一周目 壱
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「日の出だぁ」
朝の日差しが優しく、しかし強く差し込む。
歓喜の朝がきた。
お天道様、ありがとう。
陽の光に照らされる貴方は、血でところどころ濡れているけれど、左目は潰れていない。お腹に穴も開いてない。
肋骨には罅が入っているし打たれた肺も傷ついているだろうけど、それでも無事生きている。
やっと救えた。
貴方を救えた。
ほとり。一粒の涙が落ちて、下の土を染める。
これまで何度も何度も、貴方を救うためにやり直してきた。
貴方を鬼にしてしまう時もあった。私が鬼になる時もあった。
ただ悪戯に私が死んでしまった時もあった。貴方の身代わりになるならば、そのまま時間が進んでくれればよかったのに、その時はまた過去に飛ばされ私は私の時間を取り戻した。
気がつけば戻される時間。
たくさん、たくさん繰り返した。
だけどどうやっても救うことができなくて、未来を無事に生きることができなくて。
心が折れてしまった時もあった。
何度も泣いた。もう、摩耗した心の底では諦めかけていた。
だけど、やっと貴方の未来を掴み取ることができた。こんなに嬉しいことはない。
体のあちこちはひどく痛むし、貴方も体を痛めた。
けれどこうして貴方が生きている姿を見ていたらこの痛みすら名誉あるものに思える。
痛みを甘んじて受け入れたい。褒美だとすら思う。名誉ある、痛み。
もうきっと、このまま先へと進むことができるはず。
そう信じたい。
「師範、私、私……。やりまし、たよ……。
上弦の参を、やっと退けました……。頸をとることはできなかったけれど、一太刀入れることができた……。
私は、ちゃんとできて、ましたか……?」
「ああ。朝緋、キミはちゃんと責務を全うできていた。頸をとれなかったのは連帯責任だ。だが生きている。一太刀でも入れられたのは凄いことだし、誰も死んでいない。
さすが俺の………………、継子だ」
「あはは、よかったあ」
「まもなく隠が到着するから蝶屋敷に運んでもらおう。君は俺よりも重症だ。もうゆっくり休んでいなさい」
俺の、のあとの無言に入っていたであろう言葉の方が欲しかったなあ。
なんて少し寂しく思いながら、だったら私も師範呼びをしなければよかったよね。と、心の中で自嘲する。
駆け寄ってくる仲間や炭治郎達にも無事を伝えたかったんだけど、それはまたあとででいいか。
休んでいろ。
貴方が静かに放つ時の言葉は不思議だ。まるで催眠のように心に入り込む。
私の頭を労うように撫でてくれる貴方の微笑みを見ながら、私は落ちたいとせがむ瞼の意思に従った。
目が覚めたら、貴方の笑った顔にまた迎え入れてもらいたいなあ。
きっとそれは、なによりも贅沢な贈り物になる。
朝の日差しが優しく、しかし強く差し込む。
歓喜の朝がきた。
お天道様、ありがとう。
陽の光に照らされる貴方は、血でところどころ濡れているけれど、左目は潰れていない。お腹に穴も開いてない。
肋骨には罅が入っているし打たれた肺も傷ついているだろうけど、それでも無事生きている。
やっと救えた。
貴方を救えた。
ほとり。一粒の涙が落ちて、下の土を染める。
これまで何度も何度も、貴方を救うためにやり直してきた。
貴方を鬼にしてしまう時もあった。私が鬼になる時もあった。
ただ悪戯に私が死んでしまった時もあった。貴方の身代わりになるならば、そのまま時間が進んでくれればよかったのに、その時はまた過去に飛ばされ私は私の時間を取り戻した。
気がつけば戻される時間。
たくさん、たくさん繰り返した。
だけどどうやっても救うことができなくて、未来を無事に生きることができなくて。
心が折れてしまった時もあった。
何度も泣いた。もう、摩耗した心の底では諦めかけていた。
だけど、やっと貴方の未来を掴み取ることができた。こんなに嬉しいことはない。
体のあちこちはひどく痛むし、貴方も体を痛めた。
けれどこうして貴方が生きている姿を見ていたらこの痛みすら名誉あるものに思える。
痛みを甘んじて受け入れたい。褒美だとすら思う。名誉ある、痛み。
もうきっと、このまま先へと進むことができるはず。
そう信じたい。
「師範、私、私……。やりまし、たよ……。
上弦の参を、やっと退けました……。頸をとることはできなかったけれど、一太刀入れることができた……。
私は、ちゃんとできて、ましたか……?」
「ああ。朝緋、キミはちゃんと責務を全うできていた。頸をとれなかったのは連帯責任だ。だが生きている。一太刀でも入れられたのは凄いことだし、誰も死んでいない。
さすが俺の………………、継子だ」
「あはは、よかったあ」
「まもなく隠が到着するから蝶屋敷に運んでもらおう。君は俺よりも重症だ。もうゆっくり休んでいなさい」
俺の、のあとの無言に入っていたであろう言葉の方が欲しかったなあ。
なんて少し寂しく思いながら、だったら私も師範呼びをしなければよかったよね。と、心の中で自嘲する。
駆け寄ってくる仲間や炭治郎達にも無事を伝えたかったんだけど、それはまたあとででいいか。
休んでいろ。
貴方が静かに放つ時の言葉は不思議だ。まるで催眠のように心に入り込む。
私の頭を労うように撫でてくれる貴方の微笑みを見ながら、私は落ちたいとせがむ瞼の意思に従った。
目が覚めたら、貴方の笑った顔にまた迎え入れてもらいたいなあ。
きっとそれは、なによりも贅沢な贈り物になる。
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