二周目 陸
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そうしてより一層鍛錬にばかり身が入り。
階級がやっと乙に上がった。甲まではあと一つか。長かったなぁ。
明日は久方ぶりの合同任務。やっと杏寿郎さんにも会える。
杏寿郎さんやこの周辺を担当する隊士たちとの大規模な合同任務になるのだ。
任務とはいっても、強力な鬼が出るわけじゃない。柱と共に任務にあたることで、隊士の士気を高める目的がある。
杏寿郎さんとの任務なんて、士気アゲアゲ急上昇間違いなしだと思う。私がそうだったもの。
でも今は、杏寿郎さんとどんな顔をして会えばいいかわからない。顔を合わせるのが怖い。
そんな中声をかけてきたのは、前に私に告白してきた隊士だ。
「こんばんは!月が綺麗ですね!」
「あ、こんばんは。……また貴方ですか。貴方も懲りませんね」
「だって今も好きですから!」
相変わらずぐいぐい来るなあ。
「私なんて、好きになる価値ないと思いますけどね」
「いーや、ずっと見てましたけど好きになる要素しかなかったです!可憐でかわいらしいところもあって、大変女性らしい!もっと自信をもって良いのではないかと!!!!」
「声でっか!炎柱の真似!?周りに他の隊士もいるからやめてくれる!??」
今は合同任務前だ。つまり他にも隊士が集まっている。ただでさえ髪色や羽織、炎柱の継子だというだけ目立つのに、大声で好きだのなんだの……公開処刑ではないか。
というか見てたのは知っている。杏寿郎さんの代わりと言えそうなくらい、あの後からこの人の気配はしていた。ストーカーってほど酷いものじゃなかったけれど、時折熱い眼差しが届いていたっけ。
でも、自分で言うのもなんだが、ここ最近の私は鬼気迫る様相で更なる鍛錬に励んでいたはずだ。昔どこかで聞いた、筋肉は裏切らない!って言葉を心で唱えながら、ひたすら自分の体を痛めつけていた。
時代が時代なら、友人達に「ボディビルダーにでもなるの?」と言われそうなくらい。
そのどこにも可憐でかわいい要素なんてないでしょうに。目はどこについてんの?背中?
考え込んでいると、白い蜻蛉玉の中に赤い花が描かれた簪が目の前に差し出された。
「は?」
「まだ少ない給金で買ったものなのでたいした品ではありませんが、これを受け取ってください」
「さ、さすがに簪は受け取れない!大体渡すなら今じゃなくて、鬼殺が終わってからでしょ」
この時代、指輪も登場しはじめたけれど、簪は求婚の意味を宿している。可愛いからと言って下手に受け取れば、承諾したことになってしまうことも。
断固として断る理由がわかるだろう。
「なら今つけてしまえばいいです」
「ちょっ!何勝手に挿そうとしてるの!?」
尻尾のように括られた髪の毛をどかされ、結び目のある頭頂部に挿そうとされる。
くそう、杏寿郎さんもそうだけど男性隊士はみんな背が大きすぎるのよ!私が低いだけ?うるさいこちとらまだ成長期じゃい!!
なんとかその手から逃げ、頭を守り抜いた。
「勝手に挿すの!禁止!」
「あー、残念。
ま、簡単に受け取ってくれないのはよーくわかりましたよ」
「わかってくれたのならよかったわー」
「朝緋さん……本当つれない人ですね」
「私、そうそう簡単に釣れない魚なので」
「水の呼吸で魚を追い込んで釣り上げる所存です」
高嶺の花ですわよ?
とでも言うが如く自身を魚に例えてみれば、釣り上げる気満々でさも自分に振り向かせてみせるという気概すら見せてきた。
見習いたい、このポジティブシンキング。
「マァ!貴方水の呼吸の使い手なのね。私の炎と相性わるぅい〜」
「ええー?朝緋さんの炎は俺の水如きじゃ消えない熱さでしょ」
「あはは、確かにね!私の炎は簡単には消えないわよ〜!」
恋人として見ることはできないけれど、獪岳など同期の者のように、友人の一人としてならば見れそうな気がした。
階級がやっと乙に上がった。甲まではあと一つか。長かったなぁ。
明日は久方ぶりの合同任務。やっと杏寿郎さんにも会える。
杏寿郎さんやこの周辺を担当する隊士たちとの大規模な合同任務になるのだ。
任務とはいっても、強力な鬼が出るわけじゃない。柱と共に任務にあたることで、隊士の士気を高める目的がある。
杏寿郎さんとの任務なんて、士気アゲアゲ急上昇間違いなしだと思う。私がそうだったもの。
でも今は、杏寿郎さんとどんな顔をして会えばいいかわからない。顔を合わせるのが怖い。
そんな中声をかけてきたのは、前に私に告白してきた隊士だ。
「こんばんは!月が綺麗ですね!」
「あ、こんばんは。……また貴方ですか。貴方も懲りませんね」
「だって今も好きですから!」
相変わらずぐいぐい来るなあ。
「私なんて、好きになる価値ないと思いますけどね」
「いーや、ずっと見てましたけど好きになる要素しかなかったです!可憐でかわいらしいところもあって、大変女性らしい!もっと自信をもって良いのではないかと!!!!」
「声でっか!炎柱の真似!?周りに他の隊士もいるからやめてくれる!??」
今は合同任務前だ。つまり他にも隊士が集まっている。ただでさえ髪色や羽織、炎柱の継子だというだけ目立つのに、大声で好きだのなんだの……公開処刑ではないか。
というか見てたのは知っている。杏寿郎さんの代わりと言えそうなくらい、あの後からこの人の気配はしていた。ストーカーってほど酷いものじゃなかったけれど、時折熱い眼差しが届いていたっけ。
でも、自分で言うのもなんだが、ここ最近の私は鬼気迫る様相で更なる鍛錬に励んでいたはずだ。昔どこかで聞いた、筋肉は裏切らない!って言葉を心で唱えながら、ひたすら自分の体を痛めつけていた。
時代が時代なら、友人達に「ボディビルダーにでもなるの?」と言われそうなくらい。
そのどこにも可憐でかわいい要素なんてないでしょうに。目はどこについてんの?背中?
考え込んでいると、白い蜻蛉玉の中に赤い花が描かれた簪が目の前に差し出された。
「は?」
「まだ少ない給金で買ったものなのでたいした品ではありませんが、これを受け取ってください」
「さ、さすがに簪は受け取れない!大体渡すなら今じゃなくて、鬼殺が終わってからでしょ」
この時代、指輪も登場しはじめたけれど、簪は求婚の意味を宿している。可愛いからと言って下手に受け取れば、承諾したことになってしまうことも。
断固として断る理由がわかるだろう。
「なら今つけてしまえばいいです」
「ちょっ!何勝手に挿そうとしてるの!?」
尻尾のように括られた髪の毛をどかされ、結び目のある頭頂部に挿そうとされる。
くそう、杏寿郎さんもそうだけど男性隊士はみんな背が大きすぎるのよ!私が低いだけ?うるさいこちとらまだ成長期じゃい!!
なんとかその手から逃げ、頭を守り抜いた。
「勝手に挿すの!禁止!」
「あー、残念。
ま、簡単に受け取ってくれないのはよーくわかりましたよ」
「わかってくれたのならよかったわー」
「朝緋さん……本当つれない人ですね」
「私、そうそう簡単に釣れない魚なので」
「水の呼吸で魚を追い込んで釣り上げる所存です」
高嶺の花ですわよ?
とでも言うが如く自身を魚に例えてみれば、釣り上げる気満々でさも自分に振り向かせてみせるという気概すら見せてきた。
見習いたい、このポジティブシンキング。
「マァ!貴方水の呼吸の使い手なのね。私の炎と相性わるぅい〜」
「ええー?朝緋さんの炎は俺の水如きじゃ消えない熱さでしょ」
「あはは、確かにね!私の炎は簡単には消えないわよ〜!」
恋人として見ることはできないけれど、獪岳など同期の者のように、友人の一人としてならば見れそうな気がした。