二周目 陸
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鬼と繋がっているかもしれないという人間の調査は、無事に終わった。
無事、とは少し語弊がある。鬼ではなかったが、人身売買で海外へと誘拐した人間を売り捌く者がバックに潜んでいたようだ。
人の命でもって私腹を肥やす。人間こそが鬼のようで。
人間社会の闇を垣間見たような気がした。
と、まあそんなわけで。警察を呼びあとを頼んだので、私達の出番はないのだ。
任務……といっても隊服ではなくお互い着物だが、まだ日が暮れてもいない帰り道を二人並んで歩く。
まあ、見えないよう着物の下に日輪刀は携えているが。
警察に調べられなくてよかった〜いつもどっきどきしちゃうよねっ!
「でもまさか早速の任務が初デートになるとは思いませんでしたね」
デートというのはこう、お洒落してそれっぽいところに行くのを想像していた。令和の時代でいえば水族館、動物園、遊園地……ちょっと夢を見すぎか。
「ふむ。でーとというのは逢引することだったか」
「そう、逢引のことです。
デートが任務に化けたのは残念でしたが、こうして手を繋げる機会があるなんて夢のよう」
隊服でないと少し歩幅も歩き方も女性らしくなるのは、着物だし致し方ない。
着物で歩きづらいのを見越して、杏寿郎さんが手を取り引いてくれていた。
前に伸びた、重なる影すらも愛おしく嬉しい。時折体の影の全てが重なる時は、少しだけ恥ずかしくなるけれど。
どんな想像をして恥ずかしくなったのかって?きゃっ!言えない!!
「今までも手はつないでいたろうに」
「はい、でも今までは家族として手を繋いでいたことが多かったと思うんです。千寿郎も一緒にいましたし。
でもね、杏寿郎さん。家族間での手の繋ぎ方と、好いた者同士での手の繋ぎ方はちょっぴり違うんですよ」
よく千寿郎を真ん中にして三人で道を塞ぎながら、手を繋いで歩いたっけ。
私が真ん中を取ることもあったなぁ。
「好いた者同士の手の繋ぎ方?それはどんなものだ?」
こうか?
足を止めた杏寿郎さんは私の手を愛おしげに持ち上げ、手の甲に。指の間に。手の全体に口付けを贈ってきた。
そうして口付けの後に、舌を出してねっとりと私の手を舐めあげていく。赤い、赤い舌だ。てらてらと光り、そして男の人のものだとわかる分厚い舌。
上下に這わされたそれは、私の手首にまで及び舐られる。少しざらつく舌先が、手首の皺を念入りに這っていった。
「…………〜〜ッ」
ゾクゾクゾクッ!
背筋に、胎に疼きが走った。女の部分が刺激されてたまらない!
ちらり、私の様子を見ながらの行為の後、杏寿郎さんが今度は指をしゃぶる。
じゅるじゅる、じゅぽん。
立てられる水音が耳を刺激して、胎をうねらせてくる。身悶えしそうなそれを私は着物の下、足を擦り合わせて耐えた。
それを知っているかのように、普段大きな金環の目を弧を描いた三日月のようにうっそりと細め、じっと見つめてくる杏寿郎さん。
目の中に映る私は女の顔をし始めていた。
これ以上はいけない。おかしくなりそう。
それにここは人通りは少なくとも往来だし、まだ昼間だ。
もっとして欲しい思いも湧き始めている今だからこそ、まだ取り返しがつく。
「ん、それっ……手を繋いでない。舐めてる……!やめてくださいっ」
私は精神力で、悦びを得ようとしてくる女の本能に待ったをかけた。
具体的には、杏寿郎さんから自分の手を引っこ抜いたのだ。
「はぁっーー、杏寿郎さんのえっち……すけべ……」
「君の顔の方がよほど助平だけどなぁ?」
口元を濡らす自身の唾液を舌先でぺろりと舐め上げ、にやにやと笑う。
ああこの人、私の体の変化もわかっててやったんだ。確信犯だ。
「し……失礼しちゃうなぁ!元はと言えば変な舐め方したのは、杏寿郎さんじゃないですかっ」
「はっはっはっ!からかってすまん。任務だったとはいえ、朝緋といられたのが嬉しくてついな!
で、だ。恋仲での繋ぎ方とは、どんな繋ぎ方なんだ?」
「むううう、指を交互に絡めて繋ぐだけの簡単なものですぅ……」
恥ずかしさからか怒りからか。ぷしゅぷしゅー、と頭から湯気を出しそうになりながら蚊の鳴くような声で答える。
その次の瞬間には、私の手はいわゆる恋人繋ぎで杏寿郎さんの手と繋がっていた。
「そうかそうか!
なら帰るまでこうして手を繋いで歩こう。たまには急がずゆっくりな。
そして今度また行こうではないか!」
任務ではない日にこうして手を繋いでな。
「……はい」
はにかんで答えれば、杏寿郎さんも同じようにはにかむように笑顔を返してくれる。
ぎゅっと、手を握る。やはり同じように手を握り返してくれた。
「まっ!俺は柱。朝緋は甲!なかなか休みはないがな!!」
「ふふっ、ですね!」
『あの時』は恋人としてできることは何もなくて。黄泉路へと旅立つ貴方とは、何もできずに終わってしまった。
目の前の貴方も大切で大好きだけれど、『あの時』の貴方もとても大切な存在だ。
だから、どうしたら『あの時』の貴方をこの世に繋ぎ止められたのか、今でも考えてしまう。
結局、死ぬほど頑張るしかない。鍛錬あるのみなのはいつもかわらない。
鍛錬を怠れば、私は途端に弱くなる。幼い時に槇寿朗さんに言われたではないか。
私はただひたすら努力して、より強くなるしかないのだ。
陽の光に照らされた貴方の愛しい顔を目に焼き付けながら、私は強さへの渇望を更に高めた。
無事、とは少し語弊がある。鬼ではなかったが、人身売買で海外へと誘拐した人間を売り捌く者がバックに潜んでいたようだ。
人の命でもって私腹を肥やす。人間こそが鬼のようで。
人間社会の闇を垣間見たような気がした。
と、まあそんなわけで。警察を呼びあとを頼んだので、私達の出番はないのだ。
任務……といっても隊服ではなくお互い着物だが、まだ日が暮れてもいない帰り道を二人並んで歩く。
まあ、見えないよう着物の下に日輪刀は携えているが。
警察に調べられなくてよかった〜いつもどっきどきしちゃうよねっ!
「でもまさか早速の任務が初デートになるとは思いませんでしたね」
デートというのはこう、お洒落してそれっぽいところに行くのを想像していた。令和の時代でいえば水族館、動物園、遊園地……ちょっと夢を見すぎか。
「ふむ。でーとというのは逢引することだったか」
「そう、逢引のことです。
デートが任務に化けたのは残念でしたが、こうして手を繋げる機会があるなんて夢のよう」
隊服でないと少し歩幅も歩き方も女性らしくなるのは、着物だし致し方ない。
着物で歩きづらいのを見越して、杏寿郎さんが手を取り引いてくれていた。
前に伸びた、重なる影すらも愛おしく嬉しい。時折体の影の全てが重なる時は、少しだけ恥ずかしくなるけれど。
どんな想像をして恥ずかしくなったのかって?きゃっ!言えない!!
「今までも手はつないでいたろうに」
「はい、でも今までは家族として手を繋いでいたことが多かったと思うんです。千寿郎も一緒にいましたし。
でもね、杏寿郎さん。家族間での手の繋ぎ方と、好いた者同士での手の繋ぎ方はちょっぴり違うんですよ」
よく千寿郎を真ん中にして三人で道を塞ぎながら、手を繋いで歩いたっけ。
私が真ん中を取ることもあったなぁ。
「好いた者同士の手の繋ぎ方?それはどんなものだ?」
こうか?
足を止めた杏寿郎さんは私の手を愛おしげに持ち上げ、手の甲に。指の間に。手の全体に口付けを贈ってきた。
そうして口付けの後に、舌を出してねっとりと私の手を舐めあげていく。赤い、赤い舌だ。てらてらと光り、そして男の人のものだとわかる分厚い舌。
上下に這わされたそれは、私の手首にまで及び舐られる。少しざらつく舌先が、手首の皺を念入りに這っていった。
「…………〜〜ッ」
ゾクゾクゾクッ!
背筋に、胎に疼きが走った。女の部分が刺激されてたまらない!
ちらり、私の様子を見ながらの行為の後、杏寿郎さんが今度は指をしゃぶる。
じゅるじゅる、じゅぽん。
立てられる水音が耳を刺激して、胎をうねらせてくる。身悶えしそうなそれを私は着物の下、足を擦り合わせて耐えた。
それを知っているかのように、普段大きな金環の目を弧を描いた三日月のようにうっそりと細め、じっと見つめてくる杏寿郎さん。
目の中に映る私は女の顔をし始めていた。
これ以上はいけない。おかしくなりそう。
それにここは人通りは少なくとも往来だし、まだ昼間だ。
もっとして欲しい思いも湧き始めている今だからこそ、まだ取り返しがつく。
「ん、それっ……手を繋いでない。舐めてる……!やめてくださいっ」
私は精神力で、悦びを得ようとしてくる女の本能に待ったをかけた。
具体的には、杏寿郎さんから自分の手を引っこ抜いたのだ。
「はぁっーー、杏寿郎さんのえっち……すけべ……」
「君の顔の方がよほど助平だけどなぁ?」
口元を濡らす自身の唾液を舌先でぺろりと舐め上げ、にやにやと笑う。
ああこの人、私の体の変化もわかっててやったんだ。確信犯だ。
「し……失礼しちゃうなぁ!元はと言えば変な舐め方したのは、杏寿郎さんじゃないですかっ」
「はっはっはっ!からかってすまん。任務だったとはいえ、朝緋といられたのが嬉しくてついな!
で、だ。恋仲での繋ぎ方とは、どんな繋ぎ方なんだ?」
「むううう、指を交互に絡めて繋ぐだけの簡単なものですぅ……」
恥ずかしさからか怒りからか。ぷしゅぷしゅー、と頭から湯気を出しそうになりながら蚊の鳴くような声で答える。
その次の瞬間には、私の手はいわゆる恋人繋ぎで杏寿郎さんの手と繋がっていた。
「そうかそうか!
なら帰るまでこうして手を繋いで歩こう。たまには急がずゆっくりな。
そして今度また行こうではないか!」
任務ではない日にこうして手を繋いでな。
「……はい」
はにかんで答えれば、杏寿郎さんも同じようにはにかむように笑顔を返してくれる。
ぎゅっと、手を握る。やはり同じように手を握り返してくれた。
「まっ!俺は柱。朝緋は甲!なかなか休みはないがな!!」
「ふふっ、ですね!」
『あの時』は恋人としてできることは何もなくて。黄泉路へと旅立つ貴方とは、何もできずに終わってしまった。
目の前の貴方も大切で大好きだけれど、『あの時』の貴方もとても大切な存在だ。
だから、どうしたら『あの時』の貴方をこの世に繋ぎ止められたのか、今でも考えてしまう。
結局、死ぬほど頑張るしかない。鍛錬あるのみなのはいつもかわらない。
鍛錬を怠れば、私は途端に弱くなる。幼い時に槇寿朗さんに言われたではないか。
私はただひたすら努力して、より強くなるしかないのだ。
陽の光に照らされた貴方の愛しい顔を目に焼き付けながら、私は強さへの渇望を更に高めた。