一周目 壱
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あられもない自分の姿を想像し血の気がひいた時。
「無事か!!!!」
その一瞬で、私は大好きな黄金と赤の炎に助けられた。
大声と同じくらいの大きさ、技を放つ際の轟音で、車両全体が揺れた。
さしずめ伍ノ型である炎虎を放ったのだろう、私を拘束していた触腕が消え燃えカスのようになって散っていく。
「ぜぇ、ハア、一瞬貞操の危機を感じましたが一応無事です……」
「よもっ!貞操の危機だと!?」
私を抱える杏寿郎さんの大きな目が、更に大きく見開かれる。いや、目が大きすぎてこぼれ落ちそうよ。
その腕から逃れ、自身の足で降り立ち叫ぶようにして伝える。
「気にしないでください!今は目の前のことに集中!!」
余計なこと言ってしまった気がするなあ。
一瞬顔を赤くした杏寿郎さんの額に、今は青筋がたっている……!
怒っている、怒ってらっしゃる。
いや、鬼相手にはいつだって怒ってるだろうけどさ!
「いつもは起きるの早いくせに!なんで今回に限って起きるの遅いん……ですかッ!?」
言いながらこちらを狙ってくる触腕を斬り刻む。
「いや、殊の外良い夢を見られたもので、なっ!」
豪快に真っ二つにする杏寿郎さんは、自分が発した言葉を思い出し何か嬉しくなったようだ。
青筋が一本消えた。
「良い夢っ!ですかっ……!」
「ああ!朝緋、君が俺のきゅうこ…………、炎の呼吸肆ノ型・盛炎のうねり!!」
みなまで言う事は叶わず、肆ノ型で向かってきた鬼の一部を滅する。
豪快な炎の技と音の前に、鬼は存在ができず、私は杏寿郎さんが発したであろう声を聞くこともできなかった。
「聞こえませんでした!今なんて!?」
「なんでもない忘れてくれ!!」
顔は鬼殺に向けているけど、照れているのがわかる。
うん、青筋も消えたみたいだし忘れよう。
なんて言ってたかもわからない上に、それどころじゃない状況だから。
「しかしまあ、うたた寝している間にこんな事態になっていようとはよもやよもやだ。
柱として不甲斐なし!穴があったら……」
ゴウッ!
杏寿郎さんがこのあと放つであろう技の想像して呼吸を合わせ、私も追従できるように刀を構える。
「入りたい!!」
ドッ!!轟音に次ぐ轟音。
細かくも、豪快な斬撃の嵐。杏寿郎さんの剣技はやっぱりすごい。
そして取り残しや、すぐに回復を始めようとするそれを片っ端から斬り刻んでいく私。
長年一緒にやってきただけはあって、杏寿郎さんとの連携が一番しっくり来る。
途中、禰󠄀豆子ちゃんが善逸と一緒になって鬼の触腕を切り刻み、意識のない乗客達を守っていた。
私の稀血を使わなくたって、もうわかる。
彼女は、人に仇なす鬼じゃない。鬼殺隊の一員。仲間だ。
その隣で善逸はまだ目を閉じていた。なのに臆することなく的確な斬撃を放っている。
目を閉じて戦う姿は、泣いていた善逸とは雰囲気も何もかも違って見えた。
伊之助もそうだ。一匹狼なのかと思っていたが、協力を仰げば思いの外あっさりと聞いてくれた。
今は車両の上を走って前へと移動しているはずだ。
あっ炭治郎を見つけた!
「竈門少年!!」
「れ、煉獄さん!?」
やっと名前覚えたんだ。
彼の事を鬼殺隊の大切な仲間だと認めたって証拠なのかもしれない。
「ここに来るまでにかなり細かく斬撃を入れてきたので、鬼側も再生に時間がかかると思うが、余裕はない。手短に話す!」
「はい!」
「この汽車は八両編成だ。俺は後方五両を守る。残りの三両は黄色い少年と、竈門妹が守る。朝緋は速度が速く正確に斬るのでどちらにも向かい取り残しを処理する補佐役。君と猪頭少年はその三両の状態に注意しつつ、鬼の頸を探せ」
「頸?でもこの鬼は……」
「どのような形になろうとも鬼である限り、頸はある!俺も急所を探りながら戦う。君も気合を入れろ!
いくぞ朝緋」
「はい!」
回復してきている鬼の触腕を滅するべく、炭治郎の元を後にする。
「すごい、二人とも見えない、さっきのは二人が移動した揺れだったのか。
状況の把握と判断が早い。
朝緋さんがいるとはいえ、五両を一人で……?
だいたい朝緋さんも、柱には遠いなんて嘘だ、柱にも十分届きそうじゃないか。
あ、感心してる場合じゃないぞ、ばか!やるべきことをやれ!」
炭治郎が私にまで感心していることも知らず、私は杏寿郎さんが言うように取り残しを斬るべく途中に残り刀を振るっていた。
うわ、めっちゃ触腕が湧いてる。虫じゃないんだからこれ以上湧かないでほしい。
これはもう取り残しというよりも、斬った側から再生してると言っていいのかもしれない。
杏寿郎さん、善逸、禰󠄀豆子ちゃんがいないどの車両でもこの状態だった。
いい加減、うざったいなあ。
「炎の呼吸ーー、炎山渦 !」
上からでも下からでもない、横方向に斬る高速の回転斬り。
不知火の回転斬り版を基本に回転回数を増やした、私が勝手に作り出した炎の呼吸の技だ。
だって、炎の呼吸を覚えるための指南書が三巻までしかないし、陸から先の型を教えてくれる人は杏寿郎さんにはいなかったんだもの。
杏寿郎さんにいなければ、私にもいないのは当然で。
なら、新しく作るしかないよね!?だから型はつけない。
これは、恋の呼吸みたいに派生の呼吸も作れなかった私ができる、唯一の悪足掻きだ。
豪速で振われた斬撃が、迫る触腕を全て斬り落とした。
ウッ目が回る……。これの困るところは、使うといまだに目が回るところだ。修行が足りない。
「無事か!!!!」
その一瞬で、私は大好きな黄金と赤の炎に助けられた。
大声と同じくらいの大きさ、技を放つ際の轟音で、車両全体が揺れた。
さしずめ伍ノ型である炎虎を放ったのだろう、私を拘束していた触腕が消え燃えカスのようになって散っていく。
「ぜぇ、ハア、一瞬貞操の危機を感じましたが一応無事です……」
「よもっ!貞操の危機だと!?」
私を抱える杏寿郎さんの大きな目が、更に大きく見開かれる。いや、目が大きすぎてこぼれ落ちそうよ。
その腕から逃れ、自身の足で降り立ち叫ぶようにして伝える。
「気にしないでください!今は目の前のことに集中!!」
余計なこと言ってしまった気がするなあ。
一瞬顔を赤くした杏寿郎さんの額に、今は青筋がたっている……!
怒っている、怒ってらっしゃる。
いや、鬼相手にはいつだって怒ってるだろうけどさ!
「いつもは起きるの早いくせに!なんで今回に限って起きるの遅いん……ですかッ!?」
言いながらこちらを狙ってくる触腕を斬り刻む。
「いや、殊の外良い夢を見られたもので、なっ!」
豪快に真っ二つにする杏寿郎さんは、自分が発した言葉を思い出し何か嬉しくなったようだ。
青筋が一本消えた。
「良い夢っ!ですかっ……!」
「ああ!朝緋、君が俺のきゅうこ…………、炎の呼吸肆ノ型・盛炎のうねり!!」
みなまで言う事は叶わず、肆ノ型で向かってきた鬼の一部を滅する。
豪快な炎の技と音の前に、鬼は存在ができず、私は杏寿郎さんが発したであろう声を聞くこともできなかった。
「聞こえませんでした!今なんて!?」
「なんでもない忘れてくれ!!」
顔は鬼殺に向けているけど、照れているのがわかる。
うん、青筋も消えたみたいだし忘れよう。
なんて言ってたかもわからない上に、それどころじゃない状況だから。
「しかしまあ、うたた寝している間にこんな事態になっていようとはよもやよもやだ。
柱として不甲斐なし!穴があったら……」
ゴウッ!
杏寿郎さんがこのあと放つであろう技の想像して呼吸を合わせ、私も追従できるように刀を構える。
「入りたい!!」
ドッ!!轟音に次ぐ轟音。
細かくも、豪快な斬撃の嵐。杏寿郎さんの剣技はやっぱりすごい。
そして取り残しや、すぐに回復を始めようとするそれを片っ端から斬り刻んでいく私。
長年一緒にやってきただけはあって、杏寿郎さんとの連携が一番しっくり来る。
途中、禰󠄀豆子ちゃんが善逸と一緒になって鬼の触腕を切り刻み、意識のない乗客達を守っていた。
私の稀血を使わなくたって、もうわかる。
彼女は、人に仇なす鬼じゃない。鬼殺隊の一員。仲間だ。
その隣で善逸はまだ目を閉じていた。なのに臆することなく的確な斬撃を放っている。
目を閉じて戦う姿は、泣いていた善逸とは雰囲気も何もかも違って見えた。
伊之助もそうだ。一匹狼なのかと思っていたが、協力を仰げば思いの外あっさりと聞いてくれた。
今は車両の上を走って前へと移動しているはずだ。
あっ炭治郎を見つけた!
「竈門少年!!」
「れ、煉獄さん!?」
やっと名前覚えたんだ。
彼の事を鬼殺隊の大切な仲間だと認めたって証拠なのかもしれない。
「ここに来るまでにかなり細かく斬撃を入れてきたので、鬼側も再生に時間がかかると思うが、余裕はない。手短に話す!」
「はい!」
「この汽車は八両編成だ。俺は後方五両を守る。残りの三両は黄色い少年と、竈門妹が守る。朝緋は速度が速く正確に斬るのでどちらにも向かい取り残しを処理する補佐役。君と猪頭少年はその三両の状態に注意しつつ、鬼の頸を探せ」
「頸?でもこの鬼は……」
「どのような形になろうとも鬼である限り、頸はある!俺も急所を探りながら戦う。君も気合を入れろ!
いくぞ朝緋」
「はい!」
回復してきている鬼の触腕を滅するべく、炭治郎の元を後にする。
「すごい、二人とも見えない、さっきのは二人が移動した揺れだったのか。
状況の把握と判断が早い。
朝緋さんがいるとはいえ、五両を一人で……?
だいたい朝緋さんも、柱には遠いなんて嘘だ、柱にも十分届きそうじゃないか。
あ、感心してる場合じゃないぞ、ばか!やるべきことをやれ!」
炭治郎が私にまで感心していることも知らず、私は杏寿郎さんが言うように取り残しを斬るべく途中に残り刀を振るっていた。
うわ、めっちゃ触腕が湧いてる。虫じゃないんだからこれ以上湧かないでほしい。
これはもう取り残しというよりも、斬った側から再生してると言っていいのかもしれない。
杏寿郎さん、善逸、禰󠄀豆子ちゃんがいないどの車両でもこの状態だった。
いい加減、うざったいなあ。
「炎の呼吸ーー、
上からでも下からでもない、横方向に斬る高速の回転斬り。
不知火の回転斬り版を基本に回転回数を増やした、私が勝手に作り出した炎の呼吸の技だ。
だって、炎の呼吸を覚えるための指南書が三巻までしかないし、陸から先の型を教えてくれる人は杏寿郎さんにはいなかったんだもの。
杏寿郎さんにいなければ、私にもいないのは当然で。
なら、新しく作るしかないよね!?だから型はつけない。
これは、恋の呼吸みたいに派生の呼吸も作れなかった私ができる、唯一の悪足掻きだ。
豪速で振われた斬撃が、迫る触腕を全て斬り落とした。
ウッ目が回る……。これの困るところは、使うといまだに目が回るところだ。修行が足りない。