ユウリ、キバナさんと鎧島行く、の巻
「たまご?」
「キバナさん、たまごが孵らないって投稿してたじゃないですか」
「!!ユウリがSNSを使いこなしてくれている……!オレ様感激なんだけど!」
「いや、今はそこじゃないです。
それに、スマホロトムがキバナさんのページまで案内してくれましたから」
ユウリは意外とアナログ人間だ。
スマホの使い方があまりわからなかったらしく、以前このキバナ様がじっくりねっちょりと使い方を教えこんだ。SNSもその時にしっかり教えた。
使いこなしているとばかり思ったが、実際はロトムが優秀だったようだ。
それが恥ずかしいのか、頬を膨らましそっぽを向いている。
ンン゛ッ!ピカチュウみたい、かわいい!ゲットだ!!
「ポケモンのたまごを孵したければ一緒に外を歩かなくてはいけませんよね?でも、キバナさんはジムリーダーのお仕事中があってあまり外には出れてない……」
「ああ、そうだな。だからコータスと一緒にあっためて早く孵そうとしてるんだぜ」
コータスの体温はあたたかい。
まるで湯たんぽのようで、たまごは孵りやすくなるだろう。特に冬場は重宝する。オレ様寒がりだし。
ユウリが隣で寝てくれたら、コータスを湯たんぽにする必要なくなるんだけどなぁ。
「コータスは隣にいると確かに温かいけれど、特性が『ほのおのからだ』ではありませんよね。『ほのおのからだ』じゃないと、たまごが孵りやすくなったりはしませんよ」
「えっ」
特性については知ってたが、体温高いポケモンとともにいれば早く孵ると思ってた。
「だから特性が『ほのおのからだ』のポケモンを捕まえに鎧島行きましょう!」
「マジで!?」
ユウリがオレ様のポケモンのためにそこまで考えてくれてたなんて。
嬉しさオーバーヒートしそうだ。
ジムトレーナー諸君が遠目で見てるけど、抱きしめていい?だめ?ダンデセコム呼ばれちゃう??
「マジですー。
日照りの日になるとウルガモスがやってくる小さな島が、鎧島の海に浮かんでまして。
ちょうど明日の予報は、日照り。
そこにはたまにりゅうのウロコなんかも落ちてて、上手くいけばドラゴンタイプのポケモンが喜ぶ道具が手に入りますよ!」
おお、なんと嬉しいお誘いだ。
だが行くならば、ジムを休まねばならない。
その話をしたら「ジムのお休み事情は確認済みです。受付に話をしたら、明日お休みにしてくれましたよ?」、だって!?
さすがユウリ。ぬううん、用意周到……!できる女なユウリも素敵だ。
「その島は無人島で誰も来ないし、鎧島本島からもちょっと遠くて、すっごい開放感あるんです〜」
「ごふっ!!」
「キ、キバナさん!どうしたんですか!!」
「ごめんな?鼻血出そうになった」
「なんで!?」
完全に2人きりじゃねえか!
ポケモンはいるだろうけど、人間はオレ様とユウリだけ。
セコムも来ない!
なら色んなトコロも解放したい。オレ様メガ進化していいかな!?
「というわけなんですけど、明日鎧島に私と行きませんか?
勝手にジムお休みにしちゃったんで、怒ってるかもしれませんが。もし嫌なら断ってくださいね……?」
行くーーーーー!行くに決まってんだろぉぉぉぉ!
あれだけガンガン押せ押せで来てたのに、ここに来ておずおずといった感じに控えめに言ってくるユウリ、いじらしい。
あー、もう!めちゃくちゃにしたい!
抱きしめてその先まで一気に進めたい気持ち、叫び出したい口をおさえてユウリの頭をひと撫でする。
今度はするりと避けられる事はなかった。
「ユウリがそこまでしてくれたってのに、嫌なわけないだろ?もちろん行くぜ!」
ジムを休みにするのには、きっとチャンピオンの特権も使ったであろう。
あまり褒められた事ではないが、そもそもがなかなか休みを取らないウチのジム。
有休も余ってるから、丁度いいだろう。逆に助かった。
「待ち合わせ場所はどこがいい?」
「ナックルシティ駅のカフェスペースでどうですか?時間はかかりますけど、列車で行けますもんね。時間は朝で!」
「はいよ、リョーカイ」
さーて、家に帰ったら遠い昔に発行したヨロイパスを探さないとな。
「ん?ということは、列車で行くのか?アーマーガアで行けば早いだろ」
「ふふっ列車で行く旅もオツなものですよ」
とか言って、顔に駅弁食べたいって書いてあるぞユーリ。
今日も彼女は、色気より食い気。グラシデアの花よりいかりまんじゅう。
そんなユーリも好きだぜ。……食べちゃいたいほどにな。
って、よく考えたらこれってデートだよな?
しかもユウリから直々に誘われたやつ!
翌日、駅のカフェスペースでユウリを待ってたオレ様。
待ち合わせ時間よりかなり前に来たんだが、時間が近づくにつれてその事実にはた、と気がついた。
オレ様格好おかしくない?
パーカーこそいつものドラゴンモチーフのものだが、中は適当なTシャツと愛用してるダメージジーンズだぞ。
動きやすさ重視しすぎたか?
これでいいの!?
ユウリとの大事なデートだからスーツ?フラベベとキレイハナで作る花束は必要??
考え込みすぎたか、アイスコーヒーのグラスを持つ手がガッタガタ震える。
テンパるオレ様を見かねてか、フライゴンがそっと鎧島の冊子を差し出してきた。
なるほど、あっちにキュワワーがいるから花束作りたいならそれで代用しろというのか。
ありがとうフライゴン!なんとトレーナー思いのポケモン!
あと悪い、誰かオレ様の頬を殴ってくれ。
このデートが夢だったら困る。よく考えたらユウリからデートに誘ってくるなんて、夢以外考えにくいだろ?
……いや、ヌメルゴンはやめてくれお前のツノでどつかれたらオレ様死ぬ。
「キバナさん、たまごが孵らないって投稿してたじゃないですか」
「!!ユウリがSNSを使いこなしてくれている……!オレ様感激なんだけど!」
「いや、今はそこじゃないです。
それに、スマホロトムがキバナさんのページまで案内してくれましたから」
ユウリは意外とアナログ人間だ。
スマホの使い方があまりわからなかったらしく、以前このキバナ様がじっくりねっちょりと使い方を教えこんだ。SNSもその時にしっかり教えた。
使いこなしているとばかり思ったが、実際はロトムが優秀だったようだ。
それが恥ずかしいのか、頬を膨らましそっぽを向いている。
ンン゛ッ!ピカチュウみたい、かわいい!ゲットだ!!
「ポケモンのたまごを孵したければ一緒に外を歩かなくてはいけませんよね?でも、キバナさんはジムリーダーのお仕事中があってあまり外には出れてない……」
「ああ、そうだな。だからコータスと一緒にあっためて早く孵そうとしてるんだぜ」
コータスの体温はあたたかい。
まるで湯たんぽのようで、たまごは孵りやすくなるだろう。特に冬場は重宝する。オレ様寒がりだし。
ユウリが隣で寝てくれたら、コータスを湯たんぽにする必要なくなるんだけどなぁ。
「コータスは隣にいると確かに温かいけれど、特性が『ほのおのからだ』ではありませんよね。『ほのおのからだ』じゃないと、たまごが孵りやすくなったりはしませんよ」
「えっ」
特性については知ってたが、体温高いポケモンとともにいれば早く孵ると思ってた。
「だから特性が『ほのおのからだ』のポケモンを捕まえに鎧島行きましょう!」
「マジで!?」
ユウリがオレ様のポケモンのためにそこまで考えてくれてたなんて。
嬉しさオーバーヒートしそうだ。
ジムトレーナー諸君が遠目で見てるけど、抱きしめていい?だめ?ダンデセコム呼ばれちゃう??
「マジですー。
日照りの日になるとウルガモスがやってくる小さな島が、鎧島の海に浮かんでまして。
ちょうど明日の予報は、日照り。
そこにはたまにりゅうのウロコなんかも落ちてて、上手くいけばドラゴンタイプのポケモンが喜ぶ道具が手に入りますよ!」
おお、なんと嬉しいお誘いだ。
だが行くならば、ジムを休まねばならない。
その話をしたら「ジムのお休み事情は確認済みです。受付に話をしたら、明日お休みにしてくれましたよ?」、だって!?
さすがユウリ。ぬううん、用意周到……!できる女なユウリも素敵だ。
「その島は無人島で誰も来ないし、鎧島本島からもちょっと遠くて、すっごい開放感あるんです〜」
「ごふっ!!」
「キ、キバナさん!どうしたんですか!!」
「ごめんな?鼻血出そうになった」
「なんで!?」
完全に2人きりじゃねえか!
ポケモンはいるだろうけど、人間はオレ様とユウリだけ。
セコムも来ない!
なら色んなトコロも解放したい。オレ様メガ進化していいかな!?
「というわけなんですけど、明日鎧島に私と行きませんか?
勝手にジムお休みにしちゃったんで、怒ってるかもしれませんが。もし嫌なら断ってくださいね……?」
行くーーーーー!行くに決まってんだろぉぉぉぉ!
あれだけガンガン押せ押せで来てたのに、ここに来ておずおずといった感じに控えめに言ってくるユウリ、いじらしい。
あー、もう!めちゃくちゃにしたい!
抱きしめてその先まで一気に進めたい気持ち、叫び出したい口をおさえてユウリの頭をひと撫でする。
今度はするりと避けられる事はなかった。
「ユウリがそこまでしてくれたってのに、嫌なわけないだろ?もちろん行くぜ!」
ジムを休みにするのには、きっとチャンピオンの特権も使ったであろう。
あまり褒められた事ではないが、そもそもがなかなか休みを取らないウチのジム。
有休も余ってるから、丁度いいだろう。逆に助かった。
「待ち合わせ場所はどこがいい?」
「ナックルシティ駅のカフェスペースでどうですか?時間はかかりますけど、列車で行けますもんね。時間は朝で!」
「はいよ、リョーカイ」
さーて、家に帰ったら遠い昔に発行したヨロイパスを探さないとな。
「ん?ということは、列車で行くのか?アーマーガアで行けば早いだろ」
「ふふっ列車で行く旅もオツなものですよ」
とか言って、顔に駅弁食べたいって書いてあるぞユーリ。
今日も彼女は、色気より食い気。グラシデアの花よりいかりまんじゅう。
そんなユーリも好きだぜ。……食べちゃいたいほどにな。
って、よく考えたらこれってデートだよな?
しかもユウリから直々に誘われたやつ!
翌日、駅のカフェスペースでユウリを待ってたオレ様。
待ち合わせ時間よりかなり前に来たんだが、時間が近づくにつれてその事実にはた、と気がついた。
オレ様格好おかしくない?
パーカーこそいつものドラゴンモチーフのものだが、中は適当なTシャツと愛用してるダメージジーンズだぞ。
動きやすさ重視しすぎたか?
これでいいの!?
ユウリとの大事なデートだからスーツ?フラベベとキレイハナで作る花束は必要??
考え込みすぎたか、アイスコーヒーのグラスを持つ手がガッタガタ震える。
テンパるオレ様を見かねてか、フライゴンがそっと鎧島の冊子を差し出してきた。
なるほど、あっちにキュワワーがいるから花束作りたいならそれで代用しろというのか。
ありがとうフライゴン!なんとトレーナー思いのポケモン!
あと悪い、誰かオレ様の頬を殴ってくれ。
このデートが夢だったら困る。よく考えたらユウリからデートに誘ってくるなんて、夢以外考えにくいだろ?
……いや、ヌメルゴンはやめてくれお前のツノでどつかれたらオレ様死ぬ。