就任パーティーでキバナさんにマスボぶつけられた
「相変わらずなんて怪力だよダンデの奴」
男の胸倉掴んで持ち上げるとか、やっぱりゴリランダーだろ。
オレ様の足浮いてたぞ。
とはいえ、オレ様もやり過ぎた。
愛しのユウリと絡めたのがうれしくて、ついつい詰め寄り過ぎちまった。
少しは酔った勢いだった自覚もある。酒の力借りちまったってことだな。
ユウリはまた今頃、インタビューやスポンサーへの挨拶に追われているだろう。
ダンデが初めてチャンピオンになった年も、テレビや雑誌、様々な媒体でそんな感じに取り上げられていたからよく覚えている。
小さくエールは送ってから出て来たものの、あれの対応は大変だ。
チャンピオンとはいえ、ユウリはまだ子供なのだから。
今日だけでなく、これから毎日のように明け暮れることになるマスコミへの対応、スポンサーとの契約、様々な慈善活動、その他色々……。
どれかひとつとっても、やらなくてはいけない仕事にはきりがない。
まあ、そばにはダンデもついているし、オレ様たちジムリーダーもサポートしてユウリを助けることが、万場一致で可決したけどな。
だけどユウリはバトルなら積極的だけど、普段はイマイチ消極的な部分がある。
元気いっぱいの子どもという点では、その辺の子どもとそう変わらないが、なんかこう、オレ様たち大人組と同年代との間に壁がある。
経験の差も大きいこういう世界だ。年齢の差をも気にするのは当然の事だし、壁といってもうすーいガラスだからそんなに気にならないけど。
でも恋愛感情を持っている以上、ユウリに触れるためには薄い壁すら邪魔だ。
急募・かわらわり。
『困ったことがあればいつでも頼りなさい』
ダンデがユウリに言ったという、その言葉がどこまで効いてるやら……。
とりあえず、チャンピオンがこれからやらなくてはいけない仕事の一部は、オレ様達大人が手分けして負担することになっている。
ユウリの歳ならば、まだ外でポケモンたちとトレーナーとして旅をしているのが普通なのだから、当たり前の措置だと言えよう。
こういうのは慣れている大人がすべきだ。
いろんな姿や表情を見たいが、一番似合うのはポケモンと楽しそうにしている時の笑顔だ。
自由に旅をしている姿のほうが、ユウリには似合う。
「笑顔、か……」
バルコニーで冷たい風に当たりながら、ユウリに惚れたきっかけへと思い馳せる。
あれはファイナルトーナメントでユウリに敗北した時だった。
初めて会った時は、ユウリはホップの添え物だと思っていた。
ダンデはホップともども幼少期から妹のようにかわいがっていたとの話だし、推薦状だって弟のついでに渡した程度のもので、ポケモンをプレゼントしたのだってこどもに飴細工を配るノリだったのだろう、そう思っていた。
初めて見た時のユウリは、不安だったのかおとなしくて、でもへらへら笑ってふにゃふにゃしてて…。
この分だとバトルも弱いだろう。オレ様のジムチャレンジを達成するまでにはいかないだろうと、高をくくっていた。
その頃のオレ様を殴りたいわ。
なのに、彼女はまさかのダークホース。とんだ真っ黒ギャロップだ。
いや、ギャロップどころじゃない。眠っていたにすぎない凶暴なドラゴンを起こしてしまった気分だった。
ユウリは数多いチャレンジャーたちを押しのけ、同じ時間を過ごして強さだって拮抗していたホップすら打ち負かし、オレ様すら乗り越えていった。
ジムチャレンジだからと多少手加減していたとはいえ、実力がなくては勝ち残ることはできない、オレ様のナックルジムをだ。
しかも、ガラルを救い、伝説のポケモンを従えて英雄の称号すら手に入れてしまうほどだ。
バトルセンスがあるってもんじゃない。あれは天性の才能って言われても納得できる。
バトルの時のあの鋭く突き刺さる目が忘れられない。
その目は、ポケモンを信じ、勝利を掴み取ることしか見えていない、そんな目だった。
なのに心の底からバトルを楽しんでいる。ポケモンと一心同体。バトルの外から見ていても楽しいバトルだった。
実際、彼女とのファイナルトーナメントは楽しかった。
激しい技のぶつかりあい。
お互い最後の一匹となったバトル。
オレ様が追い詰められ、そしてユウリが勝ちを確証した瞬間の顔。あの目。あの笑み。
ゾクゾクした。
それは、男女の交わりなんか比じゃないほどのエクスタシーだった。(付き合ったらいずれはそういうこともしたいけど)
勝ちにはこだわっていない?
どの口がいうか。負け知らずじゃねぇか。
ユウリの中には、誰よりも勝ちへの渇望があった。
そしてオレ様は敗北した。
悔しかったが、勝利したユウリと握手をかわした時。その時の彼女の心からの笑顔が忘れられない。
バトルで見たゾクゾクする表情とは違う。
完全に落ちた。
まだバトルは続いているのかと一瞬錯覚したほど。
そう、あれはポケモンのメロメロ攻撃が繰り出されたのと同じ衝撃。
ユウリのメロメロ攻撃がオレ様に決まった。
二十の意味でユウリに敗北した。
ポケモンに向けているその笑顔を自分にも向けてほしい。そう思った。
あの目が、ほしい。
あの笑顔がほしい。
ガラル地方が眠りから覚ましてしまった、幼くも凶暴なドラゴンを捕まえたい。
「やっぱ行動あるのみ、だよなー……」
恋愛にはものすごく『どんかん』そうなあのポケモンをゲットするには、アプローチもアクションも大事だろう。
とはいえ、TPOと年齢はある程度考慮しないとだが。そう、ある程度な。
来たるべき日のために、今まで以上に料理や掃除、洗濯を覚えてポイント高い男というのを目指してはいるが。
……オレ様ってばもしかして気が早すぎる?
男の胸倉掴んで持ち上げるとか、やっぱりゴリランダーだろ。
オレ様の足浮いてたぞ。
とはいえ、オレ様もやり過ぎた。
愛しのユウリと絡めたのがうれしくて、ついつい詰め寄り過ぎちまった。
少しは酔った勢いだった自覚もある。酒の力借りちまったってことだな。
ユウリはまた今頃、インタビューやスポンサーへの挨拶に追われているだろう。
ダンデが初めてチャンピオンになった年も、テレビや雑誌、様々な媒体でそんな感じに取り上げられていたからよく覚えている。
小さくエールは送ってから出て来たものの、あれの対応は大変だ。
チャンピオンとはいえ、ユウリはまだ子供なのだから。
今日だけでなく、これから毎日のように明け暮れることになるマスコミへの対応、スポンサーとの契約、様々な慈善活動、その他色々……。
どれかひとつとっても、やらなくてはいけない仕事にはきりがない。
まあ、そばにはダンデもついているし、オレ様たちジムリーダーもサポートしてユウリを助けることが、万場一致で可決したけどな。
だけどユウリはバトルなら積極的だけど、普段はイマイチ消極的な部分がある。
元気いっぱいの子どもという点では、その辺の子どもとそう変わらないが、なんかこう、オレ様たち大人組と同年代との間に壁がある。
経験の差も大きいこういう世界だ。年齢の差をも気にするのは当然の事だし、壁といってもうすーいガラスだからそんなに気にならないけど。
でも恋愛感情を持っている以上、ユウリに触れるためには薄い壁すら邪魔だ。
急募・かわらわり。
『困ったことがあればいつでも頼りなさい』
ダンデがユウリに言ったという、その言葉がどこまで効いてるやら……。
とりあえず、チャンピオンがこれからやらなくてはいけない仕事の一部は、オレ様達大人が手分けして負担することになっている。
ユウリの歳ならば、まだ外でポケモンたちとトレーナーとして旅をしているのが普通なのだから、当たり前の措置だと言えよう。
こういうのは慣れている大人がすべきだ。
いろんな姿や表情を見たいが、一番似合うのはポケモンと楽しそうにしている時の笑顔だ。
自由に旅をしている姿のほうが、ユウリには似合う。
「笑顔、か……」
バルコニーで冷たい風に当たりながら、ユウリに惚れたきっかけへと思い馳せる。
あれはファイナルトーナメントでユウリに敗北した時だった。
初めて会った時は、ユウリはホップの添え物だと思っていた。
ダンデはホップともども幼少期から妹のようにかわいがっていたとの話だし、推薦状だって弟のついでに渡した程度のもので、ポケモンをプレゼントしたのだってこどもに飴細工を配るノリだったのだろう、そう思っていた。
初めて見た時のユウリは、不安だったのかおとなしくて、でもへらへら笑ってふにゃふにゃしてて…。
この分だとバトルも弱いだろう。オレ様のジムチャレンジを達成するまでにはいかないだろうと、高をくくっていた。
その頃のオレ様を殴りたいわ。
なのに、彼女はまさかのダークホース。とんだ真っ黒ギャロップだ。
いや、ギャロップどころじゃない。眠っていたにすぎない凶暴なドラゴンを起こしてしまった気分だった。
ユウリは数多いチャレンジャーたちを押しのけ、同じ時間を過ごして強さだって拮抗していたホップすら打ち負かし、オレ様すら乗り越えていった。
ジムチャレンジだからと多少手加減していたとはいえ、実力がなくては勝ち残ることはできない、オレ様のナックルジムをだ。
しかも、ガラルを救い、伝説のポケモンを従えて英雄の称号すら手に入れてしまうほどだ。
バトルセンスがあるってもんじゃない。あれは天性の才能って言われても納得できる。
バトルの時のあの鋭く突き刺さる目が忘れられない。
その目は、ポケモンを信じ、勝利を掴み取ることしか見えていない、そんな目だった。
なのに心の底からバトルを楽しんでいる。ポケモンと一心同体。バトルの外から見ていても楽しいバトルだった。
実際、彼女とのファイナルトーナメントは楽しかった。
激しい技のぶつかりあい。
お互い最後の一匹となったバトル。
オレ様が追い詰められ、そしてユウリが勝ちを確証した瞬間の顔。あの目。あの笑み。
ゾクゾクした。
それは、男女の交わりなんか比じゃないほどのエクスタシーだった。(付き合ったらいずれはそういうこともしたいけど)
勝ちにはこだわっていない?
どの口がいうか。負け知らずじゃねぇか。
ユウリの中には、誰よりも勝ちへの渇望があった。
そしてオレ様は敗北した。
悔しかったが、勝利したユウリと握手をかわした時。その時の彼女の心からの笑顔が忘れられない。
バトルで見たゾクゾクする表情とは違う。
完全に落ちた。
まだバトルは続いているのかと一瞬錯覚したほど。
そう、あれはポケモンのメロメロ攻撃が繰り出されたのと同じ衝撃。
ユウリのメロメロ攻撃がオレ様に決まった。
二十の意味でユウリに敗北した。
ポケモンに向けているその笑顔を自分にも向けてほしい。そう思った。
あの目が、ほしい。
あの笑顔がほしい。
ガラル地方が眠りから覚ましてしまった、幼くも凶暴なドラゴンを捕まえたい。
「やっぱ行動あるのみ、だよなー……」
恋愛にはものすごく『どんかん』そうなあのポケモンをゲットするには、アプローチもアクションも大事だろう。
とはいえ、TPOと年齢はある程度考慮しないとだが。そう、ある程度な。
来たるべき日のために、今まで以上に料理や掃除、洗濯を覚えてポイント高い男というのを目指してはいるが。
……オレ様ってばもしかして気が早すぎる?