物だというになんてこった。
で、この状況でも杏寿郎さんは起きていないって非常にまずい。
そして私も道草を食いすぎている。
こうしてはいられない……!
「じゃあ宜しくッ!百数え方始めっ!」
「ええええ!ひゃ、百、九十九!」
私は炭治郎と伊之助に任せ、その場を後にした。
途中、善逸と共に鬼の肉を斬り刻む禰󠄀豆子ちゃんの姿があった。
少し成長した姿で若干鬼らしくなっているが、『前』同様に味方だ。人間を守り、鬼を滅するために爪を振るう姿に頼もしさを覚える。
善逸もまた、眠ったまま刀をひっきりなしに振るい続けている。技は壱ノ型しかなくとも、その速度と回数は凄まじい。
それにしても斬っても斬ってもキリがない。
杏寿郎さんが眠りに落ちているであろう車両へ入れば、こちらも不自然に肉の削がれた箇所がありその中央ですやすやと寝息を立てていた。
他の乗客も眠っている。
私が藤の香りの袋を渡した人達は、さらに後方の車両に逃げ込んだのだろう。見当たらなかった。
あら、杏寿郎さんたら、眠っているのに日輪刀が手の中にあるわ。
この人もまた、その生存本能と危機回避能力の高さゆえ、善逸のように眠ったまま刀を振るっていたというのか。
さすがです杏寿郎さん!そして寝顔が素敵!
でも……。
「まだ起きてないんかいっ!!
師範起きてーー!!このままじゃみんな蚯蚓に食べられちゃうよ!!もーーーー!!」
上官相手にすることじゃないけれど非常時だ。ガックンガックンと揺り動かしながら、頬を数回叩く。
ぺちぺち?そんな生やさしい物ではない。スパパパーン!往復ビンタだ。
痛いのは一瞬だけで、多分この程度だとすぐ回復するし気付け薬にしかならない。柱って羨ましいね。
「杏寿郎さんっ!ってばぁ!勝手に口付けしちゃうよーーー!?」
「ぜひしてもらおうっ」
「わっ」
カッと開いた双眸。太陽に似た金環と目があって私は顔を後ろに逸らそうとして、出来なかった。
至近距離だったことが災いし、そのまま強く抱きしめられ気がつけば重なる唇。
「んっ、んん〜〜〜っ!?」
重なるどころじゃない!
驚いて口を開けた一瞬で舌まで滑り込ませてきて、思い切り舌を吸われる。
ディープは!さすがにやめようか!?
あああこんな時でも腰が砕けて蕩けそうになる〜〜!
「んぁっ、はっ……ァ…………っちょ、こんなことしてるっ!状況じゃっ!ないーーーっ!!」
「だが君の口付けで目覚めるのは俺だけの特権だ!!」
貴方だけの特権なのはわかってるけどそれ白雪姫だよ杏寿郎さん。私こんなに屈強な白雪姫なんて知らないわ。
大体してもらおう!じゃなくって、これだと私がされている側なのに気がついて。
そして頼むから!がっつかないで!!私の舌を追わないで〜〜〜!!
再び唇に吸い付かれた。執拗に追われ、性急に絡められる熱い舌に思考まで溶かされておかしくなりそう。鬼の血鬼術なんかより厄介だ。
は、苦し……、鼻だけでは全集中の呼吸すらままならないのに、杏寿郎さんは止まってくれない。
「んんん゛ーーっ」
鬼殺隊の要である全集中の呼吸がぷつり、途切れさせられた。
呼吸が途切れたことで、普段鬼殺の際に止めている各所の痛みや疲労がじわりと戻ってくる。
じわじわ迫る痛みと、じっくり攻めたててくる快感の狭間はおかしいくらい気持ちよくて……。
ああそんな……キスだけで私、気をやってしまいそう。
「ふ、ぅん……はっ、ぁ…………、」
「……ん、ンン、ふ、……」
その瞳で射抜かれると、この強い雄のモノになりたい、強い雄の子を産みたいと、下腹部のあたりが疼いてたまらない。
従属させられる。この強い雄を前に屈してしまう。
身悶えするほどの狂おしさと愛おしさ。
触って欲しい。貴方が欲しい。唇だけじゃ足りない。いっぱいいっぱい欲しい。
でも、でもでもでも!
情欲と責務の間で揺れる感情。そして腰までもがゆるりと揺れ動く。
鬼殺の任務はいつも命懸け。だから確かに、死に直面した者が子孫を残そうとして欲求が高まるのはよーーくわかる。任務の後に、そういうことをしたくなる。気が昂るのもわかっている。
他の隊士達の中にも任務の後に恋仲に発展している者が多いと聞く。……ま、女性隊士は男性隊士より圧倒的に少ないから、その恋愛の形はさまざまだけれども。
それに、私の初めても杏寿郎さんが任務から帰った後だった。
「あっほら伊之助起きたよっ!」
「本当だ!?」
猪突猛進!とお決まりの雄叫びをあげながら、そのまま自身が開けた穴から降りてきた伊之助が、私達を視認したかこちらの車両に飛び込んでくる。
「オイオイこりゃ一体なんだってんだ紋次郎!まだら!!」
眠っていて起きてみたらこの状況じゃ驚くのも無理はない。
炭治郎がわかりやすく伊之助に、この汽車全体が鬼だ!人間を守れ!と全力で教えている。
やはり読み通りって……伊之助はこの無限列車が鬼化するのを知っていたのだろうか?
だとしたらすごい。
嗅覚の炭治郎、音で感情が読み取れるような素振りをしていたから聴覚?の善逸、そして感覚の鋭い伊之助ということか。
それぞれ五感が優れているようで、鬼殺隊の未来も明るく感じる。
話ぶりからはそうは見えづらいが、元来頭の良い子なのだろう。スポンジが水を吸うように知識は吸収するみたいだし。
今回の炭治郎の言葉も瞬時に理解した伊之助は、双刀を振るい広範囲を薙ぎ払った。
「獣の呼吸、伍ノ牙・狂い裂き!」
おー!なかなかやるじゃないの。
暴れているかのような太刀捌きだが、乗客はおろか列車の壁や座席にも傷一つついていない。
その攻撃はどこか風の呼吸に近く感じる。
ちょっと物言いに問題は残るけれど、自分に自信があるのはいいことだ。
言葉で自分自身を鼓舞し、もっともっと成長することができる。この子は強くなる。
その時、列車が太った。表現が変?だって太ったようにしか見えなかったんだもの。
「う、わ……なんだっ!?」
「広くなりやがったが肉も増えたぞ!!」
それは人間をより食べやすくするための
きっと外から見たらばっちぃ列車になっているんだろうな……。
令和の人間から見たら、無限列車……SLの車体なんて、レトロ〜で素敵な物だというになんてこった。
で、この状況でも杏寿郎さんは起きていないって非常にまずい。
そして私も道草を食いすぎている。
こうしてはいられない……!
「じゃあ宜しくッ!百数え方始めっ!」
「ええええ!ひゃ、百、九十九!」
私は炭治郎と伊之助に任せ、その場を後にした。
途中、善逸と共に鬼の肉を斬り刻む禰󠄀豆子ちゃんの姿があった。
少し成長した姿で若干鬼らしくなっているが、『前』同様に味方だ。人間を守り、鬼を滅するために爪を振るう姿に頼もしさを覚える。
善逸もまた、眠ったまま刀をひっきりなしに振るい続けている。技は壱ノ型しかなくとも、その速度と回数は凄まじい。
それにしても斬っても斬ってもキリがない。
杏寿郎さんが眠りに落ちているであろう車両へ入れば、こちらも不自然に肉の削がれた箇所がありその中央ですやすやと寝息を立てていた。
他の乗客も眠っている。
私が藤の香りの袋を渡した人達は、さらに後方の車両に逃げ込んだのだろう。見当たらなかった。
あら、杏寿郎さんたら、眠っているのに日輪刀が手の中にあるわ。
この人もまた、その生存本能と危機回避能力の高さゆえ、善逸のように眠ったまま刀を振るっていたというのか。
さすがです杏寿郎さん!そして寝顔が素敵!
でも……。
「まだ起きてないんかいっ!!
師範起きてーー!!このままじゃみんな蚯蚓に食べられちゃうよ!!もーーーー!!」
上官相手にすることじゃないけれど非常時だ。ガックンガックンと揺り動かしながら、頬を数回叩く。
ぺちぺち?そんな生やさしい物ではない。スパパパーン!往復ビンタだ。
痛いのは一瞬だけで、多分この程度だとすぐ回復するし気付け薬にしかならない。柱って羨ましいね。
「杏寿郎さんっ!ってばぁ!勝手に口付けしちゃうよーーー!?」
「ぜひしてもらおうっ」
「わっ」
カッと開いた双眸。太陽に似た金環と目があって私は顔を後ろに逸らそうとして、出来なかった。
至近距離だったことが災いし、そのまま強く抱きしめられ気がつけば重なる唇。
「んっ、んん〜〜〜っ!?」
重なるどころじゃない!
驚いて口を開けた一瞬で舌まで滑り込ませてきて、思い切り舌を吸われる。
ディープは!さすがにやめようか!?
あああこんな時でも腰が砕けて蕩けそうになる〜〜!
「んぁっ、はっ……ァ…………っちょ、こんなことしてるっ!状況じゃっ!ないーーーっ!!」
「だが君の口付けで目覚めるのは俺だけの特権だ!!」
貴方だけの特権なのはわかってるけどそれ白雪姫だよ杏寿郎さん。私こんなに屈強な白雪姫なんて知らないわ。
大体してもらおう!じゃなくって、これだと私がされている側なのに気がついて。
そして頼むから!がっつかないで!!私の舌を追わないで〜〜〜!!
再び唇に吸い付かれた。執拗に追われ、性急に絡められる熱い舌に思考まで溶かされておかしくなりそう。鬼の血鬼術なんかより厄介だ。
は、苦し……、鼻だけでは全集中の呼吸すらままならないのに、杏寿郎さんは止まってくれない。
「んんん゛ーーっ」
鬼殺隊の要である全集中の呼吸がぷつり、途切れさせられた。
呼吸が途切れたことで、普段鬼殺の際に止めている各所の痛みや疲労がじわりと戻ってくる。
じわじわ迫る痛みと、じっくり攻めたててくる快感の狭間はおかしいくらい気持ちよくて……。
ああそんな……キスだけで私、気をやってしまいそう。
「ふ、ぅん……はっ、ぁ…………、」
「……ん、ンン、ふ、……」
その瞳で射抜かれると、この強い雄のモノになりたい、強い雄の子を産みたいと、下腹部のあたりが疼いてたまらない。
従属させられる。この強い雄を前に屈してしまう。
身悶えするほどの狂おしさと愛おしさ。
触って欲しい。貴方が欲しい。唇だけじゃ足りない。いっぱいいっぱい欲しい。
でも、でもでもでも!
情欲と責務の間で揺れる感情。そして腰までもがゆるりと揺れ動く。
鬼殺の任務はいつも命懸け。だから確かに、死に直面した者が子孫を残そうとして欲求が高まるのはよーーくわかる。任務の後に、そういうことをしたくなる。気が昂るのもわかっている。
他の隊士達の中にも任務の後に恋仲に発展している者が多いと聞く。……ま、女性隊士は男性隊士より圧倒的に少ないから、その恋愛の形はさまざまだけれども。
それに、私の初めても杏寿郎さんが任務から帰った後だった。