二周目 捌
名前変換
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稀血であることも『以前』同様、炭治郎の口から周りに知られてしまった。
他の人達には内緒だからね?と指を炭治郎の口元に近づけて言えば、炭治郎は顔を赤くしてこくこくと頷いた。
……問題はここから。
「ヒィッ炭治郎ッ!煉獄さんから怖い音してるからそれ以上朝緋さんに近くなっちゃ駄目だ!!」
「本当だ!チリチリ焦げ付いた匂いしている!!」
私またやらかしたかも。
チリチリ焦げ付いた匂い。
杏寿郎さん本来の匂いは、おひさまのようにぽかぽかと温かくて、それでいてこの人に守ってもらえたら安心できるな、そう思わせる男性の香りがする。
私だって馬鹿じゃない。炭治郎が言っているその匂いの意味もさすがにもうわかる。
愛情という甘い蜜を煮込んで煮込んでどろどろにして。嫉妬でできた強い火をつけ続けて焦がした、杏寿郎さんの悋気の匂いだ。
杏寿郎さん、このレベルもアウトなのね。
こんなんじゃ私、男性隊士と仲良くできないじゃん!
「師範……狭量が過ぎますよ?」
「はっはっはっ!君の事だからな!」
ウッ目が笑ってない。
まあ、『前』と違って私の体臭の話が出なかっただけよしとしようかな。物事は良い方に考えなくちゃ。
そうして杏寿郎さんは炭治郎を自分の席の近くへと呼び、話をする事になった。
私は席をどかなかった。初めから杏寿郎さんのお向かいのままである。
移動しようとしてもどうせ戻されるんだものね?私知ってるー。
それと『前』は言っても無駄だったので、列車内ではお静かに!なんてこと言わない。うまい!の言葉もそうだけど、炭治郎との会話の中でどんどんうるさくなるのも目に見えている。同じように、伊之助達がうるさくするのもね。
ただ、なるべくおとなしくね?と、自分のおむすびを次々渡しながら善逸と伊之助は注意しておいた。
このためにちょっと多めに買ったんだもの。
「炭治ろ、……竈門くんもよかったらどうぞ」
「ありがとうございます。俺の事は炭治郎でいいですよ」
炭治郎におむすびを渡せば、名前で呼んで良いとにこにこしながら返された。
「あっ!俺も善逸でいいでーす!」
「まだら!俺の事も特別に名前で呼ぶ事を許してやろう!!」
他の子の名前呼びもゲッツ!は、ともかくとしてまた伊之助からは、まだら呼び……。
この時代にメッシュとかグラデーションの概念はないから仕方ないけれど、まだら……なんだかなぁ。
自分を納得させるべくもやもやした気持ちごと、おむすびを一口喉の奥へ流し込む。
ふむふむ、唾液が出てくるこの香りは梅干しだね?酸っぱくてしょっぱーい梅干しまでもう少しだ。
「朝緋、俺の分はないのか?」
「え、だって師範、さっきあれだけお弁当食べて……」
「ないのなら仕方ない。これをもらおう!」
言うが早いか、私の手にあったおむすびが杏寿郎さんの口の中に。
「んなっ!?」
「れ、煉獄さん!?」
「ふーむ。うまいな……」
おむすび?いいえ、指までもが口に含まれ食べられた!しかもその舌先は、私の指先を往復するようにじっくり舐め回していった。
ついでにいうと、楽しみにしていた梅干しまでもとられた!!
ああああああ゛目の前に炭治郎がいるのにッ!なんて恥ずかしいっ!!ほら炭治郎も赤くなってるー!!
ぷるぷる震えながらも、爆発しそうな感情をグッと堪えた私はえらいと思う。
キレそうになりながら私はまた外の景色を見るために視線を外した。杏寿郎さんからの熱ぅい視線は、なおも送られたままだった……。
だって、外を見るくらいしかできないじゃない?『前』は列車の中で鬼の注意を逸らすためにと、文庫本を持ってきていたけれど、今回はそんなもの初めから持ってきていないんだもの。
そんな暇あったら早く鬼の頸を斬りたい。可能なら斬れ味抜群にするため、ここでジャコジャコ刃を研ぎ出したいくらいだ。
頸を洗って待ってろ上弦の参んんんん〜!お前の頸取ってやるぅ〜〜!!
炭治郎が杏寿郎さんにヒノカミ神楽というものについて聞いている。
けど、だが知らん!と返されて終わってしまった。うう〜ん、相っ変わらず結論出すの早い。もーちょっとよく考えてあげれば良いのに。
ただし、継子に迎えるのは賛成。炭治郎は鍛え甲斐がありそうなのよね!
……それにしてもヒノカミ神楽、か。
その言葉について私は詳しく知らない。だけれどそれが、煉獄家で日の呼吸と間違えられていたことは確かだ。いや、日の呼吸がヒノカミ神楽なのかもしれないけれど。
あー、もうちょっとちゃんと槇寿朗さんに聞いておけばよかった。日の呼吸ってなぁに?って。
ただ、お酒で酩酊している槇寿朗さんから聞くのはかなーり難しい。槇寿朗さんに日の呼吸はタブーだし、炎の呼吸が日の呼吸から派生してるらしいと聞いたけど相当ショックだったみたいだもの。
せめて槇寿朗さんがあの書を読む前。私が幼い時にでもこの単語を思い出していればなぁ。はあ……。
その後、滞りなく呼吸の話や刀の話も『前』同様に杏寿郎さんが説明したみたいだ。再び継子に誘っている。私以外育たなかったから寂しいのかもしれない。
それにしたって、杏寿郎さんたらほんと名前覚えるの苦手なんだから。継子にしたい子の名前くらい覚えて!?
「師範、この子は溝口炭治郎じゃなくて、竈門炭治郎よ」
「よもやっ!?」
その声も『前』と同じだね。思わず笑みがこぼれる。
「ねえ炭治郎、この任務が終わって私達のお休みになったらそこの二人を誘って炎柱邸へおいで。皆で打ち稽古しよう?
黒刀だろうが虹色の刀だろうが、柱を目指すなら鍛錬あるのみだよ」
「は、はいっ!ありがとうございますっ」
強くしてもらえると聞き、彼は嬉しそうだ。
この提案ばっかりは杏寿郎さんからも嫉妬の気配はしてこなかった。
変な突っ込みは入ったけど。
「朝緋、虹色の刀なぞ存在しないだろう」
「例え話ですぅー」
それと、私対全員という話はここでも出た。
結局、杏寿郎さんは私ばかりを重点的に鍛えたがる。それはもう、潰す気かと思うほどスパルタで……。
これまで何本骨を折っただろうか。
他の人達には内緒だからね?と指を炭治郎の口元に近づけて言えば、炭治郎は顔を赤くしてこくこくと頷いた。
……問題はここから。
「ヒィッ炭治郎ッ!煉獄さんから怖い音してるからそれ以上朝緋さんに近くなっちゃ駄目だ!!」
「本当だ!チリチリ焦げ付いた匂いしている!!」
私またやらかしたかも。
チリチリ焦げ付いた匂い。
杏寿郎さん本来の匂いは、おひさまのようにぽかぽかと温かくて、それでいてこの人に守ってもらえたら安心できるな、そう思わせる男性の香りがする。
私だって馬鹿じゃない。炭治郎が言っているその匂いの意味もさすがにもうわかる。
愛情という甘い蜜を煮込んで煮込んでどろどろにして。嫉妬でできた強い火をつけ続けて焦がした、杏寿郎さんの悋気の匂いだ。
杏寿郎さん、このレベルもアウトなのね。
こんなんじゃ私、男性隊士と仲良くできないじゃん!
「師範……狭量が過ぎますよ?」
「はっはっはっ!君の事だからな!」
ウッ目が笑ってない。
まあ、『前』と違って私の体臭の話が出なかっただけよしとしようかな。物事は良い方に考えなくちゃ。
そうして杏寿郎さんは炭治郎を自分の席の近くへと呼び、話をする事になった。
私は席をどかなかった。初めから杏寿郎さんのお向かいのままである。
移動しようとしてもどうせ戻されるんだものね?私知ってるー。
それと『前』は言っても無駄だったので、列車内ではお静かに!なんてこと言わない。うまい!の言葉もそうだけど、炭治郎との会話の中でどんどんうるさくなるのも目に見えている。同じように、伊之助達がうるさくするのもね。
ただ、なるべくおとなしくね?と、自分のおむすびを次々渡しながら善逸と伊之助は注意しておいた。
このためにちょっと多めに買ったんだもの。
「炭治ろ、……竈門くんもよかったらどうぞ」
「ありがとうございます。俺の事は炭治郎でいいですよ」
炭治郎におむすびを渡せば、名前で呼んで良いとにこにこしながら返された。
「あっ!俺も善逸でいいでーす!」
「まだら!俺の事も特別に名前で呼ぶ事を許してやろう!!」
他の子の名前呼びもゲッツ!は、ともかくとしてまた伊之助からは、まだら呼び……。
この時代にメッシュとかグラデーションの概念はないから仕方ないけれど、まだら……なんだかなぁ。
自分を納得させるべくもやもやした気持ちごと、おむすびを一口喉の奥へ流し込む。
ふむふむ、唾液が出てくるこの香りは梅干しだね?酸っぱくてしょっぱーい梅干しまでもう少しだ。
「朝緋、俺の分はないのか?」
「え、だって師範、さっきあれだけお弁当食べて……」
「ないのなら仕方ない。これをもらおう!」
言うが早いか、私の手にあったおむすびが杏寿郎さんの口の中に。
「んなっ!?」
「れ、煉獄さん!?」
「ふーむ。うまいな……」
おむすび?いいえ、指までもが口に含まれ食べられた!しかもその舌先は、私の指先を往復するようにじっくり舐め回していった。
ついでにいうと、楽しみにしていた梅干しまでもとられた!!
ああああああ゛目の前に炭治郎がいるのにッ!なんて恥ずかしいっ!!ほら炭治郎も赤くなってるー!!
ぷるぷる震えながらも、爆発しそうな感情をグッと堪えた私はえらいと思う。
キレそうになりながら私はまた外の景色を見るために視線を外した。杏寿郎さんからの熱ぅい視線は、なおも送られたままだった……。
だって、外を見るくらいしかできないじゃない?『前』は列車の中で鬼の注意を逸らすためにと、文庫本を持ってきていたけれど、今回はそんなもの初めから持ってきていないんだもの。
そんな暇あったら早く鬼の頸を斬りたい。可能なら斬れ味抜群にするため、ここでジャコジャコ刃を研ぎ出したいくらいだ。
頸を洗って待ってろ上弦の参んんんん〜!お前の頸取ってやるぅ〜〜!!
炭治郎が杏寿郎さんにヒノカミ神楽というものについて聞いている。
けど、だが知らん!と返されて終わってしまった。うう〜ん、相っ変わらず結論出すの早い。もーちょっとよく考えてあげれば良いのに。
ただし、継子に迎えるのは賛成。炭治郎は鍛え甲斐がありそうなのよね!
……それにしてもヒノカミ神楽、か。
その言葉について私は詳しく知らない。だけれどそれが、煉獄家で日の呼吸と間違えられていたことは確かだ。いや、日の呼吸がヒノカミ神楽なのかもしれないけれど。
あー、もうちょっとちゃんと槇寿朗さんに聞いておけばよかった。日の呼吸ってなぁに?って。
ただ、お酒で酩酊している槇寿朗さんから聞くのはかなーり難しい。槇寿朗さんに日の呼吸はタブーだし、炎の呼吸が日の呼吸から派生してるらしいと聞いたけど相当ショックだったみたいだもの。
せめて槇寿朗さんがあの書を読む前。私が幼い時にでもこの単語を思い出していればなぁ。はあ……。
その後、滞りなく呼吸の話や刀の話も『前』同様に杏寿郎さんが説明したみたいだ。再び継子に誘っている。私以外育たなかったから寂しいのかもしれない。
それにしたって、杏寿郎さんたらほんと名前覚えるの苦手なんだから。継子にしたい子の名前くらい覚えて!?
「師範、この子は溝口炭治郎じゃなくて、竈門炭治郎よ」
「よもやっ!?」
その声も『前』と同じだね。思わず笑みがこぼれる。
「ねえ炭治郎、この任務が終わって私達のお休みになったらそこの二人を誘って炎柱邸へおいで。皆で打ち稽古しよう?
黒刀だろうが虹色の刀だろうが、柱を目指すなら鍛錬あるのみだよ」
「は、はいっ!ありがとうございますっ」
強くしてもらえると聞き、彼は嬉しそうだ。
この提案ばっかりは杏寿郎さんからも嫉妬の気配はしてこなかった。
変な突っ込みは入ったけど。
「朝緋、虹色の刀なぞ存在しないだろう」
「例え話ですぅー」
それと、私対全員という話はここでも出た。
結局、杏寿郎さんは私ばかりを重点的に鍛えたがる。それはもう、潰す気かと思うほどスパルタで……。
これまで何本骨を折っただろうか。